会社の廃業手続きと必要な費用は?手続きの全体像や廃業を検討すべきケースを紹介
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- 事業承継
公開日:2026.05.01
2026.05.01
更新日:2026.05.01
2026.05.01
会社の廃業を考え始めた経営者にとって、最初に知りたいのは「何をすべきか」「いくらかかるのか」という点です。廃業は経営者の判断で事業を終了させる手続きですが、実際には解散の決議から清算結了登記まで、多くの工程を順に進める必要があります。
手続きの全体像を把握しないまま進めると、想定外の費用が発生したり、税務上不利な処理につながったりするおそれがあります。また、廃業以外にもM&Aという選択肢がある場合、手続きに入る前に比較検討しておくことで、より有利な判断ができる可能性があります。
本記事では、会社の廃業手続きの全体像に加え、必要な費用、廃業を検討すべきケース、M&Aとの比較まで解説します。
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会社の廃業手続きとは
会社の廃業手続きとは、経営者の任意の判断で事業活動を停止し、会社を法的に消滅させるための一連の手続きです。倒産とは異なり、債務超過ではなくても実行できます。株式会社の場合、会社法上は株主総会での解散決議、清算手続き、清算結了登記という流れで進みます。
廃業は「事業をやめる」だけでは完了しません。債権の回収、債務の返済、残余財産の分配、各種届出、登記手続きまで含めて一通り終えて、はじめて法人格が消滅します。手続きを怠ると、法人が「休眠状態」のまま残り続け、税務申告の義務や法人住民税の負担が続くことがあります。
法人が廃業する際の手続きの全体像
法人の廃業手続きは、大きく3つのフェーズに分かれます。解散に向けた事前準備、解散・清算の実務、清算完了後の手続きです。
- 解散に向けた事前準備
- 解散・清算の実務
- 清算完了後の手続き
それぞれのフェーズで何を行い、どこに注意すべきかを順番に確認します。
解散に向けた事前準備
廃業の手続きは、解散決議の前に行う準備段階から始まります。この段階での整理が不十分だと、その後の手続きで混乱が生じやすくなります。
解散前の準備事項
解散を決議する前に、会社の現状を正確に把握しておく必要があります。具体的には、債権・債務の棚卸し、契約関係の整理、従業員への対応方針の検討、在庫や設備の処分計画などを進めます。
特に従業員がいる場合は、解雇予告や退職金に関する法的・実務的な論点を事前に確認しておく必要があります。取引先への通知時期も、事業への影響を考慮しながら計画的に決めておくことが重要です。
解散・清算の実務
解散の決議と清算人の選任・登記
株式会社の場合、解散には原則として株主総会の特別決議が必要です。解散決議と同時に、清算人を選任します(清算人は、定款による定めなどにより選任することもあります)。清算人は、清算事務を行う責任者であり、多くの場合は代表取締役がそのまま就任します。
解散決議と清算人選任が完了したら、原則として2週間以内に法務局で解散登記と清算人選任登記を行う必要があります。この登記により、会社が清算手続きの段階に入ったことが公的に証明されることになります。
社会保険や税務関連の届出・届出書の提出
解散登記が完了したら、税務署、都道府県税事務所、市区町村に対して必要な異動届出書を提出します。また、年金事務所への社会保険(健康保険・厚生年金)の適用事業所全喪届や、雇用保険の適用事業所廃止届、労働基準監督署への労働保険保険関係成立届も必要です。
届出の漏れがあると、廃業後も各種負担や事務対応が残るおそれがあります。提出先と期限を一覧化して管理しておくことが重要です。
財産の調査および財産目録・貸借対照表の作成
清算人は、解散時点での会社財産を調査し、財産目録と貸借対照表を作成します。株式会社では、これらの書類について株主総会で承認を受ける必要があります。
財産の調査では、帳簿に記載されていない資産(未収入金、含み損益のある資産など)も含めて漏れなく把握することが重要です。
官報公告の掲載と債権者への個別催告
解散後は遅滞なく、債権者保護のための手続きを行う必要があります。
まず、会社が解散したことを債権者に知らせ、債権の申出を促すため、官報に解散公告を掲載します。債権申出期間は原則として2ヶ月以上であり、この期間中に申し出のなかった債権者については、一定の場合に清算手続から除斥されることがあります。
また、併せて、会社が把握している取引先や金融機関などの債権者には、個別に書面による解散の事実と債権申出の催告を行います。
官報公告の手続きは、官報販売所を通じて申し込みます。掲載までに数日かかるため、解散登記後すぐに手配を始めることが望ましいです。
債権回収と債務の返済
清算人は、会社が持つ債権を回収し、債務を返済していきます。売掛金の回収、貸付金の返済請求、借入金の返済など、すべての債権債務を整理する必要があります。
債権の回収が困難な場合は、回収可能性を踏まえた整理が必要になることもあります。債務の返済については、法的な優先関係や実務上の整理を踏まえて慎重に進める必要があります。
解散事業年度の確定申告
解散日までの解散事業年度について、確定申告が必要です。解散事業年度の確定申告は、解散日の翌日から2ヶ月以内に行います。
資産の換価処分、債務の弁済、残余財産の株主への分配
会社の資産を換価し、債務を弁済した後に残った財産(残余財産)は、株主に対して持株比率などに応じて分配されます。残余財産の分配については、株主側で税務上の論点が生じる場合があります。
残余財産の分配を受けた株主には、みなし配当課税が生じる場合があります。分配のタイミングと税務上の影響を、税理士と事前に確認しておくことが重要です。
清算完了後の手続き
すべての清算事務が完了したら、最終的な手続きに入ります。
残余財産が確定した事業年度の確定申告
残余財産が確定した事業年度については、残余財産確定日から1ヶ月以内に確定申告を行う必要があります。
この申告は通常の確定申告とは期限が異なるため、注意が必要です。期限を過ぎると加算税が発生するおそれがあります。
なお、解散から1年以内に残余財産が確定しない場合は、1年ごとに区切って清算事業年度の申告を行う必要があります。清算が長引く場合は、複数回の申告が必要になることがあります。
決算報告の作成と株主総会での承認
清算人は、清算事務の結果をまとめた決算報告書を作成し、株主総会で承認を受けます。決算報告書には、収入・支出の実績、資産の処分結果、残余財産の分配状況などが記載されます。
株主総会で決算報告が承認されることで、清算事務は完了に向かいます。
清算結了の登記
株主総会で決算報告が承認されたら、2週間以内に法務局で清算結了登記を行います。この登記をもって会社の法人格は消滅し、廃業手続きが完了します。
なお、清算結了登記完了後は、税務署や都道府県税事務所などへの届出も忘れずに行う必要があります。
また、清算結了後も、帳簿書類等の書類については10年間の保存義務があるため、保存責任者を決め、関係書類を適切に保管しておくことも重要です。
法人の廃業に必要な費用
廃業にはさまざまな費用が発生します。事前に費用の全体像を把握しておかないと、手元に残る金額が想定を大きく下回ることがあります。主な費用項目は以下の通りです。
- 登記に必要な費用
- 官報公告の掲載費用
- 専門家への依頼費用
- 在庫や設備の処分費用
- 不動産の原状回復にかかる費用
費用の規模は会社の状況によって大きく異なり、登記費用や公告費用に加えて、専門家報酬、設備処分費用、原状回復費用などが発生します。
登記に必要な費用
解散登記、清算人選任登記、清算結了登記には、それぞれ登録免許税が発生します。合計額は会社形態や手続内容を踏まえて事前に確認しておく必要があります。
司法書士に登記手続きを依頼する場合は、別途報酬が発生します。報酬額は司法書士事務所によって異なりますが、5万円〜10万円程度が目安です。
官報公告の掲載費用
官報への解散公告の掲載には費用がかかります。金額は公告内容や文字数によって変動するため、事前に見積もりを確認しておく必要があります。
官報公告は法定手続の一部であるため、省略できる前提では考えない方が安全です。掲載までに数日〜1週間程度かかるため、解散登記後すぐに手配する必要があります。
専門家への依頼費用
廃業手続きを税理士、司法書士、弁護士に依頼する場合は、それぞれ報酬が発生します。確定申告の代行は税理士に、登記手続きは司法書士に、債権債務の整理で法的な問題がある場合は弁護士に依頼するケースが一般的です。
費用水準は依頼範囲や会社の状況によって大きく異なるため、税理士や司法書士への報酬は事前に個別見積もりを取ることが重要です。弁護士が関与する場合はさらに費用が加算されます。廃業手続き全体を一括で依頼できるサービスもあるため、複数の事業者から見積もりを取ることが重要です。
在庫や設備の処分費用
在庫の廃棄や設備の撤去・処分には費用がかかります。特に産業廃棄物に該当する設備の処分は、専門の処理業者に依頼する必要があり、費用が高くなりやすい傾向があります。
在庫については、廃棄するよりも値引きしてでも売却した方が費用を抑えられる場合があります。設備についても、中古市場で需要がある場合は売却を検討する方が合理的です。
不動産の原状回復にかかる費用
賃借している事務所や店舗がある場合は、退去時に原状回復費用が発生します。内装の撤去、壁や床の修繕、設備の取り外しなどが対象になります。
原状回復の範囲は賃貸借契約の内容によって異なるため、事前に契約書を確認しておく必要があります。費用は数十万円から数百万円と幅があり、廃業費用の中でも大きな割合を占めることがあります。
法人の廃業を検討すべきケース
すべての会社が廃業を選ぶべきというわけではありませんが、以下のような状況にある場合は廃業が現実的な選択肢になることがあります。
- 事業継続が難しくなった
- 後継者がいない
- 運転資金がなくなった
ただし、廃業を決める前にM&Aの可能性も確認しておくことが合理的です。
事業継続が難しくなった
会社の負債が資産を上回る状態や、今後の改善見込みが乏しい状態に至った場合は、事業継続そのものが難しくなることがあります。このまま経営を続けても負担が拡大するだけであれば、早い段階で事業整理の判断を行う方が、関係者への影響を抑えやすくなります。
ただし、債務超過であっても事業自体に収益力がある場合は、M&Aで事業だけを切り出して売却できる可能性があります。廃業を決断する前に、事業譲渡の可能性を専門家に確認してみる価値はあります。
後継者がいない
経営者が引退を考えているにもかかわらず、親族や社内に後継者がいない場合、廃業を検討せざるを得ないことがあります。特に、事業が経営者個人の能力や人脈に強く依存している場合は、引き継ぎ先を見つけること自体が困難になりやすくなります。
後継者不在の問題は、M&Aによって外部の第三者に事業を承継することで解決できる場合があります。事業に一定の収益力や承継価値がある場合は、廃業ではなくM&Aを検討した方が、従業員の雇用維持や手取り額の面で有利になる可能性があります。
運転資金がなくなった
事業を続けるための運転資金が枯渇し、追加の融資も見込めない場合は、廃業を検討する段階です。資金繰りが厳しい状態で無理に事業を続けると、取引先への支払い遅延や従業員への賃金未払いが発生し、関係者に迷惑をかけるおそれがあります。
資金繰りが悪化し始めた段階で早めに判断することで、廃業にかかる費用を確保しやすくなります。事業の存続が困難であると判断した時点で、弁護士や税理士に相談しておくことが重要です。
会社を廃業する前にM&Aという選択肢も検討すべき
廃業を決める前に、M&Aで事業を第三者に承継する選択肢を検討しておくべきです。廃業では事業価値を十分に回収しにくい一方、M&Aであれば事業の収益力や顧客基盤を踏まえた評価で対価を得られる可能性があります。
廃業とM&Aを比較すると、手元に残る金額、従業員への影響、事業の継続性といった面で、M&Aが有力な選択肢になるケースがあります。廃業では設備処分費用や原状回復費用が発生しやすい一方、M&Aでは資産や契約の承継方法によって、こうした負担の一部を抑えられる場合があります。
事業に少しでも引き継ぐ価値があるのであれば、まずはM&Aの可能性を専門家に確認してみることが合理的です。FA(ファイナンシャル・アドバイザー)などのM&A支援業者に相談することで、自社にM&Aの可能性があるかを検討しやすくなります。
廃業とM&Aの違いやそれぞれのメリット・デメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
廃業とM&Aの違いを徹底解説!メリットや税金、向いているケースも紹介
まとめ
会社の廃業手続きは、解散決議から清算結了まで多くの工程があり、費用も数十万円から数百万円程度かかります。手続きの全体像を把握しないまま進めると、想定外の費用や税務上の不利益が生じるおそれがあります。
特に経営者にとっては、以下のような論点を踏まえたうえで判断することが重要です。
- 廃業手続きは事前準備、解散・清算実務、清算完了後の手続き、の3フェーズで進むこと
- 登記費用、官報公告費用、専門家報酬、設備処分費用、原状回復費用が主な費用項目であること
- 廃業を決める前にM&Aで事業を売却できる可能性がないか確認すること
- M&Aが、手取り額、従業員の雇用維持、事業の継続性の面で有力な選択肢となる場合があること
廃業は選択肢の一つですが、最終判断の前に他の選択肢も比較しておくべきです。事業に引き継げる価値がある場合は、廃業手続きを行う前にM&Aの可能性を専門家に確認しておくことに意味があります。
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また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。
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