医薬品卸業界のM&A事情を詳しく解説!業界動向や事例もあわせて紹介
公開日:2025.02.05
2025.02.05
更新日:2025.06.30
2025.06.30

昨今、医薬品卸業界では業界再編が実施されており、M&A取引が活発に行われるようになっています。
業界再編によって大手グループが拡大していく中で、中小企業の生き残りが難しくなりM&Aが有効な解決の手段として注目されています。
では、具体的に医薬品卸業界のM&A事情はどうなっているのでしょうか。本記事では、最新の医薬品卸業界のM&A事情を解説します。さらに、医薬品卸業界におけるM&Aのメリットや事例も紹介しているため、医薬品卸業界でM&Aを考えている方はぜひ参考にしてください。
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医薬品卸業界とは?業界の現状を解説

医薬品卸業界とは、そもそもどのような業界なのでしょうか。また、医薬品卸業界にはどのような特徴があり、現在はどのような動向となっているのでしょうか。
本記事では、医薬品卸業界の定義に加え、近年の業界再編や市場環境の変化といった最新の動向について詳しく解説します。
医薬品卸業界の定義
医薬品卸とは、製薬会社が製造した医薬品を病院や薬局などの医療機関に届ける役割を担う業務です。
各製薬会社から医薬品を仕入れ、保管・配送・品質管理などの物流機能を通じて全国の医療機関に安定的に供給するのが主な役割です。
さらに、医薬品に関する問い合わせの対応、安全な使用に向けた情報提供・販売促進・コンサルティング業務なども重要な業務の一部となっています。このような医薬品卸の機能を担う企業群で構成されているのが、医薬品卸業界です。
医薬品卸業界の動向
医薬品卸業界の定義を踏まえたうえで、次に業界の動向について解説します。本記事では、以下の2つの視点から医薬品卸業界の動きについて解説します。
市場規模
厚生労働省「医薬品・医療機器産業実態調査」によると、2022年の医薬品卸売業の医薬品売上高は13.6兆円となっています。ここ5年は売上高が増加傾向にあり、市場規模は拡大しつつあります。

参照:厚生労働省「医薬品・医療機器産業実態調査」
医薬品卸業界では業界再編が実施されており、大手4社に売上が集約されている状態です。メディパルホールディングス、アルフレッサ、スズケン、東邦ホールディングスの4社が市場の7割以上を占めています。
今後の課題
しかし、業界再編によるスケールメリットは目立っておらず、医薬品卸業界の薄利体質は依然として解消されていません。
医薬品卸は、薬価差益を確保したい医療機関・薬局と、価格の引き下げを抑えたい製薬会社の間に立たされており、販売価格の調整が難しく、安定した利益を確保しにくい構造となっています。
また、流通システムの改善も大きな課題です。医薬品卸は、単に物流を担うだけでなく、医薬品に不具合や欠品が生じた際の代替品確保や情報提供など、追加業務への対応も求められます。これにより、本来の業務負荷がさらに増大しているのが現状です。
特に近年は、後発医薬品(ジェネリック)の拡大や供給不安への対応、在庫管理・納期調整といった物流業務の複雑化が進み、現場の業務を圧迫しているケースが増えています。
医薬品卸業界のM&A動向とは?

医薬品卸業界では、すでに業界再編が大きく進んでおり、大手4社が市場の7割以上を占めており、現在は、大手4社で勢力が安定している状況です。
また、医薬品の商品価格やサービス、品質などの差別化が難しい業態であり、企業間競争はますます厳しさを増しています。こうした背景から、販路の拡大や新たな価値創出を目的として、異業種とのM&Aが増加傾向にあります。
医薬品卸企業は、広域で高度な物流ネットワークを保有していることから、他業種にとって魅力的なパートナーとされており、連携・買収の動きが加速しています。
たとえば、大手のメディパルホールディングスは、調剤薬局や医療機器卸との販路拡大に加え、横浜市に最新の物流センターを稼働させ、患者を待たせない効率的な配送体制を構築しています。
さらに、調剤薬局・ドラッグストアなど関連業種との垂直統合も増えており、薬価改定やジェネリック医薬品の普及といった業界構造の変化、ならびに資本力の向上がこの流れを後押ししています。
医薬品卸業界のM&Aの流れ

医薬品卸業界におけるM&Aの流れは、大きく分けて下記の3つのステップから構成されます。
1.M&Aの事前準備、助言会社の選定
2.買い手候補先企業との接触、意向表明書受領
3.詳細調査(DD)、最終契約締結・クロージング
それぞれ詳しくみていきましょう。
Step1.M&Aの事前準備、M&A助言会社の選定
まず、M&Aの事前準備とM&A助言会社を選定します。
事前準備として、M&A助言会社と秘密保持契約を締結し、初期的な資料を開示します。秘密保持契約とは、自社の秘密情報を他社に開示する場合に、その情報を秘密に保持することを締結する契約です。
その上で、売却戦略をM&A助言会社と策定し、買い手候補先企業を優先順位ごとに並べたロングリスト(※1)を作成します。
譲渡の目的を満たすストラクチャー(※2)の検討や、譲渡完了に至るまでの全体のスケジュールについても事前準備の段階で検討します。
また、この段階でM&A助言会社とエージェント契約を締結します。
M&A助言会社を選定する際に注意しておきたいのが、仲介とFA(フィナンシャル・アドバイザー)の違いです。
仲介とは、いわゆるマッチングサービスのことで、売り手と買い手の双方とそれぞれ仲介契約を締結します。M&Aの当事者双方から依頼を受けているため、いずれか一方の利益のみを優先的に取り扱うことはできず、双方の意向を一元的に把握し、双方の共通の目的であるM&Aの成立を目指し、助言や調整を行います。また、手数料は売り手と買い手の双方から受領します。
それに対してFAとは、M&Aを実行するためのアドバイスを提供するサービスのことで、M&Aの当事者一方のみから依頼を受けます。M&Aの相手方(買い手候補先企業を含む。)に対して、依頼者に対して提供するのと同様の業務を提供することはありません。M&Aの当事者一方のみから依頼を受けているため、依頼者の意向を踏まえて、依頼者にとって有利な条件でのM&Aの成立を目指し、助言や調整を行います。
弊社では、売り手のみと契約を締結してM&Aを支援する専属エージェントサービス(売り手特化型FAサービス)を提供しており、手数料は依頼者である売り手のみから受領し、売り手の利益を最大化することを目指します。
また、譲渡戦略の策定と並行して、買い手候補先企業へ開示する資料準備も進めます。M&Aプロセスの初期に買い手候補先企業に対して開示する資料には、匿名の企業概要書(ティーザー(※3))、インフォメーション・パッケージ(※4)があります。
※1 ロングリスト:一定の条件で絞り込んだ買い手候補先の企業をまとめたリストのこと。
※2 ストラクチャー:M&Aを実行するための手段や方法のこと。
※3 ティーザー:匿名の企業概要書で、通常1枚から2枚で構成される資料のこと。
※4 インフォメーション・パッケージ:買い手候補先企業がM&Aを検討する際の参考資料。対象会社(事業)の魅力を伝え、買い手候補先企業が企業価値評価を実施できることを目的に作成される。
Step2.買い手候補との接触、意向表明受領
次に、買い手候補先企業と接触します。
ロングリストに基づき、M&A助言会社が買い手候補先企業と接触し、ティーザーを開示します。その上で関心を示す相手に対して、秘密保持契約を締結した上でインフォメーション・パッケージを開示します。
対象会社(事業)の譲受を希望する買い手候補先企業は、売り手に対して意向表明書を提出します。意向表明書には、譲渡価格の水準や取引の前提条件、取引後の対象会社の運用方針などが記載されます。売り手はこれを検討・比較し、受け入れ(基本合意)可能かを判断します。
売り手においては、後述する詳細調査(デュー・デリジェンス:DD)のプロセスにおいて、対象会社の秘密情報が買い手候補先企業に開示されることになるため、DDを受け入れる前に納得感の得られる取引条件であることを確認することが非常に重要です。買い手候補先企業においても、DDにおける専門家起用の費用負担や多大な労力が生じるため、この段階で独占交渉権を求めることが一般的です。
そのため、基本合意を締結し、守秘義務や独占交渉権などを取り決めた上で、次のステップに進むことになります。
Step3.詳細調査(DD)、最終契約締結・クロージング
意向表明書を受理し、基本合意書の締結をしたら、デュー・デリジェンス(DD)と呼ばれる詳細調査と最終契約締結・クロージングです。
M&Aにおいては、売り手と買い手との間に、情報の非対称性が必然的に生じます。この非対称性をできるだけ解消するために、買い手が実施する対象企業への調査がDDです。
買い手にとってDDには、以下のような目的があります。
・自社のM&A戦略に合致した事業かどうか詳細まで検討する
・定量化可能なDDの発見事項を、譲渡価格へ反映する
・定量化できないDDの発見事項を、最終契約書の条件へ反映し、リスクを遮断する
・M&Aの目的を達成するためのストラクチャーを検討する
・M&A実行後に必要な対応を明確化し、統合計画に反映させる
その後、最終契約締結に移ります。譲渡価格や契約条件を交渉し、双方が納得のいく形で契約を締結します。そしてM&A取引が実行され、対象の株式・事業の引き渡しをし、譲渡代金を支払って経営権の移転が完了します。
譲渡企業オーナーの譲渡を想定したより詳細なM&Aのプロセスは、以下の記事で解説していますので、ぜひご活用ください。
[M&Aのプロセス]
医薬品卸業界のM&Aのメリットとは?5つを紹介

医薬品卸業界でM&Aを実施するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
・事業を継続でき、従業員の雇用を守れる
・仕入先・取引先への影響を最小限に抑えられる
・大手グループの傘下となり経営が安定する
・譲渡利益を獲得できる
・新しい事業に挑戦できる
それぞれ詳しくみていきましょう。
医薬品卸業界のM&Aのメリット①:事業を継続でき、従業員の雇用を守れる
第三者への事業承継を選択せずに廃業を選択した場合は、従業員は職を失うことになり、新しい職を探す必要があります。また、経営者としては、従業員のために新しい職を見つけてあげるなどの対応をするケースも考えられます。
一方で、M&Aの実施により、従業員の雇用を継続でき、経営者は従業員に対する責任を果たせるでしょう。
医薬品卸業界のM&Aのメリット②:仕入先・取引先への影響を最小限に抑えられる
事業承継において、廃業を選択した場合には、仕入先や取引先との契約を終了させる必要が出てきます。債権債務の整理など、さまざまな影響が自社および取引先に波及します。
一方で、M&Aを実施する場合、一般的には既存取引先との契約関係は引き継ぐことが多く、廃業による影響を最小限に抑えられます。
医薬品卸業界のM&Aのメリット③:大手グループの傘下となり経営が安定する
現在、医薬品卸業界では業界再編がされており、中小規模の医薬品卸会社が生き残るのは難しい状態です。
しかし、大手グループの傘下となれば圧倒的なシェアを持つ企業の傘下となることができます。大手グループが保有している豊富なノウハウや資金を活用し、安定した経営を実現できるでしょう。
医薬品卸業界のM&Aのメリット④:譲渡利益の獲得
M&Aによって自社を廃業ではなく売却という選択肢を取れば、売却益を得ることが可能です。これにより、廃業に伴う費用や複雑な手続き、精神的負担を回避できます。
また、得られた資金はリタイア後の生活資金として活用できるほか、新たな事業の立ち上げ資金としても活用できるため、次のステージに向けた準備にもつながります。
医薬品卸業界のM&Aのメリット⑤:借入債務、個人保証が解消される
M&Aの大きなメリットのひとつは、経営者が個人保証や借入債務の責任から解放される可能性がある点です。
M&Aにより会社が譲渡されると、金融機関への個人保証や借入債務、担保などは譲受企業が引き継ぐ形となるため、経営者個人の負担が軽減されます。
これにより、長年抱えていた財務上の悩みから解放され、安心して事業のバトンを渡すことが可能になります。
医薬品卸業界のM&Aの相場

医薬品卸業界の相場は、一概にいくらと明言できません。その企業の売り上げやブランド力、立地などさまざまな要素から判断されます。
これまでM&A仲介会社では年買法といわれる簡便的な株式評価手法を用いて評価を実施することが一般的でした。これは純資産に営業利益の数年分を加算する簡単な計算方法であり、理解が容易な一方、実績ベースの評価で、加算される営業利益の年数も業界ごとに固定的なものとなります。
その結果、成長性のある事業ほど低く株式価値が算定されてしまうリスクがあります。正しく買い手の株式価値評価手法を理解することは、売り手オーナーが自身の利益を守るために重要です。
医薬品卸業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。
・インカムアプローチ
・マーケットアプローチ
インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。
理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。
本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。
マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。
・類似会社比較法
・類似取引比較法
類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。
具体的には、以下のように算定します。
EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)
EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。
また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかで算定結果は大きく依存します。
企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。
企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値
第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。
なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。
しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。
M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
[うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~]
また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
[株価シミュレーター]
医薬品卸業界のM&Aのポイントとは?押さえておきたい3つを紹介

医薬品卸業界でM&Aを実施する際に押さえておきたいポイントとして、下記の3つが挙げられます。
・適切なM&A助言会社を選定する
・自社の正当な収益力・財務状況を把握する
・自社の強みをアピールする
それぞれ詳しく解説します。
医薬品卸業界のM&Aのポイント①:適切なM&A助言会社を選定する
M&A助言会社に求められる能力は、法務・会計・税務・ファイナンスに精通していること、誠実であること、顧客の立場に寄り添って助言を提供できる立ち位置であること、M&Aの売り手・買い手の双方の行動原理を理解しそれを交渉に活かせること、と多岐に渡ります。
真に顧客に寄り添える立場であるか、また、上記を見極めるためにも売り手・買い手の双方から報酬を受領する仲介会社ではなく、売り手と同じ船に乗り事業オーナーに対し助言する会社(FA)であるかを選定することが重要です。また、その会社に在籍するアドバイザーの知識や経験、ノウハウなどを含むFAサービスの品質が重要です。
医薬品卸業界のM&Aのポイント②:自社の正当な収益力・財務状況を把握する
売り手にとって、自社をよい条件で売却するために必要なのは、自社の正当な収益力・財務状況の把握です。
税務対策やオーナーの個人的な経費を費用計上している中小企業は数多くあるため、具体的な買い手候補にアプローチする前に、自社の実質的な収益力や、貸借対照表においても現金化可能資産や非事業用資産を確認し、実質的な自社の財務状況の把握が必要です。
医薬品卸業界のM&Aのポイント③:自社の強みをアピールする
どういった顧客を抱えているか、今後はどのくらいの収益が見込まれるかなど、自社のアピールできる部分は大きく打ち出すべきです。
強みをアピールすれば、交渉時に買い手が理解しやすくなるとともに、理想の条件でのM&Aを実現しやすくなるでしょう。
医薬品卸業界のM&A売却事例6選

ここでは、医薬品卸業界で実施されたM&Aの売却事例を紹介します。本記事では、下記の3つの事例を紹介します。
・メディカル一光×若松薬品
・スギホールディングス×渡辺貿易
・J-STAR×ジェネックス
実際の取引を参考にして、自社の売却のために役立ててください。
医薬品卸業界のM&A売却事例①:メディカル一光×若松薬品
メディカル一光グループは、全額出資子会社のメディカル一光を通じて、2024年7月24日に、若松薬品を買収し全株式を取得することを発表しました。
若松薬品は1994年に設立され、売上高は16億4,500万円です。沢井製薬(大阪市)の販売代理店として、香川県、徳島県に営業基盤を築いています。
メディカル一光グループは調剤薬局事業、ヘルスケア事業、医薬品卸事業等を展開し、メディカル一光は、調剤薬局事業・医薬品卸事業を行っています。
本取引により、メディカル一光グループは事業規模の拡大による効率化を実現することで、取り巻く環境の変化への対応を目指します。
医薬品卸業界のM&A売却事例②:スギホールディングス×渡辺貿易
スギホールディングスは、傘下のSトレーディングを通じて、2022年6月1日付で渡辺貿易を買収し、全株式を取得しました。
渡辺貿易は1976年に設立され、売上高は7億3,300万円です。国内で調達・製造した医薬品の国内卸売、国外輸出を展開しており、香港・マカオ・台湾に販売先を有しています。今後は、他のアジアの国々へも医薬品の輸出を目指しています。
スギホールディングスは、関東・中部・関西・北陸エリアに1,500店舗以上を展開し、調剤併設型ドラッグストアを強みに、地域の生活者の病気予防・健康管理に生涯にわたって関わり、健康増進に貢献する「トータルヘルスケア戦略」を展開しています。Sトレーディングは、アジア向けに医薬品や日用品の輸出入・卸売を行う専門商社です。
本取引により、スギはSトレーディングと共に、成長著しいアジア市場に対して多くのヘルスケア商品を提供することで、アジア全体の健康増進に広く寄与していきたいと考えています。
医薬品卸業界のM&A売却事例③:J-STAR×ジェネックス
J-STARが投資関連サービスを提供するJ-STAR No.4 A, LPは、2020年12月25日付でジェネリック医薬品卸のジェネックスを買収し、80%を保有する駿河賢吾社長がメディカルシステムネットワーク(MSNW)からジェネックス株15.1%を取得したうえで、同氏から70.2%の株式を取得しました。残りの出資比率は同氏24.9%、MSNW4.9%です。
ジェネックスは2009年に設立された企業です。ジェネリック医薬品に特化し、効率的な営業、ロジスティクスを特徴とする独自のビジネスモデルを確立しています。
J-STARは、投資を通じて日本の中堅・中小企業の課題を解決するプライベートエクイティ投資会社です。投資先企業の事業価値を最大化するため、最善の投資手法を選択し、企業経営者のパートナーとして、投資先企業の経営者と共に事業戦略を構築し実践しています。
J-STARは、ジェネックスの事業が担う社会的役割は一層大きくなると同時に、同社の成長が社会的課題の解決に寄与するものと考えています。J-STARの経営参画による企業価値向上、将来的な株式上場策を推進します。
医薬品卸業界のM&A売却事例④:アルフレッサホールディングス×しんようフォレストホールディングス
アルフレッサホールディングスは、2022年3月付でしんようフォレストホールディングスの子会社・宮崎温仙堂商店の全株式取得により、子会社化しました。
アルフレッサホールディングスは、医薬品卸業界ではトップクラスの売り上げを誇る大手です。国内の売り上げは第2位で医薬品・医療関係の数々の事業を展開しています。
しんようフォレストホールディングスは2008年に設立され、大分・福岡に本社を構える会社です。医薬品・医療機器の卸販売および関連会社の統轄管理など、その事業内容は多岐に渡ります。
本件M&Aでアルフレッサホールディングスが期待しているのは、現状以上の事業基盤の強化、地域の特性に合わせた営業戦略の実践です。
医薬品卸業界のM&A売却事例⑤:ジェイフロンティア×シーディ
ジェイフロンティアは、2021年11月30日付でシーディを子会社化しました。この株式譲渡による取引額は1億6,127万円です。
ジェイフロンティアは、オンライン診療や服薬指導・薬の宅配プラットフォームの運営などを行っています。
シーディは1981年に設立され、埼玉草加市に本社を置く会社です。医薬品などのECサイト運営。医薬品卸販売。調剤薬局運営などの事業を行っています。
本件M&Aにより、双方の特性を活かした事業拡大、競争力強化を目指します。
医薬品卸業界のM&A売却事例⑥:メディカルネット×ノーエチ薬品
株式会社メディカルネットは、2021年6月に完全子会社であるオカムラを通じてノーエチ薬品株式会社を子会社化しました。
メディカルネットは、東京渋谷区に本社を置き大阪・福岡にも支社を構える会社で、インターネットによる医療・生活関連情報サービスの提供を事業として行っています。
ノーエチ薬品は1961年に設立され、大阪にて運営されている会社です。薬局薬店向け医薬品・医薬部外品販売を事業として行っています。
本件M&Aによって、メディカルネットはプラットフォーム運営の機能を強化し、さらなる歯科医療の発展に期待しています。
医薬品卸業界のM&Aに関するよくある質問

医薬品卸業界でのM&Aにおいてよくある質問を紹介します。
最適な取引を実現するためにも、ぜひ参考にしてください。
医薬品卸業界のM&Aに関するよくある質問①:地方企業でもM&Aは可能ですか?
もちろん全国問わず、M&Aは可能です。
全国対応するM&A助言会社はありますし、買い手もまだ事業展開していない地域への進出を目的として、M&Aを戦略の一つとして活用することは一般的です。
医薬品卸業界のM&Aに関するよくある質問②:どうすればよい条件で会社を売却できますか?
いくつかの留意点を押さえれば、よい条件で売却できる可能性は高まります。
業界によって、株式価値評価の相場が異なるため、M&A助言会社に相談し、企業評価を取得することから始めるのが、よい選択であると考えられます。
医薬品卸業界のM&Aに関するよくある質問③:M&Aによって債務を解消できますか?
M&Aを実施すれば、買い手企業が債務も引き継いでくれるケースもあります。
また、M&Aを実施すれば、譲渡益や売却益など、まとまった資金を手に入れられます。そこで獲得した資金を債務の返済に充てることもできるでしょう。
まとめ

医薬品卸業界では、業界再編の進行により、中小規模の企業が生き残ることが難しい状況となっています。
医薬品卸業界でM&Aを進めることができれば、大手グループの傘下となって経営の安定化と事業の継続が可能となるため、中小企業にとって有効な選択肢として注目されています。
M&Aを実施する際には、適切な助言会社の選定や自社の収益力・財務状況の把握、自社の強みのアピールが重要です。これらを意識して、理想のM&Aを実現させましょう。
オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。
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