アミューズメント業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!
公開日:2026.10.26
2026.10.26
更新日:2026.10.26
2026.10.26
アミューズメント業界は、プライズゲーム(クレーンゲームなど)、ビデオゲーム、メダルゲームなどの遊技機を設置したゲームセンターをはじめとする、アミューズメント施設を運営する事業領域です。駅前や繁華街の路面店から、ショッピングセンター内のファミリー向け店舗、飲食や物販と組み合わせた複合店舗まで、さまざまな形態の店舗が存在します。
一方で、遊技機の入れ替えに伴う継続的な設備投資、景品の仕入れと在庫の管理、店舗スタッフの確保、出店先との賃貸借契約の条件、風営法に基づく許可と営業規制への対応、経営者の高齢化と後継者不足など、複数の経営課題を抱えています。
こうした環境を背景に、店舗網や出店先との関係の獲得、遊技機の調達力の強化などを目的として、大手のアミューズメント施設運営会社や、エンターテインメント関連企業が中小の運営会社や店舗の取得を検討・実行するケースがあり、中小のアミューズメント施設運営事業者にとっても、売却や事業承継は検討対象となり得る選択肢の一つです。
本記事では、アミューズメント業界のM&Aを行う際の相場の考え方をはじめ、業界の現状や代表的な売却手法について解説します。
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アミューズメント業界の現状
アミューズメント業界は、遊技機を製造・販売するメーカーと、それらを店舗に設置して運営するオペレーター(施設運営事業者)で構成されています。運営事業者は、全国に多数の店舗を展開する大手から、特定の地域で数店舗を運営する中小事業者まで幅広く、店舗の多くは商業施設のテナントとして営業しています。
市場環境をみると、コロナ禍で大きく落ち込んだ需要は回復しています。日本アミューズメント産業協会(JAIA)の調査によれば、2023年度のアミューズメント産業の市場規模は前年度比5.0%増の7,200億円となり、2019年度の水準を明確に上回りました。このうち、施設の運営による売上(オペレーション売上高)は前年度比4.7%増の5,384億円で、2019年度水準の99.5%まで回復しています。
※参考:一般社団法人日本アミューズメント産業協会「2023年度 アミューズメント産業界の実態調査(JAIAプレス2025年8月号)」
ただし、回復の中身には構造変化があります。同調査では、専業のゲームセンターが減少する一方で、ショッピングセンター内の許可店舗や、異業種との併設による許可店舗が増えていると指摘されています。かつての「街のゲームセンター」が減り、ファミリー層を集める商業施設内の店舗や、飲食・物販と組み合わせた店舗へと、店舗の重心が移っています。
収益面では、プライズゲームの人気が売上を支える一方、遊技機の新機種の導入や入れ替えには継続的な投資が必要であり、景品の調達コストも利益を左右します。店舗スタッフの確保や人件費の上昇も、中小事業者にとっては負担です。
こうした環境のなかで、大手運営会社による中小事業者の店舗の一括取得や、商業施設内の店舗網の獲得、異業種による参入など、アミューズメント業界のM&Aは店舗網の拡大と調達力の強化を目的に検討・実行されるケースが見られ、事業承継や経営基盤の強化を目的にM&Aが選択肢として検討される場面があります。
関連する業界の相場については、下記もご参照ください。
アミューズメント業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介
アミューズメント業界でM&Aが検討される理由は、主に「事業承継」と「機器投資・調達力の格差など業界固有の経営課題への対応」の二つに整理できます。
まず、事業承継の観点では、帝国データバンクの調査によれば、2025年の全国の後継者不在率は50.1%と、なお半数の企業で後継者が決まっていない状況です。中小のアミューズメント施設運営事業者でも、経営者の高齢化が進む一方で、出店先との関係や機器の選定・運営のノウハウを引き継げる後継者を確保できず、事業承継が課題となるケースがあるとみられます。
事業承継の選択肢の比較については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
事業承継とM&Aの違いとは?3つの承継方法と後悔しない相談先の選び方を解説
※参考:帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2025年)」
次に、業界固有の経営課題への対応という観点では、人気機種の導入と入れ替え、景品の調達、キャッシュレス対応などの設備投資、店舗スタッフの採用と教育、出店先との条件交渉などに、中小事業者が単独で取り組むには、資金面・人材面で負担が大きくなる場合があります。機器や景品は、まとまった数量を購入できる事業者ほど有利な条件を引き出しやすいため、規模の差が競争力の差につながりやすい面があります。大手運営会社の傘下に入ることで、機器の調達、景品の仕入れ、出店先の開拓などについて、買い手候補の経営資源を活用できる可能性があります。
また、アミューズメント業界のM&Aでは、風営法に基づく許可の取扱いがスキーム選択に大きく影響します。ゲームセンターなどは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第2条第1項第5号の営業として、営業所ごとに都道府県公安委員会の許可を受けて営むものであり、営業所ごとに管理者を選任する必要もあります(同法第24条)。
※参考:警視庁「風俗営業、特定遊興飲食店営業許可申請(欠格事由・必要書類)」
そのうえで、営業者が死亡した場合の相続、法人の合併、法人の分割については、公安委員会の承認を受けることで、風俗営業者の地位を承継させる手続きが定められています(同法第7条〜第7条の3)。一方、店舗の運営を事業譲渡で移す場合には、こうした承認による承継の対象とならないため、譲受側が新たに許可を受ける必要があります。新規の許可では場所や設備に関する審査が改めて行われるため、店舗単位で売却する場合ほど、スキームの選び方が取引の成否に影響します。
一部の事業や店舗を売る場合の手法の違いについては、下記で詳しく解説しています。
会社分割と事業譲渡の違いとは?一部事業を売る売り手の5つの判断軸を解説
※参考:警視庁「風俗営業、特定遊興飲食店営業(様式一覧)」、三重県警察「風俗営業等の手続き」
アミューズメント業界での企業売却方法は?3種類を紹介
アミューズメント業界のM&Aでは、売却対象(会社全体か、一部の店舗か)、風営法上の許可と管理者、出店先との賃貸借契約、遊技機などの設備、従業員との雇用関係の扱いによって、適した手法が変わります。
代表的な手法は以下の3つです。
- 株式譲渡
- 会社分割
- 事業譲渡
アミューズメント施設運営事業者のM&Aでは、営業所ごとの風営法上の許可の維持・承継(合併・分割の場合の公安委員会の承認、事業譲渡の場合の新規許可)、営業所ごとの管理者の選任、商業施設との出店契約・賃貸借契約の承継(貸主の承諾の要否)、遊技機の所有・リース・レンタルの別とその契約、景品の在庫、パート・アルバイトを含む従業員の雇用の引き継ぎなどが論点となるため、手法選択にあたっては、これらをどのように承継するかを慎重に検討する必要があります。
それぞれの手法について解説します。
株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴
株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては最も多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。
株式譲渡のメリット
株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、会社そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。
そのため、以下のようなメリットがあります。
- 従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
- 法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる
とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。ただし、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。
株式譲渡の注意点・デメリット
一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。
そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するデューデリジェンス(詳細調査)を丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。
会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点
会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。
会社分割の主な種類
会社分割には、以下のような分類があります。
- 新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
- 吸収分割:既存の他社に事業を承継させる
さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。
- 分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
- 分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る
会社分割のメリットと特徴
会社分割の最大の特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。
また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。
税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い
会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、採用するスキームによっては「非適格分割」に該当します。
非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。
また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。
事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点
事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。
譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。
事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい
事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。
特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。
売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税
事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。
また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。
課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとの課税・非課税を区分し課税対象資産部分の消費税を計算する必要があり、それぞれの対価を合理的に区分し、課税・非課税の計算を行う必要があります。
事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑
個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットと言えます。
- 原則すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
- 許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある
アミューズメント業界の売却の流れは?3つのステップを紹介
アミューズメント業界のM&Aを進める場合は、大きく3つのステップに分けて進められます。
- M&Aの準備と助言会社の選定
- 買い手候補先企業との接触、意向表明受領
- 詳細調査(DD)、最終契約とクロージング
それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておきましょう。
Step1.M&Aの準備と助言会社の選定
はじめに、売却目的と希望条件を整理したうえで、M&AアドバイザーやFAなどの助言会社を選定します。
この段階で重要なのは、想定される売却価格だけでなく、どのような買い手候補に、店舗、従業員、出店先との関係をどのように承継したいのかを明確にしておくことです。
アミューズメント施設運営事業者の場合、買い手候補の評価や取引条件に影響し得る論点として、運営店舗の一覧(立地、路面店か商業施設内か、開店時期)、営業所ごとの風営法上の許可の内容と管理者の選任状況、店舗ごとの売上と利益の推移(プライズ・ビデオ・メダルなどジャンル別の構成)、遊技機の一覧(機種、台数、導入時期、所有・リース・レンタルの別)と入れ替えの計画、景品の仕入先・在庫・原価の管理状況、商業施設との出店契約・賃貸借契約の内容(契約期間と残存年数、賃料の体系、中途解約や譲渡に関する条項)、キャッシュレス決済や会員システムの導入状況、従業員の体制(社員・パート・アルバイトの人数、勤続年数)、過去の行政指導や処分の有無などが挙げられます。
これらを事前に棚卸しし、資料として説明できる状態に整えておくことで、後工程での論点整理や条件交渉を進めやすくなる場合があります。
Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領
次に、助言会社を通じて買い手候補へ打診を行います。初期段階では概要資料を提示し、関心を示した企業と秘密保持契約を締結したうえで、財務・事業などに関する詳細情報を段階的に開示します。
買い手候補からは、譲渡価格のレンジ、取引方法、引き継ぎ条件、売却後の運営方針などをまとめた意向表明書が提出されます。
売り手は、提示金額だけでなく、従業員の処遇、店舗の存続や屋号の扱い、出店先との関係の継続方針なども含めて比較し、基本合意に進むかを判断します。
Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング
基本合意後は、買い手候補による詳細調査が行われます。
アミューズメント施設運営事業者では、財務・税務・法務・労務・ビジネス面の確認に加えて、営業所ごとの許可の状況と承継の方法、営業規制の遵守状況と行政指導・処分の履歴、出店契約の承継可否と貸主の意向、遊技機の状態と入れ替えに要する投資額、景品在庫の評価、店舗別の収益性、パート・アルバイトを含む労務管理の状況などが重視されやすい点が特徴です。
調査結果を踏まえて、譲渡価格、表明保証、補償条項、クロージング条件、公安委員会の承認や貸主の承諾の取得を前提とする条件などを調整し、最終契約を締結します。
その後、対価の決済と引き渡しを行うクロージングをもって、取引が完了します。
M&Aの流れについてより詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
アミューズメント業界の売却の相場は?価値算定方法を解説
アミューズメント業界のM&Aにおける売却価格は、「〇〇円が相場」と一律に決まるものではありません。
実務では、店舗ごとの収益力、立地と出店契約の条件、遊技機の状態、許可の承継方法、従業員の体制、負債、買い手候補の評価方針などを踏まえ、最終的には売り手と買い手候補の交渉によって価格が決まります。
アミューズメント施設は、出店先との契約と営業所ごとの許可があって初めて営業できる店舗型の事業です。そのため、店舗ごとの売上と利益に加えて、「出店契約があと何年残っているか」「遊技機の入れ替えにどれだけの投資が近く必要か」が買い手候補の評価上重視されやすい点が特徴です。同規模の売上であっても、集客力のある商業施設に出店しているか、契約の残存期間が十分か、遊技機の構成が人気ジャンルに対応しているかによって、買い手候補の評価に差が出る可能性があります。
特に、ファミリー層を集める商業施設内に複数の店舗を持つ事業者、店舗別の数値管理と機器の入れ替え判断の仕組みを持つ事業者、出店先との良好な関係を築いている事業者は、財務数値に加えて、店舗網、出店先との関係、運営ノウハウなどが評価上考慮される場合があります。
こうした理由から、アミューズメント施設運営事業者のM&Aでは、まず企業価値を算定し、そのうえで負債や現金などを考慮しながら、評価の全体像を整理するのが一般的です。
以下では、その基本的な考え方について解説します。
1.企業価値を算定する
アミューズメント業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。
理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。
本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。
マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。
- 類似会社比較法
- 類似取引比較法
類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。
具体的には、以下のように算定します。
EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値 (EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)
EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。
また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかによって、算定結果は大きく左右されます。
2.株式価値を算定する
企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。
企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値
第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。
なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。
しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。
M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~
また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
売却の進め方や仲介会社から提案を受けた際の注意点を、弁護士監修のガイドにまとめています。無料でダウンロードできます。
【無料資料】オーナー経営者がM&A仲介会社から事業売却の提案を受けたら、弁護士と一緒に最初に読むべき 事業承継・M&A完全ガイド
アミューズメント業界で企業を売却する3つのメリット
アミューズメント業界でM&Aを活用するメリットは、経営者個人の利益にとどまりません。
適切な承継は、従業員の雇用や、地域の娯楽拠点としての店舗の維持につながる可能性があります。
- 従業員の雇用と店舗運営のノウハウを維持しやすくなる
- 経営者は売却対価を得られる可能性がある
- 地域の娯楽拠点と出店先への影響を抑えやすくなる
ここでは、売り手にとって特に重要な3つのメリットを解説します。
従業員の雇用と店舗運営のノウハウを維持しやすくなる
アミューズメント施設は、機器の設定や景品の陳列、接客、トラブル対応を担う店舗スタッフによって、集客と売上が支えられています。
廃業や閉店を選択した場合、従業員の雇用の継続が難しくなるほか、客層に合わせた機種の選定や、景品の入れ替えの勘どころといった店舗運営のノウハウが失われる可能性があります。
M&Aにより事業が承継されれば、従業員の雇用を維持しながら店舗の運営を継続しやすくなる場合があります。売り手にとっては、人材や運営ノウハウを次の運営体制へ承継しやすくなる点がメリットです。
機器の設定や景品の選定が特定の店長や担当者に依存している場合、当該人材の継続関与の可否は、買い手候補の評価や譲渡後の運営に影響する可能性があります。
キーパーソンの処遇と引き継ぎについては、下記もあわせてご覧ください。
M&Aでキーマンの処遇はどうなる?経営者と従業員を守る5つのポイント
経営者は売却対価を得られる可能性がある
M&Aによる売却は、これまで築いてきた店舗網、出店先との関係、許可を受けた営業所、運営ノウハウを含む事業価値を、譲渡対価として回収する手段の一つです。
売却対価を得られた場合、引退後の生活資金、資産承継、次の事業への投資などに活用できる可能性があります。
後継者不在のまま閉店する場合、遊技機の売却や処分、景品在庫の整理、出店先との契約の解消と原状回復、従業員との契約整理などが必要になる可能性があります。出店契約の内容によっては、中途解約に伴う負担が生じる場合もあります。
M&Aでは、買い手候補は一般的には事業の継続性を前提に価値を評価するため、経営者は計画的に出口を設計しやすくなります。
地域の娯楽拠点と出店先への影響を抑えやすくなる
アミューズメント施設は、家族連れや若年層が集まる地域の娯楽拠点であり、商業施設にとっては集客を担うテナントでもあります。
閉店は、利用者にとって身近な娯楽の場の喪失、出店先の商業施設にとっては空き区画の発生や集客力の低下につながる可能性があります。
M&Aによって承継されることで、店舗の営業を継続しながら出店先との関係を維持しやすくなるため、利用者や出店先への影響を抑えながら事業を引き継ぎやすくなる点は、売り手にとってメリットの一つです。
アミューズメント業界で企業を売却する際の3つのポイント
アミューズメント業界でM&Aを円滑に進めるには、売上規模だけでなく、買い手候補が重視する論点を整理しておく必要があります。
買い手候補は、営業所ごとの許可と承継の方法、出店契約の残存期間、遊技機への投資負担を慎重に確認します。
- 許可・出店契約・機器・店舗別損益を棚卸しする
- 店舗運営と機器選定の属人性を下げる
- 信頼できるM&Aアドバイザー、弁護士、税理士などの専門家を活用する
ここでは、アミューズメント施設運営事業者の売却を検討する際に、特に重要な3つのポイントを解説します。
許可・出店契約・機器・店舗別損益を棚卸しする
アミューズメント施設運営事業者の買い手候補による評価は、財務数値に加えて、許可の状況、出店契約の条件、遊技機の状態、店舗別の収益性などに影響を受ける可能性があります。
買い手候補は、これらが譲渡後も維持・活用できるかを慎重に確認します。
そのため、売却前に以下の点を棚卸しし、説明できる状態にしておくことが重要です。
- 営業所ごとの風営法上の許可の内容、管理者の選任状況、構造・設備の変更に関する手続きの履歴、行政指導・処分の有無
- 商業施設との出店契約・賃貸借契約の内容(契約期間と残存年数、賃料の体系、譲渡・中途解約に関する条項、貸主の承諾の要否)
- 遊技機の一覧(機種、台数、導入時期、所有・リース・レンタルの別)と、入れ替えの計画・投資見込み
- 店舗ごとの売上と利益の推移、ジャンル別の売上構成、景品の仕入先・在庫・原価率
- キャッシュレス決済・会員システムなどの導入状況と契約、従業員の体制と労務管理の状況
- 18歳未満の客の入場時間の管理など、営業規制の遵守状況を示す運用ルールと記録
これらの整理が不十分だと、DDを経て価格見直し、追加条件の設定、交渉停止などにつながる可能性があります。
遊技機のリース契約の扱いや、行政処分の履歴が評価に与える影響については、下記で解説しています。
M&Aでリース債務はどう扱われる?売却価格への影響と引き継ぎの手続き、売り手が必要な準備
M&Aでコンプライアンス違反が発覚すると?6つの類型と価格への影響、売却前の点検
店舗運営と機器選定の属人性を下げる
アミューズメント施設運営事業者で買い手候補の評価に影響しやすい要因の一つが、経営者や特定の担当者への過度な依存です。
機器の選定と入れ替えの判断、景品の仕入れ、出店先との交渉が経営者に集中している場合、買い手候補から、経営者が抜けた後に売上を維持する仕組みがない事業と判断される可能性があります。
属人性による懸念を抑えるためには、以下のような取り組みが重要です。
- 店舗別・機器別の売上データを定期的に把握し、入れ替えを判断する基準の明文化
- 景品の仕入れと在庫管理の手順化、仕入先との窓口の複線化
- 店長の育成と権限移譲、営業所ごとの管理者の後任候補の確保
- 接客・トラブル対応・営業規制の遵守に関するマニュアルの整備
属人性を下げることで、経営者が交代しても店舗運営を維持しやすい体制として評価される可能性が高くなり、買い手候補が検討しやすくなるというプラスの効果があります。
売却前の準備全般については、下記で詳しく解説しています。
M&Aの磨き上げとは?売却価格を高める5つの領域と進め方を解説
信頼できるM&Aアドバイザー、弁護士、税理士などの専門家を活用する
アミューズメント施設運営事業者のM&Aでは、風営法上の許可の承継方法、営業所ごとの管理者の選任、出店契約の承継、遊技機のリース・レンタル契約の扱いなど、業種特有の論点が生じる場合があります。
準備やスキーム設計が不十分なまま進めると、譲渡条件の見直し、クロージング条件の追加、売却後の紛争などにつながる可能性があります。
そのため、以下のような専門家の支援を受けることが重要です。
- 売り手側の立場で支援するFA・M&Aアドバイザー
- 税務は税理士、契約・責任分担は弁護士、会計・財務DDは公認会計士、労務は社会保険労務士、風営法の手続きは行政書士などの専門家
売り手側のFAを活用することで、価格交渉や条件調整において、売り手の意向を踏まえた交渉方針を整理しやすくなります。
感情に左右された場当たり的な判断を避けるという観点でも、第三者による専門的な視点を取り入れることが望ましいです。
アミューズメント業界での企業売却にかかる税金とは?
企業を売却する際には、売却益に対して税金が発生します。この税金の仕組みは、「個人オーナーが売却する場合」と「法人が株式を譲渡する場合」で異なるため、正しく理解しておくことが重要です。個人・法人別にわかりやすく解説します。
会社売却にかかる税金の計算や手取りを増やす対策については、下記で詳しく解説しています。
会社売却後にかかる税金は?計算方法や確定申告、税引後手取りを増やす対策を解説
個人オーナーの場合
個人が自社株などの株式を譲渡し、譲渡益(売却益)が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。
課税の仕組み
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
この譲渡所得には、以下の税が課せられます。
- 所得税(復興特別所得税含む)
- 住民税
給与所得などとは分離して課税されるため、所得の合算は不要ですが、確定申告が必要です。
ただし、ミニマムタックスに該当する場合は給与所得等の他の所得と合算して算出する必要があるため、適切に節税するためには、事前に税理士など専門家への相談が欠かせません。
法人の場合
法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。
法人の場合の税務処理
- 譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
- 譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
- 所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能
評価差額にも注意
帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。
まとめ
アミューズメント業界は、市場がコロナ禍前の水準まで回復した一方で、専業店の減少と商業施設内・複合型店舗へのシフトという構造変化のなかにあり、中小事業者は遊技機への継続的な投資、景品の調達、店舗スタッフの確保、出店先との契約条件、経営者の高齢化と後継者不足など、複数の経営課題を抱えています。
ゲームセンターなどの許可は営業所ごとに与えられ、合併・分割による承継には公安委員会の承認が必要となる一方、事業譲渡では新たな許可が必要になります。店舗単位の売却が多い業界だからこそ、スキームの選び方が取引の進め方に大きく影響します。そのため、中小のアミューズメント施設運営事業者にとって、M&Aは事業継続や従業員・出店先への影響を踏まえた選択肢の一つになり得ます。
売却を円滑に進めるためには、許可・出店契約・機器・店舗別損益の棚卸しに加えて、機器選定と店舗運営の属人性の低減を含めた準備を、M&Aアドバイザー、弁護士、税理士、行政書士などの専門家に確認しながら早期に進めることが望ましいです。
RISONALでは、売り手に特化したFAサービスを提供しています。専属のエージェントがお客様の希望に沿った取引を実現するため、最適なサポートを行います。より高い評価額での売却を目指したアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を抑えた成約も可能です。
アミューズメント業界のM&Aでは、買い手目線で条件調整が進みやすい仲介型の支援の場合、価格や引き継ぎ条件が売り手に不利になるケースも少なくありません。そのため、誰の利益を最優先に交渉するのかを明確にした支援体制が重要です。
また、売却前に押さえておきたい注意点を、資料でも確認できます。
無料相談が可能です。実際にどの程度の価格で売却できるのか、また、どのようにすればより高く売却できるのかを、ぜひご確認ください。
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2026.10.26
2026.10.26
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