60代で会社売却を進めるべき理由は?メリットや事前にできる準備も解説

2026.06.02

公開日:2026.06.02

2026.06.02

2026.06.02

更新日:2026.06.02

2026.06.02

60代で会社売却を進めるべき理由は?メリットや事前にできる準備も解説

60代を迎えた経営者にとって、会社売却は事業承継の現実的な選択肢の一つです。後継者問題や老後の生活設計を考えるなかで、廃業ではなく外部の買い手に事業を引き継ぐ判断を検討する経営者も少なくありません。

特に売り手にとっては、60代という年齢は、売却条件や交渉の進めやすさに影響しやすいタイミングです。体力や気力に余裕があるうちに動き出せるかどうかで、交渉条件や準備の幅が変わる可能性があります。

本記事では、60代で会社売却を検討する意義と、事前に進めておきたい準備のポイントを解説します。

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60代で会社売却を考えるべき理由

60代を迎えた経営者にとって、会社売却を検討する理由は複数あります。年齢的なライフステージ、後継者問題、経済面、老後設計など、さまざまな要因が判断のきっかけになります。主な理由は以下の通りです。

  • 体力や気力に余裕があるうちに準備を進めやすいから
  • 後継者不在を解決する選択肢として有効だから
  • 個人保証を解除しやすく老後の負担軽減につながるから
  • 引退後の生活設計に時間をかけられるから

それぞれの理由が、売却タイミングや交渉の進め方にどのように影響するかを見ていきます。

体力や気力に余裕があるうちに準備を進めやすいから

M&Aは準備からクロージングまで、半年から1年程度を要する長期の取引です。契約交渉、デューデリジェンス対応、買い手候補との面談など、エネルギーを要する場面が連続します。また、M&A自体が完了しても買い手から一定期間の経営の継続を求められることも多く、M&Aの準備を始めてから実際に退任するまでには数年かかることもあります。

体力と気力に余裕があるうちに動き出すことで、希望条件を維持しやすく、買い手側の条件に押し切られにくくなります。年齢を重ねれば重ねるほど、選択肢が狭まりやすくなる傾向があります。

後継者不在を解決する選択肢として有効だから

親族や社内に後継者が見つからない場合、廃業を選ぶのか、外部の買い手への承継を検討するのかという判断が必要になります。帝国データバンクの調査によれば、国内企業の後継者不在率は依然として5割を超える水準にあり、多くの経営者が同様の局面に直面しています。

廃業を選んだ場合、設備処分や原状回復の費用が発生し、長年築いてきた取引先や従業員との関係も失われやすくなります。M&Aによる承継であれば、事業を残しながら対価を受け取れる可能性があるため、後継者不在の経営者にとって現実的な選択肢の一つになります。

※参考:帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2025年)

個人保証を解除しやすく老後の負担軽減につながるから

中小企業のM&Aでは、売り手経営者が金融機関に個人保証を入れているケースが少なくありません。経営者保証に関するガイドラインを踏まえて、契約段階で保証解除の条件を明確にしておくことで、経営権の移転にあわせて個人保証の整理を進めやすくなります。

個人保証が残ったまま経営から退くと、退任後も金融機関からの返済を求められるリスクを抱え続けることになります。60代のうちに保証解除を含めて整理しておくことで、老後の不安を軽減しやすくなります。

退任後の生活設計に時間をかけられるから

退任後の生活設計は、60代のうちから具体的に考えておくほど納得感を持ちやすくなります。次の事業を始めるのか、リタイア後の資産運用に軸足を移すのか、社会的な活動を続けるのかなど、選択肢を整理する時間が必要です。

70代以降に売却を進めた場合、売却後の活動範囲が狭くなったり、健康面で制約が生じたりすることがあります。60代のうちに動き出すことができれば、売却後の活動についても、比較的余裕を持って計画を立てやすくなります。

60代経営者を取り巻く事業承継の現状

国内の中小企業では、経営者の高齢化と後継者不足が同時に進んでいます。後継者不在率は依然として5割を超える水準にあり、60代以上の経営者の多くが事業承継の選択肢を検討せざるを得ない状況にあります。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」も改訂が重ねられており、第三者承継としてのM&Aを後押しする制度整備も進められています。

一方で、後継者不在のまま廃業を選ぶ経営者も少なくなく、長年築いてきた事業や雇用、取引先との関係が失われるケースもあります。60代を迎えた経営者にとっては、廃業を決める前に、M&Aによる承継を含めて選択肢を整理し、時間的な余裕があるうちに動き出す姿勢が重要です。

※参考:帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査
※参考:中小企業庁「中小M&Aガイドライン

60代の会社売却で得られる主なメリット

60代で会社売却に踏み切ることには、経済面、経営面、心理面で複数のメリットがあります。長年経営してきた会社を手放す決断には心理的な抵抗が伴いますが、廃業と比較したとき、売却の方が得られるものが大きい場面もあります。主なメリットは以下の通りです。

  • 売却対価を老後資金に充てやすい
  • 従業員の雇用や取引先との関係を維持できる
  • 経営者保証を整理できる可能性がある
  • 経営者としての精神的負担を軽減しやすい

それぞれの内容を見ていきます。

売却対価を老後資金に充てやすい

売却によって対価を得ることで、リタイア後の生活資金や次の挑戦に向けた原資を確保しやすくなります。退職金制度がない場合や、年金だけでは老後の生活設計に不安がある場合、売却対価を老後の経済的な基盤として活用しやすくなります。

廃業を選んだ場合は、設備処分や清算に伴う費用がかかり、手元に残る金額が限られることもあります。事業価値に応じた対価を受け取れる売却の方が、廃業よりも経済面で有利になりやすい場面があります。

従業員の雇用や取引先との関係を維持できる

廃業を選べば、従業員は職を失い、取引先との関係も途絶えます。長年支えてくれた従業員や取引先に対する責任を考えると、廃業を簡単には選べない経営者も少なくありません。M&Aによる承継であれば、買い手のもとで事業継続が図られるため、雇用や取引関係を維持しやすくなります。

特に60代で売却を進めると、後継者が育っていない段階でも、買い手の経営資源を活用して事業の継続性を確保しやすくなります。従業員や取引先への配慮を重視する経営者にとっては、売却が現実的な選択肢の一つです。

経営者保証を整理できる可能性がある

中小企業の経営者は、会社の借入に対して個人保証を負っているケースが少なくありません。M&Aで経営権が移転する際、買い手や金融機関との協議が整えば、経営者保証を解除できる場合があります。経営者保証に関するガイドラインを踏まえて、契約段階で保証の取扱いを整理しておくことが重要です。

経営者保証が解除されることで、退任後の経済的なリスクが軽減され、老後の生活設計を立てやすくなります。60代のうちに保証問題まで含めて整理しておくことが、安心感の確保にもつながります。

経営者としての精神的負担を軽減しやすい

経営者として日々抱えていた資金繰り、人材、取引先対応、競争環境へのプレッシャーは、退任によって軽減されやすくなります。経営責任から離れることで、これまで取り組めなかった活動や、家族と過ごす時間を確保しやすくなります。

特に60代の経営者は、経営負担を抱えながら老後に入ることに不安を感じることもあります。早めに事業承継の道筋をつけられれば、心理面の余裕を持って次のライフステージを迎えやすくなります。

60代の会社売却で押さえておきたい注意点

60代で会社売却を進める際は、年齢やライフステージに応じた論点を踏まえた準備が必要です。税務、株主構成、生活設計など、60代の経営者だからこそ重視すべき論点があるため、事前に整理しておくことで想定外のトラブルを避けやすくなります。主な注意点は以下の通りです。

  • 売却まで時間がかかることを想定しておく
  • 相続税や贈与税の論点を整理しておく
  • 売却後の生活設計を売却前から考えておく
  • 株主構成や定款の状態を確認しておく

それぞれの注意点を見ていきます。

売却まで時間がかかることを想定しておく

M&Aは、買い手探しから契約交渉、デューデリジェンス、最終契約、クロージングまでで、半年から1年以上かかることが一般的です。60代後半に入ってから動き出すと、想定以上に長期化した場合に、70代を迎えてから契約交渉を進めることになりかねません。

体力や判断力に余裕があるうちに、ゆとりのあるスケジュールで動き出すことが重要です。60代前半のうちに準備を始めれば、買い手選びや条件交渉でも余裕を持って進められます。

相続税や贈与税の論点を整理しておく

売却対価を受け取ったあと、その資金や残された資産が将来的に相続税や贈与税の論点になる場合があります。売却対価に関する課税関係、配偶者や子への資産移転のタイミング、生前贈与の活用など、税務上の論点は複数あります。

60代のうちに専門家と連携して全体像を整理しておくことで、売却後の資産設計を税負担も踏まえて組み立てやすくなります。税務対策を後回しにすると、想定外の納税で手取りが減るリスクがあります。

売却後の生活設計を売却前から考えておく

売却後の生活設計を考えないまま成約に進むと、対価を得たあとの方向性に迷いが生じやすくなります。次の事業を始めるのか、リタイア後の資産運用に切り替えるのか、社会的な活動を続けるのかを、売却前から具体的に考えておくことが重要です。

特に60代の経営者は、退任後の活動期間がまだ長く残る可能性が高いため、目的のない退任は心理面の負担にもつながりやすくなります。資産運用や趣味、地域活動などの選択肢を、売却前に検討しておくことが重要です。

株主構成や定款の状態を確認しておく

中小企業のなかには、経営者本人だけでなく、配偶者や親族、過去の役員などが株式を分散して保有しているケースがあります。売却を進めるにあたっては、株式の集約が必要になることがあり、相続を経て株主が分散している場合は手続きが複雑になりやすくなります。

定款の譲渡制限や、株式の取扱いに関する定めも、売却前に確認しておくべき論点です。株主構成や定款の整備を売却前から進めておくことで、契約段階での手戻りを避けやすくなります。

60代から会社売却を成功させるための準備

60代で会社売却を進めるなら、準備の質が結果を大きく左右します。タイミング、企業価値、専門家との連携、支援者の選び方など、それぞれの準備を並行で進めていく姿勢が重要です。具体的に取り組みたい準備は以下の通りです。

  • 売却計画を早めに立てる
  • 企業価値を高める取り組みを進める
  • 相続や税務に詳しい専門家と連携する
  • 売り手の立場に立てる支援者を選ぶ

それぞれを順に整えていきます。

売却計画を早めに立てる

60代になった段階で、売却の方向性や希望条件、想定スケジュールを具体的に整理しておく姿勢が重要です。検討の初期から計画を立てておくことで、業績の改善、買い手探し、契約交渉のいずれもじっくり進められます。

短期間で進めようとすると、提示された条件をそのまま受け入れる場面が増え、後悔につながりやすくなります。検討を始めた段階で、専門家とともにスケジュールを設計しておくことが重要です。

企業価値を高める取り組みを進める

売却を決めたあとでも、半年から1年程度の期間があれば、企業価値を高めるための取り組みが進められます。不採算事業の整理、収益力の改善、強みや無形資産の明確化、経営の属人性を下げる準備などにより、買い手からの評価が上がりやすくなります。

数値で示せる業績改善だけでなく、技術や顧客基盤、ブランドといった定性的な価値を整理しておくことで、買い手に正しく伝わりやすくなります。こうした価値向上の準備が、納得度の高い売却条件につながります。

相続や税務に詳しい専門家と連携する

60代の会社売却には、売却スキームや資産移転の方法によって、複数の税務論点が関わることも少なくありません。スキームの選び方によっても税負担が大きく変わるため、専門家と早めに連携し、自社に合った設計を進めていくことが重要です。

特に資産規模が大きい場合は、売却前の準備として持株会社の活用や生前贈与のタイミングなど、複合的な検討が必要になることがあります。専門家との連携は、売却後の手取りや次世代への資産移転にも直結します。

売り手の立場に立てる支援者を選ぶ

M&Aの依頼先には、仲介とFA(ファイナンシャル・アドバイザー)という2つの形態があります。仲介は売り手と買い手の双方と契約して間に立つ立場であり、FAは売り手または買い手のどちらか一方と契約して依頼者の利益を優先する立場です。FAは依頼者側からのみ報酬を受け取るため、仲介に比べて利益相反が構造的に生じにくい形態です。

60代の売り手にとっては、自社の状況や希望に応じて、売り手側の立場で助言できる支援体制を検討することが、納得度の高い売却につながります。仲介とFAの違いや選び方は、以下の記事もご覧ください。

M&A仲介とFAの違いとは?向いているケースや役割、失敗しない選び方も解説

まとめ

60代で会社売却を進めることは、経済面、経営面、心理面の複数の論点を整理するうえで有力な選択肢の一つです。年齢的なライフステージと事業承継のタイミングが重なるからこそ、早めの判断と準備が結果を大きく左右します。

特に売り手にとっては、以下のような論点を踏まえたうえで進めることが重要です。

  • 体力や気力に余裕があるうちに準備を始めること
  • 税務・株主構成・生活設計を売却前から整理しておくこと
  • 企業価値を高める取り組みを並行で進めること
  • 売り手側の立場で助言できる支援者と連携すること

60代の会社売却は、依頼先の選び方と準備のタイミングによって、結果が大きく変わる取引です。早い段階から売り手側の立場で助言できる専門家とともに動き出すことで、老後の生活設計を見据えた売却と、納得感のある事業承継を実現しやすくなります。

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また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

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