M&Aでフランチャイズ契約はどこを確認する?本部承認の進め方と見落としやすい8つの条項

2026.09.29

公開日:2026.09.29

2026.09.29

2026.09.29

更新日:2026.09.29

2026.09.29

M&Aでフランチャイズ契約はどこを確認する?本部承認の進め方と見落としやすい8つの条項

フランチャイズ加盟店のM&Aは、本部の承認と契約条項で進め方が決まります。承継に関わる4つの条項と手取りに関わる4つの条項、手法による扱いの違い、本部承認までのステップ、承認が得られない場合の選択肢を解説します。

店舗を売却したいが、本部が認めてくれるのか。加盟店のM&Aでは、買い手候補が見つかっても本部の承認がなければ進みません。さらに、中途解約の違約金や契約終了後の競業避止義務が、売却後の手取りと身動きを左右します。

本記事では、承継に関わる4つの条項と手取りに関わる4つの条項を示したうえで、手法による扱いの違いと本部承認までのステップを解説します。あわせて、承認が得られない場合の選択肢と価格への影響を示します。

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フランチャイズ加盟店のM&Aは本部の承認と契約の条項しだいで進め方が決まる

加盟店のM&Aでは、売り手と買い手候補の合意だけでは完結しません。本部との契約関係が前提にあるためです。

中小企業庁は、中小小売商業振興法第11条の対象となる特定連鎖化事業について、本部事業者の事業概要や契約の主な内容等に関する情報を、加盟しようとする者に対して契約締結前に書面で交付し説明することを義務付けていると説明しています。

中小小売商業振興法(e-Gov法令検索)

加盟時に受け取った書面と契約書が、売却の検討でも起点になります。譲渡が認められるか、株主が替わるだけでも承諾が要るかは、契約の条項で決まります。

本部の承認が下りなければ、買い手候補が見つかっても成立しません。まずは契約書と法定開示書面を手元に用意し、譲渡に関する条項を探します。

M&Aの前に確認する承継に関わる4つの条項

売却が可能かどうかは、条項で決まります。確認する条項は以下の4つです。

  • 契約上の地位の譲渡や事業譲渡を制限する条項
  • 株主や代表者の変更を本部に届け出る支配権変更の条項
  • 本部や本部の指定先が優先して買い取れる条項
  • 契約の残存期間と更新の条件

それぞれを順に解説します。

契約上の地位の譲渡や事業譲渡を制限する条項

最初に探すのが、譲渡の可否に関する定めです。 加盟店の地位を第三者へ移せるかどうかが、スキームの選択を左右します。

確認する内容は次のとおりです。

  • 譲渡に本部の事前承諾が必要か
  • 承諾の判断基準が示されているか
  • 無断譲渡の場合の効果(解除など)

契約書の譲渡に関する条項を読み、承諾の要否を確認します。

株主や代表者の変更を本部に届け出る支配権変更の条項

株式譲渡でも、届出や承諾が要る場合があります。 契約当事者は変わらなくても、実質的な支配者が替わるためです。

条項に定められやすい内容は次のとおりです。

  • 株主構成の変更時の届出義務
  • 一定割合以上の異動に対する事前承諾
  • 代表者の交代の通知期限

届出を怠れば、契約違反として扱われるおそれがあります。支配権変更に関する条項の有無と、通知の期限を確認します。

本部や本部の指定先が優先して買い取れる条項

先買権が定められている場合もあります。 加盟店が第三者へ売却しようとするとき、本部または本部が指定する者が優先して買い取れる権利を指します。

該当すれば、買い手候補を自由に選べません。確認する項目は次のとおりです。

  • 権利を行使できる期間
  • 買取価格の決め方
  • 行使しなかった場合の扱い

条項の文言を弁護士などの専門家と確認します。

契約の残存期間と更新の条件

残された期間も、評価に響きます。 買い手候補は契約が続く前提で価格を検討するためです。

確認する項目は次のとおりです。

  • 契約期間の満了日
  • 更新の可否と更新料の額
  • 更新を拒絶できる場合の要件

残存期間が短ければ、買い手候補は更新のリスクを価格に織り込みます。満了日と更新の条件を確認し、交渉の前に把握します。

チェンジオブコントロール条項を含む契約の棚卸しについては、下記もあわせてご覧ください。

会社売却と廃業の取引先への影響とは?関係を守る3つの配慮と伝え方を解説

契約条項を含め、最終契約で確認したい項目は、弁護士監修のチェックリストにまとめています。無料でダウンロードできます。

【無料資料】最終契約前に弁護士と共に確認するべき契約書の項目

売却後の手取りと身動きに関わる4つの条項

契約は、売却後にも影響を及ぼします。確認する条項は以下の4つです。

  • 中途解約時の違約金と解約予告の期間
  • 保証金・加盟金・ロイヤリティ・広告分担金の精算方法
  • 契約終了後の競業避止義務の範囲と期間
  • 秘密保持の義務と買い手候補への開示の可否

それぞれを順に解説します。

中途解約時の違約金と解約予告の期間

解約する場合の負担を、先に把握します。 違約金の定めがあれば、手取りが目減りします。

公正取引委員会は、中途解約の条件が不明確だと、加盟者がどの程度違約金を負担すれば解約できるか不明なため解約が事実上困難になるとしています。

フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方|公正取引委員会

条件が読み取れなければ、本部へ確認します。違約金の算定方法と予告期間を書面で確かめます。

保証金・加盟金・ロイヤリティ・広告分担金の精算方法

預けた金銭の扱いも確認します。 保証金が返ってくるかどうかで、手取りが変わります。

確認する項目は次のとおりです。

  • 保証金の預託額と返還の条件
  • 加盟金の返還の有無
  • ロイヤリティと広告分担金の精算の締め日
  • 未払いがある場合の相殺

公正取引委員会のガイドラインも、加盟に際して徴収する金銭の性質や金額、返還の有無を、開示が望ましい事項として挙げています。

契約終了後の競業避止義務の範囲と期間

売却後の自分の行動にも制約がかかります。 契約終了後、一定期間は同種の事業を行えない定めが置かれる例があります。

確認する項目は次のとおりです。

  • 制限される事業の範囲
  • 対象となる地域
  • 制限の期間

同業で再出発する予定があれば、重大な制約になります。条項の範囲を確認し、交渉の余地があるかを弁護士などの専門家と検討します。

M&Aにおける競業避止義務の考え方は、下記で詳しく解説しています。

M&Aにおける競業避止義務とは?定める際の注意点も解説

秘密保持の義務と買い手候補への開示の可否

交渉の段階でも、契約が効力を持ちます。 本部のノウハウやマニュアルには、秘密保持の義務が課されているためです。

買い手候補へ渡せる情報の範囲を確認します。売上や利益の数値が開示できなければ、交渉自体が進みません。

開示の可否を本部へ確認するか、開示できる範囲で資料を組み立てます。判断に迷う情報は、弁護士などの専門家へ確認します。

買い手候補との秘密保持契約については、下記で解説しています。

秘密保持契約(NDA)とは?重要性や締結メリットを解説

M&Aの手法で変わるフランチャイズ契約の扱い

スキームによって、手続きが変わります。押さえる点は以下の3つです。

  • 株式譲渡では契約が会社に残るが支配権変更の条項で本部の承認が要る
  • 事業譲渡では本部の承認を得て買い手候補が新たに加盟契約を結ぶ
  • 複数ブランドや複数店舗を持つ会社は本部ごとに条件をそろえて進める

それぞれを順に解説します。

株式譲渡では契約が会社に残るが支配権変更の条項で本部の承認が要る

株式譲渡では、契約当事者は変わりません。 会社が加盟店のまま存続するため、契約の移転という問題は生じません。

ただし支配権変更の条項があれば、本部への届出や承諾が必要になります。条項を見落とせば、契約違反として解除を主張される可能性もあります。

契約書に支配権変更の定めがあるかを確認し、承諾が要るなら時期を設計します。

事業譲渡では本部の承認を得て買い手候補が新たに加盟契約を結ぶ

事業譲渡では、契約の移転が論点になります。 実務では、既存契約を解約し、買い手候補が本部と新規に加盟契約を締結する形が取られます。

必要になる手続きは次のとおりです。

  • 売り手の契約解約と精算
  • 買い手候補の加盟審査
  • 買い手候補による加盟金の支払と研修

再契約の費用を誰が負担するかは、交渉事項です。手続きの流れと費用の見込みを、本部へ確認します。

株式譲渡と事業譲渡の違いについては、下記で詳しく解説しています。

M&Aにおける株式譲渡とは?メリットや注意点、手続きの流れを解説

事業譲渡とは何か?オーナー経営者が知っておくべき基本と実務ポイント

複数ブランドや複数店舗を持つ会社は本部ごとに条件をそろえて進める

複数の本部と契約していれば、調整項目が増えます。 本部ごとに承認の基準も手続きも異なるためです。

確認する項目は次のとおりです。

  • 本部ごとの譲渡に関する条項の違い
  • 承認に要する期間の差
  • 一部の本部が承認しない場合の扱い

すべての承認がそろわなければ、クロージングできません。本部ごとに条項と手続きを一覧化し、工程表を作ります。

本部の承認を得るまでのステップ

承認は、段取りを踏んで進めます。ステップは以下の4つです。

  • 契約書と法定開示書面を読み返して承認の条件を確認する
  • 本部に売却の意向を伝える時期を決める
  • 買い手候補が本部の加盟基準を満たすかを確認する
  • 再契約の費用と引き継ぎの期間を買い手候補と本部の三者で決める

それぞれを順に解説します。

契約書と法定開示書面を読み返して承認の条件を確認する

出発点は、手元の書面です。 加盟時に受け取った法定開示書面には、契約の主な内容が記載されています。

中小企業庁は、フランチャイズ契約を締結する前にチェックすべきポイントとして、法定開示書面と公正取引委員会のガイドラインに基づく開示事項をまとめています。

フランチャイズ契約を締結する前にチェックすべきポイント|中小企業庁

加盟時の書面を探し出し、契約書と併せて読み返します。

本部に売却の意向を伝える時期を決める

伝える時期は、慎重に設計します。 早すぎれば本部の対応が読めず、遅すぎれば承認が間に合いません。

考慮する点は次のとおりです。

  • 承諾が契約上の要件になっているか
  • 先買権の定めがあるか
  • 本部との関係性

先買権があれば、早い段階で伝える必要が生じます。伝達の時期と方法を、FAと相談して決めます。

買い手候補が本部の加盟基準を満たすかを確認する

買い手候補が加盟できなければ、成立しません。 本部には、加盟者に求める要件があります。

確認される項目は次のとおりです。

  • 財務状況と資金力
  • 同業他社との関係の有無
  • 店舗運営の経験
  • 経営者の経歴

基準を満たさない候補先に打診しても、時間を失います。本部が求める要件を事前に把握し、候補先の選定に反映させます。

買い手候補の探し方と打診の進め方は、下記で解説しています。

M&Aの買い手の探し方とは?5つのルートと打診の進め方を売り手目線で解説

買い手候補を見極める際の注意点は、資料でも確認できます。

【無料資料】超大手企業も頼るM&Aのプロが厳選した注意点

再契約の費用と引き継ぎの期間を買い手候補と本部の三者で決める

三者での合意が必要になります。 売り手と買い手候補の二者で決められない事項があるためです。

決める内容は次のとおりです。

  • 加盟金や研修費の負担者
  • 店舗の改装や看板の変更の要否と費用
  • 引き継ぎ期間中の運営責任

費用が想定を超えれば、価格交渉に跳ね返ります。本部を交えた協議の場を、早い段階で設定します。

本部の承認が得られない場合の選択肢

承認が下りない事態も想定します。フランチャイズを前提としない形で、事業や資産を譲る道も残されています。取りうる選択肢は以下の3つです。

  • 本部や本部が紹介する他の加盟店に売却する
  • 契約を解約して店舗を居抜きで売却する
  • フランチャイズ以外の事業や資産を切り分けて売却する

それぞれを順に解説します。

本部や本部が紹介する他の加盟店に売却する

本部が買い手候補を紹介する場合があります。 チェーン内で店舗を引き継げば、本部にとっても店舗網を維持できます。

同一チェーンの加盟店であれば、加盟審査も通りやすくなります。一方で候補が限られるため、価格交渉の余地は狭まります。

本部へ売却の意向を伝える際、チェーン内での引き継ぎが可能かを確認します。

契約を解約して店舗を居抜きで売却する

フランチャイズを外す方法もあります。 契約を解約したうえで、店舗設備と賃借権を別の事業者へ譲る形です。

検討する項目は次のとおりです。

  • 中途解約の違約金の額
  • 看板や内装の原状回復の要否
  • 契約終了後の競業避止義務の範囲

ブランドを失うため、評価額は下がりやすくなります。違約金と原状回復の費用を試算し、売却見込額と比べます。

フランチャイズ以外の事業や資産を切り分けて売却する

一部だけを切り出す選択もあります。 自社ブランドの店舗や不動産を保有していれば、分けて譲渡できます。

切り分けの単位は次のとおりです。

  • 自社ブランドで運営する店舗
  • 保有する不動産や車両
  • フランチャイズと関係のない事業部門

フランチャイズ部分は残して継続する形になります。譲渡できる単位を決め、FAへ打診範囲を相談します。

事業の一部を切り出して売却する方法については、下記で解説しています。

ノンコア事業の売却とは?中小企業での見極め基準3つと進め方を解説

カーブアウトM&Aとは?事業の一部を売却する3つのスキームと注意点を解説

フランチャイズ契約がM&Aの価格に与える影響

契約の内容は、価格にも表れます。買い手候補が引き継ぐ条件が、評価の前提になるためです。押さえる点は以下の3つです。

  • 契約の残存期間が短いとのれんが低く評価される
  • ロイヤリティを差し引いた後の利益で収益力が見られる
  • 違約金や再契約の費用が価格交渉に持ち込まれる

それぞれを順に解説します。

契約の残存期間が短いとのれんが低く評価される

残存期間は、将来の収益の見通しに影響します。 更新が確約されていなければ、買い手候補は期間内の収益だけを前提に検討します。

更新の可否が本部の判断に委ねられていれば、不確実性はさらに高まります。残存期間が1年を切っていれば、更新の見込みを本部へ確認します。

満了日と更新の条件を示す資料を、買い手候補へ早い段階で開示します。

ロイヤリティを差し引いた後の利益で収益力が見られる

評価の対象は、本部への支払を除いた後の利益です。 ロイヤリティと広告分担金は、事業を続ける限り発生します。

確認する項目は次のとおりです。

  • ロイヤリティの算定基準(売上比例か定額か)
  • 広告分担金の負担割合
  • 改定の可能性と過去の改定履歴

売上が伸びても、手元に残る利益は比例しません。直近3期の損益から、本部への支払額を抜き出して示します。

正常収益力の考え方と、飲食店のM&A相場については、下記で解説しています。

修正EBITDAとは?調整項目の考え方と売り手ができる3つの事前準備を解説

飲食店業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

違約金や再契約の費用が価格交渉に持ち込まれる

買い手候補が負担する費用は、価格に反映されます。 再契約の加盟金や研修費が高額であれば、同額の減額を求められる可能性があります。

交渉の材料になりやすい費用は次のとおりです。

  • 買い手候補が支払う加盟金と保証金
  • 店舗の改装や看板変更の費用
  • 売り手に生じる中途解約の違約金

情報を出し渋れば、買い手候補は保守的に見積もります。想定される費用を先に一覧にし、交渉の前提として共有します。

M&Aとフランチャイズ契約に関するよくある質問

M&Aとフランチャイズ契約について、相談の現場で多く寄せられる質問を3つ取り上げます。本部に知らせずに探せるか、検討自体が解除事由になるか、自社ブランド店舗とあわせて売れるかの3点です。

本部に知らせずに買い手候補を探してもよいですか?

契約の定めによります。譲渡に事前承諾を求める条項や先買権の定めがあれば、独断で進めると契約違反になりえます。一方、探索の段階では本部への通知を求めていない契約もあります。契約書の条項を確認し、判断に迷う場合は弁護士などの専門家へ相談します。

売却を検討していることを理由に契約を解除されることはありますか?

契約の解除事由によります。譲渡の禁止に違反した場合を解除事由と定める契約は多く見られます。検討していること自体を解除事由とする定めは一般的ではありませんが、解除事由の一覧を読み、該当しうる行為を把握します。

フランチャイズの店舗と自社ブランドの店舗はあわせて売却できますか?

可能です。ただしフランチャイズ部分については本部の承認が必要です。承認が得られない場合に備え、自社ブランド部分だけを譲渡する案も並行して検討します。店舗ごとに損益を切り出した資料を用意すると、交渉が進めやすくなります。

まとめ

フランチャイズ加盟店のM&Aは、本部の承認と契約条項で進め方が決まります。売り手と買い手候補の合意だけでは完結しません。

要点は以下のとおりです。

  • 承継に関わるのは、譲渡制限・支配権変更・先買権・残存期間の4条項
  • 手取りに関わるのは、違約金・預託金の精算・競業避止義務・秘密保持の4条項
  • 株式譲渡でも、支配権変更の条項があれば本部の承認が要る
  • 承認が得られない場合は、チェーン内での売却や居抜き、部分譲渡が選択肢になる
  • 残存期間とロイヤリティの水準が、評価額を左右する

出発点は、手元の契約書と法定開示書面です。まずは譲渡に関する条項を探し、承認の要否を確かめてください。

契約の確認から売却までの進め方は、こちらの資料でも確認できます。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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