デジタル領域で進む“機能獲得型M&A” ピアズ、CAC Holdings、テリロジーHDを読む

2026.03.18

公開日:2026.03.18

2026.03.18

2026.03.18

更新日:2026.03.18

2026.03.18

デジタル領域で進む“機能獲得型M&A” ピアズ、CAC Holdings、テリロジーHDを読む

本記事では、2026年2月21日〜2月27日に公表されたM&Aの中から、ピアズによるフォークウェルの買収、CAC HoldingsによるJEMSの子会社化、テリロジーホールディングスによるキャロルシステム仙台の買収を取り上げます。

ピアズがフォークウェルを買収(会社分割を使いForkwell事業を取得)

対象会社の概要

対象は、Groovesが「Forkwell」事業を承継させるために設立した新設会社株式会社フォークウェルです。所在地は東京都港区、事業内容はITエンジニア向けキャリア支援プラットフォームの運営、設立は2025年12月11日です。

買い手企業の概要

ピアズは東京都港区に本社を置く東証グロース上場企業です。セールスプロモーション、AIボーディング、オンライン接客・セールスを主力とし、人材派遣・有料職業紹介の許認可も保有しています。

M&Aの背景と狙い

ピアズは、IT人材領域における事業基盤の強化と中長期の成長機会創出を目的に関連領域の拡張を進めていました。Forkwell事業が持つ専門性と蓄積データを、自社の営業基盤・顧客ネットワークと掛け合わせることで、送客・成約の再現性向上や獲得効率の改善を図り、将来的には人材派遣・人材紹介まで含めた収益ポートフォリオ拡充を見込んでいます。単なるメディア取得ではなく、人材マッチングの歩留まり改善まで踏み込んだ買収です。

案件カード

取引スキーム会社分割(Groovesから新設会社へ承継)を前提とした株式譲渡
実行日(または契約日)取締役会決議日・契約締結日 2026年2月24日/株式譲渡実行予定日 2026年3月2日
取得金額3億2680万円
対象会社情報フォークウェル(東京都)(ITエンジニア向けキャリア支援プラットフォーム運営)
買い手企業情報ピアズ(東京都)(接客DX・セールス支援・人材関連、東証グロース)
買い手の狙いIT人材領域の基盤強化、送客・成約の再現性向上、人材派遣・人材紹介を含む収益ポートフォリオ拡充

CAC HoldingsがJEMSを子会社化(産業廃棄物処理関連市場へ非連続展開)

対象会社の概要

JEMSは茨城県つくば市に本社を置き、1994年設立のソフトウエア開発・販売・導入会社です。産業廃棄物処理業者・リサイクル業者向け基幹システム「環境将軍R」を提供するほか、排出事業者向けにITとBPOを組み合わせたトータルマネジメントサービス、資源循環トレーサビリティ・プラットフォーム「Circular Navi」も展開しています。2025年9月期の売上高は41億9900万円です。

買い手企業の概要

CAC Holdingsは東京都中央区に本社を置く東証プライム上場企業で、ITサービスを国内外で展開するCACグループの持株会社です。経営戦略策定とグループ経営管理を担っています。

M&Aの背景と狙い

CAC Holdingsは、2026年から2030年を「Phase2」と位置づけ、AI Transformationの推進、M&A活用、新規事業創出によるポートフォリオ多様化を掲げています。その中でJEMSは、同社既存事業とは市場構造の異なる産業廃棄物処理関連市場という非連続領域への入口になります。加えて、大型案件でのシステム開発協業、AI活用による生産性向上、グループ技術の横断活用、海外拠点活用などのシナジーも見込んでいます。つまり本件は、単なる隣接拡張ではなく、社会課題領域に寄せた新市場開拓型M&Aです。

案件カード

取引スキーム株式譲渡
実行日(または契約日)取締役会決議日 2026年2月24日/契約締結日 2026年2月24日/株式譲渡実行日 2026年2月中
取得金額非公開
対象会社情報JEMS(茨城県)(環境・廃棄物処理領域向けソフトウエア/BPO/コンサルティング)
買い手企業情報CAC Holdings(東京都)(ITサービス持株会社、東証プライム)
買い手の狙い産業廃棄物処理関連市場への展開、新規市場・バリューチェーン拡大、AI・開発領域でのシナジー創出

テリロジーホールディングスがキャロルシステム仙台を買収(東北の開発体制を補強)

対象会社の概要

キャロルシステム仙台は宮城県仙台市に本社を置く2010年設立のシステム開発会社です。東北を代表する大手企業や大手SIer向けにソフトウエア開発を提供してきた実績を持ち、東北地域での技術者採用力と育成力に定評があるとされています。2025年6月期の売上高は3億1000万円、営業利益は5600万円です。

買い手企業の概要

テリロジーホールディングスは東京都千代田区に本社を置く東証スタンダード上場企業です。サイバーセキュリティソリューション、各種ICTサービス、DXテクノロジー提供を行うグループ会社の経営管理を担っています。

M&Aの背景と狙い

同社グループはサイバーセキュリティやICTマネージドサービス、業務システム提供を通じてDX支援を進めてきました。既に連結子会社のクレシードが東京・仙台で業務システム開発・保守を展開しており、今回キャロルシステム仙台を取り込むことで、グループ全体での開発能力強化と東北での案件対応力向上を図るとしています。要するに、案件需要に対して地域開発リソースを厚くする補完買収です。

案件カード

取引スキーム株式譲渡
実行日(または契約日)取締役会決議日 2026年2月26日/契約締結日 2026年2月26日/株式譲渡及び払込日 2026年2月27日
取得金額5億2600万円(普通株式5億円、アドバイザリー費用等2600万円の概算合計)
対象会社情報キャロルシステム仙台(宮城県)(システム開発)
買い手企業情報テリロジーホールディングス(東京都)(サイバーセキュリティ・ICTサービス・DX関連、東証スタンダード)
買い手の狙いグループ全体の開発能力強化、東北地方における案件対応能力向上

まとめ

今週の3件は、いずれもデジタル領域における「実装機能」の獲得という点で共通しています。ピアズはIT人材データと顧客接点、CAC Holdingsは業界特化SaaSと環境DX市場、テリロジーHDは地域開発リソースを取り込みました。つまり、買い手が欲しているのは抽象的な成長ストーリーではなく、受注を増やすための再現性、参入障壁を作るための専門性、供給力を維持するための人材基盤です。

一方で、3件の用途は同じではありません。ピアズは営業効率改善を軸にした収益ポートフォリオ拡張、CAC Holdingsは市場そのものをずらす非連続展開、テリロジーHDは地域対応力の補完です。共通点は「機能獲得」ですが、どのボトルネックを解消したいのかはそれぞれ異なります。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

RISONAL編集部

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