建設・ゼネコン業界のM&A事情を詳しく解説!業界動向や事例もあわせて紹介

2024.11.23

公開日:2024.11.23

2024.11.23

2026.01.01

更新日:2026.01.01

2026.01.01

建設・ゼネコン業界のM&A事情を詳しく解説!業界動向や事例もあわせて紹介

昨今、建設・ゼネコン業界は再開発などの影響で需要が高まっており、M&A取引が活発に行われるようになっています。

建設・ゼネコン業界では、多くの企業で人材不足や後継者不足が問題となっており、M&Aが解決の有効な手段として注目されています。

では、具体的に建設・ゼネコン業界のM&A事情はどうなっているのでしょうか。本記事では、最新の建設・ゼネコン業界のM&A事情を解説します。さらに、建設・ゼネコン業界におけるM&Aのメリットや事例も紹介しているため、建設・ゼネコン業界でM&Aを考えている方はぜひ参考にしてください。

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。

また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。

まずは一度、弊社の無料相談サービスをご利用ください。

建設・ゼネコン業界とは?業界の現状を解説

建設・ゼネコン業界の動向

建設・ゼネコン業界は、社会インフラを整える産業として地域と経済を支える重要な役割を担っています。近年は、人手不足の深刻化や資材価格の上昇が続き、従来とは異なる課題が表面化しています。

さらに、デジタル化の推進や市場構造の変化も進み、企業が取り組むべき戦略は多様化しています。迅速な対応が求められる場面が増えており、業界全体で変革が進んでいるといえます。

建設・ゼネコン業界の定義

建設・ゼネコン業界は、社会インフラや建築物の整備を通じて地域の発展と生活基盤を支える重要な産業です。ゼネコンは、建築工事や土木工事を総合的に管理し、専門工事業者を取りまとめながら工事全体を安全に進める役割を担っています。

また、発注者との調整、工期や予算の管理など多岐にわたる業務を通じて、プロジェクトの品質を確保する存在でもあります。

こうした幅広い機能を果たすことで、公共施設、住宅、商業施設などの建設が円滑に進み、社会の維持に欠かせない仕組みが保たれています。そのため、建設・ゼネコン業界は経済活動を支える基盤産業として、今後も安定したニーズが見込まれます。

建設・ゼネコン業界の動向

建設・ゼネコン業界は、社会インフラや建築物を整備することで地域の発展を支え、日常生活の基盤を形づくる産業です。中心となるゼネコンは、建築工事や土木工事を総合的に管理し、専門工事会社と調整しながら工事を安全に進める役割を担います。

また、発注者との協議や工期・予算の管理など、幅広い業務を通じてプロジェクトの品質を守る立場でもあります。こうした機能によって公共施設や住宅、商業施設の建設が滞りなく進み、社会を維持する仕組みが成り立っています。

今後も一定の需要が続くと考えられ、経済活動を下支えする産業といえるでしょう。

建設・ゼネコン業界の市場規模

建設・ゼネコン業界の市場規模は、景気や公共投資の動向によって大きく変動してきました。1992年には建設投資が84兆円まで拡大しましたが、その後はバブル崩壊や公共工事の縮小を背景に減少し、2011年には42兆円まで縮小しました。

しかし、老朽化インフラの更新需要や都市再開発の進展により、市場は再び拡大傾向にあります。2021年には58.4兆円まで回復し、国土交通省が公表した「令和6年度建設投資見通し」では73兆200億円に達するとされています。

一方で、地域別では需要にばらつきがあり、地方では工事件数が減少するケースもあります。市場規模が拡大しているとはいえ、企業には地域の実情を踏まえた事業戦略が求められます。

サービス・運営形態の多様化

建設・ゼネコン業界は、社会インフラや建築物の整備を通じて地域の発展を支え、日常生活の基盤を形成する産業です。中心となるゼネコンは、建築工事や土木工事を総合的に管理し、専門工事会社と調整しながら工事を安全に進める役割を担います。

また、発注者との協議、工期や予算の管理など幅広い業務を通じて、プロジェクトの品質を確保する立場でもあります。こうした機能により、公共施設、住宅、商業施設の建設が滞りなく進み、社会を維持する仕組みが成り立っています。

今後も一定の需要が続くと見込まれ、経済活動を下支えする産業といえます。

高齢化社会の進展

建設・ゼネコン業界では、高齢化の進行が事業運営に大きな影響を及ぼしています。特に熟練技能者の高齢化が進み、現場を支えてきた人材が減少している点は大きな課題です。若年層の入職が伸び悩む状況も続いており、技術継承が進まず、人材構成が偏るリスクが高まっています。

さらに、高齢化は建設需要の変化にもつながっています。医療施設や高齢者向け住宅の建設が増える一方、施工を担う人材が不足しているため、需要と供給のギャップが生じています。

このような状況から、企業は育成体制の強化や働きやすい職場環境づくりを通じて若手人材の確保を急ぐ必要があります。同時に、熟練者の知識を効率的に引き継ぐ仕組みも重要であり、業界全体で継続的な人材戦略を整える取り組みが求められます。

コロナ禍の影響

建設・ゼネコン業界は、コロナ禍の影響を多面的に受けました。特に資材供給の遅れや物流の混乱が発生し、現場への資材搬入が計画どおりに進まないケースが少なくありませんでした。

さらに、感染防止対策の徹底が求められ、作業人数の調整や工程の見直しが必要となりました。その結果、工期が延びる案件が増え、対面での打ち合わせが難しくなったことで現場管理の方法にも変化が生じています。

こうした状況を受け、オンライン会議やリモートでの現場確認など、デジタルツールの活用が急速に広がりました。また、民間開発の一部が停滞した一方で、住宅需要やインフラ保全の分野では一定の需要が保たれています。

コロナ禍は業界の課題を明確にしただけでなく、デジタル化を加速させる契機となり、新たな方向性が定着したといえます。

建設・ゼネコン業界のM&A動向とは?

建設・ゼネコン業界のM&A動向とは?

建設・ゼネコン業界では、人材不足や事業継続リスクの高まりを背景に、M&Aを活用する企業が増えています。企業規模を問わず、技術者の確保や事業基盤の強化を目的とした再編が進んでおり、同業種間だけでなく異業種との連携も活発になっています。

同業種間でのM&A

建設・ゼネコン業界では、人材不足や受注環境の変化を受け、同業種間でのM&Aが活発化しています。特に中小規模の建設会社では技術者の確保が難しく、施工体制を維持するために同業他社との統合を選ぶ動きが増えています。

また、地域ごとの工事件数に差がある中で、隣接エリアの企業を取り込むことで営業範囲を広げやすくなります。

さらに、大手ゼネコンや中堅企業は、専門工事に強みを持つ会社をグループに加えることで、受注できる案件の種類を広げる動きを強めています。

こうした流れは、安定した施工体制の維持につながり、事業を継続的に展開するための戦略として定着しつつあります。

異業種間でのM&A

建設・ゼネコン業界では、事業領域を広げる目的で異業種とのM&Aが増えています。特に設計事務所や不動産会社との連携は、企画から運営まで一体で進められる体制につながり、提案力の強化に寄与しています。

また、BIM・CIMなどのデジタル技術が普及する中で、IT企業をグループに加える動きも広がっています。デジタル化が進むほど施工管理の効率化や品質向上を図りやすくなるため、ITとの協業は有効な手段といえます。

さらに、脱炭素や省エネ化の流れを受け、環境技術を持つ企業とのM&Aも増加しています。環境分野の知見を取り入れることで、公共工事や再開発プロジェクトで求められる要件に対応しやすくなるためです。

このように、異業種とのM&Aは企業価値を高める取り組みとして定着しつつあり、今後も重要性が高まると見込まれます。

建設・ゼネコン業界のM&Aの流れ

建設・ゼネコン業界のM&Aの流れ

建設・ゼネコン業界におけるM&Aの流れは、大きく分けて下記の3つのステップから構成されます。

1.M&Aの事前準備、助言会社の選定
2.買い手候補との接触、意向表明受領

3.詳細調査(DD)、最終契約締結・クロージング

それぞれ詳しくみていきましょう。

Step1.M&Aの事前準備、M&A助言会社の選定

まず、M&Aの事前準備とM&A助言会社を選定します。

事前準備として、M&A助言会社と秘密保持契約を締結し、初期的な資料を開示します。秘密保持契約とは、自社の秘密情報を他社に開示する場合に、その情報を秘密に保持することを締結する契約です。

その上で、売却戦略をM&A助言会社と策定し、譲渡候補先企業を優先順位ごとに並べたロングリスト(※1)を作成します。

譲渡の目的を満たすストラクチャー(※2)の検討や、譲渡完了に至るまでの全体のスケジュールについても事前準備の段階で検討します。

また、この段階でM&A助言会社とエージェント契約を締結します。

M&A助言会社を選定する際に注意しておきたいのが、仲介とFA(フィナンシャル・アドバイザー)の違いです。

仲介とは、いわゆるマッチングサービスのことで、売り手と買い手の双方とそれぞれ仲介契約を締結します。M&Aの当事者双方から依頼を受けているため、いずれか一方の利益のみを優先的に取り扱うことはできず、双方の意向を一元的に把握し、双方の共通の目的であるM&Aの成立を目指し、助言や調整を行います。また、手数料は売り手と買い手の双方から受領します。

それに対してFAとは、M&Aを実行するためのアドバイスを提供するサービスのことで、M&Aの当事者一方のみから依頼を受けます。M&Aの相手方(譲渡候補先企業を含む)に対して、依頼者に対して提供するのと同様の業務を提供することはありません。M&Aの当事者一方のみから依頼を受けているため、依頼者の意向を踏まえて、依頼者にとって有利な条件でのM&Aの成立を目指し、助言や調整を行います。

弊社では、売り手のみと契約を締結してM&Aを支援する専属エージェントサービス(売り手特化型FAサービス)を提供しており、手数料は依頼者である売り手のみから受領し、売り手の利益を最大化することを目指します。

また、譲渡戦略の策定と並行して、譲渡候補先企業へ開示する資料準備も進めます。M&Aプロセスの初期に譲渡候補先企業に対して開示する資料には、匿名の企業概要書(ティーザー(※3))、インフォメーション・パッケージ(※4)があります。

※1 ロングリスト:一定の条件で絞り込んだ譲渡候補先の企業をまとめたリストのこと。
※2 ストラクチャー:M&Aを実行するための手段や方法のこと。
※3 ティーザー:匿名の企業概要書で、通常1枚から2枚で構成される資料のこと。
※4 インフォメーション・パッケージ:譲渡候補先企業がM&Aを検討する際の参考資料。対象会社(事業)の魅力を伝え、譲渡候補先企業が企業価値評価を実施できることを目的に作成される。

Step2.譲渡候補先企業との接触、意向表明受領

次に、譲渡候補先企業と接触します。

ロングリストに基づき、M&A助言会社が譲渡候補先企業と接触し、ティーザーを開示します。その上で関心を示す相手に対して、秘密保持契約を締結した上でインフォメーション・パッケージを開示します。

対象会社(事業)の譲受を希望する譲渡候補先企業は、売り手に対して意向表明書を提出します。意向表明書には、譲渡価格の水準や取引の前提条件、取引後の対象会社の運用方針などが記載されます。譲渡側(売り手)はこれを検討・比較し、受け入れ(基本合意)可能かを判断します。

売り手においては、後述する詳細調査(デュー・デリジェンス:DD)のプロセスにおいて、対象会社の秘密情報が譲渡候補先企業に開示されることになるため、DDを受け入れる前に納得感の得られる取引条件であることを確認することが非常に重要です。譲渡候補先企業においても、DDにおける専門家起用の費用負担や多大な労力が生じるため、この段階で独占交渉権を求めることが一般的です。

そのため、基本合意を締結し、守秘義務や独占交渉権などを取り決めた上で、次のステップに進むことになります。

Step3.詳細調査(DD)、最終契約締結・クロージング

意向表明書を受理して基本合意書の締結をしたら、デュー・デリジェンス(DD)と呼ばれる詳細調査と最終締結・クロージングです。

M&Aにおいては、譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)との間に、情報の非対称性が必然的に生じます。この非対称性をできるだけ解消するために、買い手が実施する対象企業への調査がDDです。

買い手にとってDDには、以下のような目的があります。

・自社のM&A戦略に合致した事業かどうか詳細まで検討する
・定量化可能なDDの発見事項を、譲渡価格へ反映する
・定量化できないDDの発見事項を、最終契約書の条件へ反映し、リスクを遮断する
・M&Aの目的を達成するためのストラクチャーを検討する
・M&A実行後に必要な対応を明確化し、統合計画に反映させる

その後、最終契約締結に移ります。譲渡価格や契約条件を交渉し、双方が納得のいく形で契約を締結します。そしてM&A取引が実行され、対象の株式・事業の引き渡しをし、譲渡代金を支払って経営権の移転が完了します。

譲渡企業オーナーの譲渡を想定したより詳細なM&Aのプロセスは、以下の記事で解説していますので、ぜひご活用ください。
[M&Aのプロセス]

建設・ゼネコン業界のM&Aのメリットとは?5つを紹介

建設・ゼネコン業界のM&Aのメリット

建設・ゼネコン業界でM&Aを実施するメリットとして、以下の5つが挙げられます。

・事業を継続でき、従業員の雇用を守れる
・仕入先・取引先への影響を最小限に抑えられる
・後継者不足を解消できる

・ブランド力、販売力を強化できる
・経営リスクを軽減し、事業承継をスムーズに進められる

それぞれ詳しくみていきましょう。

建設・ゼネコン業界のM&Aのメリット①:事業を継続でき、従業員の雇用を守れる

第三者への事業承継を選択せずに廃業を選択した場合は、従業員は職を失うことになり、新しい職を探す必要があります。また、経営者としては、従業員のために新しい職を見つけてあげるなどの対応をするケースも考えられます。

一方で、M&Aの実施により、従業員の雇用を継続でき、経営者は従業員に対する責任を果たせるでしょう。

建設・ゼネコン業界のM&Aのメリット②:仕入先・取引先への影響を最小限に抑えられる

事業承継において、廃業を選択した場合は、仕入先や取引先との契約を終了させる必要があります。債権債務の整理など、さまざまな影響が自社および取引先に波及します。

一方で、M&Aを実施する場合、一般的には既存取引先との契約関係は引き継ぐことが多く、廃業による影響を最小限に抑えられます。

建設・ゼネコン業界のM&Aのメリット③:後継者不足を解消できる

先述した通り、建設・ゼネコン業界では、人材不足とそれにともなう後継者不足が深刻な問題となっています。後継者となる人物を見つけるには、ある程度の技術やノウハウを持った人材でなければなりません。

しかし、M&Aを実施すれば、自社内や身内に後継者となり得る人材がいない場合でも、事業承継が可能となります。廃業を選択する必要がなくなるため、従業員の雇用やすでに関係が構築されている取引先を維持できるため、後継者が見つかるとさまざまなメリットが生じます。

建設・ゼネコン業界のM&Aのメリット④:ブランド力、販売力を強化できる

建設・ゼネコン業界のM&Aでは、買収先が持つブランド力を取り込むことで、自社の信用力を高めやすくなります。特に地域で長く事業を続けてきた企業を引き継ぐ場合、既存の顧客基盤や知名度を活用しやすくなり、受注獲得につながる点が利点です。

また、実績のある企業をグループに加えることで、公共工事や大型案件に参加できる機会が増え、営業面での優位性を確保しやすくなります。さらに、サービス領域が広がることで提案の幅が広がり、顧客に対して一貫した支援を提供しやすくなる点も特徴です。

このように、M&Aを通じてブランド力と営業力を強化する取り組みは、競争が激しい建設業界で安定した事業基盤を築くうえで有効といえます。

建設・ゼネコン業界のM&Aのメリット⑤:経営リスクを軽減し、事業承継をスムーズに進められる

建設・ゼネコン業界では、後継者不足や人材確保の難しさを背景に、事業承継を円滑に進める方法としてM&Aを選ぶ企業が増えています。買い手企業のグループに加わることで、施工管理や資材調達の負担を分散でき、経営リスクを抑えやすくなる点が大きな利点です。

加えて、財務基盤が安定した企業の支援を受けられることで資金繰りの不安が軽減され、既存の取引先にも安心感を示しやすくなります。また、買い手側が持つ管理体制やノウハウを取り入れることで、承継後の運営を整えやすくなる点も特徴です。

こうした作用により、事業の継続性を確保しつつ、従業員の雇用や顧客との関係も維持しやすくなります。そのため、M&Aは建設業で有力な選択肢の一つといえます。

建設・ゼネコン業界のM&Aの相場

建設・ゼネコン業界のM&Aの相場

建設・ゼネコン業界の相場は、一概にいくらと明言できません。その企業の売り上げやブランド力、立地などさまざまな要素から判断されます。

これまでM&A仲介会社では年買法といわれる簡便的な株式評価手法を用いて評価を実施することが一般的でした。これは純資産に営業利益の数年分を加算する簡単な計算方法であり、理解が容易な一方、実績ベースの評価で、加算される営業利益の年数も業界ごとに固定的なものとなります。

その結果、成長性のある事業ほど低く株式価値が算定されてしまうリスクがあります。正しく買い手の株式価値評価手法を理解することは、売り手オーナーが自身の利益を守るために重要です。

建設・ゼネコン業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。

・インカムアプローチ
・マーケットアプローチ

インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。

理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。

本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。

マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。

・類似会社比較法
・類似取引比較法

類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。

具体的には、以下のように算定します。

EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)

EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。

また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかで算定結果は大きく依存します。

企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。

企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値

第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。

なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。

しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。

M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
[うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~]

 また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
[株価シミュレーター]

建設・ゼネコン業界のM&Aのポイントとは?押さえておきたい3つを紹介

建設・ゼネコン業界のM&Aのポイント

建設・ゼネコン業界でM&Aを実施する際に押さえておきたいポイントとして、下記の3つが挙げられます。

・適切なM&A助言会社を選定する
・自社の正当な収益力・財務状況を把握する
・シナジー効果が大きい企業を選択する

それぞれ詳しく解説します。

建設・ゼネコン業界のM&Aのポイント①:適切なM&A助言会社を選定する

M&A助言会社に求められる能力は、法務・会計・税務・ファイナンスに精通していること、誠実であること、顧客の立場に寄り添って助言を提供できる立ち位置であること、M&Aの売り手・買い手の双方の行動原理を理解しそれを交渉に活かせること、と多岐に渡ります。

真に顧客に寄り添える立場であるか、また、上記を見極めるためにも売り手・買い手の双方から報酬を受領する仲介会社ではなく、売り手と同じ船に乗り事業オーナーに対し助言する会社(FA)であるかの選定が重要です。また、その会社に在籍するアドバイザーの知識や経験、ノウハウなどを含むFAサービスの品質が重要です。

建設・ゼネコン業界のM&Aのポイント②:自社の正当な収益力・財務状況を把握する

売り手にとって、自社をよい条件で売却するために必要なのは、自社の正当な収益力・財務状況の把握です。

税務対策やオーナーの個人的な経費を費用計上している中小企業は数多くあるため、具体的な買い手候補にアプローチする前に、自社の実質的な収益力や、貸借対照表においての現金化可能資産や非事業用資産を確認し、実質的な自社の財務状況の把握が必要です。

建設・ゼネコン業界のM&Aのポイント③:シナジー効果が大きい企業を選択する

M&Aで企業を売却する際には、できるだけシナジー効果が大きい企業を選択しましょう。シナジー効果が大きい企業の方が、自社の事業を高く評価してくれる可能性が高く、高値での売却にも期待できます。

買い手にシナジー効果を認識してもらうためには、自社を客観的に見たデータや今後の事業計画、買い手側の企業の事業内容などをしっかりと分析・準備することが大切です。買い手候補を幅広く探し、複数の企業と交渉を進めることで、最適な企業との取引を実現しましょう。

建設・ゼネコン業界のM&A売却事例6選

建設・ゼネコン業界のM&A売却事例

ここでは、建設・ゼネコン業界で実施されたM&Aの売却事例を紹介します。本記事では、下記の6つの事例を紹介します。

・オリックス×サンシャ
・大成建設×佐藤秀
・住友林業×笹沢建設

・メイホーホールディングス × 三川土建
・清水建設 × 丸彦渡辺建設
・大林組 × MWH社(米国建設会社)

実際の取引を参考にして、自社の売却のために役立ててください。

建設・ゼネコン業界のM&A売却事例①:オリックス×サンシャ

オリックスは、2024年7月4日付けでサンシャの全株式を取得しました。

オリックスは、リース業や法人金融、環境エネルギー、産業/ICT機器、自動車関連など、多角的な事業を展開しています。経営課題に対する専門性を活かし、経営者育成や人材採用、ガバナンス体制のさらなる強化を図るとともに、中長期的な成長を多方面から支援しています。

サンシャは、関西エリアを中心に建物の地盤補強を目的とした基礎くい打ち事業を行う、業歴34年の建設工事業者です。主に工場や倉庫など大型施設建設の基礎工事に強みを持ち、高い技術力と実績を有しています。

本取引は、後継者育成や事業の持続的成長などの事業承継課題の解決を目的として実施されました。近年、工場やデータセンター、物流施設の大型化にともない、建物を支える基礎により強固な構造が求められており、今後も事業拡大が見込まれています。

建設・ゼネコン業界のM&A売却事例②:大成建設×佐藤秀

大成建設は、2023年11月30日付けで佐藤秀の全株式を取得し、完全子会社化しました。

大成建設は、1873年創業の会社で、国内外における土木事業や建築事業、開発事業およびエンジニアリング事業を中核としている業界屈指の建設会社です。

佐藤秀は、首都圏を中心に高級住宅や社寺などの伝統建築、斬新なデザイナーズマンションやオフィスビルなどを手がける総合建設会社で、高い技術力をもとに高品質な建築を提供しています。

大成建設は、本取引によって、佐藤秀を迎えて高級住宅や伝統建築などの事業領域において共同で取り組み、お客様の幅広いニーズをより一層充足できると考えています。今後は両者の営業基盤や経営資源を活用し、シナジーを最大化してさらなる企業価値向上を目指しています。

建設・ゼネコン業界のM&A売却事例③:住友林業×笹沢建設

住友林業は、2023年4月6日付けで笹沢建設の事業承継に係る基本契約を締結しました。

住友林業は、森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅や中大規模木造建築の請負、不動産開発、木質バイオマス発電など、木を軸とした事業をグローバルに展開しています。

笹沢建設は、軽井沢地域を中心に、別荘建設をはじめ、一般住宅や各種保養所、分譲地開発、公共事業などを手がける老舗建設会社です。2017年度以降、軽井沢町における持家着工数ではトップシェアを誇っています。

住友林業は本取引によって、笹沢建設の軽井沢町での確かな実績や土地調達ネットワーク、別荘建築の施工管理能力が住友林業グループのさらなる競争力強化につながると判断しました。事業承継によって笹沢建設の幅広い事業やノウハウを活用し、事業拡大を目指しています。

建設・ゼネコン業界のM&A売却事例④:メイホーホールディングス × 三川土建

メイホーホールディングスは、2023年1月4日付で子会社のメイホーエクステックを通じ、三川土建の全株式を取得し、子会社化しました。

メイホーホールディングスは建設関連サービス、人材サービス、建設事業、介護事業などを手掛ける複合企業グループです。

三川土建は新潟県東蒲原郡阿賀町を拠点とする土木工事会社で、1949年設立。売上高約2.53億円、営業利益約0.282億円、純資産1.87億円(取得発表時)などの規模でした。

このM&Aにより、メイホーグループは地域密着の土木基盤を強化しました。さらに人材交流や技術共有を通じたシナジーを期待しており、地域インフラ分野での競争力向上が見込まれます。

建設・ゼネコン業界のM&A売却事例⑤:清水建設 × 丸彦渡辺建設

清水建設は、2023年5月31日付で丸彦渡辺建設の株式を50%超取得し、同日付で連結子会社化しました。

清水建設は国内大手の総合建設会社で、建築・土木・不動産開発・エンジニアリングなど幅広く事業を展開しています。

丸彦渡辺建設は1918年創業の北海道札幌市拠点の総合建設会社で、建築・土木・リニューアル・機械/生産サポート事業を展開、2022年3月期売上高約264億円、従業員数約492人でした。

このM&Aを通じて、清水建設は北海道エリアでの事業基盤を強化し、丸彦渡辺建設が持つ地域営業力や人材を活用して建築・土木分野の拡大を狙っています。

建設・ゼネコン業界のM&A売却事例⑥:大林組 × MWH社(米国建設会社)

大林組は、2023年末に米国の水処理関連施設建設会社(MWH Constructorsを傘下に持つ子会社)を買収しました。

大林組は国内外で建築・土木・都市開発を手がける大手ゼネコン企業です。

買収対象は、米国において水処理施設の設計・施工を行ってきた専門企業であり、環境インフラ分野に強みを持っています。

この買収によって大林組は、海外の成長市場に対し迅速な参入と技術獲得を図り、国内建設需要の先行き不透明感に対応するポートフォリオ強化を進めるものと考えられます。

建設・ゼネコン業界のM&Aに関するよくある質問

建設・ゼネコン業界のM&Aに関するよくある質問

建設・ゼネコン業界でのM&Aにおいてよくある質問を紹介します。

理想の取引を実現するためにも、ぜひ参考にしてください。

建設・ゼネコン業界のM&Aに関するよくある質問①:地方企業でもM&Aは可能ですか?

もちろん全国問わず、M&Aは可能です。

全国対応するM&A助言会社はありますし、買い手側もまだ事業展開していない地域への進出を目的として、M&Aを戦略の一つとして活用することは一般的です。

建設・ゼネコン業界のM&Aに関するよくある質問②:よい条件で会社を売却できますか?

いくつかの留意点を押さえれば、よい条件で売却できる可能性は高まります。

業界によって、株式価値評価の相場が異なるため、M&A助言会社に相談し、企業評価の取得から始めるのが、よい選択であると考えられます。

建設・ゼネコン業界のM&Aに関するよくある質問③:進行中の案件がある場合はどうすればよいでしょうか?

進行中の案件がある場合は、売り手と買い手で十分に協議してください。建設・ゼネコン業界では、完成するまで何年もかかる案件を抱えているケースも多いでしょう。

その場合は、買い手が引き継ぐか、他の建設・ゼネコン企業へ引き継ぐかの2択となります。買い手へ引き継ぐ場合には費用の負担割合を明確にして、他者への場合は承認を得る必要があります。

まとめ

まとめ

建設・ゼネコン業界では、人材不足が深刻な問題となっています。労働力不足や後継者不足など、若くて技術やノウハウを持った人材不足に悩まされている企業がM&Aを実施するケースが多くなっています。

建設・ゼネコン業界でM&Aを実施すれば、後継者問題を解決でき、廃業する必要がなくなります。それにともない、従業員の雇用を確保でき、取引先との関係も崩さずに済むでしょう。

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。

また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。

まずは一度、弊社の無料相談サービスをご利用ください。

この記事の著者

RISONAL 編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

まずは無料で
ご相談ください

お電話でのお問い合わせ

03-6831-9322

(平日9:00〜18:00