企業価値評価(バリュエーション)を算出する方法は?重要性や価値を高めるポイントも紹介
公開日:2026.04.27
2026.04.27
更新日:2026.04.27
2026.04.27
M&Aで会社を譲る際に、売却価格を検討する出発点になるのが企業価値評価(バリュエーション)です。自社の価値を適切に把握できていなければ、交渉の場で妥当な価格を主張することが難しくなります。
企業価値の算出には複数の方法があり、どの手法を用いるかによって結果が変わります。売り手にとっては、自社の実態に合った評価がどの手法で示されるのかを理解したうえで、交渉に臨むことが重要です。
本記事では、企業価値の基本的な意味に加え、バリュエーションの重要性、主な算出方法、企業価値を高めるポイント、企業価値を上げるメリットまで解説します。
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企業価値とは
企業価値とは、会社全体の経済的な価値を指します。一般にM&A実務では、企業価値は事業価値を基礎に捉え、そのうえで非事業用資産や有利子負債などを加減して株式価値を整理します。事業が生み出す価値に加えて、遊休資産や余剰現金などの非事業用資産をどう扱うかも、株式価値を整理するうえで重要になります。
M&Aの場面では、企業価値や株式価値の整理が売却価格の基礎になります。売り手にとっては、企業価値がどのように算出され、何が評価対象になるのかを把握しておくことで、交渉での判断基準を持ちやすくなります。企業価値、事業価値、株式価値は似ていますが異なる概念であるため、混同しないよう注意が必要です。
企業価値評価(バリュエーション)とは
企業価値評価(バリュエーション)とは、会社の経済的な価値を定量的に算出するプロセスです。M&Aにおいては、売り手と買い手が価格交渉の土台として利用します。一つの手法で機械的に決まるものではなく、複数の手法を組み合わせて総合的に判断するのが一般的です。
バリュエーションの結果は、算出する側の前提条件や使う手法によって変わります。同じ会社でも、将来の成長率をどう見るか、どの比較対象を選ぶかによって金額は異なります。売り手にとっては、自社の実態に合った評価がどのように導かれるのかを理解しておくことが、交渉力に直結します。
企業価値評価(バリュエーション)の重要性
企業価値評価は、M&Aにおける価格交渉の重要な根拠になります。評価が曖昧なまま交渉に入ると、買い手の提示価格が妥当かどうかを判断できず、本来得られるはずの対価を逃すおそれがあります。
特に売り手にとっては、自社の価値を過小評価されないための防御手段にもなります。バリュエーションの結果を根拠として持っていれば、買い手からの値下げ要求に対しても論理的に反論しやすくなります。また、複数の買い手候補と交渉する場面では、自社の価値を一貫した基準で提示できる点も重要です。
企業価値を算出する3つの方法
企業価値の算出方法は、大きく3つのアプローチに分かれます。それぞれ見ているものが異なるため、自社の状況に合った方法を選ぶ必要があります。
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
- インカムアプローチ
実務では、一つの手法だけで結論を出すのではなく、複数の手法を併用して評価の妥当性を確認するケースが多くなります。
コストアプローチ
コストアプローチは、会社の貸借対照表(バランスシート)をもとに、資産と負債の差額から企業価値を算出する方法です。過去から積み上がった財産の厚みを把握しやすいため、資産性の高い会社や清算価値を意識する場面で使いやすい手法です。
一方で、将来の収益力やブランド力など、貸借対照表に表れにくい価値は反映されにくい点に注意が必要です。主な手法として、時価純資産法と簿価純資産法があります。
時価純資産法
時価純資産法は、会社の資産と負債を帳簿価額ではなく時価で評価し直し、その差額から純資産価値を把握する方法です。帳簿上の金額と実際の市場価値にズレがある場合(不動産の含み益など)に、より実態に近い評価が得られます。
中小企業のM&Aでは、時価純資産法が基礎的な評価手法として広く使われています。ただし、時価の算定自体に専門的な判断が必要であり、特に不動産や知的財産の評価は鑑定士の関与が求められることがあります。
簿価純資産法
簿価純資産法は、帳簿上の資産から負債を差し引いた金額をもとに純資産価値を把握する方法です。計算がシンプルで手間がかからないため、概算での評価に使われることがあります。
ただし、帳簿価額は取得時の金額で記録されているため、現在の市場価値を反映していない場合があります。含み損益が大きい会社では、簿価純資産法だけでは実態と乖離した評価になるおそれがあります。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、市場で実際に成立している取引事例や上場企業の評価水準を参考にして、自社の企業価値を算出する方法です。市場データを参照するため、客観的な説明に使いやすい手法です。
ただし、自社と条件が完全に一致する比較対象は存在しないため、選定する比較対象によって結果が変わりやすい点には注意が必要です。主な手法は以下の通りです。
類似会社比較法(マルチプル法)
類似会社比較法は、事業内容や規模が近い上場企業の株価指標(EV/EBITDA倍率、PER、PBRなど)を参考にして、自社の企業価値を推計する方法です。マルチプル法とも呼ばれ、M&Aの実務で広く使われています。
売り手にとっては、自社と比較される上場企業の選び方によって評価が変わるため、どの企業を比較対象に置くかをFAと一緒に検討することが重要です。業種だけでなく、収益構造や成長性まで含めて類似性を判断する必要があります。
類似業種比準法
類似業種比準法は、主として相続税・贈与税の非上場株式評価で用いられる税務上の手法です。相続税や贈与税の算定で使われることが多く、税務上の評価手法として位置付けられています。
M&Aの価格交渉でそのまま使われることは少ないですが、事業承継の場面では相続税評価額として重要な意味を持ちます。税務上の評価とM&Aの取引価格は異なる場合が多いため、両者を混同しないよう注意が必要です。
市場株価法
市場株価法は、上場企業の株価を基礎に株式価値を把握する方法であり、企業価値を整理する際は有利子負債や現預金などもあわせて検討します。市場で日々取引されている価格を使うため、客観性が最も高い手法です。
非上場企業には直接適用できませんが、M&Aにおいて上場企業が対象になる場合や、上場企業との比較で非上場企業の価値を推計する際の参考値として使われることがあります。
インカムアプローチ
インカムアプローチは、会社が将来生み出す利益やキャッシュフローをもとに企業価値を算出する方法です。将来の収益力を重視するため、成長余地が大きい会社では高い評価が出やすい傾向があります。
売り手にとっては、自社の将来性を価格に反映できるため、コストアプローチよりも有利な評価になる場合があります。ただし、将来予測の前提条件によって結果が大きく変わるため、事業計画の精度が問われます。
DCF法
DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)は、将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を算出する方法です。理論的な整合性が高く、M&Aの実務で最も広く使われている手法の一つです。
ただし、将来のキャッシュフロー予測と割引率の設定によって結果が大きく変わります。売り手としては、根拠のある事業計画を作り込み、買い手が納得できる前提で算出することが重要です。FAや会計士と連携して精度を高めておく必要があります。
収益還元法
収益還元法は、会社が将来にわたって一定の利益を出し続けると仮定し、その利益を還元利回りで割り戻して企業価値を算出する方法です。DCF法と似た考え方ですが、将来の利益を一定と仮定する点が異なります。
計算がDCF法より簡便であるため、利益が安定している会社の概算評価に向いています。一方で、成長企業や利益の変動が大きい会社には適しにくい面があります。
配当還元法
配当還元法は、会社が株主に支払う配当金をもとに株式の価値を算出する方法です。税務上は、少数株主が保有する非上場株式の評価で使われることが多い手法です。
M&Aの場面では、配当還元法だけで価格を決めることはほとんどありません。配当政策は会社ごとに異なり、配当が少ない会社では過小評価になるためです。ただし、税務上の評価として参照される場面があるため、知識として把握しておくことは有用です。
企業価値の評価手法を活用した売却の進め方については、以下の記事でも解説しています。
うちの会社、いくらで売却できる?オーナー経営者が「好条件」でM&Aするための“株式評価手法”
企業価値を高めるポイント
企業価値は固定されたものではなく、経営努力によって引き上げることができます。M&Aの前に企業価値を高めておくことで、売却価格の向上につながりやすくなります。特に重要なポイントは以下の通りです。
- 収益力を底上げする
- 無駄なコストを見直す
- 負債を減らす
いずれも一朝一夕では実現しにくいため、売却を見据えるのであれば早い段階から取り組むことが重要です。
収益力を底上げする
企業価値を最も直接的に引き上げるのは、収益力の改善です。売上の拡大だけでなく、利益率の向上も重要な要素になります。特にインカムアプローチで評価される場合、将来の利益水準がそのまま価格に反映されます。
売り手としては、M&Aの前に新規顧客の開拓、既存顧客の単価向上、リピート率の改善など、収益の持続性を示せる施策に取り組んでおくことが有効です。
無駄なコストを見直す
利益率を改善するためには、売上を伸ばすだけでなく、不要なコストを削減することも有効です。役員報酬の適正化、遊休資産の売却、業務効率化による人件費の見直しなど、バランスシートと損益計算書の両面を整理しておくことで、買い手から見た収益性が改善されます。
特にオーナー企業では、経営者個人の経費が会社の費用に含まれているケースがあります。こうした項目を整理しておくことで、買い手にとっての「実態利益」が明確になり、評価額が改善される場合があります。
負債を減らす
企業価値と株式価値の差には有利子負債や現預金などが影響するため、財務内容の改善は売り手の手取り額に影響します。借入金の返済や不要な保証の整理を進めておくことで、買い手から見た投資リスクも低下します。
ただし、事業運営に必要な運転資金まで過度に圧縮すると、事業の継続性に疑問を持たれるおそれがあります。負債の削減は、事業の健全性を損なわない範囲で進めることが重要です。
企業価値を上げるメリット
企業価値を高めることは、M&Aの売却価格だけでなく、日常の経営にもプラスの影響をもたらします。主なメリットは以下の通りです。
- 融資を受けやすくなる
- 株価が向上する
- 企業の信頼性が高まる
- 倒産のリスクを下げられる
企業価値の向上は、M&Aの有無に関わらず経営の質を高める取り組みです。
融資を受けやすくなる
収益性や財務の健全性が高まった会社は、金融機関から見た信用力も高まりやすくなります。収益性と財務の健全性が評価されるため、融資の審査が通りやすくなり、金利条件も有利になりやすくなります。
M&Aの準備段階で企業価値を高めておけば、万が一売却が成立しなかった場合でも、事業を単独で継続するための資金調達力が維持されます。
株価が向上する
企業価値の向上は、株式の価値にも反映されます。非上場企業であっても、持分や株式の評価額が上がることで、M&Aでの売却価格や事業承継時の評価に好影響を与える可能性があります。
売り手にとっては、株価が高い状態でM&Aに臨むことで、より大きな売却対価を得られる可能性が高まります。
企業の信頼性が高まる
収益性や財務基盤が安定した会社は、取引先、金融機関、従業員からの信頼を得やすくなります。財務基盤が安定している会社は、取引先から見ても継続的な取引相手として安心感があります。
M&Aの場面では、買い手が引き継ぎの対象として魅力を感じる状態を作ることが重要です。信頼性の高さは、価格だけでなく、買い手候補の数や交渉の進めやすさにも影響します。
倒産のリスクを下げられる
企業価値を高めるプロセスは、収益力の改善と財務体質の強化を伴います。結果として、経営が安定し、外部環境の変化に対する耐性が高まります。
売り手の立場では、M&Aの準備を進めている間も事業は継続しています。交渉に時間がかかった場合でも、企業価値が高い状態を維持できていれば、不利な条件で成約する必要がなくなります。
まとめ
企業価値評価(バリュエーション)は、M&Aにおける価格交渉の出発点です。自社の価値を正しく把握し、根拠を持って交渉に臨むことで、本来得られるべき対価を確保しやすくなります。
特に売り手にとっては、以下のような論点を理解しておくことが重要です。
- コスト・マーケット・インカムの3アプローチで評価の方向性が異なること
- どの手法が自社の実態を適切に表しやすいかをFAと一緒に検討する必要があること
- 企業価値はM&A前の経営努力で引き上げられること
- 評価手法の前提条件によって結果が変わるため、事業計画の精度が問われること
企業価値を正しく理解し、高めたうえで売却に臨むことが、納得のいくM&Aにつながります。早い段階からFAや会計士と連携し、自社にとって最も合理的な評価と売却条件を設計していく必要があります。
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