会社解散の手続きは自分でできる?7つのステップと専門家に任せたい場面を解説
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- M&Aの進め方
公開日:2026.10.27
2026.10.27
更新日:2026.10.27
2026.10.27
会社解散の手続きは、資産が負債を上回る会社であれば自分でも進められます。株主総会の決議から清算結了の登記まで7つのステップ、登録免許税などの費用、自分で進めにくいケース、解散を決める前に確認したいことを解説します。

後継者がいないので会社をたたみたい。専門家に頼むと費用がかかるため、手続きを自分で進められないかと考える経営者の方もいます。会社の解散は、資産が負債を上回る会社であれば、法務局の様式を使って自分でも進められます。一方で、官報公告や税務申告には期限があり、債務超過の場合は手続き自体が変わります。本記事では、自分で解散する7つのステップと費用を確認したうえで、専門家に任せたい場面を解説します。あわせて、解散を決める前に確認したいことを示します。
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会社解散の手続きは自分でも進められる
会社の解散と清算の手続きは、専門家に依頼しなくても進められます。登記の申請は会社の代表者が行うのが原則で、法務局は申請書の様式を公開しています。
法務局は、会社・法人の登記には法令で登記すべき期間が定められていると案内しています。期限を守り、様式に沿って書類を整えれば、手続きは自分で完結できます。
自分で進めやすいのは、主に次の条件がそろう会社です。
- 資産が負債を上回っている
- 債権者が少なく、借入金を返し切れる
- 処分に手間のかかる不動産や在庫が少ない
条件に当てはまらない場合は、手続きの一部を司法書士や税理士に任せる判断も必要です。まずは自社の決算書で、資産と負債の差を確認します。
廃業・解散の手続きの全体像は、下記でも解説しています。
会社の廃業手続きと必要な費用は?手続きの全体像や廃業を検討すべきケースを紹介
一人会社の廃業手続きの流れは?解散・清算の流れや費用、M&Aとの違いを解説
自分で会社を解散する7つのステップ
解散から清算結了までは、会社法が定める順序で進めます。ステップは以下の7つです。
- 解散の決議と清算人の選任
- 解散と清算人選任の登記
- 財産目録と貸借対照表の承認
- 官報公告と個別催告
- 解散の届出と確定申告
- 債務の弁済と残余財産の分配
- 清算結了の登記と清算確定申告
それぞれを順に解説します。
株主総会の特別決議で解散と清算人を決める
最初に、株主総会の特別決議で解散を決めます(会社法第471条第3号、第309条第2項第11号)。特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を要する決議です(定款で定足数を3分の1以上に緩和することもできます)。
あわせて、清算の事務を担う清算人を決めます。清算人には、解散前の取締役が引き続き就く例が多く見られます。
決議の内容は議事録に残します。
- 解散の日付と理由
- 清算人の氏名
- 代表清算人の氏名
議事録は登記の添付書類になるため、出席株主と議決権の数を正確に記載します。
2週間以内に解散と清算人選任の登記を申請する
解散を決議したら、会社法第926条・第928条に基づき、2週間以内に解散と清算人選任の登記を申請します。 期限を過ぎると、過料の対象になることがあります。
法務局が公開している株式会社解散及び清算人選任登記申請書の様式では、登録免許税は3万9千円と記載されています。
代表清算人が申請書や委任状に押印する場合は、登記所に提出した印鑑を押す必要があり、提出は印鑑届書で行います。印鑑届書には、市区町村長が作成した3か月以内の印鑑証明書の添付が必要です。
様式に沿って申請書を作成し、本店所在地を管轄する法務局へ提出します。
財産目録と貸借対照表を作成して株主総会の承認を受ける
清算人は、解散の日現在の財産目録と貸借対照表を作成します(会社法第492条)。 会社にどれだけの財産と債務があるかを確定させる手続きです。
作成時に確認する項目は次のとおりです。
- 預金、売掛金、在庫、不動産、保険積立金
- 借入金、買掛金、未払税金、未払の給与
- 資産を処分した場合に見込める金額
作成した書類は、株主総会の承認を受けます。資産を時価で見直すと、帳簿の数字より価値が下がる項目が見つかる場合があります。
官報公告と知れている債権者への個別催告を行う
債権者に対し、一定期間内に債権を申し出るよう官報で公告します。 会社法第499条第1項は、申出の期間を2か月以上と定めています。
あわせて、会社が把握している債権者には個別に催告します。取引先や金融機関、リース会社などが該当します。
公告期間中は、原則として債務を弁済できません。ただし、少額の債権や、弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権などは、裁判所の許可を得て弁済できる場合があります(会社法第500条第2項)。清算手続きは、少なくとも2か月はかかることになります。
官報の掲載には申込みから日数がかかるため、解散の決議と同時に申込みの準備を進めます。
税務署などに解散を届け出て解散事業年度の確定申告をする
解散したら、税務署や都道府県、市町村に解散の届出をします。 法人税では、事業年度開始の日から解散の日までが一つの事業年度になります。
解散事業年度の確定申告は、解散の日の翌日から2か月以内に行います。
株式会社が解散すると、解散の日の翌日から1年ごとが清算中の事業年度となり、事業年度の区切りが変わります。
申告書の作成に不安があれば、解散事業年度の申告から税理士に依頼します。
債務を弁済して残余財産を株主に分配する
公告期間が過ぎたら、債務を弁済し、残った財産を株主に分配します。 資産を売却して現金に換え、借入金や買掛金を返します。
弁済の順序と確認事項は次のとおりです。
- 金融機関への借入金と未払利息
- 取引先への買掛金と未払金
- 未払の税金と社会保険料
すべての債務を返し終えた後に残る財産が、残余財産です。株主が受け取る残余財産のうち、資本金等の額に対応する部分を超える金額は「みなし配当」として課税の対象になります。株主が個人か法人かで取扱いが異なるため、分配の前に、株主ごとの受取額と税額を試算します。
残余財産の分配とみなし配当については、下記で詳しく解説しています。
会社清算の残余財産の分配はどう決まる?流れと税金、手取りが減る3つの注意点を解説
M&Aでみなし配当は発生する?課税の仕組みや手取りへの影響を売り手目線で解説
決算報告の承認後に清算結了の登記と清算確定申告をする
残余財産の分配が終わったら、決算報告を作成して株主総会の承認を受けます。 承認の日から2週間以内に、清算結了の登記を申請します。
清算結了の登記の登録免許税は2,000円です。登記が完了すると、会社の登記記録は閉鎖されます。
税務では、残余財産が確定した日の翌日から1か月以内に、清算確定申告を行います。この申告には、解散事業年度や清算事業年度と違い、提出期限の延長特例が適用されません。
帳簿や重要な資料は、会社法第508条により、清算人が、清算結了の登記の時から10年間保存しなければなりません。保存する人と場所を決めておきます。
自分で会社を解散するときにかかる費用
自分で手続きを進めた場合でも、登記と公告には実費がかかります。主な費用は次のとおりです。
| 費用の項目 | 金額の目安 | 支払う時期 |
|---|---|---|
| 解散と清算人選任の登記 | 登録免許税 3万9千円 | 解散の登記の申請時 |
| 清算結了の登記 | 登録免許税 2,000円 | 清算結了の登記の申請時 |
| 官報公告の掲載料 | 掲載する行数で決まる(数万円程度) | 公告の申込み時 |
| 登記事項証明書などの取得費用 | 1通あたり数百円 | 必要に応じて |
上記に加え、手続きの一部を専門家に依頼すれば、司法書士や税理士への報酬がかかります。報酬の水準は事務所ごとに異なります。
費用を抑えるには、登記は自分で行い、税務申告だけを税理士に依頼するといった分担も選択肢です。
一方で、債務超過の会社は通常の清算手続きを使えず、特別清算や破産の手続きになります。裁判所への予納金や弁護士費用が加わるため、費用は大きく増えます。
自社の資産と負債を確認し、通常の清算で済むかどうかを先に見極めます。
自分で手続きを進めにくい3つのケース
会社の状況によっては、自分だけで進めると手続きが滞ります。期限のある手続きが多いため、遅れは費用の増加にもつながります。進めにくいケースは主に以下の3つです。
- 債務超過で借入金を返し切れない場合
- 従業員や取引先との契約が残っている場合
- 不動産や在庫など処分する資産が多い場合
それぞれを順に解説します。
債務超過で借入金を返し切れない場合
資産で借入金を返し切れない場合は、通常の清算手続きを使えません。 債務超過の株式会社は、裁判所の監督を受ける特別清算や、破産の手続きを検討することになります。
経営者が会社の借入金を個人で保証していれば、会社をたたんでも返済の責任が残ります。
一方で、中小M&Aガイドラインは、債務超過であっても、譲り受け側が事業に魅力を感じる場合にはM&Aが実現する可能性があるとしています。
債務超過が見込まれる場合は、手続きを進める前に弁護士などの専門家へ相談します。
廃業時の借入金の扱いや、債務超過の会社の売却については、下記で解説しています。
債務超過の株式譲渡は0円・1円になる?株式価値の考え方と売却時の注意点を解説
従業員や取引先との契約が残っている場合
従業員や取引先との契約が残っていれば、解散の前に整理が必要です。 契約ごとに、終了の手続きと費用が異なるためです。
整理が必要な契約の例は次のとおりです。
- 従業員との雇用契約と解雇予告
- 取引先との継続的な取引契約
- リース契約や賃貸借契約の中途解約
従業員を解雇する場合は、労働基準法第20条により、原則として少なくとも30日前に予告するか、予告手当を支払う必要があります。契約書の解約条項を確認し、違約金の有無を一覧にします。
売却と廃業で従業員への影響がどう違うかは、下記で解説しています。
会社売却と廃業で従業員への影響はどう違う?雇用や退職金など5つの違いと伝え方を解説
不動産や在庫など処分する資産が多い場合
処分する資産が多いほど、清算には時間がかかります。 不動産の売却や在庫の処分は、買い手が見つかるまで進みません。
東京商工リサーチは、事業承継を検討した企業でも、資産査定で長年滞留した在庫や売掛金の評価を見直した結果、実態の財務の劣化が表面化することがあると指摘しています。
帳簿の金額で売れるとは限らず、処分の損失が残余財産を減らします。不動産は不動産会社に、在庫は買取業者に、処分の見込み額を早めに確認します。
※参考:東京商工リサーチ「2025年「休廃業・解散企業」動向調査」
清算時の不動産の処分方法は、下記で詳しく解説しています。
会社清算で不動産を処分するには?3つの方法と流れ、税金、売却という選択肢を解説
会社の解散を決める前に売り手が確認したい3つのこと
解散は、決議した後に取り消すのが難しい判断です。手続きを始める前に、他の選択肢と比べておきます。決める前に確認したいことは以下の3つです。
- 残余財産の分配にかかる税金を見積もる
- 清算結了前なら会社を継続できるかを確認する
- 事業や会社を売却できるかを確かめる
それぞれを順に解説します。
残余財産の分配にかかる税金を見積もる
会社をたたんで受け取る財産と、会社を売って受け取る対価では、税金のかかり方が異なります。 残余財産の分配のうち一定の部分は配当とみなされ、他の所得と合算して課税されます。
中小M&Aガイドラインは、株式譲渡の場合、株主である経営者個人の譲渡益には税率20.315%の分離課税で課税関係が終了するとしています。一方、配当などで受け取る場合は総合課税の対象となり、税率は15.105%から55.945%になるとしています。
同じ金額を受け取っても、手取りが変わる場合があります。解散と売却の両方で、手取り額を税理士などの専門家に試算してもらいます。
廃業とM&Aの違いや、売却時の税金は、下記で解説しています。
廃業とM&Aの違いを徹底解説!メリットや税金、向いているケースも紹介
会社売却後にかかる税金は?計算方法や確定申告、税引後手取りを増やす対策を解説
清算結了前なら会社を継続できるかを確認する
株主総会の決議で解散した会社は、清算が結了するまでであれば、株主総会の特別決議で会社を継続できます(会社法第473条)。 解散の決議をしても、直ちに会社が消滅するわけではないためです。
清算の途中で事業を引き継ぎたい人が現れた場合や、売却の話が持ち上がった場合に、選択肢として残ります。
ただし、資産の売却や従業員の退職が進んでいれば、事業を元の状態に戻すのは容易ではありません。継続の可能性がある間は、事業の基盤となる資産や契約の処分を急がないようにします。
休眠と廃業の違いについては、下記で解説しています。
休眠と廃業の違いとは?費用・手続き・3つの判断基準をわかりやすく解説
事業や会社を売却できるかを確かめる
解散を決める前に、事業や会社を売却できるかを確かめます。 東京商工リサーチの調査では、2025年に休廃業・解散した企業のうち、直前期の決算で黒字だった企業は52.8%でした。
※参考:東京商工リサーチ「2025年「休廃業・解散企業」動向調査」
利益が出ている事業であれば、買い手候補が見つかる可能性があります。会社を売却すれば、従業員の雇用や取引先との関係を承継しやすくなります。
中小M&Aガイドラインには、廃業を予定していた会社が事業の一部を譲渡し、廃業費用を捻出した事例も紹介されています。売り手側の立場に立つFAに相談し、売却の可能性を確かめてから判断します。
後継者がいない場合の選択肢と、売り手専属のFAの役割は、下記で解説しています。
後継者がいない会社はどうなる?廃業を避けてM&Aで事業を存続させる方法を解説
M&AにおけるセルサイドFAとは?業務内容や仲介との違いも解説
売却の進め方や仲介会社から提案を受けた際の注意点を、弁護士監修のガイドにまとめています。無料でダウンロードできます。
【無料資料】オーナー経営者がM&A仲介会社から事業売却の提案を受けたら、弁護士と一緒に最初に読むべき 事業承継・M&A完全ガイド
会社解散の手続きに関するよくある質問
会社解散の手続きについて、相談の現場で多く寄せられる質問を3つ取り上げます。会社の種類による手順の違い、登記申請書の入手先、一人会社の社長が亡くなった場合の3点です。
有限会社や合同会社でも同じ手順で解散できますか?
基本的な流れは共通しますが、手続きの一部が異なります。特例有限会社は会社法上は株式会社として扱われるため、ほぼ同じ手順になります。合同会社は、総社員の同意で解散できる(会社法第641条第3号)など、要件が異なります。定款を確認し、自社の会社形態に合った様式を使います。
法務局の登記申請書はどこでダウンロードできますか?
法務局のホームページにある「商業・法人登記の申請書様式」のページから入手できます。株式会社の解散及び清算人選任や、清算結了の登記申請書の様式と記載例が掲載されています。記載例に沿って作成し、不明な点は管轄の法務局の相談窓口で確認します。
一人会社の社長が亡くなったら会社は解散になりますか?
社長が亡くなっても、会社が自動的に解散するわけではありません。社長が持っていた株式は相続の対象となり、相続人が株主になります。相続人が株主総会で新たな取締役を選ぶか、解散を決議するかを判断します。相続が決まるまで業務が止まるため、早めに専門家へ相談します。
まとめ
会社解散の手続きは、資産が負債を上回る会社であれば、法務局の様式を使って自分でも進められます。株主総会の決議から清算結了の登記まで、会社法が定める順序と期限に沿って進めます。
要点は以下のとおりです。
- 解散と清算人選任の登記は、決議から2週間以内に申請する
- 官報公告の期間は2か月以上で、清算には少なくとも2か月かかる
- 解散事業年度の申告は2か月以内、清算確定申告は残余財産の確定から1か月以内に行う
- 債務超過の会社は、通常の清算ではなく特別清算や破産の手続きになる
- 解散を決める前に、売却した場合の手取り額と比べる
解散は、決議した後に取り消しにくい判断です。会社をたたむ前に、事業や会社を売却できる可能性がないかを確かめてください。
会社をたたむ前に押さえておきたい注意点は、資料でも確認できます。
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