9割以上が「後悔あり」。売り手と買い手の情報格差がトラブルの引き金に

2025.06.04

公開日:2025.06.04

2025.06.04

2025.06.04

更新日:2025.06.04

2025.06.04

9割以上が「後悔あり」。売り手と買い手の情報格差がトラブルの引き金に

【調査結果 概要】

下記が、今回の調査から判明した結果です。

M&A経験者の過半数がトラブルに直面
・9割以上がM&A後に後悔あり。1位「契約交渉」2位「専門家の意見収集」3位「買い手企業の情報収集」
・M&A実施時に十分な情報が得られたと感じた人は4割未満にとどまる
・7割超が売り手と買い手の情報格差を実感
・知識不足で判断に迷ったことは「買い手企業の信頼性」が最多

それぞれ詳しく解説します。

【調査結果 詳細】

◼️M&A経験者の過半数がトラブルに直面

M&A経験者の過半数がトラブルに直面

過去にM&Aを経験した方に、何かしらのトラブルに遭ったことがあるか尋ねたところ、51.8%が「ある」と回答しました(n=523/M&A経験のある方)。

ここからは、過去にM&Aでトラブルに遭ったことがあると回答した方の中から、200名にアンケートを実施しました。

◼️9割以上がM&A後に後悔あり。1位「契約交渉」2位「専門家の意見収集」3位「買い手企業の情報収集」

9割以上がM&A後に後悔あり。1位「契約交渉」2位「専門家の意見収集」3位「買い手企業の情報収集」

M&A後に後悔した点について尋ねたところ、「契約書の内容をもっと丁寧に確認し、十分な契約交渉を行えばよかった」が34.0%、「もっと多くの支援者や専門家の意見を聞いておけばよかった」が31.0%、「買い手企業の情報をしっかり調べておけばよかった」が25.0%と続きました(n=200/M&Aでトラブル経験のある方)。

◼️トラブル内容のトップ2は「経営者保証の解除拒否」と「価格の引き下げ要求」

トラブル内容のトップ2は「経営者保証の解除拒否」と「価格の引き下げ要求」

M&Aで経験したトラブルについて尋ねたところ、「経営者保証を解除してもらえない」が29.0%で最も多く、「最終交渉の土壇場で価格の引き下げを要求された」が23.5%、「取引後に損害賠償請求を受けた」が19.5%と続きました(n=200/M&Aでトラブル経験のある方)。

◼️M&A実施時に十分な情報が得られたと感じた人は4割未満にとどまる

M&A実施時に十分な情報が得られたと感じた人は4割未満にとどまる

M&A実施時に十分な情報が得られていたかを尋ねたところ、63.0%が不足していたと感じていることがわかりました(n=200/M&Aでトラブル経験のある方)。

◼️情報不足を実感した項目、最多は「契約条件・条件交渉」

情報不足を実感した項目、最多は「契約条件・条件交渉」

情報が不足していたと感じる項目を尋ねたところ、「契約条件・条件交渉」が37.3%で最も多く、「買い手情報・買い手探索方法」が34.1%、「法務・税務・財務面」が24.6%と続きました(n=126/M&A実施時に情報が不足していた方)。

◼️7割超が売り手と買い手の情報格差を実感

7割超が売り手と買い手の情報格差を実感

M&Aの交渉過程において売り手側と買い手側の情報の格差を感じたか尋ねたところ、73.0%が格差を実感したことがわかりました(n=200/M&Aでトラブル経験のある方)。

◼️情報格差を感じた理由は「M&A経験による交渉の優位」や「専門知識の差」など

情報格差を感じた理由は「M&A経験による交渉の優位」や「専門知識の差」など

情報格差を感じた点について尋ねたところ、「買い手側は過去にM&A経験があり、交渉に慣れていた」が34.9%で最も多く、「専門的な知識で差を感じた」が32.2%、「仲介者と買い手側に以前から関係性があった」が30.8%と続きました(n=146/M&Aの交渉過程において、売り手側と買い手側で情報の格差があると感じた方)。

<情報格差を感じたエピソード/一部抜粋>
・先方は大手企業で知識があり、中小の当社が条件で不利だった
・相手の経営者に誠意がなく、詐欺師まがいだった
・買収の対価として買い手企業の株式を受け取ったが、米国証券取引法の規制により、自由に市場で売却できず、結果、現金化ができず損失が発生した

◼️知識不足で判断に迷ったことは「買い手企業の信頼性」が最多

知識不足で判断に迷ったことは「買い手企業の信頼性」が最多

知識不足によって判断を迷ったことがあるかを尋ねたところ、「買い手企業が信頼できるかわからなかった」が31.5%で最も多く、「契約条件に不安があった」が31.0%、「従業員への影響が読めなかった」が26.0%と続きました(n=200/M&Aでトラブル経験のある方)。

◼️情報収集の手段は「専門家」や「知人・経営者仲間への相談」が中心

情報収集の手段は「専門家」や「知人・経営者仲間への相談」が中心

M&A検討時の情報収集方法について尋ねたところ、「顧問税理士や会計士、弁護士などの専門家に相談」が27.5%で最も多く、「知人・経営者仲間に相談」が27.0%、「インターネット検索」が21.0%と続きました(n=200/M&Aでトラブル経験のある方)。

◼️相談相手は「税理士・会計士」が最多

M&A検討開始時に相談した相手を尋ねたところ、「税理士・会計士」が33.5%で最も多く、「知人・経営者仲間」が26.0%、「銀行・証券会社」が25.0%と続きました(n=200/M&Aでトラブル経験のある方)。

税理士・会計士33.5%
知人・経営者仲間26.0%
銀行・証券会社25.0%
仲介業者21.0%
弁護士14.5%
FA(売り手支援)14.0%
民間の経済団体(商工会議所等)9.5%
その他1.5%
いなかった8.5%

◼️約半数が、信頼できる情報源を「専門家への相談」と回答

約半数が、信頼できる情報源を「専門家への相談」と回答

M&Aに関する知識の情報源として信頼できるものを尋ねたところ、「専門家(税理士・弁護士など)への相談」が42.5%で最も多く、「セミナー・講演会」が27.5%、「同業者の体験談」が27.0%と続きました(n=200/M&Aでトラブル経験のある方)。

◼️オーナーズ株式会社 代表取締役社長 作田 隆吉 コメント

今回の調査では、M&Aの実行にあたって多くの経営者が情報不足や経験格差に悩まされており、それが契約トラブルや売却後の後悔につながっている実態が明らかになりました。特に、「契約条件の交渉」「買い手企業の信頼性」「専門家の活用」に対する後悔の声は、売り手にとって情報の非対称性が大きなリスク要因であることを物語っています。

M&Aは本来、企業の可能性を広げる前向きな選択肢ですが、買い手主導で進む交渉の中では、情報を十分に持たない売り手が不利な立場に置かれがちです。契約条件を正しく理解し、適切に交渉するためには、売り手の立場に立った専門的なサポートが不可欠です。

オーナーズでは、こうした構造的な「情報格差」を埋めることこそが、経営者の意思決定を支え、後悔のないM&Aを実現する第一歩だと考えています。今後も売り手の利益を守る仕組みを社会に広げ、健全なM&Aの定着に貢献してまいります。

【調査概要】

調査名称M&Aトラブルと情報格差に関する調査
調査機関Freeasy
調査対象M&Aトラブルを経験したことがある経営者
調査方法Webアンケート
調査期間2025年5月20日~5月24日
有効回答数523件

※各回答項目の割合(%)は、端数処理の関係上、合計が100%にならない場合があります

◼️調査結果の引用時のお願い

※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記および当社サイトのリンクの掲載をお願いします。

当社サイト:https://risonal.com
例:「オーナーズの調査によると」「オーナーズ調べ」など

この記事の著者

RISONAL 編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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