スクイーズアウトの手続きとは?手法別の流れと3つの注意点を解説

2026.08.05

公開日:2026.08.05

2026.08.05

2026.08.05

更新日:2026.08.05

2026.08.05

スクイーズアウトの手続きとは?手法別の流れと3つの注意点を解説

相続や名義株で株式が分散し、事業承継やM&Aを前に少数株主を整理したいと考える経営者もいます。スクイーズアウトは、支配株主が少数株主の株式を、その同意を得ずに取得し、株主を集約する会社法上の手続きです

ただし、手法によって手続きの流れが異なり、少数株主とのトラブルに注意する必要があります。本記事では、スクイーズアウトの4つの手法、特別支配株主の株式等売渡請求と株式併合の手続きの流れ、少数株主の対抗手段、税金や注意点まで解説します。株式の集約を検討している経営者の方に、進め方の材料になる内容です。

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スクイーズアウトの手続きとは

スクイーズアウトの手続きとは、支配株主が少数株主の株式を、その同意を得ずに金銭等を対価に取得し、株主を集約する会社法上の手続きです。少数株主の締め出しや、キャッシュアウトとも呼ばれます

株式が相続や名義株等で分散していると、株主総会の運営や意思決定に支障が生じることがあります。スクイーズアウトは、こうした少数株主を集約するために用いられます。事業承継やM&Aの際に、株式を集約する目的で行われることもあります。

スクイーズアウトには、会社法に定められた複数の手法があり、手法によって要件や手続きが異なります。少数株主の同意を得ずに進められる一方、少数株主を保護するための手続きや、少数株主が取れる対抗手段も定められています。スクイーズアウトの概要や検討するケースについては、以下の記事でも解説しています。

スクイーズアウトとは?検討するケースや手法、注意点を解説

スクイーズアウトで使われる4つの手法

スクイーズアウトには、会社法に定められた複数の手法があります

主に次の4つを確認します。

  • 90%以上の議決権を持つ場合の特別支配株主の株式等売渡請求
  • 株主総会の特別決議で行う株式併合
  • 完全子会社化に用いる株式交換
  • 対価を柔軟に設計できる全部取得条項付種類株式

それぞれを順に解説します。

90%以上の議決権を持つ場合の特別支配株主の株式等売渡請求

特別支配株主の株式等売渡請求は、総株主の議決権の90%以上を持つ特別支配株主が使える手法です。少数株主の全員に対し、株式を売り渡すよう請求します。

株主総会の決議を経ずに、対象会社の取締役会の承認によって進められる点が特徴です。すでに議決権の大部分を保有している場合に用いられます。

※参考:e-Gov法令検索「会社法(第179条)

株主総会の特別決議で行う株式併合

株式併合は、株主総会の特別決議によって株式を併合し、少数株主を締め出す手法です。90%未満の場合でも使えます。

複数の株式を1株にまとめる併合を行い、少数株主の持株を1株未満の端数にします。端数となった株式は売却し、少数株主へ現金を交付します。

完全子会社化に用いる株式交換

株式交換は、完全子会社化に用いる手法です。対象会社の株式を、親会社となる会社の株式や金銭と交換します。

対象会社を完全子会社にする場面で用いられ、少数株主の株式を金銭を対価に取得することもできます。株式交換の仕組みについては、以下の記事でも解説しています。

株式交換とは?仕組みや株式移転との違い、メリット・デメリットも解説

対価を柔軟に設計できる全部取得条項付種類株式

全部取得条項付種類株式は、対価を柔軟に設計できる手法です。会社が発行する株式を、会社が取得できる種類株式に変更し、会社が取得します。

株主総会の特別決議によって進めます。近年は、特別支配株主の株式等売渡請求や株式併合が用いられることが多く、この手法は限られた場面で使われます。

特別支配株主の株式等売渡請求の手続き

特別支配株主の株式等売渡請求は、株主総会を経ずに進められる手法です。手続きの流れを確認します。

Step1. 売渡請求の条件を対象会社へ通知する

最初に、特別支配株主が売渡請求の条件を対象会社へ通知します。取得する株式、対価の額、取得する日などの条件を定めて通知します

対価が少数株主にとって公正な額かどうかは、後の対抗手段にも関わるため、株価の算定を踏まえて条件を定めます。

Step2. 対象会社の取締役会が承認する

次に、対象会社の取締役会が売渡請求を承認します。特別支配株主からの通知を受けて、対象会社が承認するかどうかを判断します

この手法では、株主総会の決議は必要なく、取締役会の承認によって進められます。承認した場合、対象会社は特別支配株主へその旨を通知します。

Step3. 少数株主へ通知または公告する

承認の後、対象会社が少数株主へ通知または公告します。取得の条件や取得日などを、売渡株主となる少数株主へ知らせます

あわせて、所定の事項を記載または記録した事前開示書面を、本店などに備え置きます。少数株主が内容を確認できるようにするためです。

Step4. 取得日に株式を取得し対価を支払う

最後に、取得日に株式を取得し、対価を支払います。定めた取得日に、特別支配株主が少数株主の株式を取得します

取得後は、事後開示書面を備え置きます。株式の取得によって、少数株主は株主でなくなり、対価を受け取ります。

株式併合によるスクイーズアウトの手続き

株式併合は、株主総会の特別決議を経て進める手法です。手続きの流れを確認します。

Step1. 株主総会で株式併合を決議する

最初に、株主総会で株式併合を決議します。原則として株主総会の特別決議による承認が必要になり、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が求められます

少数株主の持株が1株未満の端数になるよう、併合の比率を設定します。併合の比率や、端数の処理の方針を決議します。

Step2. 事前開示書類を備え置く

次に、事前開示書類を備え置きます。株式併合に関する所定の事項を記載または記録した書面を、本店などに備え置きます

株主が、株式併合の内容や、端数の処理の方法を確認できるようにするためです。備え置く期間は会社法に定められています。

Step3. 株主へ通知または公告する

株主へ通知または公告します。株式併合の内容や効力が生じる日を、株主へ知らせます

株式併合に反対する株主は、株式買取請求を行える場合があります。会社側は、反対する株主からの買取請求に対応します。

Step4. 端数を売却し少数株主へ現金を交付する

最後に、端数を売却し、少数株主へ現金を交付します。株式併合によって生じた1株未満の端数を、まとめて売却します

売却して得た代金を、端数に応じて少数株主へ交付します。これにより、少数株主は株主でなくなり、現金を受け取ります。事後開示書類もあわせて備え置きます。

スクイーズアウトに対する少数株主の対抗手段

スクイーズアウトには、少数株主が取れる対抗手段があります。会社側が備えるうえで、次の3つを確認します。

  • 買取価格に不服がある場合の価格決定の申立て
  • 手続きの差止請求
  • 株主総会決議の取消しを求める訴訟

それぞれを順に解説します。

買取価格に不服がある場合の価格決定の申立て

少数株主は、買取価格に不服がある場合、価格決定の申立てを行えます。取得の対価が公正でないと考える少数株主が、裁判所へ価格の決定を求める制度です。

裁判所が公正な価格を判断するため、会社側は、公正な価格を算定して準備しておく必要があります。価格をめぐって、少数株主と対立が生じることがあります。

手続きの差止請求

少数株主は、手続きの差止請求を行える場合があります。法令や定款に違反する場合などに、少数株主がスクイーズアウトの差止めを求める手段です。

差止請求を受けると、手続きが止まることがあります。会社側は、法令に沿って手続きを進め、差止めの理由が生じないようにする必要があります。

株主総会決議の取消しを求める訴訟

株主総会決議の取消しを求める訴訟も、少数株主が取れる対抗手段です。株式併合など株主総会の決議を要する手法で、決議の手続きに瑕疵がある場合に、決議の取消しを求めるものです。

決議が取り消されると、手続きの効力に影響することがあります。会社側は、株主総会の招集や決議の手続きを、適正に進める必要があります。

スクイーズアウトにかかる税金

スクイーズアウトでは、少数株主と会社側の双方に税金が関わります。次の2つを確認します。

  • 少数株主が対価を受け取る際の課税
  • 会社側の組織再編税制上の取り扱い

それぞれを順に解説します。

少数株主が対価を受け取る際の課税

少数株主が対価を受け取る際には、課税が生じます。株式を手放して対価を受け取るため、株式の譲渡による所得として課税される場合があります

手法や対価の内容によっては、みなし配当として課税される部分が生じることもあります。課税の扱いは手法によって異なるため、専門家や国税庁の情報で確認します。

※参考:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)

※参考:国税庁「No.1536 株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる場合-法人の合併等、自己株式の取得等の場合-

会社側の組織再編税制上の取り扱い

会社側には、組織再編税制上の取り扱いが関わります。完全子会社化に伴う組織再編では、適格か非適格かによって、課税の扱いが変わります

適格に該当するかどうかは、支配関係の継続などの要件によって決まります。要件は細かく定められているため、国税庁の情報や専門家とともに確認する必要があります。

※参考:国税庁「C6 企業組織再編関係

スクイーズアウトの手続きで注意したいこと

スクイーズアウトの手続きでは、少数株主とのトラブルを避けるために注意したい点があります

主に次の3つを確認します。

  • 公正な株価を算定する
  • 第三者を関与させて中立性を担保する
  • スケジュールに余裕をもって進める

それぞれを順に解説します。

公正な株価を算定する

スクイーズアウトの手続きでは、公正な株価を算定することが重要です。対価が公正でないと、少数株主から価格決定の申立てを受けることがあるためです。

非上場株式の評価には複数の方法があり、事業の状況や資産の内容を踏まえて算定します。株価の算定の方法や根拠を、確認できるようにしておきます。

第三者を関与させて中立性を担保する

第三者を関与させて、中立性を担保することも大切です。株価の算定を支配株主だけで行うと、対価の公正さに疑問が生じることがあるためです。

株価の算定に、外部の専門家など第三者を関与させることで、価格の中立性を担保しやすくなります。少数株主との対立を抑えることにもつながります。

スケジュールに余裕をもって進める

スケジュールに余裕をもって進めることも重要です。スクイーズアウトは、通知や公告、開示書類の備え置き、登記など、進める手続きが多いためです

手続きには、会社法に定められた期間もあります。手続きの遅れが生じないよう、余裕をもったスケジュールで進めます。

事業承継やM&Aに向けて株式を集約するなら専門家に相談する

スクイーズアウトは、事業承継やM&Aに向けた株式の集約にも用いられます。相談の進め方を確認します。

  • 分散した株式を整理して承継や売却を進めやすくする
  • 売り手の立場で進めるならFAに相談する

それぞれを順に解説します。

分散した株式を整理して承継や売却を進めやすくする

分散した株式を集約することで、承継や売却を進めやすくなります。株式が分散していると、承継やM&Aの際に、少数株主の同意や対応が必要になることがあるためです

相続で分散した株式や、名義株を集約することで、承継や売却の手続きを進めやすくなります。株式の集約の方法については、以下の記事でも解説しています。

M&Aにおける株式集約とは?分散リスクや主な集約方法も解説

売り手の立場で進めるならFAに相談する

M&Aで会社を売却する前に株式を集約する場合、売り手の立場で支援するFAに相談する方法があります。M&Aの支援には、売り手と買い手の双方から手数料を受け取る仲介と、依頼者側のみを支援するFAがあり、立場が異なります

株式の集約から売却までを見据えて、売り手として、自身の意向を踏まえた進め方を整理しやすくなります。FAサービスの内容については、以下の記事でも解説しています。

「FAサービス」の売却アプローチとは?事業承継M&Aを有利に進めるための知識

スクイーズアウトの手続きに関するよくある質問

スクイーズアウトの手続きについて、よく寄せられる質問を確認します。

スクイーズアウトの手続きにかかる日数はどのくらいですか?

スクイーズアウトの手続きにかかる日数は、手法や会社の状況によって異なります。通知や公告の期間、開示書類の備え置きの期間、登記などに一定の期間がかかり、数週間から数か月に及ぶことがあります。株主総会の決議を要する手法では、招集の手続きにも時間がかかります。具体的な期間は案件によって異なるため、専門家に確認することが望ましいです。

スクイーズアウトされた少数株主はどうなりますか?

スクイーズアウトされた少数株主は、株式を手放し、金銭等の対価を受け取ります。株式を失うことで、少数株主は株主でなくなります。対価の額に不服がある場合は、裁判所へ価格決定の申立てを行える場合があります。対価を受け取る際には、課税が生じることがあります。

TOBの後にスクイーズアウトを行う手続きはどう違いますか?

上場企業では、TOBの後にスクイーズアウトを行うことがあります。TOBは株式の公開買付けで、市場の株主から株式を買い集める手続きです。TOBで議決権の大部分を取得した後に、残った少数株主の株式をスクイーズアウトで取得し、完全子会社化します。TOB自体はスクイーズアウトの手法ではなく、株式を集める段階の手続きです。

スクイーズアウトを少数株主が拒否することはできますか?

スクイーズアウトは、要件を満たせば少数株主の同意を得ずに進められるため、少数株主が取得そのものを拒否することは難しくなります。ただし、少数株主は、買取価格に不服がある場合の価格決定の申立てや、法令違反がある場合の差止請求などの対抗手段を取れる場合があります。手続きが適正に行われているかが、対抗手段の判断に関わります。

まとめ

スクイーズアウトの手続きは、支配株主が少数株主の株式を、その同意を得ずに取得し、株主を集約する会社法上の手続きです。手法には、議決権の90%以上を持つ場合の特別支配株主の株式等売渡請求、株主総会の特別決議で行う株式併合、株式交換、全部取得条項付種類株式があります

特別支配株主の株式等売渡請求は、株主総会を経ずに取締役会の承認で進められます。株式併合は、株主総会の特別決議を経て、少数株主の持株を端数にして現金を交付します。いずれの手法でも、少数株主には価格決定の申立てや差止請求などの対抗手段があり、公正な株価の算定や、手続きの適正さが重要になります。

株式の集約は、事業承継やM&Aを進めやすくすることにもつながります。手続きが多く、税務や法務の検討が必要なため、専門家に相談しながら進めることが、円滑な集約につながりやすくなります。

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。

また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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