水産加工・卸業界のM&A|水産加工・卸業界の動向やM&A事例を解説!
公開日:2025.02.21
2025.02.21
更新日:2025.02.21
2025.02.21

昨今、水産加工・卸業界は市場規模が減少傾向にあり、廃業を防ぐためにM&A取引が活発に行われるようになっています。
また、水産加工・卸業界では、多くの企業で人材不足が深刻な問題となっており、M&Aが有効な解決の手段として注目されています。
では、具体的に水産加工・卸業界のM&A事情はどうなっているのでしょうか。本記事では、最新の水産加工・卸業界のM&A事情を解説します。さらに、水産加工・卸業界におけるM&Aのメリットや事例も紹介しているため、M&Aを考えている方はぜひ参考にしてください。
オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。
また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。
まずは一度、弊社の無料相談サービスをご利用ください。
水産加工・卸業界の動向

まず、水産加工・卸業界の動向として、市場規模と業界の課題を解説します。
M&Aを実施するうえで把握しておきたい前提事項となるため、ぜひ参考にしてください。
水産加工・卸業界の市場規模
水産庁「水産物の流通・加工の動向」によると、2019年時点で、水産物卸市場数は586ヵ所となっています。具体的な内訳としては、地方卸売市場(産地)が316ヵ所、地方卸売市場(消費地)が236ヵ所、中央卸売市場が34ヵ所です。

水産庁「水産物の流通・加工の動向」
全体的に市場数は減少傾向にあります。しかし、地方卸売市場(産地)は2016年を境に増加傾向にあり、好調を維持しています。
また、水産加工品のうち食用加工品の生産量は1989年以降、総じて減少傾向にありますが、ねり製品や冷凍食品の生産量については、2009年頃から横ばいの状態です。冷凍食品の中でも、生鮮冷凍水産物の生産量は、平成前期には食用加工品の生産量を上回っていましたが、1995年以降は食用加工品が上回るようになりました。
このように、水産物はねり製品や冷凍食品など、さまざまな商品に加工された状態で供給されることが多くなっています。
水産加工・卸業界の課題
水産業界は、業界全体として市場規模が減少傾向にあります。その要因として、労働力不足が挙げられるでしょう。
水産業界は自然からの影響を受けやすい労働環境となっているため、労働環境を重視したい方からは敬遠されがちな業界です。
また、少子高齢化も深刻な問題の一つです。もともとベテランの多い業界ですが、他の業種と比較して重労働を任されがちな水産業では、若者が心配して敬遠する傾向にあります。
さらに、少子高齢化や都市部への人口流動により、日本の小さな地方自治体では過疎化が進んでいます。漁業は都市部よりも地方の方が盛んなため、過疎地域が増えると人手不足となり、最終的には廃業とせざるを得ないケースも多いでしょう。
日本の水産業が衰退し始めている一方で、海外市場は拡大傾向にあります。特にアジア地域を中心に急増しており、今後も需要の拡大が予想されています。
水産加工・卸業界のM&A動向

水産加工・卸業界では、国内の水産物の消費量減少や海外での需要増加にともない、急速な環境の変化に対応するために、M&Aによる業界再編が進んでいます。輸出入や流通網、仕入れルートや養殖施設の確保をし、業界の変化への適応を進める大手企業が増えています。
また、後継者問題を解決するためのM&Aも増加しています。M&Aによる事業承継を実現できれば、後継者を探す負担が軽減され、短期間で事業承継を完了できるでしょう。
さらに、先述の通り、国内での需要が衰退しているのに対し、海外での需要は高まっている状態です。これは、健康意識の高まりや日本食への注目が背景とされています。そこで、国内の水産加工・卸会社は海外に拠点を構えることも多く、海外企業の買収や提携を進めるなどの対応をするようになっています。
水産加工・卸業界のM&Aの流れ

水産加工・卸業界におけるM&Aの流れは、大きく分けて下記の3つのステップから構成されます。
1.M&Aの事前準備、助言会社の選定
2.買い手候補先企業との接触、意向表明書受領
3.詳細調査(DD)、最終契約締結・クロージング
それぞれ詳しくみていきましょう。
Step1.M&Aの事前準備、助言会社の選定
まず、M&Aの事前準備とM&A助言会社を選定します。
事前準備として、M&A助言会社と秘密保持契約を締結し、初期的な資料を開示します。秘密保持契約とは、自社の秘密情報を他社に開示する場合に、その情報を秘密に保持することを締結する契約です。
その上で、売却戦略をM&A助言会社と策定し、買い手候補先企業を優先順位ごとに並べたロングリスト(※1)を作成します。
譲渡の目的を満たすストラクチャー(※2)の検討や、譲渡完了に至るまでの全体のスケジュールについても事前準備の段階で検討します。
また、この段階でM&A助言会社とエージェント契約を締結します。
M&A助言会社を選定する際に注意しておきたいのが、仲介とFA(フィナンシャル・アドバイザー)の違いです。
仲介とは、いわゆるマッチングサービスのことで、売り手と買い手の双方とそれぞれ仲介契約を締結します。M&Aの当事者双方から依頼を受けているため、いずれか一方の利益のみを優先的に取り扱うことはできず、双方の意向を一元的に把握し、双方の共通の目的であるM&Aの成立を目指し、助言や調整を行います。また、手数料は売り手と買い手の双方から受領します。
それに対してFAとは、M&Aを実行するためのアドバイスを提供するサービスのことで、M&Aの当事者一方のみから依頼を受けます。M&Aの相手方(買い手候補先企業を含む。)に対して、依頼者に対して提供するのと同様の業務を提供することはありません。M&Aの当事者一方のみから依頼を受けているため、依頼者の意向を踏まえて、依頼者にとって有利な条件でのM&Aの成立を目指し、助言や調整を行います。
弊社では、売り手のみと契約を締結してM&Aを支援する専属エージェントサービス(売り手特化型FAサービス)を提供しており、手数料は依頼者である売り手のみから受領し、売り手の利益を最大化することを目指します。
また、譲渡戦略の策定と並行して、買い手候補先企業へ開示する資料準備も進めます。M&Aプロセスの初期に買い手候補先企業に対して開示する資料には、匿名の企業概要書(ティーザー(※3))、インフォメーション・パッケージ(※4)があります。
※1 ロングリスト:一定の条件で絞り込んだ買い手候補先の企業をまとめたリストのこと。
※2 ストラクチャー:M&Aを実行するための手段や方法のこと。
※3 ティーザー:匿名の企業概要書で、通常1枚から2枚で構成される資料のこと。
※4 インフォメーション・パッケージ:買い手候補先企業がM&Aを検討する際の参考資料。対象会社(事業)の魅力を伝え、買い手候補先企業が企業価値評価を実施できることを目的に作成される。
Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領
次に、買い手候補先企業と接触します。
ロングリストに基づき、M&A助言会社が買い手候補先企業と接触し、ティーザーを開示します。その上で関心を示す相手に対して、秘密保持契約を締結した上でインフォメーション・パッケージを開示します。
対象会社(事業)の譲受を希望する買い手候補先企業は、売り手に対して意向表明書を提出します。意向表明書には、譲渡価格の水準や取引の前提条件、取引後の対象会社の運用方針などが記載されます。売り手はこれを検討・比較し、受け入れ(基本合意)可能かを判断します。
売り手においては、後述する詳細調査(デュー・デリジェンス:DD)のプロセスにおいて、対象会社の秘密情報が買い手候補先企業に開示されることになるため、DDを受け入れる前に納得感の得られる取引条件であることを確認することが非常に重要です。買い手候補先企業においても、DDにおける専門家起用の費用負担や多大な労力が生じるため、この段階で独占交渉権を求めることが一般的です。
そのため、基本合意を締結し、守秘義務や独占交渉権などを取り決めた上で、次のステップに進むことになります。
Step3.詳細調査(DD)、最終契約締結・クロージング
意向表明書を受理して基本合意書の締結をしたら、デュー・デリジェンス(DD)と呼ばれる詳細調査と最終契約締結・クロージングです。
M&Aにおいては、売り手と買い手との間に、情報の非対称性が必然的に生じます。この非対称性をできるだけ解消するために、買い手が実施する対象企業への調査がDDです。
買い手にとってDDには、以下のような目的があります。
・自社のM&A戦略に合致した事業かどうか詳細まで検討する
・定量化可能なDDの発見事項を、譲渡価格へ反映する
・定量化できないDDの発見事項を、最終契約書の条件へ反映し、リスクを遮断する
・M&Aの目的を達成するためのストラクチャーを検討する
・M&A実行後に必要な対応を明確化し、統合計画に反映させる
その後、最終契約締結に移ります。譲渡価格や契約条件を交渉し、双方が納得のいく形で契約を締結します。そしてM&A取引が実行され、対象の株式・事業の引き渡しをし、譲渡代金を支払って経営権の移転が完了します。
譲渡企業オーナーの譲渡を想定したより詳細なM&Aのプロセスは、以下の記事で解説していますので、ぜひご活用ください。
[M&Aのプロセス]
水産加工・卸業界のM&Aのメリット

水産加工・卸業界でM&Aを実施するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
・事業を継続でき、従業員の雇用を守れる
・仕入先・取引先への影響を最小限に抑えられる
・後継者不足を解消できる
それぞれ詳しくみていきましょう。
水産加工・卸業界のM&Aのメリット①:事業を継続でき、従業員の雇用を守れる
第三者への事業承継を選択せずに廃業を選択した場合は、従業員は職を失うことになり、新しい職を探す必要があります。また、経営者としては、従業員のために新しい職を見つけてあげるなどの対応をするケースも考えられます。
一方で、M&Aの実施により、従業員の雇用を継続でき、経営者は従業員に対する責任を果たせるでしょう。
水産加工・卸業界のM&Aのメリット②:仕入先・取引先への影響を最小限に抑えられる
事業承継において、廃業を選択した場合には、仕入先や取引先との契約を終了させる必要が出てきます。債権債務の整理をしたり、さまざまな影響が自社および取引先に波及します。
一方で、M&Aを実施する場合、一般的には既存取引先との契約関係は引き継ぐことが多く、廃業による影響を最小限に抑えられます。
水産加工・卸業界のM&Aのメリット③:後継者問題を解消できる
水産加工・卸業界では、人材不足や後継者不足が深刻な問題となっています。後継者不足によって廃業となってしまうと、これまで培ってきた技術やノウハウを失うだけでなく、多くの関係者に迷惑をかけることになります。
しかし、M&Aを実施すれば後継者不足の状況でも事業承継によって事業の継続が可能です。すでに技術やノウハウを持った企業とのM&Aの場合は、後継者の教育に多くの時間や労力を割かずにリタイアもできます。
水産加工・卸業界のM&Aの相場

水産加工・卸業界の相場は、一概にいくらと明言できません。その企業の売り上げやブランド力、立地などさまざまな要素から判断されます。
これまでM&A仲介会社では年買法といわれる簡便的な株式評価手法を用いて評価を実施することが一般的でした。これは純資産に営業利益の数年分を加算する簡単な計算方法であり、理解が容易な一方、実績ベースの評価で、加算される営業利益の年数も業界ごとに固定的なものとなります。
その結果、成長性のある事業ほど低く株式価値が算定されてしまうリスクがあります。正しく買い手の株式価値評価手法を理解することは、売り手オーナーが自身の利益を守るために重要です。
水産加工・卸業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。
・インカムアプローチ
・マーケットアプローチ
インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。
理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。
本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。
マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。
・類似会社比較法
・類似取引比較法
類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。
具体的には、以下のように算定します。
EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)
EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。
また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかで算定結果は大きく依存します。
企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。
企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値
第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。
なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。
しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。
M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
[うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~]
また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
[株価シミュレーター]
水産加工・卸業界のM&Aのポイント

水産加工・卸業界でM&Aを実施する際に押さえておきたいポイントとして、下記の3つが挙げられます。
・適切なM&A助言会社を選定する
・自社の正当な収益力・財務状況を把握する
・条件に優先順位をつける
それぞれ詳しく解説します。
水産加工・卸業界のM&Aのポイント①:適切なM&A助言会社を選定する
M&A助言会社に求められる能力は、法務・会計・税務・ファイナンスに精通していること、誠実であること、顧客の立場に寄り添って助言を提供できる立ち位置であること、M&Aの売り手・買い手の双方の行動原理を理解しそれを交渉に活かせること、と多岐に渡ります。
真に顧客に寄り添える立場であるか、また、上記を見極めるためにも売り手・買い手の双方から報酬を受領する仲介会社ではなく、売り手と同じ船に乗り事業オーナーに対し助言する会社(FA)であるかを選定することが重要です。また、その会社に在籍するアドバイザーの知識や経験、ノウハウなどを含むFAサービスの品質が重要です。
水産加工・卸業界のM&Aのポイント②:自社の正当な収益力・財務状況を把握する
売り手にとって、自社をよい条件で売却するために必要なのは、自社の正当な収益力・財務状況の把握です。
税務対策やオーナーの個人的な経費を費用計上している中小企業は数多くあるため、具体的な買い手候補にアプローチする前に、自社の実質的な収益力や、貸借対照表においても現金化可能資産や非事業用資産を確認し、実質的な自社の財務状況の把握が必要です。
水産加工・卸業界のM&Aのポイント③:条件に優先順位をつける
M&Aを実施する際には、交渉の条件に優先順位をつけるようにしましょう。そもそも条件が明確でなければ、自社に不利な条件で成立する可能性があります。また、優先順位をつけなければ妥協できる部分を見いだせず、交渉決裂となる可能性があります。
M&Aは自社だけでなく相手企業との交渉によって最終的な条件が決まります。すべて自社の思い通りに行く可能性は低いため、あらかじめ優先順位をつけて臨みましょう。
水産加工・卸業界のM&A売却事例

ここでは、水産加工・卸業界で実施されたM&Aの売却事例を紹介します。本記事では、下記の3つの事例を紹介します。
・阪和興業×マルゴ福山水産
・旭食品×香西物産
・麻生×東都水産
実際の取引を参考にして、自社の売却のために役立ててください。
水産加工・卸業界のM&A売却事例①:阪和興業×マルゴ福山水産
阪和興業は、2024年9月30日に、マルゴ福山水産を買収し80%の株式を取得したことを発表しました。
阪和興業は、鉄鋼をはじめとして各種金属、食品、エネルギー、生活資材、機械、住宅資材などの幅広い商材を扱っており、業界に確固たるポジションを築いています。「存在感のある商社」として、時代や社会の変化に応じて拡大・深化しながら発展し続けています。
マルゴ福山水産は2003年に設立され、売上高は38億円です。ホタテ、秋鮭、毛ガニ、ミズダコなど北海道北部で水揚げされる水産物を冷凍加工し、販売しています。産地メーカーの強みを生かした事業展開が特徴的です。
本件M&Aによって、阪和興業の既存グループ会社の強みである加工機能の強化と北米・アセアンなど海外向け販売をより一層強化でき、食品部門全体でのシナジー効果が発生すると考えられています。
水産加工・卸業界のM&A売却事例②:旭食品×香西物産
旭食品は、2023年5月1日付で香西物産を買収し、同じく全額出資会社で水産物などを販売している東洋冷蔵から全株式を取得しました。
旭食品は、トモシアホールディングスの傘下で食品卸売業を展開しています。グループ内では100%子会社の大倉やかいせい物産を軸に、寿司ネタをはじめとする水産物卸売事業の強化を図っています。
香西物産は1979年に設立され、売上高は4億3,500万円です。四国地区や岡山県、広島県などで事業を展開している企業です。
本件M&Aによって、旭食品は水産物卸売事業のエリア拡大を図っています。また、旭食品グループとの連携強化によりシナジーを生み出すことで、香西物産の事業拡大も目指しています。
水産加工・卸業界のM&A売却事例③:麻生×東都水産
麻生は、全額出資で設立した豪壮会社ASTSホールディングスを通じて、東都水産をTOBにより買い付けました。143万3,902株を買い付け、買付金額は66億1,500万円ほどとなっています。出資比率は36.53%となりました。
麻生グループは、明治5年石炭採掘での創業に嚆矢を発し、それ以来電力、銀行、陸運事業など北部九州でのインフラ開発から、筑豊地域での病院経営、不動産開発事業、そしてセメント製造、医療、教育、人材開発と事業を広げ、また変化をさせて今日に至っています。
東都水産は1935年に創設された東京魚市場を前身としており、当時は豊洲市場における水産物取扱高で19%のシェアを誇っていました。主力の水産物卸売をはじめ、冷蔵倉庫、不動産を経営の3本柱としている企業です。
本件M&Aによって、東都水産は麻生グループの有する九州地区での営業基盤やネットワーク、その他幅広い分野での事業基盤などのリソースを活用し、事業基盤の強化や収益力向上に取り組みます。また、麻生グループは、食という新たな事業領域への拡大を図っています。
水産加工・卸業界のM&Aに関するよくある質問

水産加工・卸業界でのM&Aにおいてよくある質問を紹介します。
理想の取引を実現するためにも、ぜひ参考にしてください。
水産加工・卸業界のM&Aに関するよくある質問①:地方企業でもM&Aは可能ですか?
もちろん全国問わず、M&Aは可能です。
全国対応するM&A助言会社はありますし、買い手もまだ事業展開していない地域への進出を目的として、M&Aを戦略の一つとして活用することは一般的です。
水産加工・卸業界のM&Aに関するよくある質問②:どうすればよい条件で会社を売却できますか?
いくつかの留意点を押さえれば、よい条件で売却できる可能性は高まります。
業界によって、株式価値評価の相場が異なるため、M&A助言会社に相談し、企業評価を取得することから始めるのが、よい選択であると考えられます。
水産加工・卸業界のM&Aに関するよくある質問③:どのような業種とのM&Aが多いですか?
水産加工・卸業界は、同業種だけでなく異業種とのM&Aも活発に行われています。異業種の場合、関連性の高い食品関連会社や資金力の豊富なIT関連会社、不動産会社などが挙げられます。
中でも、食品関連会社はすでに水産物の取扱いに関して技術やノウハウ、経験を所有しているケースもあるため、取引が多く行われています。
まとめ

水産加工・卸業界では、労働力や後継者不足によって市場規模が減少しています。その一方で海外市場は拡大傾向にあり、日本だけでなく海外企業も交えたM&Aがみられるようになりました。
水産加工・卸業界でM&Aを実施すれば、後継者不足を解消でき、事業の継続や個人保証の解除、従業員の雇用を守れます。
M&Aを実施する際には、自社の収益力や財務状況を確認し、適切なM&A助言会社を選定したうえで、交渉の条件に優先順位をつけましょう。
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