顧客からの期待に応えるための3度目の正直――不安に先回りし、ときに代弁しながら好条件で事業承継へ

2024.07.01

公開日:2024.07.01

2024.07.01

2024.07.01

更新日:2024.07.01

2024.07.01

顧客からの期待に応えるための3度目の正直――不安に先回りし、ときに代弁しながら好条件で事業承継へ

ここむ株式会社は、「すべての人がイキイキと働くことができる社会づくりへの貢献」を企業理念に、企業向けのストレスチェックサービスを展開しています。元代表取締役の西様ご自身の経験をもとに創業され、8年にわたって事業を展開してこられました。

働く人びとのメンタルヘルスケアへの意識の高まりや、健康経営やウェルビーイングといった人的資本経営の考えが広がるにつれて、お客様からはストレスチェック以外にもさまざまなご要望をいただくようになりました。こうした状況のなか、お客様からの期待に最大限応えつつ、自社の従業員も安心して働くことのできる環境を提供したいという二つの大きなテーマに対し、事業承継という手段でそれらに道筋をつける決意をされます。

今回は、ここむの創業者で代表取締役を務められてきた西様に、事業承継への経緯やRISONAL M&Aの専属エージェントサービスご利用の背景について伺います。

ここむ株式会社
企業名ここむ株式会社
事業内容メンタルヘルスチェック提供
売上高7,500万円(23年1月期)
オーナー様のご年齢43才(1980年9月8日生)

企業に義務化されたストレスチェックを起点に職場改善をサポート

企業に義務化されたストレスチェックを起点に職場改善をサポート

―まずは創業から現在に至るまでの事業概要を教えていただけますか。

西:弊社は2016年2月に創業し、企業や団体といった法人のお客様に対し、ストレスチェックの設計や運用の支援を行ってきました。世の中に数多ある同様のサービスに対して、当社のサービスの特長は、ストレスチェックで得られた従業員様の個人データを匿名化し、集団的に分析することで課題を見える化することで、打ち手をもって職場環境の改善につなげていただけるという点です。

ストレスチェックは50名以上の従業員を雇用する事業所を有する法人では年1回実施する必要がありますが、ただチェックを実施するだけに留まるのではなく、従業員様や組織の改善、向上に向けて活用できるようサポートしています。

企業といっても千差万別なので、お客様の業種規模、特性に合わせたストレスチェック実施方法の提案を行うことを強みとしてきました。

―ストレスチェックはどのように実施されるのでしょうか。

西:ストレスチェックの設問は、厚生労働省が主導して研究開発、公開されているものに則って行っています。

ストレスチェックの実施方法については、例えばIT系の企業様であればインターネットを使って実施し、日頃パソコンを使わないようなお仕事に従事する従業員様が多く所属する企業様にはマークシートに記入いただくなど、同じ業種でも会社様ごとに働き方や就労環境が異なりますので、その会社様の特性に合わせたストレスチェックを提供できるところは当社の強みであり、こだわりです。

また、企業様の集団分析を用いた職場環境改善への取り組みの実施も視野に入れたストレスチェック制度全体の設計を行うなど、チェック&ソリューションに注力してきました。

―メンタルヘルスの事業を始められたきっかけは何だったのでしょうか。

西:実は私自身も過去、会社員時代に心の調子を崩した経験がありますし、メンタルヘルス不調によって体調を崩してしまう仲間も見てきました。そのような状況に対して、自分が何もできないことにもどかしさを感じていました。

ちょうどその頃、働く人のストレスチェックの重要性が国主導で議論され始めていたこともあり、自分の経験を活かせる取り組みだと感じ、事業をおこすことに決めました。私自身は専門家ではありませんが、実体験から強い思いを持って取り組んできましたね。

競争が激化するなか、顧客の期待に応え、従業員を守るべく3度目の挑戦へ

競争が激化するなか、顧客の期待に応え、従業員を守るべく3度目の挑戦へ

―その後、事業は順調に成長を続けられたそうですが、どの段階でM&Aを検討し始めたのでしょうか。

西:実は過去にもM&Aにチャレンジしたことがあります。1回目は創業から2年ほど経ったタイミングです。当時は一般社団法人として経営していました。労働安全衛生法の改正により、ストレスチェックが義務化された当初はよかったものの、競合との競争や、労務やより踏み込んだメンタルヘルス対策のご要望も増えるなかで、ストレスチェック単体の経営では成長は難しいと考え、仲介業者にM&Aを依頼したもののうまくいかなかったんです。

その後、株式会社を設立し、一般社団法人から事業移管を行いました。そのタイミングでVCからの支援をいただき、資本を確保して再スタートしたのですが、当社単体で、お客様からの幅広いご要望にお応えし続ける難しさは引き続き課題として残りました。そこで2回目のチャレンジとして、ある会社さんへの事業譲渡の協議を進めましたが、パンデミックの影響もあり、クロージングには至りませんでした。

その後コロナ禍という非常事態を経て改めて会社の将来を考えました。どのようにしてお客様のニーズの拡大や変化にスピード感を持って対応していくか、また、社員が地に足をつけて希望を持ち、安心して働ける会社にしたいという思いも以前と変わることなく、加えてVCさんにもきっちりと恩返しがしたい。こうした点を総合し、今回3度目のM&Aにチャレンジしたという流れです。

―その際、FAも視野に入れて検討されていたのでしょうか。

西:当初は「M&Aは仲介会社」というイメージが強く、FAの存在は知りませんでした。以前依頼した仲介業者は、費用に関する説明がないまま高額な着手金を要求されたり、事業への理解が深まらないまま不適切な譲渡先を紹介されたりと、納得のいく支援は得られませんでした。

売りたい側としてはもちろん焦りもあり、すがるようなといっても過言ではない思いで依頼しているにもかかわらず、こうした対応をされることには非常に不信感を抱きました。このような過去の経験もあって、よい方法がないかと探したところ、仲介ではなくアドバイザーであるオーナーズのサイトを拝見し、依頼に至りました。

不安に先回りし、ときに代弁し、代替案を示しつつ納得いく契約へ

不安に先回りし、ときに代弁し、代替案を示しつつ納得いく契約へ

―オーナーズに依頼した決め手はどんなところにありましたか。

西:RISONALを運営するオーナーズさんと初めて面談をした際、当社の事業内容や規模感を踏まえたうえで、プロセス全体の流れを端的にご説明いただけたことが大きかったです。加えてM&Aを進めていくフェーズごとに起こりうる不安や疑問点になるであろうことをオーナーの目線で先回りしながら、丁寧にリードしてくださる姿勢に安心感を持てました。

さらに担当者の吉田さんの人柄かもしれませんが、日頃のコミュニケーションにおいても言葉や判断によどみがなく、全ての事柄をスムーズに進めていただいたことが印象的でした。自分が立ち上げた会社をM&Aするのは複雑な気持ちですが、そうしたこちらの気持ちを汲み取っていただきつつ、ハード面やソフト面を問わずお任せできる関係性を築けそうだと感じられました。

―実際に成約に至り、事業面や社員の処遇などの課題は解消されましたか。

西:おかげさまで、まさに第一歩を踏み出せたという手応えを感じています。今回、売却先となったアドバンテッジリスクマネジメントの子会社化という形で成約しましたが、成約後も親会社の当社に対するスタンスは交渉前と変わりません。これまで弊社や私が培ってきたことを、グループ全体に活かしていこうと思えるような双方の信頼関係が築けていますし、親会社も真剣に向き合ってくれているのは大きいですね。

成約前後でギャップを感じないのは、クロージングに向けた一連のプロセスにおいて、要所をしっかりとオーナーズさんが握っておいてくれたからだと思います。

実は2回目のM&Aの時には、自分で飛び込みで会社にM&Aを持ちかけるということもしました。そこで感じたのは、いくらM&Aとはいえ、伝えにくいことがたくさんあるということでした。

言わないと双方のリスクになりかねないと感じる事柄であっても、ブレイクしないかという不安が常々付きまといます。オーナーズさんはこちらが希望する諸条件をしっかりキープしつつ、ときに私の思いや会社の状況を代弁し、ときには代替案も出しながら、しっかりとまとめられた点にはとても感心しました。

また、担当者の吉田さん、辻さんには専門的なところまでしっかりサポートをいただいたので、安心して任せられました。価格や条件、承継先や従業員の処遇、事業の将来性、どれをとっても納得のいく契約になったと思っています。

新たな体制でもこれまでの知見やベンチャースピリッツを発揮したい

―ご成約が終わって、今後はどのようなことに取り組まれる予定でしょうか。

西:私自身は3月で代表取締役を退任し、4月からは取締役として事業に携わっています。グループ入りして約1年、親会社とPMIや一緒に仕事を進めるなかで、しっかりと素地ができた上で、新しい経営体制に移行できたことは良かったと思います。

今後はここむ社に加えて親会社の事業にも携わりつつ、個人としても新規事業の立ち上げに取り組む予定です。親会社からも評価いただいている当社のベンチャースピリッツを存分に発揮し、グループへの貢献を可能な限り考えていきたいと思います。

この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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