個人で行うM&Aのメリットは?金額の目安や注意点、成功のポイントも紹介

2026.04.30

公開日:2026.04.30

2026.04.30

2026.04.30

更新日:2026.04.30

2026.04.30

個人で行うM&Aのメリットは?金額の目安や注意点、成功のポイントも紹介

個人事業主であっても、M&Aによって事業を売却することは可能です。近年は、マッチングサイトの普及や後継者不在の深刻化を背景に、個人事業のM&Aは増加傾向にあります。

個人事業のM&Aでは、法人のM&Aとは異なる論点があります。事業譲渡が中心になること、個人の資産と事業用資産を切り分ける必要があること、税務上の取り扱いが異なることなど、事前に押さえておくべきポイントは少なくありません。

本記事では、個人事業のM&Aの基本に加え、金額の目安、増加している理由、メリット・デメリット、進め方、成功のポイントまで解説します。

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個人事業のM&Aとは

個人事業のM&Aとは、個人事業主が営む事業を第三者に承継する取引です。法人のM&Aでは株式譲渡が一般的ですが、個人事業主には株式がないため、個人事業のM&Aでは事業譲渡が中心になります。事業に関する資産(設備、在庫、顧客リスト、契約関係など)を個別に買い手へ引き渡す形で進めます。

個人事業のM&Aでは、事業用の資産と個人の資産が混在しているケースが多くあります。売却の際には、どこまでが事業用資産でどこからが個人資産なのかを明確にしておく必要があります。この整理が不十分なまま交渉に入ると、価格の算定や契約条件の設計で混乱が生じやすくなります。

個人事業M&Aの金額の目安

個人事業のM&Aの売却価格は一律ではなく、数十万円規模から数千万円規模まで幅があります。法人のM&Aと比べると規模は小さい案件は多いものの、事業の収益力、顧客基盤、ブランド力によって金額は大きく変わります。

実務では、年間利益の一定年数分に事業用資産の時価を加味して価格の目線を置く考え方が用いられることがあります。ただし、これはあくまで概算であり、業種、買い手との相性、将来の成長性によって金額は変動します。マッチングサイトで掲示される売却価格は、売り手の希望価格であるため、最終的な成約価格とは異なる場合があります。

自社の売却価格を把握したい場合は、専門家に相談して価値評価を受けることが重要です。

個人事業のM&Aが増えている理由

個人事業のM&Aは、近年、存在感が高まっています。背景にはいくつかの構造的な要因があります。

  • 後継者不在の事業者が増えているから
  • マッチングサイトの普及が進んでいるから
  • 事業承継の選択肢としてM&Aが浸透してきているから

これらの要因が重なったことで、個人事業主にとってもM&Aが現実的な選択肢になっています。

後継者不在の事業者が増えているから

中小企業庁の調査によると、中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化は年々進んでおり、後継者が決まっていない事業者は全体の半数以上に及びます。個人事業主も例外ではなく、家族や従業員に引き継げる相手がいないまま高齢化が進むケースが増えています。

廃業を選ぶと事業価値を十分に回収しにくくなりますが、M&Aで第三者に承継すれば、事業を存続させながら対価を得られる可能性があります。後継者不在を理由に廃業を検討する前に、M&Aの可能性を確認する事業者が増えています。

マッチングサイトの普及が進んでいるから

従来、M&Aは仲介会社やFAを通じて進めるのが一般的であり、個人事業主にとってはハードルが高いものでした。近年はオンラインのM&Aマッチングサイトが普及し、個人事業主でも手軽に買い手候補を探せる環境が整ってきています。

マッチングサイトは比較的低コストで利用できる場合があり、小規模案件でも活用しやすい点が利点です。ただし、条件交渉や契約書の作成には専門知識が必要なため、マッチングサイトだけで完結させるのではなく、必要に応じて専門家の支援を受けることが望ましいです。

事業承継の選択肢としてM&Aが浸透してきているから

かつてM&Aは大企業のものというイメージがありましたが、現在では中小企業や個人事業主のM&Aも一般的になっています。事業承継の選択肢としてM&Aが認知されるようになり、抵抗感が薄れてきたことが背景にあります。

中小M&Aガイドラインの整備や、事業承継・引継ぎ支援センターの設置などの支援体制整備も追い風になっています。

個人事業主にとってもM&Aは現実的な選択肢の一つになりつつあります。

個人事業主がM&Aをするメリット

個人事業主がM&Aで事業を売却することには、廃業とは異なるメリットがあります。

  • 後継者問題が解決できる
  • 創業者利益を得られる可能性がある
  • 個人保証の解除につながる可能性がある
  • 経営資源や従業員を守れる

廃業と比較したとき、M&Aが売り手にとって有力な選択肢となる場合があります。

後継者問題が解決できる

M&Aによって外部の第三者に事業を引き継ぐことで、後継者不在の問題を解決できる場合があります。家族や従業員に適任者がいなくても、買い手が見つかれば事業は存続します。

個人事業の場合、事業と経営者が一体化していることが多いため、引き継ぎの設計が重要になります。買い手への引き継ぎ期間を十分に確保し、顧客との関係や業務のノウハウを丁寧に渡すことで、承継後の事業安定につながります。

創業者利益を得られる可能性がある

M&Aでは、事業の収益力や将来性も踏まえて対価が検討されます。廃業では資産の処分価値が中心になりやすい一方、M&Aでは顧客基盤やブランド力などの無形価値も評価対象になり得ます。

売り手にとっては、長年築いてきた事業の価値を対価として受け取れる可能性がある点が大きなメリットです。次のキャリアやリタイア後の生活資金に充てることができます。

個人保証の解除につながる可能性がある

個人事業主が借入をしている場合、事業用の融資に対して個人保証を付けていることがあります。M&Aで事業を譲渡し、金融機関との協議が整えば、個人保証の解除につながる場合があります。

個人保証が外れることで、売り手個人が将来にわたって負うリスクは大きく軽減されます。次のキャリアに進むうえでも、経済面だけでなくリスク面で大きな転換点になり得ます。

経営資源や従業員を守れる

廃業を選んだ場合、従業員は職を失い、取引先との関係も途絶えます。M&Aであれば、事業を引き継ぐ買い手のもとで、従業員の雇用や取引関係を維持できる可能性があります。

個人事業であっても、パートやアルバイトを含めた従業員がいる場合は、その生活への影響は無視できません。事業を残すことで、関係者への影響を最小限に抑えられます。

個人事業主がM&Aをするデメリット

M&Aにはメリットがある一方で、売却後の制約や関係者への影響など、事前に理解しておくべきデメリットもあります。

  • 従業員や取引先から悪い印象を持たれることがある
  • 譲渡後に事業の方針が変わることがある

デメリットを把握したうえで、事前に対策を講じながら進めることが重要です。

従業員や取引先から悪い印象を持たれることがある

M&Aの事実を知った従業員や取引先が、「事業を手放した」とネガティブに受け取る場合があります。特に個人事業では、経営者個人への信頼で取引が成り立っているケースが多いため、経営者が変わること自体が不安材料になりやすくなります。

こうした反応を抑えるには、伝えるタイミングと伝え方が重要です。買い手との間で雇用条件や取引条件が整理された段階で、「事業を成長させてくれる相手に引き継ぐ」という文脈で説明することで、不安を和らげやすくなります。

譲渡後に事業の方針が変わることがある

M&Aで事業を渡した後は、事業の運営権は買い手に移ります。買い手が方針を変更し、売り手が意図していた形とは異なる運営になる可能性があります。

売り手にとって、譲渡後の事業方針の変更は懸念事項になり得ます。契約の中で、一定期間の事業方針の維持や従業員の処遇について条件を盛り込むことで、リスクを軽減できる場合があります。

個人事業主がM&Aをする流れ

個人事業のM&Aは、基本的な流れは法人のM&Aと大きくは変わりません。ただし、個人事業では事業譲渡が中心になるため、譲渡対象資産の特定や契約関係の承継手続が加わります。

  • M&Aの専門家を選定する
  • 買い手候補の企業を選定して打診する
  • 買い手候補との面談を行う
  • 基本合意書を締結する
  • 買い手によるデューデリジェンスに対応する
  • 最終契約書を締結する

それぞれの工程で何を行い、売り手として何に注意すべきかを確認します。

M&Aの専門家を選定する

最初に行うべきなのは、M&Aの支援を受ける専門家の選定です。FA(ファイナンシャル・アドバイザー)をはじめとするM&A支援会社、事業承継・引継ぎ支援センターなど、相談先にはいくつかの選択肢があります。

個人事業のM&Aでは案件規模が小さいことも多く、対応可能な専門家が限られることがあります。小規模案件に対応実績のある事業者を選ぶことが重要です。売り手の立場に立って動いてくれるかどうかも、選定の判断基準になります。

買い手候補の企業を選定して打診する

専門家と一緒に、売却の方針に合った買い手候補をリストアップします。ノンネームシート(社名を伏せた概要資料)を使って関心の有無を確認し、関心を示した候補に対して詳細な情報を開示していきます。

個人事業の場合、同業の法人や、新規参入を検討している個人・法人が買い手候補になることがあります。誰に承継するかによって条件が変わるため、価格だけでなく事業の継続性も考慮して候補を絞り込む必要があります。

買い手候補との面談を行う

関心を示した買い手候補と、経営者同士の面談(トップ面談)を行います。売り手にとっては、買い手の経営方針や相性を見極める場でもあります。

個人事業では、経営者個人の信頼関係が事業の根幹にあることが多いため、買い手が事業を引き継いだ後にうまく運営できるかどうかを、この段階で確認しておくことが重要です。

基本合意書を締結する

大枠の条件が合意できたら、基本合意書(LOI)を取り交わします。想定取引価格、譲渡対象の範囲、スケジュール、独占交渉権の有無などが含まれます。

基本合意は法的拘束力が限定的な項目が多いですが、ここで合意した内容がその後の交渉のベースになります。売り手として不利な条件が入り込んでいないかを、専門家と一緒に確認しておくことが重要です。

デューデリジェンスを実施する

基本合意後は、買い手が売り手の事業を詳細に調査するデューデリジェンスが行われます。財務、税務、法務、事業の各領域について、資料開示やヒアリング対応が求められます。

個人事業の場合、帳簿が簡易的であったり、個人の資産と事業の資産が混在していたりすることがあります。デューデリジェンスで不利な指摘を受けにくくするためにも、事前に資料を整理しておくことが重要です。

デューデリジェンスについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

M&Aにおけるデューデリジェンス(DD)とは?目的や流れ、売り手側のポイントを解説

最終契約書を締結する

デューデリジェンスの結果を踏まえて最終条件を確定し、事業譲渡契約書を締結します。譲渡対象の資産、対価、引渡し条件、表明保証、競業避止義務などが記載されます。

売り手にとっては、表明保証の範囲や補償条項が譲渡後のリスクに直結するため、契約内容は慎重に確認する必要があります。専門家の支援を受けながら、自分にとって不利な条項が入っていないかを最終確認したうえで署名すべきです。

M&A全体の流れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

2025年版 M&Aの進め方マニュアル──失敗しない6ステップ

個人事業主がM&Aを成功させるポイント

個人事業のM&Aを成功させるためには、準備の段階でいくつかのポイントを押さえておく必要があります。

  • M&Aの目的を明確にする
  • 事前に事業の状況を整理しておく
  • 専門家のアドバイスを受ける

場当たり的に進めるのではなく、計画的に準備を進めることが結果を左右します。

M&Aの目的を明確にする

売却の目的が曖昧なまま進めると、交渉の途中で判断基準がぶれやすくなります。後継者不在の解決を優先するのか、創業者利益の確保を重視するのか、従業員の雇用維持を最も大切にするのかによって、選ぶべき買い手も条件も変わります。

最初に「何を守りたいのか」「何を得たいのか」を明確にしておくことで、交渉全体の軸が定まります。

事前に事業の状況を整理しておく

個人事業のM&Aでは、事業用資産と個人資産の切り分け、帳簿の整備、契約関係の棚卸しが特に重要です。買い手に正確な情報を提示できなければ、評価が下がるか、交渉自体が進みにくくなります。

確定申告書、売上明細、顧客リスト、賃貸借契約書、許認可の状況など、事業に関する資料を事前に一通り整理しておくことで、デューデリジェンスもスムーズに進みます。

専門家のアドバイスを受ける

個人事業のM&Aでは、税務上の取り扱いが法人とは異なります。事業譲渡で得た対価に対する所得税の計算方法や、譲渡する資産の種類ごとの税務処理は、専門家でなければ正確に把握しにくい領域です。

また、契約書の設計や競業避止義務の条件交渉にも専門知識が必要です。規模が小さいからこそ、一つの見落としが結果に大きく影響します。FA、税理士、弁護士と連携して進めることで、結果に対する納得度を高めやすくなります。

まとめ

個人事業主であっても、M&Aは十分に実行可能です。後継者不在や廃業を検討している場合でも、事業に引き継ぐ価値があれば、買い手が見つかる可能性はあります。

特に売り手にとっては、以下のような論点を踏まえたうえで進めることが重要です。

  • 個人事業のM&Aは事業譲渡が中心で、事業用資産と個人資産の切り分けが必要であること
  • 売却金額は年間利益の1〜3年分+事業用資産が目安だが、業種や買い手によって変動すること
  • 競業避止義務や引き継ぎ条件は契約前に交渉で調整できること
  • 個人事業だからこそ、税務・法務の専門家との連携が結果を左右すること

廃業を決める前に、まずM&Aの可能性を確認しておくことには意味があります。早い段階から専門家に相談し、自社の価値を正しく把握したうえで、準備と交渉の両面を固めていく必要があります。

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。

また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。

まずは一度、弊社の無料相談サービスをご利用ください。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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