閉業と廃業の違いとは?状況別の手続き3パターンと廃業前に確認したいこと
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- M&Aの進め方
公開日:2026.11.04
2026.11.04
更新日:2026.11.04
2026.11.04
閉業は店舗や営業を閉じること、廃業は事業自体をやめることを指すのが一般的です。店舗の閉鎖、個人事業主の廃業、会社の解散という3つの状況別の手続き、廃業で失われやすいもの、廃業を決める前に確認したいことを解説します。

店舗を閉めるのは閉業なのか廃業なのか。言葉の違いが分からないまま、必要な届出を見落とすケースがあります。閉業と廃業はどちらも法律上の定義がある言葉ではなく、実際に必要な手続きは、店舗だけを閉じるのか、事業をやめるのか、会社をたたむのかで決まります。
本記事では、閉業と廃業の違いと状況別の手続きを解説したうえで、2025年の休廃業・解散の動向を紹介します。あわせて、廃業で失われやすいものと、廃業を決める前に確認したいことを示します。
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閉業と廃業の違い
閉業と廃業は、どちらも法律で定義された言葉ではありません。一般には、次のように使い分けられています。
| 用語 | 一般的な意味 | 事業の継続 |
|---|---|---|
| 閉業 | 店舗や事業所を閉じる、または営業を終えること | 他の店舗や事業が続く場合もある |
| 廃業 | 事業自体をやめること | 事業は終わる |
| 休業 | 事業を一時的に止めること | 再開を前提とする |
閉業は、店舗の閉鎖や一日の営業終了を指す場合にも使われます。廃業は、個人事業主であれば税務署への廃業の届出、会社であれば解散と清算の手続きを伴います。
言葉の選び方より大切なのは、何をやめるのかです。店舗だけを閉じるのか、事業をやめるのか、会社を消滅させるのかによって、必要な届出と期限が変わります。
自社がどの状況に当たるかを見極め、該当する手続きを確認します。
休業や倒産との違いについては、下記もあわせてご覧ください。
休眠と廃業の違いとは?費用・手続き・3つの判断基準をわかりやすく解説
廃業と倒産の違いとは?解散・破産・休業との比較と経営者が取るべき選択肢を解説
閉業や廃業で必要な手続きは状況によって3つに分かれる
手続きは、何をやめるかで決まります。閉業か廃業かという言葉ではなく、拠点を閉じるのか、事業をやめるのか、法人を消滅させるのかで判断します。状況は主に以下の3つに分かれます。
- 店舗や事業所だけを閉じる場合
- 個人事業主が事業をやめる場合
- 会社をたたむ場合
それぞれを順に解説します。
店舗や事業所だけを閉じる場合
店舗や事業所だけを閉じる場合は、事業は続くため、閉じる拠点に関する届出が中心になります。 個人事業主が事業所を廃止したときは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
会社の場合は、税務署や都道府県、市町村に異動の届出を行います。登記している支店を閉じるときは、原則として支店の廃止の登記も必要です。
あわせて確認する事項は次のとおりです。
- 飲食店営業許可や酒類販売業免許など、店舗ごとに取得している許可・免許の廃止の届出
- 店舗の賃貸借契約の解約と原状回復
- 店舗で働く従業員の配置転換や雇用の扱い
許認可は店舗単位で取得している場合があります。閉じる店舗の許認可と契約を一覧にし、届出先と期限を確認します。
個人事業主が事業をやめる場合
個人事業主が事業をやめる場合は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。 国税庁は、提出時期を、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までと案内しています。
以前は、廃業の日から1か月以内とされていました。令和8年1月1日以後は、廃業した年分の確定申告期限までに提出すればよい扱いです。
あわせて検討する届出は次のとおりです。
- 青色申告の取りやめの届出
- 消費税の事業廃止の届出
- 従業員に給与を払っていた場合の給与支払事務所の廃止の届出
廃業した年の分も、翌年に確定申告が必要です。届出の要否と期限を、税務署の案内で確認します。
個人事業主が廃業する際に失うものについては、下記で解説しています。
個人事業主が廃業するデメリットは?失うものと廃業以外の選択肢を解説
会社をたたむ場合
会社をたたむ場合は、事業をやめるだけでなく、法人格を消す手続きまで進めます。 個人事業主と違い、届出書を1枚出せば終わる手続きではありません。
会社法は、解散の後に清算を行い、債権者への公告や財産の分配を経て清算を結了する流れを定めています。官報で債権者に申出を求める期間だけでも2か月以上(会社法第499条第1項)かかるため、店舗を閉じる場合より期間は長くなります。
どの手続きを使うかは、財務の状態で分かれます。
- 資産で負債を返し切れる:原則として株主総会の特別決議で解散し、通常の清算を行う
- 返し切れない:裁判所が関与する特別清算や破産
登記や申告の具体的な手順は、会社解散の手続きを扱う記事で確認します。
会社の廃業手続きと必要な費用は?手続きの全体像や廃業を検討すべきケースを紹介
2025年の休廃業・解散は約半数が黒字だった
東京商工リサーチの調査によると、2025年に休廃業・解散した企業は6万7,210件で、前年から7.2%増えて過去最多となりました。
2025年「休廃業・解散企業」動向調査|東京商工リサーチ TSRデータインサイト
同調査では、休廃業・解散の直前期の決算で、最終利益が黒字だった企業は52.8%、赤字は47.2%でした。利益が出ていても、事業をやめる企業が半数を超えていることになります。
代表者の年齢は60代以上が90.6%を占め、80代以上も34.0%と初めて3割を超えました。東京商工リサーチは、後継者がいないなかで事業を続けてきた企業の退出が本格化していると分析しています。
黒字の事業は、引き継ぎ先が見つかれば存続できる可能性があります。廃業を考えている場合は、自社の直近の損益を確認し、売却の可能性も検討します。
売却を検討する際の進め方や注意点は、弁護士監修のガイドにまとめています。無料でダウンロードできます。
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閉業や廃業で失われやすい3つのもの
事業をやめると、会社の中に積み上げてきたものも失われます。いずれも、廃業した後に取り戻すのは難しいものです。失われやすいものは以下の3つです。
- 従業員の雇用が続かなくなる
- 取引先や顧客との関係が途切れる
- 許認可や営業のノウハウを次に引き継げなくなる
それぞれを順に解説します。
従業員の雇用が続かなくなる
廃業すると、従業員の雇用は続かなくなります。 事業の終了に伴って従業員を解雇する場合は、労働基準法第20条などの定めに従う必要があります。
使用者は、従業員を解雇する場合、原則として少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。
長く働いてきた従業員ほど、再就職の負担は大きくなります。廃業を決める前に、従業員の雇用を引き継げる方法がないかを検討します。
廃業と会社売却で従業員への影響がどう違うかは、下記で解説しています。
会社売却と廃業で従業員への影響はどう違う?雇用や退職金など5つの違いと伝え方を解説
取引先や顧客との関係が途切れる
廃業すると、取引先や顧客との関係も途切れます。 仕入先にとっては販売先を、顧客にとっては購入先を失うことになるためです。
影響が出やすい関係は次のとおりです。
- 長年の取引で築いた仕入先との条件
- 継続して利用している顧客や会員
- 地域の中で担ってきた役割
代わりの事業者が見つからなければ、地域の取引にも影響が及びます。主要な取引先と顧客を一覧にし、廃業した場合の影響を把握します。
取引先への影響と伝え方については、下記で解説しています。
会社売却と廃業の取引先への影響とは?関係を守る3つの配慮と伝え方を解説
許認可や営業のノウハウを次に引き継げなくなる
廃業すると、取得してきた許認可や営業のノウハウも引き継げなくなります。 許認可は事業者ごとに与えられるため、廃業すれば効力を失うのが通常です。
会社を株式譲渡で売却すれば、許認可は原則として会社に残ったまま承継されます。ただし、役員や株主の変更について届出が必要な許認可もあります。一方、事業譲渡では、許認可を取り直す必要がある場合が多く見られます。建設業の許可や旅館業の営業許可のように、事前に行政庁の認可や承認を受けて承継できる制度が設けられている許認可もあります。
技術や顧客情報、従業員の経験といったノウハウも、事業が続かなければ失われます。自社が持つ許認可と、買い手候補が評価しそうな強みを書き出します。
廃業を決める前に売り手が確認したい3つのこと
廃業は、一度決めると元に戻しにくい判断です。手続きを始める前に、数字と選択肢を確認しておきます。決める前に確認したいことは以下の3つです。
- 残る財産と借入金の差を試算する
- 経営者保証と借入金の返済方法を確認する
- 事業や店舗を売却できるかを確かめる
それぞれを順に解説します。
残る財産と借入金の差を試算する
廃業を決める前に、事業をやめた後に手元へいくら残るかを試算します。 廃業には、営業を続けていれば発生しない費用がかかるためです。
廃業時に発生しやすい費用は次のとおりです。
- 従業員への退職金や解雇予告手当
- 店舗や事務所の原状回復と賃貸借の解約に伴う費用
- リース契約の中途解約に伴う残額の支払い
- 設備の撤去や在庫の廃棄にかかる費用
資産を処分して得られる金額から、借入金の返済と上記の費用を差し引いた残りが、実際の手取りになります。差が小さい、またはマイナスであれば、廃業の方法自体が変わります。顧問税理士などの専門家と、廃業した場合の手取りを試算します。
経営者保証と借入金の返済方法を確認する
会社の借入金に経営者保証を付けていれば、廃業しても返済の責任が残る場合があります。 会社が返し切れない借入金は、保証人である経営者に請求されるためです。
中小M&Aガイドラインは、「経営者保証に関するガイドライン」を活用することで、保証債務の免除を受け、一定期間の生計費や華美でない自宅などを残せる方策を検討する必要があるとしています。
確認する内容は次のとおりです。
- 保証を付けている借入金の残高と金融機関
- 廃業時に一括返済を求められるか
- 自宅など個人の資産への影響
返済の見通しが立たない場合は、金融機関と協議する前に弁護士などの専門家へ相談します。
廃業時の借入金と保証債務の扱いについては、下記で詳しく解説しています。
事業や店舗を売却できるかを確かめる
廃業を決める前に、事業や店舗を売却できるかを確かめます。 事業を売却すれば、従業員の雇用や取引先との関係、許認可やノウハウを引き継げる可能性があります。
中小M&Aガイドラインは、譲り受け側が評価するのは収支や事業規模に限られず、技術力、取引先との人脈、優秀な従業員、知名度、許認可なども評価の対象になりうるとしています。経営者が自明と考えて気付いていない価値を、譲り受け側が高く評価する場合もあるとしています。
店舗単位や事業単位での売却も選択肢です。売り手側の立場に立つFAに相談し、売却の可能性を確かめてから廃業を判断します。
廃業とM&Aの違いについては、下記で詳しく解説しています。
廃業とM&Aの違いを徹底解説!メリットや税金、向いているケースも紹介
閉業と廃業に関するよくある質問
閉業と廃業について、相談の現場で多く寄せられる質問を3つ取り上げます。会社を廃業するときの費用、休眠会社がみなし解散となる時期、閉業した店舗を再開できるかの3点です。
会社の廃業にはどのくらいの費用がかかりますか?
手続きの費用だけで見れば、通常の清算は数万円台から始まります。法務局の様式では、解散と清算人選任の登記の登録免許税は合わせて3万9,000円です。ただし実際の負担は、退職金や解約に伴う費用のほうが大きくなりがちです。債務超過の場合は、裁判所の手続きの費用も加わります。
休眠会社は何年で解散したとみなされますか?
会社法第472条により、株式会社は最後の登記から12年を経過すると休眠会社として扱われます。法務大臣の官報公告から2か月以内に、事業を廃止していない旨の届出か登記をしなければ、解散したものとみなされます。登記所から通知が届いた場合は、期限内に対応します。
閉業した店舗は後から再開できますか?
店舗を閉じただけで事業が続いていれば、再開は可能です。ただし、営業許可の廃止の届出をしていれば、再開時に許可を取り直す必要があります。会社の清算が結了していれば、同じ会社で再開することはできません。再開の可能性があれば、閉業の前に許認可の扱いを確認します。
まとめ
閉業と廃業は法律上の定義がある言葉ではなく、閉業は店舗や営業を閉じること、廃業は事業自体をやめることを指すのが一般的です。必要な手続きは、何をやめるかで決まります。
要点は以下のとおりです。
- 店舗や事業所だけを閉じる場合は、拠点ごとの届出と許認可の整理が中心になる
- 個人事業主の廃業届は、令和8年1月1日以後、廃業した年分の確定申告期限までに提出する
- 会社をたたむ場合は、解散と清算の手続きを経て清算結了の登記を行う
- 2025年に休廃業・解散した企業の52.8%は、直前期の決算が黒字だった
- 廃業すると、従業員の雇用、取引先との関係、許認可やノウハウが失われやすい
利益が出ている事業は、引き継ぎ先が見つかれば存続できる可能性があります。廃業を決める前に、事業や店舗を売却できないかを確かめてください。
廃業か売却かを判断する前に押さえておきたい注意点は、資料でも確認できます。
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