オーナー経営者は必ず知っておくべき有事の備え。 ”事業承継信託”
公開日:2022.07.07
2022.07.07
更新日:2024.05.31
2024.05.31
事故や病気であなたが倒れ、存命でありながら判断能力を失ってしまう事態を想定したことはありますか?
多くの方は、最悪の事態として死亡を想定するかもしれません。
しかし実は、いわゆる寝たきり状態のように、オーナー経営者が存命でありながら判断能力を失ってしまう状況が最も恐ろしく、避けるべき事態なのです。
そして、こうした状況は医療の発展に伴って増加の一途を辿っており、
決して対岸の火事ではありません。
このようなケースにおいて、オーナー経営者は存命ですから、遺言があっても効力は発生しません。
成年後見人制度がありますが、同制度は判断能力の低下した個人の財産管理や身上監護を
目的としたものなので、実は株主としての議決権の代理行使は認められません。
つまり、代表印が押せないので、種々の契約締結・更新などもできない。株主総会の決議もできない。社長も交代できない。と、会社が機能不全の状態に陥るのです。
このような状況が長引けば長引くほど、事業を継続できないリスクが高まります。
それでは、このような事態に備え、オーナー経営者が取り得る対策はあるのでしょうか。
一つの非常に有効な手段が、事業承継信託です。
事業承継信託の仕組み
事業承継信託では、株式を保有するオーナー経営者(委託者)と、その信頼できる部下や後継者(受託者)の間で信託契約を締結します。
これにより、オーナー経営者の持つ議決権の行使を受託者に託す形になりますが、
オーナー経営者が健在である間は、委託者であるオーナー経営者が、
有する指図権を行使して引き続き経営判断を担います。
つまり、オーナー経営者に万一のことがあった場合にのみ、
受託者が経営の意思決定を代理するのです。
意思決定を代理する範囲についても、信託契約の中で決めることができますので、
受託者が経営を担える人材である必要はありません。
例えば、オーナー経営者が万一の事態に陥った場合には、会社を第三者へ売却する。
といった具合に、議決権の代理行使の範囲を制限することができます。
あくまでも、有事の際のピンチヒッターとして必要な意思決定を実行する役割と考えればよいでしょう。
さらに、信頼できる顧問の士業などに信託監督人を依頼することで、
受託者は意思決定にあたって信託監督人の同意が必要となり、
委託者の意図を反映した意思決定をより確実にすることが可能です。
今回紹介したケース以外にも、事業承継信託は「資産としての株式の承継」と
「経営権の承継」を分けて考えたい場合などにも、柔軟な解決策を提供する手段となります。
また、不動産や現金などの資産と違い、株式の信託設定にあたっては登記が不要です。
そのため、設定・運用コストも比較的少額で済みます。
会社を守る立場にあるオーナー経営者にとって、事業承継信託は考えない手はありません。
当社は家族信託普及協会(一般社団法人)の会員として、家族信託、事業承継信託の普及にも取り組んでいます。少しでもご関心があれば、是非一度、当社までお問合せ下さい。
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