会社分割の登記方法とは?書類や費用・流れも解説
公開日:2026.01.31
2026.01.31
更新日:2026.02.01
2026.02.01
会社分割は、事業の再編やグループ内組織の最適化、M&Aにおけるスキームの一つとして広く活用されている手続きです。
しかし、「吸収分割」と「新設分割」の違い、登記の方法、必要書類、費用、手続きの流れなど、押さえるべきポイントが多く、初めて取り組む場合には全体像が分かりにくいと感じる方も少なくありません。
本記事では、会社分割の基本的な種類から、登記の方法、必要書類、かかる費用、そして具体的な手続きの流れまでを体系的に解説します。会社分割を検討している経営者や実務担当者の方が全体像を理解し、スムーズに手続きを進められるよう分かりやすく整理しています。
会社分割とは?2つの種類が存在
会社分割とは、株式会社(または合同会社)が、事業に関して有する権利義務の全部または一部を、他の会社に承継させる会社法上の組織再編行為です(会社法2条29号、30号)。
会社分割は、大きく以下の2つに分類されます。
・吸収分割
・新設分割
それぞれ詳しく見ていきましょう。
吸収分割
吸収分割とは、分割対象事業に関して有する権利義務を、既存の会社に承継させる手続きです。承継する事業に関する資産、従業員、債務などが包括的に引き継がれます。
新設分割
新設分割とは、分割対象事業に関して有する権利義務を、新たに設立する会社に承継させる手続きです。会社設立の登記に加えて、事業分割に関する登記も必要となります。
会社分割の登記方法とは
次に、会社分割の登記方法について解説します。先ほど紹介した吸収分割と新設分割では、登記の方法に違いがあるため、それぞれ確認していきましょう。
吸収分割の登記方法
まずは、吸収分割の登記方法です。吸収分割の効力は、分割契約書において定めた効力発生日から生じます。登記の申請期限は、その効力発生日から2週間以内とされています。
また、吸収分割においては、分割会社および承継会社のいずれについても、登記申請者は代表取締役です。ただし、分割会社または承継会社の代表者から依頼を受けた司法書士が、代理人として登記申請を行うケースも一般的です。
それぞれの会社が同一の管轄区域内に所在する場合は、承継会社の本店所在地を管轄する登記所に申請します。一方、管轄が異なる場合には、承継会社の所在地を管轄する登記所を経由して申請を行います。
新設分割の登記方法
新設分割の場合、新設会社の設立登記日が効力発生日に該当し、登記期限は以下の手続きの新設分割の場合、新設会社の設立登記日が効力発生日となります。登記の申請期限は、以下の手続きのうち、最も遅い日から2週間以内です。
・新設分割計画について株主総会の承認決議がなされた日
・新設分割に関して種類株主総会の決議が必要な場合、その決議が行われた日
・株式買取請求の前提としての通知または公告を実施した日から20日が経過した日
・新株予約権の買取請求の前提としての通知または公告を実施した日から20日が経過した日
・債権者保護のための手続きがすべて完了した日
・分割会社が定めた日があれば当該日
なお、登記申請者および登記申請の方法については、吸収分割と同様です。
会社分割の登記で必要な書類一覧
次に、会社分割の登記において、法務局へ提出する必要がある書類を紹介します。必要書類は、吸収分割と新設分割で異なります。
いずれかの書類に不備や不足があると、手続きに遅れが生じる可能性があります。そのため、提出書類を事前に把握したうえで、余裕を持って準備を進めることが重要です。
吸収分割で必要な書類
吸収分割で必要となる主な書類は、以下のとおりです。
・吸収分割契約書
・株主総会議事録(分割会社・承継会社双方)
・分割公告が掲載された官報
・資本金の額の計上に関する証明書(承継会社)
・債権者保護手続に関する書面
・株主リスト(分割会社・承継会社双方)
・分割会社の登記事項証明書
・委任状
なお、株主リストには議決権数上位10名」または「議決権割合が3分の2に達するまでの株主」について、以下の情報を記載する必要があります。
・氏名または名称
・住所
・保有株式数
・議決権数
・議決権割合
新設分割で必要な書類
新設分割において必要となる主な書類は、以下のとおりです。
・新設分割計画書
・新設会社の定款
・代表取締役選定書
・役員就任承諾書
・株主総会議事録
・分割公告が掲載された官報
・資本金の額の計上に関する証明書
・債権者保護手続に関する書面
・株主リスト(分割会社)
・分割会社の登記事項証明書
・新設会社の取締役の印鑑証明書(取締役会設置会社は代表取締役のみ)
・委任状
会社分割の登記にかかる費用はいくら?
会社分割を行う際には、登録免許税や官報公告費など、いくつかの費用が発生します。ここでは、どのような場面で、どの程度の費用がかかるのかを解説します。
1.登録免許税
登録免許税とは、登記や登録を行う際に課される税金です。登録免許税の金額は、吸収分割と新設分割で計算方法が異なります。
吸収分割の登記の場合
吸収分割の場合、分割会社の登録免許税は3万円です。承継会社については、資本金の増加の有無によって金額が異なります。
資本金が増加しない場合は、分割会社と同様に3万円です。一方、資本金が増加する場合には、増加額に0.7%を乗じた金額が登録免許税となります。
ただし、算出された金額が3万円を下回る場合は一律3万円、上回る場合は算出額が適用されます。
新設分割の登記の場合
新設分割の場合、新設会社の資本金額に0.7%を乗じた金額が登録免許税となります。吸収分割とは異なり、増加額ではなく資本金全体を基準に計算する点に注意が必要です。
なお、算出された金額が3万円を下回る場合は3万円、上回る場合は算出額が適用されます。
2.官報公告費
会社分割を行う際には、登録免許税に加えて官報公告費も必要です。官報公告費は、掲載する文字数や行数によって金額が変動します。
会社分割に関する公告のみを行う場合は7万〜8万円程度が目安です。一般的には決算公告も同時に掲載するケースが多く、その場合は合計で15万〜17万円程度が目安となります。
3.相談先への報酬
会社分割に関する相談先としては、主に弁護士・司法書士の法律専門家やFA(フィナンシャル・アドバイザー)等のM&Aの専門家が挙げられます。
弁護士・司法書士には主に会社として法的に実施すべき分割手続きや分割登記の手続きを依頼する場合が多く、報酬額は事務所や案件の複雑さ、業務量によって異なりますが、20万〜30万円程度が相場とされています。
一方、M&Aの専門家に相談する場合は、会社分割や登記の手続きに限らず、M&Aによって実現したい目的を踏まえ、M&Aのスキームとして会社分割を活用すべきか、活用する場合にどのような会社分割を行うべきかを含め会社分割全体を見据えた助言を受けることが可能です。M&A専門会社の報酬体系は会社ごとに異なるため、事前に確認しておく必要があります。
会社分割の登記の流れ
次に、会社分割の登記申請までの手続きの流れを解説します。一般的な流れは、以下のとおりです。
・分割契約(または分割計画)の締結
・株主総会での承認決議
・債権者保護手続き
・効力発生日の到来
・登記申請
なお、株主総会の手続きは、吸収分割と新設分割で異なります。吸収分割では、分割予定日の20日前までに株主への通知または公告を行い、その後、従業員や労働組合との協議、承継対象となる従業員への個別通知を実施します。そのうえで、原則として2週間後に株主総会を開催します。
一方、新設分割の場合は、先に従業員や労働組合との協議を行い、承継対象となる従業員へ個別通知を行った後、株主総会を実施します。
株主総会後は、債権者に対して官報により会社分割を行う旨および異議申述期間(原則1か月)を公告し、異議を申し立てた債権者がいる場合には、適切な対応が必要です。
最後に登記申請を行い、申請完了後、数日から2週間程度で登記が完了します。
まとめ
会社分割は、事業に関する権利義務を他の会社に承継させる重要な組織再編手続きであり、「吸収分割」と「新設分割」の2種類があります。それぞれ承継先や手続きの流れが異なるため、目的や状況に応じて適切な方式を選択することが重要です。
また、会社分割を実施する際には登記が不可欠であり、効力発生日や登記期限、申請方法も分割方式によって異なります。さらに、登記にあたっては多くの書類が必要となるため、事前に正確に把握し、漏れや不備が生じないよう準備する必要があります。
加えて、登録免許税や官報公告費、専門家への報酬など、一定のコストが発生する点も考慮し、計画的に進めることが求められます。
会社分割は法的・実務的に複雑な手続きであるため、司法書士やM&A専門家などの専門家と連携しながら進めることで、円滑かつ適法な実施につながるといえるでしょう。
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