M&Aでドメインの名義変更は必要?手法別の手続きと売却前に確認する3つの名義パターン
-
#
- M&Aの進め方
公開日:2026.09.29
2026.09.29
更新日:2026.09.29
2026.09.29
ドメインの名義変更が必要かは、誰の名義で登録されているかで決まります。3つの名義パターン、手法ごとの手続き、co.jpを引き継ぐ際の注意点、名義変更のステップ、起きやすいトラブルを売り手視点で解説します。

自社サイトもメールも、長年同じドメインで運用してきた。売却したらどうなるのか。多くのオーナー経営者が見落とすのが、ドメインが誰の名義で登録されているかという点です。個人名義や制作会社名義のままであれば、会社の資産として引き継げません。
本記事では、確認する3つの名義パターンと手法ごとの手続きを示したうえで、co.jpを引き継ぐ際の注意点を解説します。あわせて、名義変更のステップと起きやすいトラブルを示します。
オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFA(ファイナンシャル・アドバイザー)サービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。 また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。 まずは一度、弊社の無料相談サービスをご利用ください。
M&Aではドメインが誰の名義で登録されているかで手続きが変わる
ドメインには、登録者という概念があります。JPRSは、登録者をJPドメイン名を登録した組織や人だと説明しています。
登録者が会社であれば、会社の資産として扱えます。一方で代表者個人や制作会社の名義になっていれば、会社の財産ではありません。売却の対象に含められず、引き継ぎにも相手方の協力が要ります。見落とされやすいのは、サイトが正常に表示されている限り誰の名義でも問題が表面化しない点です。
売却の交渉に入ってから発覚すれば、対応に時間を取られます。自社サイトのドメインについて、登録者が誰になっているかを確認します。WHOISなどの検索サービスで、公開情報を照会できます。
売却前に資産の名義や契約を点検する「磨き上げ」の進め方は、下記で解説しています。
M&Aの磨き上げとは?売却価格を高める5つの領域と進め方を解説
売却前に確認するドメインの名義の3つのパターン
名義の状態は、3つに分かれます。確認するパターンは以下のとおりです。
- 会社名義で登録されていれば株式譲渡では手続きが要らない
- 代表者や従業員の個人名義で登録されていると会社の資産として扱われない
- 制作会社や代理店の名義で登録されていると協力がなければ名義を移せない
それぞれを順に解説します。
会社名義で登録されていれば株式譲渡では手続きが要らない
望ましいのは、会社名義での登録です。 登録者が会社であれば、株式譲渡では名義変更が生じません。
株主が替わっても、会社という法人格は同じです。ドメインの登録者も変わらないため、手続きは不要になります。
登録者情報が現在の商号や所在地と一致しているかを確認します。変更があったのに更新していなければ、実務上の支障が生じます。
代表者や従業員の個人名義で登録されていると会社の資産として扱われない
中小企業で多いのが、個人名義のままの状態です。 創業時に代表者が個人で取得し、以後も変更していないケースが該当します。
問題になるのは次の点です。
- 会社の資産ではないため、株式譲渡でも引き継がれない
- 退任した元代表者の名義が残る
- 担当者が退職すれば管理アカウントに触れられない
登録者を会社名義へ変更する手続きを、売却の検討段階で進めます。
制作会社や代理店の名義で登録されていると協力がなければ名義を移せない
外部の事業者が登録者になっている場合もあります。 サイト制作を依頼した際に、制作会社が自社名義で取得している状態です。
名義の変更には、登録者である制作会社の協力が要ります。取引関係が良好でなければ、応じてもらえない事態もありえます。
制作会社との契約書を確認し、ドメインの帰属に関する定めを探します。定めがなければ、早い段階で協議します。
ソフトウェアやサイトの権利関係で確認される点については、下記もあわせてご覧ください。
M&AにおけるOSSライセンスとは?調査で見られる3つのポイントと売り手の準備
M&Aの手法で変わるドメインの名義変更
手法によって、必要な手続きは変わります。押さえる点は以下の3つです。
- 株式譲渡では会社名義のドメインをそのまま使える
- 事業譲渡ではドメインの登録者を買い手に変更する
- サイト単体の売却では登録者の変更と管理アカウントの移動を行う
それぞれを順に解説します。
株式譲渡では会社名義のドメインをそのまま使える
株式譲渡では、登録者は変わりません。 会社が存続し、資産も会社に残るためです。
サイトもメールも、切り替えなしで継続できます。取引先への周知も不要です。
ただし管理アカウントのIDとパスワードは引き継ぎます。管理会社の契約情報と併せて、買い手へ引き渡します。
株式譲渡と事業譲渡の違いについては、下記で詳しく解説しています。
M&Aにおける株式譲渡とは?メリットや注意点、手続きの流れを解説
事業譲渡とは何か?オーナー経営者が知っておくべき基本と実務ポイント
事業譲渡ではドメインの登録者を買い手に変更する
事業譲渡では、登録者の変更が必要になります。 資産を個別に移す手法のため、ドメインも移転の対象です。
JPRSは、登録時のデータに変更があった場合、登録時に申し込みを行った指定事業者に変更を依頼する必要があるとしています。
手続きの所要日数は管理会社によって異なります。クロージングの日程から逆算し、申請の時期を決めます。
サイト単体の売却では登録者の変更と管理アカウントの移動を行う
サイトだけを譲る場合もあります。 ドメインとコンテンツ、サーバー契約をまとめて移す形です。
移す対象は次のとおりです。
- ドメインの登録者情報
- 管理会社の契約アカウント
- サーバーとコンテンツのデータ
移行の順序を誤れば、サイトが表示されない期間が生じます。切り替えの手順と日程を、買い手と技術担当者で確認します。
システムとデータを切り分けて引き渡す際の進め方は、下記で解説しています。
カーブアウトのシステム分離とは?3つの進め方と売り手の注意点を解説
co.jpなど属性型JPドメインを引き継ぐときの注意点
属性型JPドメインには、固有のルールがあります。注意点は以下の3つです。
- co.jpは1組織1つまでが原則だが合併や事業譲渡では継続して使える
- 譲渡先がco.jpの登録要件を満たさないと移せない
- 制限緩和の手続きに対応していない管理会社がある
それぞれを順に解説します。
co.jpは1組織1つまでが原則だが合併や事業譲渡では継続して使える
属性型JPドメインには、登録数の制限があります。 co.jpは1組織につき1つまでとされています。
一方で、合併や事業譲渡によって複数のドメインを保有することになる場面もあります。JPRSは、こうした場合の登録資格の制限緩和についての手続きを設けています。
買い手がすでにco.jpを保有していれば、該当する可能性があります。手続きの要否を管理会社へ確認します。
譲渡先がco.jpの登録要件を満たさないと移せない
引き継ぐ側にも要件があります。 co.jpは日本国内で登記を行っている会社を対象としたドメインです。
買い手が要件を満たさない組織であれば、登録者の変更はできません。個人事業主や海外法人が買い手となる場合は、事前の確認が要ります。
買い手の法人形態を確認し、引き継ぎの可否を管理会社へ照会します。
制限緩和の手続きに対応していない管理会社がある
管理会社によって、対応の可否が分かれます。 属性型JPドメインの手続きは、すべての事業者が取り扱っているわけではありません。
対応していなければ、別の指定事業者へ変更する必要が生じます。手続きが二重になり、時間もかかります。
現在の管理会社へ、制限緩和の手続きに対応しているかを事前に確認します。
ドメインの名義を変更するステップ
手続きは、順序を踏んで進めます。ステップは以下の4つです。
- 管理会社と契約アカウント、登録者情報を確認する
- 登録者情報を会社または買い手に変更する
- 必要に応じて管理アカウントを移すか他社へ移管する
- ネームサーバーとDNSの設定が変わっていないかを確認する
それぞれを順に解説します。
管理会社と契約アカウント、登録者情報を確認する
出発点は、現状の把握です。 どの事業者と契約し、誰がアカウントを管理しているかを確かめます。
確認する項目は次のとおりです。
- 管理会社(指定事業者)の名称
- 契約アカウントのIDと管理者
- 登録者情報と登録担当者
- 有効期限と更新の方法
請求書やクレジットカードの明細からたどれます。担当者が退職している場合は、復旧の手続きから始めます。
登録者情報を会社または買い手に変更する
名義の変更は、管理会社を通じて申請します。 登録者が変わる手続きは、JPRSへ直接申し込むことはできません。
必要な書類は管理会社によって異なります。法人の登記事項証明書や、旧登録者の同意を示す書面が求められる場合があります。
申請に要する日数を確認し、クロージングまでの工程に組み込みます。
クロージングまでの流れと手続きについては、下記で解説しています。
譲渡対象の資産の特定を含め、最終契約で確認したい項目は、弁護士監修のチェックリストにまとめています。無料でダウンロードできます。
【無料資料】最終契約前に弁護士と共に確認するべき契約書の項目
必要に応じて管理アカウントを移すか他社へ移管する
管理会社を変更する選択もあります。 買い手が別の事業者を利用していれば、集約を望みます。
JPRSは、指定事業者の変更について変更先の指定事業者へ連絡して手続きを行うとしています。認証コードはドメイン名ごとに設定されるパスコードだと説明されています。
認証コードは現在の管理会社から取得します。移管を予定する場合は、取得の手順を先に確認します。
ネームサーバーとDNSの設定が変わっていないかを確認する
設定の引き継ぎも確認します。 登録者や管理会社が変わっても、DNSの設定が維持されていなければサイトは表示されません。
確認する項目は次のとおりです。
- ネームサーバーの指定先
- メールの送受信に関する設定
- SSL証明書の有効性
切り替えの前後で、サイトとメールの動作を確認します。作業日を営業時間外に設定する方法もあります。
ドメインとともに引き継ぐ権限
ドメインだけでは、業務は回りません。メールもサイトも、別の契約やアカウントに支えられています。引き継ぐ権限は以下の3つです。
- メールアドレスとメールサーバーの契約
- レンタルサーバーとSSL証明書の契約
- Googleビジネスプロフィールや解析ツールの管理権限
それぞれを順に解説します。
メールアドレスとメールサーバーの契約
業務への影響が大きいのが、メールです。 ドメインを移しても、メールサーバーの契約が別であれば送受信は止まります。
確認する項目は次のとおりです。
- メールサービスの提供事業者と契約者名義
- アカウント数と管理者権限
- 過去のメールデータの保存場所
社員全員のメールが止まれば、業務は動きません。切り替えの日程を、社内へ事前に周知します。
レンタルサーバーとSSL証明書の契約
サイトの表示にも、複数の契約が関わります。 サーバーと証明書は、ドメインとは別の契約です。証明書の有効期限が切れれば、閲覧者に警告が表示されます。信用にも関わる部分です。
サーバーと証明書の契約者名義、更新日、費用を一覧化します。
Googleビジネスプロフィールや解析ツールの管理権限
外部サービスの権限も引き継ぎます。 地図情報や検索順位に関わるため、放置すれば集客に影響します。
引き継ぐ対象は次のとおりです。
- Googleビジネスプロフィールのオーナー権限
- アクセス解析ツールの管理者アカウント
- SNSアカウントの管理権限
担当者の個人アカウントで運用している例が多く見られます。管理者が誰かを洗い出し、移管の手順を確認します。
ドメインの名義変更で起きやすいトラブル
手続きには、つまずきやすい点があります。起きやすいトラブルは以下の3つです。
- 登録者を変更した直後は60日間ほかの管理会社へ移管できない場合がある
- 個人名義のまま売却すると元の名義人と連絡が取れなくなる
- 更新期限が切れて第三者に取得される
それぞれを順に解説します。
登録者を変更した直後は60日間ほかの管理会社へ移管できない場合がある
変更の直後は、移管が制限される場合があります。 不正な移転を防ぐため、登録者の変更後に一定期間の制限を設ける扱いが定められています。この方針は主に.comなどのgTLDを対象としたもので、JPドメイン名の扱いはJPRSと指定事業者の規則によります。
制限の内容と期間は、ドメインの種類や方針の改定によって変わります。登録者の変更と管理会社の変更をどちらも行う場合は、順序と時期を管理会社へ確認します。
個人名義のまま売却すると元の名義人と連絡が取れなくなる
元代表者や退職者の名義が残れば、更新や設定変更のたびに連絡が必要になります。
関係が良好なうちは対応してもらえます。しかし時間が経てば、連絡先が変わることもあります。売却の前に、会社名義または買い手名義へ変更しておきます。
更新期限が切れて第三者に取得される
期限切れは、何としても避けたい事態です。 ドメインは登録が更新されなければ失効し、第三者が取得できる状態になります。
失効すればサイトもメールも使えなくなります。第三者に取得されれば、取り戻せない場合もあります。
登録の有効期限と、自動更新の設定状況を確認します。支払用のクレジットカードの期限も併せて点検します。
M&Aとドメインの名義に関するよくある質問
M&Aとドメインの名義について、相談の現場で多く寄せられる質問を3つ取り上げます。名義変更の費用、売却価格への反映、売り手側でメールを使い続けられるかの3点です。
ドメインの名義変更に費用はかかりますか?
管理会社によって異なります。登録者情報の変更を無料で扱う事業者もあれば、手数料を設定している事業者もあります。指定事業者の変更を伴う場合は、別途費用が生じることもあります。現在の管理会社へ、手続きの費用と所要日数を確認します。
ドメインは売却価格に含めて評価されますか?
事業の性質によります。サイトからの集客が売上の中心であれば、ドメインと検索順位は評価の対象になります。一方、法人向けで営業が中心の事業では、価値として認識されにくい場合もあります。アクセス数や問い合わせ件数の推移を示す資料を用意します。
買い手候補による調査(デューデリジェンス)で確認される範囲は、下記で解説しています。
M&Aにおけるデューデリジェンス(DD)とは?目的や流れ、売り手側のポイントを解説
売り手に残る事業で同じドメインのメールを使い続けられますか?
原則としてできません。ドメインの登録者は1つの主体に限られるためです。残る事業で使い続けたい場合は、別のドメインを取得して移行する必要があります。移行には時間がかかるため、売却の検討段階で準備を始めます。
まとめ
ドメインの名義変更が必要かどうかは、誰の名義で登録されているかで決まります。会社名義であれば株式譲渡で手続きは生じませんが、個人名義や制作会社名義であれば会社の資産として扱えません。
要点は以下のとおりです。
- 登録者が会社でなければ、株式譲渡でも引き継がれない
- 事業譲渡では、管理会社を通じて登録者の変更を申請する
- co.jpには登録数と登録要件の制限があり、買い手の形態によっては移せない
- ドメインだけでなく、メール、サーバー、外部サービスの権限も引き継ぐ
- 登録者の変更と管理会社の変更は、順序と時期を確認する
出発点は、登録者の確認です。まずは自社ドメインの登録者が誰になっているかを照会してください。
売却前の準備と進め方は、こちらの資料でも確認できます。
【無料資料】オーナー経営者がM&A仲介会社から事業売却の提案を受けたら、弁護士と一緒に最初に読むべき 事業承継・M&A完全ガイド
オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFA(ファイナンシャル・アドバイザー)サービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。 また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。 まずは一度、弊社の無料相談サービスをご利用ください。
関連記事
-
主要取引先に依存した会社は売却できる?4つのリスクと売れる3つの条件を解説
2026.09.29
2026.09.29
#M&Aの進め方
-
事業譲渡で不動産を移転する手続きは?登記の流れと費用、売り手の5つの注意点を解説
2026.09.29
2026.09.29
#M&Aの進め方
-
事業譲渡の在庫評価はどう決まる?買い手候補が見る4つの基準と計算方法、譲渡前の準備を解説
2026.09.29
2026.09.29
#M&Aの進め方
-
M&Aの正常運転資本とは?対価が動く仕組みと売り手が損をしやすい3つの場面、契約の確認点
2026.09.29
2026.09.29
#M&Aの進め方
-
M&Aでソースコードの著作権は誰のもの?帰属の3パターンと売却前に整える契約を解説
2026.09.29
2026.09.29
#M&Aの進め方
カテゴリ一覧
-
事業承継を考える
-
M&Aを検討・進行する
-
売却後を考える
-
その他