カフェ業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!
公開日:2026.05.28
2026.05.28
更新日:2026.05.28
2026.05.28
カフェ業界は、コーヒーや紅茶などの飲料と軽食を提供する喫茶店、コーヒー専門店、カフェチェーンによって構成される産業です。日経COMPASSの業界データによれば、喫茶店・コーヒー専門店の国内市場規模は、2023年時点で約1兆1,892億円(前年比20%増)まで回復し、コロナ禍前を上回る水準に達しました。2024年以降も、訪日需要の回復と国内消費の安定を背景に、堅調に推移しているとみられます(※)。
原材料価格の高騰、人件費の上昇、エネルギーコストの増加、人手不足といった経営課題は重く、個人経営カフェにとってはコスト転嫁が難しい状況です。一方で、サードウェーブコーヒー、スペシャルティコーヒー、フードペアリング、サブスクリプション型の会員制など、業態の多様化と高付加価値化も進んでいます。こうした環境下で、店舗、ブランド、顧客基盤、運営ノウハウを引き継ぐ手段として、M&Aが選択肢の一つとなっています。
本記事では、カフェ業界でM&Aを行う際の相場の考え方をはじめ、業界の現状や代表的な売却手法について解説します。
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※参考:日経COMPASS「喫茶店・カフェ業界 市場規模・動向」
カフェ業界の現状
カフェ業界は、市場規模1兆円超まで回復した一方、事業者間の二極化が進む構造です。事業者構成は、全国チェーン運営事業者、地域チェーン運営事業者、個人経営の喫茶店・カフェ、専門店(スペシャルティコーヒー店等)に大別されます。売上上位企業としては、スターバックスコーヒージャパン、ドトール・日レスホールディングス、コメダホールディングス、タリーズコーヒージャパンなどが挙げられます。
業態の多様化が進んでいます。コーヒー単価の上昇を支えるスペシャルティコーヒー店、店内体験を重視するサードウェーブ型カフェ、コワーキング機能を組み合わせたワークカフェ、フード提供で滞在価値を高めるカフェレストラン、サブスクリプション制を導入する会員制カフェなど、立地と顧客層に応じた業態の細分化が進んでいます(※)。
コスト構造の変化も大きい局面にあります。アラビカ種を中心とするコーヒー生豆価格は、2024年以降の世界的な需給逼迫や円安の影響を受けて上昇し、原材料費比率の上昇が経営を圧迫しています。さらに、最低賃金の継続上昇、エネルギーコスト増、人手不足による採用難・離職率上昇など、店舗運営の人件費・固定費圧力も強まっています。こうした環境変化に単独で対応できない個人経営事業者では、廃業や売却を検討する動きが見られ、地域チェーンや全国チェーンへの集約も進んでいます。
M&A動向としては、複数店舗を運営する個人事業者の事業承継型M&A、地域チェーンの全国チェーンによる取り込み、コーヒー専門店ブランドの取得、不動産・観光・小売系の異業種参入による既存店舗群の取得などの動きが見られます。コメダホールディングスやドトール・日レスホールディングスなどによるブランドポートフォリオ拡充の動きも見られ、上場大手による戦略的な再編も続いています。
※参考:日経COMPASS「喫茶店・カフェ業界 市場規模・動向」
カフェ業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介
カフェ業界でM&Aが選ばれる理由は、大きく「事業承継・運営負担の軽減」「コスト高騰・人手不足への対応」の二つに整理できます。
まず、事業承継の観点では、個人経営のカフェ・喫茶店はオーナー自身がバリスタ・調理・接客・経営を一手に担うケースが多く、後継者不在がそのまま廃業リスクに直結します。経営者の高齢化、本業との両立困難、健康上の理由などから、引退局面に直面した個人オーナーによる売却ニーズも高まっています。長年営業してきた店舗ほど、固定客との関係や認知度といった無形価値が大きく、廃業ではなく承継を選ぶ意義も大きくなります。
次に、コスト高騰・人手不足の観点では、コーヒー豆価格の高騰、最低賃金の上昇、エネルギー費の増加、人手不足による採用・離職コストの増加といった経営圧力を、個人経営事業者ほど吸収しにくい構造となっています。地域チェーンや全国チェーンの傘下に入ることで、原材料の共同調達、人材プールの共有、運営オペレーションの標準化といったスケールメリットを享受しやすくなります。
カフェ業界のM&Aでは、飲食店営業許可の取扱い、食品衛生責任者の配置体制、店舗賃貸契約のチェンジ・オブ・コントロール条項、バリスタ・スタッフのリテンション、独自レシピやメニューの権利関係といった論点が複雑になりやすく、これらを含めた事業価値を適切に評価できる買い手を見つけることが、成否を左右するポイントとなっています。
カフェ業界での企業売却方法は?3種類を紹介
カフェ業界のM&Aでは、売却対象や営業許可、契約、人材の引き継ぎ方針によって、選ぶべき方法が変わります。代表的な手法は以下の3つです。
- 株式譲渡
- 会社分割
- 事業譲渡
それぞれの手法について解説します。
株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴
株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては最も多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。
株式譲渡のメリット
株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、会社そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。
そのため、以下のようなメリットがあります。
- 従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
- 許認可や契約の再取得が原則不要で、実務上の負担が少ない
- 法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる
とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。ただし、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。
株式譲渡の注意点・デメリット
一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。
そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するデューデリジェンス(詳細調査)を丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。
会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点
会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。
会社分割の主な種類
会社分割には、以下のような分類があります。
- 新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
- 吸収分割:既存の他社に事業を承継させる
さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。
- 分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
- 分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る
会社分割のメリットと特徴
会社分割の最大の特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。
また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。
税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い
会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、採用するスキームによっては「非適格分割」に該当します。
非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。
また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。
事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点
事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。
譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。
事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい
事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。
特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。
売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税
事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。
また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。
課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとの課税・非課税を区分し課税対象資産部分の消費税を計算する必要があり、それぞれの対価を合理的に区分し、課税・非課税の計算を行う必要があります。
事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑
個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットと言えます。
- すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
- 許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある
カフェ業界の売却の流れは?3つのステップを紹介
カフェ業界のM&Aを進める場合は、大きく3つのステップに分けて進められます。
- M&Aの準備と助言会社の選定
- 買い手候補先企業との接触、意向表明受領
- 詳細調査(DD)、最終契約とクロージング
それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておきましょう。
Step1.M&Aの準備と助言会社の選定
はじめに、売却目的と希望条件を整理したうえで、M&A助言会社を選定します。この段階で重要なのは、いくらで売れるかだけでなく、どのような買い手に、どのような形で事業と人材を引き継ぎたいのかを明確にしておくことです。
カフェ業界では、評価や条件に影響しやすい論点として、店舗別の月次売上、客数、客単価、原価率、人件費率、店舗賃貸契約の条件や残存期間、設備の保有状況と更新計画、バリスタやスタッフの在籍状況と契約条件、独自メニューやレシピの権利関係、原材料の調達ルートと取引条件、固定客の状況やサブスク会員数、SNS・口コミでの評判などが挙げられます。これらを事前に棚卸しし、資料として説明できる状態に整えておくことで、後工程での条件修正を抑えやすくなります。
Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領
次に、助言会社を通じて買い手候補へ打診を行います。初期段階では概要資料を提示し、関心を示した企業と秘密保持契約を締結したうえで、財務・事業運営に関する詳細情報を開示します。
買い手候補は、譲渡価格のレンジ、取引方法、引き継ぎ条件、売却後の運営方針などをまとめた意向表明書を提出します。売り手は、提示金額だけでなく、従業員の処遇、ブランドの継続方針、取引先関係の維持なども含めて比較したうえで、基本合意に進むかを判断するのが一般的です。
Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング
基本合意後は、買い手による詳細調査が行われます。カフェ業界では、財務・税務・契約関係に加えて、営業許可や事業固有の論点が重視されやすい点が特徴です。
調査結果を踏まえて最終条件を調整し、最終契約を締結します。その後、対価の決済と引き渡しを行うクロージングをもって、取引が完了します。
M&Aの流れについてより詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
M&Aの流れとは?準備からクロージング・PMIまで全ステップを売り手目線で解説
カフェ業界の売却の相場は?価値算定方法を解説
カフェ業界のM&Aにおける売却価格は、「〇〇円が相場」と一律に決まるものではありません。実務では、収益力、資産、ブランド力、人材、営業許可や契約関係といった要素を総合的に評価したうえで、最終的に売り手と買い手の交渉によって価格が決まります。
カフェ業界のM&Aでは、店舗ごとの売上・利益、立地条件、ブランド力、固定客の規模、独自メニューやレシピのオリジナリティ、設備の状態などが評価に大きく影響します。原材料費や人件費比率の高さが収益性を圧迫しやすいため、買い手は粗利率の安定性と固定客基盤の継続性を重視します。
こうした理由から、カフェ業界のM&Aでは、まず企業価値を算定し、そのうえで負債や現金なども考慮しながら、評価の全体像を整理するのが一般的です。
以下では、その基本的な考え方について解説します。
1.企業価値を算定する
カフェ業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。
理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。
本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。
マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。
- 類似会社比較法
- 類似取引比較法
類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。
具体的には、以下のように算定します。
EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)
EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。
また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかによって、算定結果は大きく左右されます。
2.株式価値を算定する
企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。
企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値
第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。
なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。
しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。
M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~
また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
カフェ業界で企業を売却する3つのメリット
カフェ事業でM&Aを活用するメリットは、経営者個人の利益にとどまりません。適切な承継は、店舗の継続営業、固定客との関係維持、バリスタやスタッフの雇用維持といった関係者の利益を守る手段にもなります。
- 店舗運営とブランドを守れる
- コスト負担の軽減につながる
- 経営者は売却益を得られる
ここでは、売り手にとって特に重要な3つのメリットを解説します。
店舗運営とブランドを守れる
個人経営カフェや喫茶店は、長年の営業を通じて、固定客との関係、店舗の雰囲気、独自のメニューやレシピなど、目に見えにくい経営資源を蓄積しています。廃業を選択した場合、これらの無形資産は失われやすく、固定客は他店へ流れる可能性があります。
M&Aによって事業が承継されれば、店舗の営業やブランド、スタッフ体制を維持しながら事業を引き継ぎやすくなり、売り手にとっては自ら築いてきた価値を守りながら承継を進めやすい点が大きなメリットです。
コスト圧力から解放される
コーヒー豆価格の高騰、最低賃金の継続上昇、エネルギー費の増加など、カフェ業界では構造的なコスト圧力が続いています。個人経営事業者にとって、原材料の共同調達やオペレーション標準化によるコスト削減には限界があり、収益性の低下につながりやすい状況です。
M&Aによってチェーン系の運営体制を備えた買い手に引き継げれば、スケールメリットを活かしたコスト構造を取り入れやすくなり、事業継続の可能性を高めやすくなります。経営者個人としても、継続的なコスト対応の負担を軽減しやすくなります。
経営者は売却益を得られる
M&Aによる売却は、これまで築いてきた店舗、ブランド、固定客基盤、設備、独自レシピを含む事業価値を資金化する手段です。得られた売却益は、引退後の生活資金や資産承継、次の事業への投資などに活用できます。
廃業した場合、原状回復費用、設備処分費、スタッフ対応などの後処理が発生し、回収できる金額が大きく目減りすることがあります。M&Aであれば、事業の継続性を前提に価値が評価されるため、経営者はより計画的に出口を設計しやすくなります。
カフェ業界で企業を売却する際の3つのポイント
カフェ業界でM&Aを成功させるためには、単に売上があるだけでは不十分です。買い手は、店舗別の収益性、賃貸契約の継続可能性、独自レシピやブランド資産の整理状況、スタッフの継続意向を慎重に確認します。
- 店舗別データと固定客基盤の整理
- 賃貸契約・営業許可対応、レシピ権利の整理
- 信頼できる専門家を活用する
ここでは、カフェの売却を検討する際に、特に重要な3つのポイントを解説します。
店舗別データと固定客基盤の整理
カフェの評価は、店舗ごとの売上実績と固定客基盤の継続性に大きく左右されます。買い手は、月次売上、客数、客単価の推移、原価率や人件費率、繁忙時間帯と閑散時間帯の客足、固定客のリピート頻度などを確認します。
売却前に以下の点を棚卸しし、説明できる状態にしておくことが重要です。
- 店舗別の月次売上・客数・客単価(過去3年分)
- 原材料費比率・人件費率・固定費率の推移
- 曜日別・時間帯別の客足傾向
- 固定客の状況・サブスク会員数・リピート率
- SNS・Googleマップなどの口コミ評価とフォロワー数
この整理が不十分だと、DDを経て価格が下がったり、取引自体が成立しなくなる要因になります。
賃貸契約・営業許可・レシピ権利の承継準備
カフェのM&Aで重要な論点となるのは、店舗賃貸契約の取り扱い、飲食店営業許可への対応、食品衛生責任者の配置体制、独自メニューやレシピの権利関係です。賃貸契約のチェンジ・オブ・コントロール条項、賃料改定リスク、保健所対応を含む必要な手続きなどを事前に確認しておく必要があります。
評価を高めるためには、以下のような取り組みが重要です。
- 店舗別の賃貸契約条件と更新時期
- 賃貸人との関係性と引き継ぎ可否の事前確認
- 飲食店営業許可の状況と必要な手続きの確認
- 独自レシピ・メニューの権利帰属(オーナー個人か法人か)の明確化
- 店舗設備の保有状況と更新計画
賃貸契約の継続可能性や営業許可対応の見通しが明確だと、買い手にとって投資判断がしやすくなり、評価にもプラスに働きやすくなります。
信頼できる専門家を活用する
カフェのM&Aは、店舗賃貸契約、飲食店営業許可の取扱い、独自レシピの権利関係、スタッフの雇用契約など、一般的な事業売却に加えて個別論点が多い領域です。準備や設計が不十分なまま進めると、売却後にトラブルが生じるリスクもあります。
そのため、以下のような専門家の支援を受けることが重要です。
- FAをはじめとした売り手側に立つM&A助言会社
- 飲食店M&Aの実績がある弁護士・税理士
売り手専属のFAを活用すれば、価格交渉や条件調整においても、売り手の利益を優先した交渉を進めやすくなります。感情に左右された場当たり的な判断を避けるという観点でも、第三者による専門的な視点は不可欠といえるでしょう。
カフェ業界での企業売却にかかる税金とは?
企業を売却する際には、売却益に対して税金が発生します。この税金の仕組みは、「個人オーナーが売却する場合」と「法人が株式を譲渡する場合」で異なるため、正しく理解しておくことが重要です。個人・法人別にわかりやすく解説します。
個人オーナーの場合
個人が自社株などの株式を譲渡し、譲渡益(売却益)が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。
課税の仕組み
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
この譲渡所得には、以下の税が課せられます。
- 所得税(復興特別所得税含む)
- 住民税
給与所得などとは分離して課税されるため、所得の合算は不要ですが、確定申告が必要です。
ただし、ミニマムタックスに該当する場合は給与所得等の他の所得との合算して算出する必要があるため、適切に節税するためには、事前に税理士など専門家への相談が欠かせません。
法人の場合
法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。
法人の場合の税務処理
- 譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
- 譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
- 所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能
評価差額にも注意
帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。
まとめ
カフェ業界は、市場規模1兆円超の業界である一方、原材料費、人件費、エネルギーコストの高騰や人手不足といった構造的なコスト圧力に直面しています。個人経営事業者の廃業や売却の動きが見られる一方、チェーン系運営事業者による集約や、観光・小売系の異業種からの参入も進んでいます。M&Aは、店舗、ブランド、固定客基盤を守りながら事業を承継するための現実的な選択肢の一つです。
売却を成功させるためには、店舗別データの整理、賃貸契約・営業許可対応・レシピ権利の整理も含め、専門家の支援を受けながら早期から適切な準備を進めることが欠かせません。
RISONALでは、売り手に特化したFAサービスを提供しています。専属のエージェントがお客様の希望に沿った取引を実現するため、最適なサポートを行います。より高い評価額での売却を目指したアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を抑えた成約も可能です。
カフェ業界のM&Aでは、買い手目線で条件調整が進みやすい仲介型の支援の場合、価格や引き継ぎ条件が売り手に不利になるケースも少なくありません。そのため、誰の利益を最優先に交渉するのかを明確にした支援体制が重要です。
無料相談が可能です。実際にどの程度の価格で売却できるのか、また、どのようにすればより高く売却できるのかを、ぜひご確認ください。
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