オーナー経営者が注目すべき“成長戦略型M&A”|GENDA・リサイクルテック・No.1の動きから学ぶ
公開日:2025.10.29
2025.10.29
更新日:2025.10.29
2025.10.29
本記事では、2025年9月第4週に公表されたM&Aの中から、GENDA、リサイクルテック・ジャパン、No.1が買い手となった取引をピックアップし、解説します。
それぞれの取引は業種や規模が異なりますが、「成長領域への投資」や「事業基盤の補完」が特徴です。
GENDAがメロ・ワークスを買収(カラオケ事業の拡大、運営効率化)
対象会社(メロ・ワークス)の概要
メロ・ワークス(神奈川県横浜市)は2003年設立されたカラオケ施設運営会社です。
カラオケ施設「ALL」ブランドを中心に全国62店舗を展開し、売上高は約14.5億円、従業員数は183人です。独自の店舗運営ノウハウと地域密着型の営業体制で、安定した顧客基盤を持つ中堅カラオケ企業です。
買い手(GENDA)の概要
GENDA(東京都港区、東証グロース上場)は、アミューズメント施設の運営を中心に、オンラインクレーンゲームやカラオケなどエンターテインメント分野での事業買収により成長を続ける企業です。
M&Aの背景と狙い
GENDAは2025年11月1日付でメロ・ワークスを株式交換により買収します。
対象会社の代表取締役が保有する株式1株に対して、GENDA株式を25,744株交付することにより、対象会社を完全子会社化します。
本取引では、GENDAが展開中の店舗との人的資源やDXノウハウの共有、消耗品の共同購買によるコスト削減などによる、店舗運営効率の向上を目指しています。
GENDAの既存アミューズメント事業とのシナジーも期待され、成長戦略型M&Aの典型といえます。
案件カード
| 取引スキーム | 株式交換(簡易株式交換) |
| 実行予定日 | 2025年11月1日 |
| 対象会社情報 | 株式会社メロ・ワークス(神奈川県横浜市、カラオケ事業) |
| 買い手企業情報 | 株式会社GENDA(東証グロース上場、アミューズメント・エンタメ事業) |
| 買い手の狙い | 店舗運営効率化、店舗網拡大 |
リサイクルテック・ジャパンがエコテックを買収(OA機器リユース・リサイクル事業の垂直統合)
対象会社(エコテック)の概要
エコテック(岐阜県海津市)は1997年に設立されました。情報通信機器などの産業廃棄物処理・リサイクルを行う企業で、売上高約1.3億円です。
買い手(リサイクルテック・ジャパン)の概要
リサイクルテック・ジャパン(愛知県名古屋市、東証TPM上場)は、遊技機のリサイクル・リユースの他、液晶パネルや太陽光パネルのリサイクルなどを行う企業です。2025年4月より、新たな事業領域としてOA機器のリサイクル・リユース事業に参入しています。
M&Aの背景と狙い
リサイクルテック・ジャパンは2025年9月25日付でエコテックの全株式を取得しました。今回の買収でグループ内に情報通信機器のリサイクル事業を取り込むことで、既存のOA機器買取・再販事業との組み合わせにより、廃棄から再利用までのプロセスを最適化する狙いです。
案件カード
| 取引スキーム | 株式譲渡 |
| 実行予定日 | 2025年9月25日 |
| 対象会社情報 | 株式会社エコテック(岐阜県海津市、情報通信機器処理・リサイクル事業) |
| 買い手企業情報 | リサイクルテック・ジャパン株式会社(遊技機、OA機器リユース・リサイクル事業) |
| 買い手の狙い | OA機器リユース・リサイクル事業の垂直統合 |
No.1がLGICを買収(地方ITインフラ事業の全国展開)
対象会社(LGIC)の概要
LGIC(熊本県宇土市)は2020年に設立されました。熊本県内でネットワークインフラ構築・運用・保守を中心に、自治体や学校などの教育施設向けITインフラ整備を手掛けています。売上高は約1.8億円、従業員は7人の地域密着型技術集団です。
買い手(No.1)の概要
No.1(東京都千代田区、東証スタンダード上場)は、OA機器販売・情報セキュリティ・ネットワーク構築などを展開するITソリューション企業です。全国展開を進め、地方公共団体向けソリューション強化を図っています。
M&Aの背景と狙い
No.1はまず、対象会社の株式を100%保有する個人株主1名から90.7%の株式を取得し、11月28日に株式交換を実施して完全子会社化します。
No.1は対象会社へ技術社員を投入・育成し、全国の拠点やグループ会社を通じて、全国の自治体・教育施設へ対象会社の事業の展開を狙います。
案件カード
| 取引スキーム | 株式譲渡+株式交換 |
| 実行予定日 | 2025年10月31日(株式譲渡)、2025年11月28日(株式交換) |
| 対象会社情報 | 株式会社LGIC(熊本県宇土市、ネットワーク構築・運用・保守) |
| 買い手企業情報 | 株式会社No.1(OA機器販売・情報インフラ構築) |
| 買い手の狙い | 地方ITインフラ事業の全国展開、教育分野への拡張 |
まとめ
今回取り上げた3件はいずれも成長戦略型のM&Aです。
GENDAはカラオケ事業の拡大により、店舗間の人材交流や運営ノウハウの共有、既存事業とのシナジー発現を狙っています。
リサイクルテック・ジャパンはOA機器リユース・リサイクルにおけるサプライチェーンの垂直統合を実現しました。
No.1は地方IT企業の買収によって、新たな領域での全国展開を狙っています。
業種は異なりますが、対象会社の株式譲渡ニーズと買い手企業の成長戦略が合致したことにより実現したM&Aと言え、いずれも買い手企業がM&Aを通じて持続的成長を目指す点が共通しています。
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