事業承継マッチングとは?3種類の仕組みと売り手が使う流れを解説
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- M&Aの進め方
公開日:2026.07.31
2026.07.31
更新日:2026.07.31
2026.07.31
後継者がいない会社を譲りたいと考え、マッチングサービスで買い手候補を探せると聞いた売り手もいます。事業承継マッチングは、事業を譲りたい側と譲り受けたい側をつなぐ仕組みです。インターネットのサービスを使えば、売り手が自ら買い手候補を探すこともできます。
ただし、掲載する情報から自社が特定される場合や、交渉を自分で進める負担など、確認すべき点もあります。本記事では、事業承継マッチングの種類と利用の流れ、メリットとデメリット、掲載前に確認したいポイントに加え、FA・仲介との違いまで解説します。マッチングの利用を検討している売り手経営者の方にとって、判断の材料になる内容です。
オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFA(ファイナンシャル・アドバイザー)サービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。
また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。
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事業承継マッチングとは
事業承継マッチングとは、事業を譲りたい側と譲り受けたい側を、プラットフォームや支援機関がつなぐ仕組みです。
後継者がいない会社が、社外の第三者へ事業を承継する相手を探す手段の一つです。中小企業庁の中小M&Aガイドラインでも、後継者不在の企業が第三者へ承継する方法として、こうしたマッチングの活用が挙げられています。
事業承継マッチングでは、売り手が自社の情報を掲載し、関心を持った買い手候補から打診を受けます。インターネットのサービスを使えば、これまで接点のなかった相手にも情報を届けられます。ただし、マッチングは相手探しの場を提供する仕組みで、その後の交渉や契約を支援するかどうかはサービスによって異なります。
※参考:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」
事業承継マッチングの種類
事業承継マッチングには、運営する主体によっていくつかの種類があります。
- 国や自治体が運営する公的なマッチング支援
- 民間企業が運営するマッチングプラットフォーム
- 金融機関や支援機関によるマッチング支援
それぞれを順に解説します。
国や自治体が運営する公的なマッチング支援
国や自治体が運営する公的なマッチング支援があります。事業を譲りたい側と譲り受けたい側を、公的な立場でつなぐ仕組みです。
たとえば、日本政策金融公庫は、事業を譲り渡したい方と譲り受けたい方をつなぐ、無料の登録制のマッチング支援サービスを提供しています。各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターも、承継の相談とあわせて相手探しを支援します。
公的なマッチング支援は、無料で利用できる場合が多く、まず相談したい売り手が使いやすい仕組みです。
※参考:日本政策金融公庫「事業承継マッチング支援」
民間企業が運営するマッチングプラットフォーム
民間企業が運営するマッチングプラットフォームもあります。インターネット上で、売り手が案件を掲載し、買い手候補が検索して打診する仕組みです。
掲載できる案件の規模や業種、登録している買い手候補の数はサービスによって異なります。売り手は無料で利用でき、成約時に買い手側が手数料を支払う仕組みのサービスもあります。掲載から打診、交渉までをオンラインで進めやすい点が特徴です。
民間のプラットフォームは、幅広い買い手候補に情報を届けたい売り手が検討しやすい仕組みです。
金融機関や支援機関によるマッチング支援
金融機関や支援機関によるマッチング支援もあります。取引のある金融機関や、商工会議所などの支援機関が、承継の相手を紹介する仕組みです。
金融機関は、取引を通じて地域の企業の情報を持っているため、地域内での相手探しにつながる場合があります。商工会議所や事業承継・引継ぎ支援センターも、相談を受けながら相手を紹介します。
事業承継マッチングを利用する流れ
事業承継マッチングは、いくつかの段階を経て進めます。登録から引き継ぎまでの流れを確認します。
- Step1. サービスを選んで登録する
- Step2. 匿名の情報で案件を掲載する
- Step3. 買い手候補からの打診に対応する
- Step4. 面談と条件交渉を進める
- Step5. 契約を結び事業を引き継ぐ
それぞれを順に解説します。
Step1. サービスを選んで登録する
最初に、利用するマッチングサービスを選んで登録します。公的な支援、民間のプラットフォーム、金融機関の紹介など、自社に合うサービスを選びます。
登録の際は、手数料の有無や、掲載できる案件の規模、登録している買い手候補の傾向を確認しておきます。複数のサービスを比べて選ぶ方法もあります。
Step2. 匿名の情報で案件を掲載する
次に、匿名の情報で案件を掲載します。社名を伏せたノンネームと呼ばれる形で、事業の概要や地域、譲渡を希望する条件などを掲載します。
社名を伏せることで、承継を検討している事実が広く知られることを抑えられます。社名を伏せても、事業の概要や地域などの情報から自社が推測される場合があるため、掲載する内容は慎重に選びます。
売り手は、掲載する情報から自社が特定されないよう、範囲を確認しておくことが望ましいです。
Step3. 買い手候補からの打診に対応する
掲載した案件に関心を持った買い手候補から、打診が届きます。打診の内容を確認し、話を進めたい相手には、秘密保持契約を結んだうえで詳しい情報を開示します。
買い手候補が複数いる場合は、事業の方針や資金の状況、承継後の運営の考え方などを踏まえて、話を進める相手を選びます。適切な範囲とタイミングで情報を開示することが重要です。
Step4. 面談と条件交渉を進める
話を進める相手が決まったら、面談と条件交渉を進めます。面談で相手の考え方を確認し、譲渡価格、支払方法、従業員の処遇、引き継ぎの時期などの条件を交渉します。
マッチングでは、この交渉を売り手自身が進める場合があります。条件の論点が多いため、必要に応じて専門家の助言を受けながら進める方法もあります。
Step5. 契約を結び事業を引き継ぐ
条件がまとまったら、契約を結び事業を引き継ぎます。最終契約を締結し、株式や事業用の資産を買い手へ移します。
契約の前には、買い手候補による財務・法務・労務・税務のデューデリジェンスが行われることがあります。契約後は、従業員や取引先への説明、引き継ぎの作業を進めます。
事業承継マッチングを利用するメリット
事業承継マッチングには、相手探しの手段としてメリットがあります。主なメリットを確認します。
- 仲介より費用を抑えやすい
- 幅広い買い手候補に情報を届けられる
- 自分のペースで相手を探せる
それぞれを順に解説します。
仲介より費用を抑えやすい
事業承継マッチングのメリットは、仲介を利用する場合より費用を抑えやすいことです。
公的なマッチング支援は無料で利用でき、民間のプラットフォームでも売り手は無料で使える場合があります。仲介では、成約時に手数料がかかることが多いのに対し、マッチングでは費用を抑えやすくなります。ただし、交渉や契約を自分で進める分の負担はかかります。
幅広い買い手候補に情報を届けられる
幅広い買い手候補に情報を届けられることもメリットです。インターネットのプラットフォームには、多くの買い手候補が登録しています。
これまで接点のなかった地域や業種の相手にも、案件の情報を届けられます。相手の候補が広がることで、条件の合う相手に出会える可能性が高まります。
自分のペースで相手を探せる
自分のペースで相手を探せることもメリットの一つです。掲載した案件への打診を見ながら、話を進める相手を自分で選べます。
急いで決める必要がなく、条件の合う相手が現れるまで検討を続けられます。承継の時期に余裕がある場合に、じっくり相手を探せます。
事業承継マッチングのデメリット
事業承継マッチングには、確認しておきたいデメリットもあります。主なデメリットを確認します。
- 交渉や契約を自分で進める負担が大きい
- 掲載した情報から自社が特定される場合がある
- 買い手候補の見極めが難しい
それぞれを順に解説します。
交渉や契約を自分で進める負担が大きい
事業承継マッチングのデメリットは、交渉や契約を自分で進める負担が大きいことです。
マッチングは相手探しの場を提供する仕組みで、その後の交渉や契約の支援がない場合があります。譲渡価格の交渉、契約書の確認、デューデリジェンスへの対応などを、売り手自身が進めることになります。M&Aの経験がないと、負担や判断の難しさを感じることがあります。
売り手は、自分で進める範囲を把握し、必要に応じて専門家の助言を受けることが望ましいです。
掲載した情報から自社が特定される場合がある
掲載した情報から、自社が特定される場合があることもデメリットです。社名を伏せて掲載しても、事業の内容や地域、規模などの情報から、自社が推測されることがあります。
承継を検討している事実が従業員や取引先に伝わると、不安につながる場合があります。掲載する情報の範囲は、特定されにくいよう確認しておく必要があります。
買い手候補の見極めが難しい
買い手候補の見極めが難しいこともデメリットの一つです。多くの買い手候補から打診が届く一方で、相手の資金力や経営の経験、承継後の運営の考え方を、売り手自身で見極める必要があります。
相手の情報が限られるなかで判断すると、承継後に認識のずれが生じることがあります。
売り手が掲載する前に確認したいポイント
事業承継マッチングに案件を掲載する前に、確認しておきたいポイントがあります。
- ノンネームとオープンネームの違いを理解する
- 手数料と利用規約の条件を確認する
- 情報を開示する範囲とタイミングを決めておく
それぞれを順に解説します。
ノンネームとオープンネームの違いを理解する
掲載の前に、ノンネームとオープンネームの違いを理解しておきます。ノンネームは社名を伏せて掲載する方法、オープンネームは社名を公開して掲載する方法です。
ノンネームは、承継を検討している事実が広く知られることを抑えやすい一方、伝わる情報が限られます。オープンネームは、関心を持つ相手に情報が伝わりやすい一方、自社が特定されます。どちらで掲載するかは、情報管理の観点から選びます。
手数料と利用規約の条件を確認する
手数料と利用規約の条件を確認しておくことも重要です。サービスによって、売り手の手数料の有無、成約時の費用の負担、途中で利用をやめる場合の取り扱いなどが異なります。
利用規約では、掲載した情報の取り扱いや、退会の方法もあわせて確認します。条件を確認しないまま登録すると、想定と異なる費用が生じることがあります。
情報を開示する範囲とタイミングを決めておく
情報を開示する範囲とタイミングを、あらかじめ決めておくことも大切です。どの段階で、どこまでの情報を開示するかを決めておくことで、自社が特定されるリスクを抑えられます。
掲載時のノンネーム情報、秘密保持契約を結んだ後の詳細情報、面談で伝える情報など、段階に応じて開示の範囲を分けます。
売り手は、開示する情報を段階ごとに分け、適切な範囲とタイミングで進めることが望ましいです。
事業承継マッチングとFA・仲介の違い
事業承継マッチングは、FAや仲介とは役割が異なります。3つの違いを確認します。
- マッチングは相手探しの場を提供する
- 仲介は売り手と買い手候補の間に立って成約を支援する
- FAは売り手側に立って交渉を支援する
それぞれを順に解説します。
マッチングは相手探しの場を提供する
マッチングは、相手探しの場を提供する仕組みです。売り手が案件を掲載し、買い手候補が検索して打診する場をつくります。
マッチングの役割は、売り手と買い手候補が出会う場を提供することにあります。その後の交渉や契約の支援は、サービスによって範囲が異なり、支援がない場合もあります。相手探しから交渉までを自分で進めたい売り手に合う仕組みです。
仲介は売り手と買い手候補の間に立って成約を支援する
仲介は、売り手と買い手候補の間に立って成約を支援するサービスです。両者の間に立ち、交渉の調整や手続きの進行を支援します。
仲介は、売り手と買い手候補の双方から手数料を受け取り、双方の間に立ちます。両者の合意を目指すため、売り手だけの立場に立つわけではありません。売り手として、仲介がどのような立場で動くのかを理解しておくことが重要です。
仲介とFAの違いについては、以下の記事でも解説しています。
【保存版】M&A売却で失敗しない!FAと仲介を徹底比較検証!
FAは売り手側に立って交渉を支援する
FAは、売り手側に立って交渉を支援するサービスです。依頼者である売り手のみを支援する立場で、交渉の方針づくりや条件の交渉を支援します。
売り手として、売却対価や従業員の処遇などについて、自身の意向を踏まえた交渉方針を整理しやすくなります。
FAサービスの内容については、以下の記事でも解説しています。
「FAサービス」の売却アプローチとは?事業承継M&Aを有利に進めるための知識
事業承継マッチングに関するよくある質問
事業承継マッチングについて、よく寄せられる質問を確認します。
事業承継マッチングは無料で利用できますか?
事業承継マッチングは、サービスによって費用が異なります。日本政策金融公庫などの公的な支援は無料で利用でき、民間のプラットフォームでも売り手は無料で使える場合があります。ただし、成約時に費用がかかるサービスや、交渉を専門家に依頼する場合の費用もあるため、登録の前に手数料の条件を確認しておくことが望ましいです。
個人の買い手候補から打診が来たらどうすればよいですか?
個人の買い手候補から打診が来た場合は、相手の資金力や資金調達の裏付け、経営の経験を確認することが重要です。個人が買い手候補になるケースも見られ、副業や独立を目的に事業を買う個人もいます。秘密保持契約を結んだうえで、相手の情報を確認し、承継後の運営を任せられるかを見極めます。
地方の会社や農業でも買い手候補は見つかりますか?
地方の会社や農業でも、買い手候補が見つかる場合があります。地域に特化したマッチングサービスや、農業の承継を扱うサービスもあり、地方の事業や一次産業の案件も掲載されています。地域や業種によって登録している買い手候補は異なるため、自社の地域や業種に合うサービスを選ぶことが望ましいです。
マッチングで相手が見つからない場合はどうすればよいですか?
マッチングで相手が見つからない場合は、掲載する情報の見直しや、別のサービスの併用を検討します。掲載内容が相手に伝わりにくいと、打診が集まりにくいことがあります。複数のサービスを併用したり、FAや仲介などの支援を受けて相手を探したりする方法もあります。
相手が見つからない状態が続く場合は、承継の方法そのものを専門家と見直すことも考えられます。
まとめ
事業承継マッチングは、事業を譲りたい売り手と譲り受けたい買い手候補を、プラットフォームや支援機関がつなぐ仕組みです。国や自治体の公的な支援、民間のプラットフォーム、金融機関や支援機関による支援があり、費用や登録している買い手候補の傾向が異なります。
仲介より費用を抑えやすく、幅広い買い手候補に情報を届けられる一方で、交渉や契約を自分で進める負担や、掲載した情報から自社が特定されるリスクもあります。掲載の前に、ノンネームとオープンネームの違い、手数料や利用規約、情報を開示する範囲を確認しておくことが望ましいです。
マッチングは相手探しの場を提供する仕組みで、交渉の支援まで求める場合は、売り手側に立つFAへの相談も選択肢になります。自社の状況に合う進め方を検討することが、納得度の高い承継につながりやすくなります。
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