整骨院のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

2026.02.24

公開日:2026.02.24

2026.02.24

2026.02.24

更新日:2026.02.24

2026.02.24

整骨院のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

整骨院は、地域需要が見込める一方で、競争の激化や制度対応の複雑化により、収益を安定させる難易度が高まっています。特に、保険を取り扱うビジネス構造である以上、運営面ではコンプライアンス対応や事務負担を避けることができません。

また、厚生労働省によると、就業している柔道整復師は増加傾向(※)にあり、施術者数の増加が競争を一層強める要因となっています。

こうした状況を背景に、後継者問題の解消や経営基盤の強化を目的として、M&A(企業・事業の譲渡)を選択肢とするケースが増えています

本記事では、整骨院をM&Aする際の相場をはじめ、整骨院業界の現状や代表的な売却手法について紹介します。

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※参考:厚生労働省「就業あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所

整骨院の現状

整骨院は、自費施術だけでなく、療養費(健康保険等の適用対象となる範囲)を取り扱うケースが多い点が、他業態と異なる特徴です。療養費は本来「償還払い」が原則である一方、柔道整復等では例外的に「受領委任」による請求が広く用いられています。患者側の利便性は高いものの、申請書の管理や算定ルールの遵守など、事務・運用面の負担が大きくなりがちです。

また、療養費請求をめぐっては、指導から監査への移行や、不正または著しい不当が認められた場合における受領委任の取扱い中止など、行政側の厳格な対応が明示されています。制度対応の適切さは、日常の経営安定性だけでなく、M&A時のデューデリジェンス(DD)においても重要な確認ポイントとなります。

柔道整復師数は統計上、増加傾向にあり、人的供給の増加が競争環境を一段と厳しくしています。その結果、明確な差別化や、複数院展開・グループ化による効率化が経営上のテーマになりやすい業界といえるでしょう。

整骨院でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

整骨院でM&Aが選ばれる理由は、大きく「事業承継」と「経営の安定化」に集約されます。

整骨院は、院長個人の技術や現場オペレーションへの依存度が高く、親族や従業員への承継が進まない場合、廃業が現実的な選択肢になりがちです。しかし、廃業を選択すると、患者基盤や地域で築いてきた信用、スタッフの雇用を同時に失う可能性があります。

一方で、M&Aが可能であれば、運営体制ごと承継することが可能となり、事業の継続と雇用維持を両立しやすくなります。

また、制度運用やコンプライアンス対応を含む運営の複雑化も、M&Aが増えている要因の一つです。療養費は受領委任の仕組みを採用するケースが多く、請求の適正性が強く求められます。資本力や管理体制を備えたグループの傘下に入ることで、事務・教育・内部統制を標準化し、経営のブレを抑える狙いがあるといえるでしょう。

整骨院での企業売却方法は?3種類を紹介

整骨院のM&Aでは、売却対象(法人全体なのか、院・事業単位なのか)や、許認可・契約・雇用の引継ぎ方針により、選ぶべき方法が変わります。代表的な手法は以下の3つです。

・株式譲渡
・会社分割
・事業譲渡

それぞれメリット・注意点が異なるため、売却目的と、現状の運営体制を踏まえて選択することが重要です。

ここでは、3種類の方法について詳しく解説します。

株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴

株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては最も多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。

株式譲渡のメリット

株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、整骨院そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。

そのため、以下のようなメリットがあります。

・従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
・許認可や契約の再取得が原則不要で、実務上の負担が少ない
・法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる

とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。ただし、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。

株式譲渡の注意点・デメリット

一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。

そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するDDを丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。

会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点

会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。

会社分割の主な種類

会社分割には、以下のような分類があります。

・新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
・吸収分割:既存の他社に事業を承継させる

さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。

・分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
・分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る

会社分割のメリットと特徴

会社分割の最大の特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。

また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。

税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い

会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。

「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、採用するスキームによっては「非適格分割」に該当します。

非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。

また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点

事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。

譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。

事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい

事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。

特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。

売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税

事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。

また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。

課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとの課税・非課税を区分し課税対象資産部分の消費税を計算する必要があり、それぞれの対価を合理的に区分し、課税・非課税の計算を行う必要があります。

事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑

個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットといえます。

すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
・許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある

整骨院の売却の流れは?3つのステップを紹介

整骨院の売却の流れは?3つのステップを紹介

整骨院でM&Aを進める場合は、大きく3つのステップに分けて進められます。

1.M&Aの準備と助言会社の選定
2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領
3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておきましょう

Step1.M&Aの準備と助言会社の選定

はじめに、売却に向けた事前準備とM&A助言会社の選定を行います。秘密保持契約を締結し、財務資料や運営状況、契約関係などの基本情報を整理します。

この段階では、売却目的を明確にし、どのような買い手が望ましいかを整理することが重要です。あわせて、株式譲渡・事業譲渡などの売却方法や、想定スケジュールについても検討します。

M&A仲介とFA(フィナンシャル・アドバイザー)の違いを理解することも欠かせません。M&A仲介は売り手・買い手双方の調整役であるのに対し、FAは一方の立場に立ち、依頼者の利益最大化を目的として支援します。

特に売却条件を重視する場合は、売り手専用のFAを活用するのがおすすめです。

Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領

次に、助言会社を通じて買い手候補先への打診を行います。最初はティーザー(※)を提示し、関心を示した企業と秘密保持契約を締結したうえで、詳細資料を開示します。

買い手候補は、譲渡価格の水準や取引条件、売却後の運営方針などをまとめた意向表明書を提出します。一方で、売り手は複数の意向表明を比較し、条件面や相手方の方針を踏まえて、基本合意に進むかを判断するのが主な流れです。

この段階からは機密性の高い情報が開示されるため、条件面だけでなく信頼性や中長期的な運営方針も慎重に見極める必要があります。

※ティーザー:匿名の企業概要書で、通常1枚から2枚で構成される資料。

Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

基本合意後は、デューデリジェンス(DD)と呼ばれる詳細調査が行われます。整骨院では、財務内容に加えて療養費請求の運用状況や契約関係、スタッフ体制などが重要な確認ポイントです。

調査結果を踏まえて最終的な譲渡価格や契約条件が調整され、最終契約を締結します。その後、株式や事業の引き渡し、代金決済を行うクロージングをもって、M&A取引が完了します。

M&Aの流れについてより詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

[M&Aのプロセス]

整骨院の売却の相場は?価値算定方法を解説

整骨院のM&Aにおける売却価格は、「〇〇円が相場」といった形で一律に決まるものではありません。実務では、主に以下の2つの要素を軸に価格が形成されます。

事業が現在どれだけの収益力を持っているか
・その収益が将来も再現できるか

実務上、整骨院のM&Aでは「正常営業利益の1倍〜3倍程度」をのれん代の目安とするケースが見られます。

ただし、この倍率は固定ではなく、整骨院の経営状況によって大きく上下します。

整骨院で企業を売却する3つのメリット

整骨院でM&Aを活用するメリットは、経営者個人の利益にとどまりません。適切な売却は、従業員・患者・地域社会といった関係者全体の利益を守る手段にもなります。

従業員と施術体制を守れる
・経営者は売却益を得られる
・患者の継続的な治療環境を守れる

ここでは、売り手にとって特に重要な3つのメリットを解説します。

従業員と施術体制を守れる

整骨院は、設備と同様に、人材や施術体制そのものに事業価値があります。施術スタッフや受付人員が安定して機能してこそ、患者に対するサービス品質が維持されるためです。

M&Aでは、買い手企業が既存スタッフを引き継ぐケースが一般的であり、雇用の維持と施術オペレーションの継続が図られます。

設備管理や専門的な施術知識など、高い専門性を要する業務を担える人材は希少であり、買い手からの評価ポイントになりやすい領域です。その結果、経営者は従業員の生活基盤を守りながら、円滑に事業から退くことが可能になります。

経営者は売却益を得られる

M&Aによる企業売却は、経営者が長年にわたり築いてきた整骨院の価値を、適切に資金化する手段です。得られた売却益は、引退後の生活資金や資産承継、次の事業への投資など、将来設計に活用できます。

後継者不在のまま廃業した場合、清算コストが先行し、事業価値を十分に回収できないケースも少なくありません。M&Aであれば、事業の継続性を確保しつつ、経営者自身の資産形成も同時に実現できます。

患者の継続的な治療環境を守れる

整骨院は、地域住民の日常的な身体ケアや回復を支える、生活インフラに近い役割を担っています。突然の廃業は、通院している患者にとって、治療の中断や通院先の再選定といった負担を生じさせます。

M&Aを通じて事業が承継されれば、院名・スタッフ・施術方針を維持したまま運営が続くケースも多く、患者はこれまでと同じ環境で治療を受け続けることが可能です。

さらに、買い手企業の資本力や管理体制が加わることで、設備更新や衛生管理、スタッフ教育が進み、治療環境の質が向上する可能性もあります。

このように、整骨院のM&Aは単なる出口戦略ではなく、「患者利益」や「地域における医療機能」を守るための、現実的な選択肢といえるでしょう。

整骨院で企業を売却する際の3つのポイント

整骨院でM&Aを成功させるためには、単に「売上がある」だけでは不十分です。

買い手は、施術の再現性や運営の安定性、法令リスクの有無を厳しく確認します。

早期から準備を進める
・事業の属人性を下げる
・信頼できる専門家を活用する

ここでは、整骨院の売却を検討する際に、特に重要となる3つのポイントを解説します。

早期から準備を進める

整骨院の企業売却は、短期間で判断・実行できるものではありません。財務内容の整理、保険請求の適正性確認、契約関係や人員体制の見直しなど、多くの準備が必要となるため、1〜2年前から準備を始めるのが理想的です。

特に整骨院では、以下の点がデューデリジェンス(DD)で必ず確認されます。

保険診療と自費診療の売上構成
・レセプト請求の運用体制と過去の指摘履歴
・スタッフの雇用契約および勤務実態
・院長退任後の運営可否

これらを事前に整理しておくことで、売却プロセス中の条件修正や、価格引き下げのリスクを抑えることができます。

事業の属人性を下げる

整骨院の評価を下げやすい最大の要因が、院長個人への過度な依存です。院長が施術・集客・スタッフ管理のすべてを担っている場合、買い手からは「引き継ぎにくい事業」と判断されやすくなります。属人性の観点で買い手からの評価を高めるためには、以下のような取り組みが重要です。

施術や治療方針の標準化
・スタッフへの施術・運営ノウハウの分散
・院長不在でも運営できるシフト・体制の構築
・患者対応や再診導線の仕組み化

属人性を下げることで、「人が変わっても売上が維持できる整骨院」として評価されやすくなり、買い手の選択肢も広がります。

信頼できる専門家を活用する

整骨院のM&Aは、一般的な事業売却に比べて、法務・税務・医療制度に関する論点が複雑です。医療制度への理解が不十分なまま進めると、売却後にトラブルが生じるリスクもあります。

そのため、以下のような専門家の支援を受けることが重要です。

売り手側に立つM&A助言会社(FA)
・医療・準医療分野に理解のある税理士・弁護士
・契約条件や引き継ぎスキームを設計できる専門家

売り手専用のFAを活用すれば、価格交渉や条件調整においても、売り手の利益最大化を前提に交渉を進めることが可能です。

感情に左右される場当たり的な判断を避けるという観点でも、第三者による専門的な視点は不可欠といえるでしょう。

整骨院での企業売却にかかる税金とは?

法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。

法人の場合の税務処理は以下の通りです。

譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
・譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
・所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能

なお、帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。

まとめ

整骨院は、慢性的な身体不調の改善や怪我の回復を支える存在として、地域に根差した生活インフラ・準医療サービスの役割を担っています。一方で、競争の激化に加え、保険制度への対応、人材確保、院長への属人化といった要因により、経営の難易度は年々高まっています

また、整骨院は医療分野に位置づけられる業態であるため、単なる店舗ビジネスとは異なり、施術の再現性や患者の継続性、法令・制度への適合性が特に強く求められます。

このような背景から、M&Aは単なる資産形成の手段ではなく、事業・雇用・患者利益を同時に守りながら、次世代へ承継するための現実的な選択肢といえるでしょう。

RISONALでは、売り手に特化したFAサービスを提供しています。専属のエージェントがお客様の希望に沿った取引を実現するため、最適なサポートを行います。より高い評価での売却を目指したアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を抑えた成約も可能です。

整骨院のM&Aでは、買い手目線で条件調整が進みやすい仲介型の支援の場合、価格や引き継ぎ条件が売り手に不利になるケースも少なくありません。そのため、誰の利益を最優先に交渉するのかを明確にした支援体制が重要です。

無料相談が可能なので、実際にどれくらいで売れるのか、どうすればもっと高く売れるのかをぜひご確認ください。

この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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