測量業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

2026.10.26

公開日:2026.10.26

2026.10.26

2026.10.26

更新日:2026.10.26

2026.10.26

測量業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

測量業界は、道路・河川・橋などの公共事業に必要な測量、土地の売買や開発に伴う用地測量・境界測量、工事の施工管理のための測量、地図や地形データの作成などを手がける事業領域です。近年は、ドローンやレーザースキャナーを使った3次元計測など、測量の手法も大きく変わりつつあります。

一方で、測量士などの技術者の高齢化と若手の確保、公共事業の発注動向への依存、年度末に納期が集中する受注構造、測量機器やソフトウェアへの投資負担、価格競争、経営者の高齢化と後継者不足など、複数の経営課題を抱えています。

こうした環境を背景に、技術者と測量業者登録の確保、対応エリアの拡大、設計・調査から施工管理までの一貫体制の構築などを目的として、建設コンサルタント会社や建設会社、同業の測量会社などが中小の測量会社の取得を検討・実行するケースがあり、中小の測量会社にとっても、売却や事業承継は検討対象となり得る選択肢の一つです。

本記事では、測量業界のM&Aを行う際の相場の考え方をはじめ、業界の現状や代表的な売却手法について解説します。

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測量業界の現状

測量業界は、国や地方公共団体が発注する公共測量と、民間の開発・不動産・建設に伴う測量の両方を担う事業領域です。建設コンサルタント業を兼業して設計まで手がける事業者もあれば、地域の自治体や建設会社からの依頼に応える小規模な事業者も多く、規模と業態の幅が広いのが特徴です。

業界の規模は縮小が続いています。国土交通省によれば、2025年度末の測量業の登録業者数は10,924業者で、前年度から216業者(1.9%)減少しました。新規登録271業者に対して登録の消除は487業者にのぼり、2003年度のピーク(14,750業者)から22年連続の減少となっています。

※参考:国土交通省「測量業は22年連続減少、建設コンサルタント、地質調査業は横ばい ~令和7年度末の建設関連業登録業者の登録状況をとりまとめ~」

注目すべきは、減少のペースが速まっている点です。同省の公表によれば、前年度からの減少率は、2023年度末が1.4%(164業者減)、2024年度末が1.5%(173業者減)、2025年度末が1.9%(216業者減)と、3年続けて拡大しています。

※参考:国土交通省「令和5年度末の建設関連業登録業者の登録状況」、同「令和6年度末の建設関連業登録業者の登録状況」

事業者の多くは小規模です。2025年度末の測量業の登録業者のうち、個人と資本金5,000万円未満の法人が全体の90.4%を占め、測量業のみを登録する専業の業者が73.2%、建設コンサルタント業との兼業(2業種)が19.0%となっています。

※参考:国土交通省「建設関連業 登録業者数調査(令和7年度)」

需要の面では、インフラの老朽化対策や防災・減災、災害からの復旧など、測量の必要性はなくなりません。一方で、ドローンやレーザー計測による3次元データの活用が広がるなか、機器やソフトウェアへの投資と、それを使いこなす人材の育成が求められています。小規模な事業者ほど、こうした投資の負担は重くなります。

こうした環境のなかで、建設コンサルタント会社による測量会社の取得、建設会社による施工管理の内製化を目的とした買収、隣接地域の同業者との統合など、測量業界のM&Aは技術者と登録の確保を目的に検討・実行されるケースが見られ、事業承継や経営基盤の強化を目的にM&Aが選択肢として検討される場面があります。

関連する業界の相場については、下記もご参照ください。

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測量業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

測量業界でM&Aが検討される理由は、主に「事業承継」と「技術者の確保・技術変化への対応など業界固有の経営課題への対応」の二つに整理できます。

まず、事業承継の観点では、帝国データバンクの調査によれば、2025年の建設業の後継者不在率は57.3%と、業種別で最も高い水準にあります(全国全業種平均は50.1%)。建設関連の業務を担う測量会社でも、経営者の高齢化が進む一方で、地域の発注者との関係や測量の技術を引き継げる後継者を確保できず、事業承継が課題となるケースがあるとみられます。登録業者数の減少の背景にも、こうした後継者不在による廃業があると考えられます。

※参考:帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2025年)」

事業承継の選択肢の比較については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

事業承継とM&Aの違いとは?3つの承継方法と後悔しない相談先の選び方を解説

次に、業界固有の経営課題への対応という観点では、若手技術者の採用と育成、3次元計測の機器やソフトウェアへの投資、公共事業の発注動向に左右されにくい受注基盤の構築、年度末に集中する業務の平準化などに、中小企業が単独で取り組むには、資金面・人材面で負担が大きくなる場合があります。建設コンサルタント会社や建設会社の傘下に入ることで、技術者の融通、機器の共同利用、設計・施工と一体となった受注などについて、買い手候補の経営資源を活用できる可能性があります。

また、測量業界のM&Aでは、測量業者登録の要件と、技術者の資格が重要な確認事項となります。測量業を営むには、個人・法人、元請・下請にかかわらず測量法第55条に基づく測量業者の登録が必要で、登録の要件は、登録しようとする営業所ごとに測量士を1人以上置くこと(同法第55条の13)であり、登録の有効期間は5年間(同法第55条第2項)とされています。

※参考:国土交通省 中部地方整備局「測量業の登録制度について」

さらに、測量法第48条では、技術者として基本測量や公共測量に従事する者は、登録された測量士または測量士補でなければならないとされています。測量士が一人しかいない営業所では、その一人が退職すれば登録の要件を満たせなくなるおそれがあり、公共測量の受注にも直接影響します。法人格が継続する株式譲渡であれば登録は原則として維持されますが、この場合も、営業所ごとに置く測量士が譲渡後も在籍し続けるかが、事業価値を左右します。

※参考:e-Gov法令検索「測量法」

主要な技術者の処遇と引き継ぎについては、下記もあわせてご覧ください。

M&Aでキーマンの処遇はどうなる?経営者と従業員を守る5つのポイント

測量業界での企業売却方法は?3種類を紹介

測量業界のM&Aでは、売却対象(会社全体か、特定の営業所や業務か)、測量業者登録と営業所ごとの測量士、官公庁の入札参加資格、測量機器やソフトウェア、従業員との雇用関係の扱いによって、適した手法が変わります。

代表的な手法は以下の3つです。

  • 株式譲渡
  • 会社分割
  • 事業譲渡

測量会社のM&Aでは、測量業者登録の維持(株式譲渡の場合の変更の届出、事業譲渡・会社分割の場合の譲受側での登録の要否)、営業所ごとに置く測量士の確保、官公庁の入札参加資格と等級(格付け)の扱い、建設コンサルタント登録など兼業する登録の扱い、進行中の業務の契約上の地位の移転(発注者の承諾)、測量機器の所有・リースの別、ソフトウェアのライセンス契約の承継などが論点となるため、手法選択にあたっては、これらをどのように承継するかを慎重に検討する必要があります。特に公共測量では、入札参加資格を引き継げるかどうかが受注の継続に大きく影響するため、発注者ごとの取扱いを早めに確認することが重要です。

一部の営業所や業務だけを売る場合の手法の違いは、下記で解説しています。

会社分割と事業譲渡の違いとは?一部事業を売る売り手の5つの判断軸を解説

それぞれの手法について解説します。

株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴

株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては最も多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。

株式譲渡のメリット

株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、会社そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。

そのため、以下のようなメリットがあります。

  • 従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
  • 許認可や契約の再取得が原則不要で、実務上の負担が少ない
  • 法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる

とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。ただし、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。

株式譲渡の注意点・デメリット

一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。

そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するデューデリジェンス(詳細調査)を丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。

会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点

会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。

会社分割の主な種類

会社分割には、以下のような分類があります。

  • 新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
  • 吸収分割:既存の他社に事業を承継させる

さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。

  • 分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
  • 分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る

会社分割のメリットと特徴

会社分割の最大の特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。

また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。

税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い

会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、採用するスキームによっては「非適格分割」に該当します。

非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。

また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点

事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。

譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。

事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい

事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。

特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。

売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税

事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。

また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。

課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとの課税・非課税を区分し課税対象資産部分の消費税を計算する必要があり、それぞれの対価を合理的に区分し、課税・非課税の計算を行う必要があります。

事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑

個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットと言えます。

  • すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
  • 許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある

測量業界の売却の流れは?3つのステップを紹介

測量業界のM&Aを進める場合は、大きく3つのステップに分けて進められます。

  1. M&Aの準備と助言会社の選定
  2. 買い手候補先企業との接触、意向表明受領
  3. 詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておきましょう。

Step1.M&Aの準備と助言会社の選定

はじめに、売却目的と希望条件を整理したうえで、M&AアドバイザーやFAなどの助言会社を選定します。

この段階で重要なのは、想定される売却価格だけでなく、どのような買い手候補に、技術者、発注者との関係、登録と入札参加資格をどのように承継したいのかを明確にしておくことです。

測量会社の場合、買い手候補の評価や取引条件に影響し得る論点として、測量業者登録の内容と有効期限、営業所ごとに置く測量士の氏名と年齢・後任候補、測量士・測量士補の人数と年齢構成、建設コンサルタント登録など兼業する登録の有無、国・都道府県・市町村の入札参加資格と等級、発注者別・業務種類別(公共測量・用地測量・境界測量・工事測量など)の売上の推移、業務成績評定の実績、受注残と進行中の業務の一覧(契約金額・納期・進捗)、期末の仕掛業務(未成業務)の金額と評価方法、測量機器(GNSS測量機・トータルステーション・ドローン・レーザースキャナーなど)の一覧と所有・リースの別、ソフトウェアのライセンス、事故・損害賠償の履歴などが挙げられます。

これらを事前に棚卸しし、資料として説明できる状態に整えておくことで、後工程での論点整理や条件交渉を進めやすくなる場合があります。

Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領

次に、助言会社を通じて買い手候補へ打診を行います。初期段階では概要資料を提示し、関心を示した企業と秘密保持契約を締結したうえで、財務・事業などに関する詳細情報を段階的に開示します。

買い手候補からは、譲渡価格のレンジ、取引方法、引き継ぎ条件、売却後の運営方針などをまとめた意向表明書が提出されます。

売り手は、提示金額だけでなく、技術者・従業員の処遇、地域の発注者との関係の継続方針、営業所や屋号の存続なども含めて比較し、基本合意に進むかを判断します。

Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

基本合意後は、買い手による詳細調査が行われます。

測量会社では、財務・税務・法務・労務・ビジネス面の確認に加えて、営業所ごとの測量士の継続在籍の見込み、測量業者登録と入札参加資格の承継方法、発注者別の売上の安定性、年度末に集中する売上と期末の仕掛業務の評価の妥当性、受注残の実在性、測量機器の状態と更新に要する費用、技術者の労働時間管理と未払い残業の有無、測量の誤りによる損害賠償の履歴などが重視されやすい点が特徴です。

最終契約で売り手が負う表明保証については、下記で解説しています。

M&Aにおける表明保証条項とは?重要性や内容、注意点を解説

調査結果を踏まえて、譲渡価格、表明保証、補償条項、クロージング条件、主要な技術者の残留や入札参加資格の承継を前提とする条件などを調整し、最終契約を締結します。

その後、対価の決済と引き渡しを行うクロージングをもって、取引が完了します。

M&Aの流れについてより詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

M&Aのプロセス

測量業界の売却の相場は?価値算定方法を解説

測量業界のM&Aにおける売却価格は、「〇〇円が相場」と一律に決まるものではありません。

実務では、技術者の体制、登録と入札参加資格、発注者基盤、受注残、測量機器、収益力、負債、買い手候補の評価方針などを踏まえ、最終的には売り手と買い手候補の交渉によって価格が決まります。

測量会社は、技術者と登録があって初めて受注できる事業であり、買い手候補の多くは「技術者と登録をまとめて確保すること」を目的にしています。そのため、測量士・測量士補の人数と年齢構成、営業所ごとの測量士が譲渡後も残るかどうか、地域の発注者から継続的に受注しているかが買い手候補の評価上重視されやすい点が特徴です。加えて、公共測量は年度末に納期と検収が集中するため、決算期と年度末の関係によって売上と利益の見え方が大きく変わります。期末の仕掛業務の評価と受注残の扱いは、価格交渉の争点になりやすい部分です。

特に、若手を含む測量士・測量士補を複数確保している事業者、複数の発注者から長期にわたって受注している事業者、3次元計測など新しい技術に対応できる機器と人材を持つ事業者は、財務数値に加えて、技術者の体制、発注者基盤、技術力などが評価上考慮される場合があります。

こうした理由から、測量会社のM&Aでは、まず企業価値を算定し、そのうえで負債や現金などを考慮しながら、評価の全体像を整理するのが一般的です。

以下では、その基本的な考え方について解説します。

1.企業価値を算定する

測量業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。

  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ

インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。

理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。

本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。

マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。

  • 類似会社比較法
  • 類似取引比較法

類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。

具体的には、以下のように算定します。

EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値 (EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)

EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。

また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかによって、算定結果は大きく左右されます。

2.株式価値を算定する

企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。

企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値

第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。

なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。

しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。

M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~

また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。

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測量業界で企業を売却する3つのメリット

測量業界でM&Aを活用するメリットは、経営者個人の利益にとどまりません。

適切な承継は、技術者の雇用や、地域のインフラと災害対応を支える担い手の維持につながる可能性があります。

  • 技術者の雇用と測量技術を維持しやすくなる
  • 経営者は売却対価を得られる可能性がある
  • 地域のインフラと災害対応の担い手を維持しやすくなる

ここでは、売り手にとって特に重要な3つのメリットを解説します。

技術者の雇用と測量技術を維持しやすくなる

測量会社は、測量士・測量士補をはじめとする技術者と、地域の地形や過去の測量成果に通じた経験がそのまま事業の価値になっています。

廃業を選択した場合、技術者の雇用の継続が難しくなるほか、地域ごとの基準点の状況や過去の測量の経緯といった知見、熟練した技術者の経験が、事業として承継されにくくなる可能性があります。

M&Aにより事業が承継されれば、技術者の雇用を維持しながら測量業務を継続しやすくなる場合があります。買い手候補のもとで、3次元計測などの新しい技術に取り組む機会が広がる可能性もあり、売り手にとっては、人材と技術を次の体制へ承継しやすくなる点がメリットです。

売却と廃業で従業員への影響がどう違うかは、下記で詳しく解説しています。

会社売却と廃業で従業員への影響はどう違う?雇用や退職金など5つの違いと伝え方を解説

営業所ごとに置く測量士や、発注者との調整を担う技術者が限られている場合、当該人材の継続関与の可否は、買い手候補の評価や譲渡後の運営に影響する可能性があります。

経営者は売却対価を得られる可能性がある

M&Aによる売却は、これまで築いてきた技術者の体制、測量業者登録と入札参加資格、地域の発注者との関係、測量機器を含む事業価値を、譲渡対価として回収する手段の一つです。

売却対価を得られた場合、引退後の生活資金、資産承継、次の事業への投資などに活用できる可能性があります。

後継者不在のまま廃業する場合、進行中の業務の完了と引き渡し、発注者への説明、測量機器の処分、技術者との契約整理などが必要になる可能性があります。また、長年かけて築いた登録や入札参加資格、地域の発注者からの信頼が、事業として評価されないまま失われる場合があります。

M&Aでは、買い手候補は一般的には事業の継続性を前提に価値を評価するため、経営者は計画的に出口を設計しやすくなります。

地域のインフラと災害対応の担い手を維持しやすくなる

測量会社は、道路や河川の維持管理、土地の境界の確定、そして災害時の被害状況の把握や復旧のための測量など、地域の暮らしと安全を支える役割を担っています。

測量業者の減少が続くなかで地域の測量会社が廃業すれば、自治体や地域の建設会社にとって、身近で頼れる測量の担い手が失われることになりかねません。災害の発生時に、迅速に現地に入れる事業者がいるかどうかは、地域にとって重要な問題です。

M&Aによって承継されることで、技術者と体制を維持しながら地域の測量業務を担い続けやすくなるため、自治体や地域への影響を抑えながら事業を引き継ぎやすくなる点は、売り手にとってメリットの一つです。

測量業界で企業を売却する際の3つのポイント

測量業界でM&Aを円滑に進めるには、売上規模だけでなく、買い手候補が重視する論点を整理しておく必要があります。

買い手候補は、技術者の体制と登録要件の維持、入札参加資格と発注者基盤、仕掛業務と受注残の実態を慎重に確認します。

  • 登録・技術者・入札資格・業務の実態を棚卸しする
  • 技術と発注者対応の属人性を下げる
  • 信頼できるM&Aアドバイザー、弁護士、税理士などの専門家を活用する

ここでは、測量会社の売却を検討する際に、特に重要な3つのポイントを解説します。

登録・技術者・入札資格・業務の実態を棚卸しする

測量会社の買い手候補による評価は、財務数値に加えて、登録と技術者の体制、入札参加資格、発注者基盤、仕掛業務と受注残の実態などに影響を受ける可能性があります。

買い手候補は、これらが譲渡後も維持・活用できるかを慎重に確認します。

そのため、売却前に以下の点を棚卸しし、説明できる状態にしておくことが重要です。

  • 測量業者登録の内容と有効期限、営業所ごとに置く測量士の氏名・年齢・後任候補、変更の届出の履歴
  • 測量士・測量士補の人数と年齢構成、その他の資格(建設コンサルタント関係の技術者資格など)、兼業する登録の有無
  • 国・都道府県・市町村の入札参加資格と等級、発注者別・業務種類別の売上の推移、業務成績評定の実績
  • 受注残と進行中の業務の一覧(契約金額・納期・進捗)、期末の仕掛業務の金額と評価方法、年度末に集中する売上の状況
  • 測量機器・ドローン・ソフトウェアの一覧と所有・リース・ライセンスの別、更新計画と投資見込み
  • 測量の誤りに関する損害賠償の履歴と保険の加入状況、技術者の労働時間の記録と労務管理の状況

これらの整理が不十分だと、DDを経て価格見直し、追加条件の設定、交渉停止などにつながる可能性があります。

技術と発注者対応の属人性を下げる

測量会社で買い手候補の評価に影響しやすい要因の一つが、経営者や特定の技術者への過度な依存です。

経営者本人が営業所の測量士を兼ね、発注者との調整や成果品の最終確認まで担っている場合、買い手候補から、経営者が退いた時点で登録要件も受注も維持できなくなるおそれのある事業と判断される可能性があります。

属人性による懸念を抑えるためには、以下のような取り組みが重要です。

  • 測量士の複数名体制の確保と、若手の資格取得の計画的な支援
  • 作業規程や品質管理の手順の文書化と、成果品の確認体制の複線化
  • 発注者ごとの業務履歴・協議の経緯・過去の測量成果の組織的な管理
  • 3次元計測などの新技術を扱える人材の育成と技術の共有

属人性を下げることで、経営者が交代しても登録要件と受注を維持しやすい体制として評価される可能性が高くなり、買い手候補が検討しやすくなるというプラスの効果があります。

売却前の準備全般については、下記で詳しく解説しています。

M&Aの磨き上げとは?売却価格を高める5つの領域と進め方を解説

信頼できるM&Aアドバイザー、弁護士、税理士などの専門家を活用する

測量会社のM&Aでは、測量業者登録と入札参加資格の承継、営業所ごとの測量士の確保、仕掛業務と受注残の評価、進行中の業務の契約上の地位の移転など、業種特有の論点が生じる場合があります。

準備やスキーム設計が不十分なまま進めると、譲渡条件の見直し、クロージング条件の追加、売却後の紛争などにつながる可能性があります。

そのため、以下のような専門家の支援を受けることが重要です。

  • 売り手側の立場で支援するFA・M&Aアドバイザー
  • 税務は税理士、契約・責任分担は弁護士、会計・財務DDは公認会計士、労務は社会保険労務士、登録の手続きは行政書士などの専門家

売り手側のFAを活用することで、価格交渉や条件調整において、売り手の意向を踏まえた交渉方針を整理しやすくなります。

売り手専属のFAの役割については、下記で解説しています。

M&AにおけるセルサイドFAとは?業務内容や仲介との違いも解説

感情に左右された場当たり的な判断を避けるという観点でも、第三者による専門的な視点を取り入れることが望ましいです。

測量業界での企業売却にかかる税金とは?

企業を売却する際には、売却益に対して税金が発生します。この税金の仕組みは、「個人オーナーが売却する場合」と「法人が株式を譲渡する場合」で異なるため、正しく理解しておくことが重要です。個人・法人別にわかりやすく解説します。

会社売却にかかる税金の計算や手取りを増やす対策については、下記で詳しく解説しています。

会社売却後にかかる税金は?計算方法や確定申告、税引後手取りを増やす対策を解説

個人オーナーの場合

個人が自社株などの株式を譲渡し、譲渡益(売却益)が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。

課税の仕組み

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

この譲渡所得には、以下の税が課せられます。

  • 所得税(復興特別所得税含む)
  • 住民税

給与所得などとは分離して課税されるため、所得の合算は不要ですが、確定申告が必要です。

ただし、ミニマムタックスに該当する場合は給与所得等の他の所得と合算して算出する必要があるため、適切に節税するためには、事前に税理士など専門家への相談が欠かせません。

法人の場合

法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。

法人の場合の税務処理

  • 譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
  • 譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
  • 所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能

評価差額にも注意

帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。

まとめ

測量業界は、インフラの維持管理や防災、土地の取引を支える重要な事業領域である一方で、登録業者数が22年連続で減少し、その減少のペースも速まっています。中小の測量会社は、技術者の高齢化と若手の確保、公共事業への依存、年度末に集中する受注構造、機器への投資負担、経営者の高齢化と後継者不足など、複数の経営課題を抱えています。

測量業者の登録は、営業所ごとに測量士を置くことが要件であり、公共測量に従事する技術者にも資格が求められます。技術者がそろって初めて成り立つ事業だからこそ、その技術者が残るうちに出口を設計することが重要です。そのため、中小の測量会社にとって、M&Aは事業継続や技術者・地域への影響を踏まえた選択肢の一つになり得ます。

売却を円滑に進めるためには、登録・技術者・入札資格・業務の実態の棚卸しに加えて、測量士の複数名体制の確保や仕掛業務の評価方法の整理を含めた準備を、M&Aアドバイザー、弁護士、税理士、行政書士などの専門家に確認しながら早期に進めることが望ましいです。

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測量業界のM&Aでは、買い手目線で条件調整が進みやすい仲介型の支援の場合、価格や引き継ぎ条件が売り手に不利になるケースも少なくありません。そのため、誰の利益を最優先に交渉するのかを明確にした支援体制が重要です。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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