事業承継・M&A補助金とは?売り手でも使える枠や申請の流れを解説
公開日:2026.03.31
2026.03.31
更新日:2026.03.31
2026.03.31
M&Aを進める際、「補助金は買い手向けではないか」「売り手には使えないのではないか」と感じる経営者は少なくありません。実際には、事業承継・M&A補助金には複数の枠があり、専門家活用枠には売り手支援類型も設けられています。
2026年3月時点で公表されている第14次公募では、「事業承継促進枠」、「専門家活用枠」、「PMI推進枠」、「廃業・再チャレンジ枠」の4枠が設けられており、申請はJグランツによる電子申請のみです。
本記事では、事業承継・M&A補助金の基本的な考え方に加え、売り手の立場でも検討しやすい枠や活用しやすい場面、申請の流れなどをわかりやすく解説します。
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事業承継・M&A補助金とは
事業承継・M&A補助金は、事業承継やM&Aをきっかけに行う投資や専門家の活用、統合後の取り組み、廃業にかかる費用の一部を支援する制度です。直近の第14次公募では、4つの枠が設けられています。
この補助金を理解するうえで大切なのは、ひとまとめに考えないことです。親族や従業員へ引き継ぐ場面を想定した枠もあれば、第三者へのM&Aで専門家費用を支援する枠もあります。成約後の統合作業を対象とする枠もあるため、自社がいまどの段階にいるのかによって、検討すべき枠は変わります。
事業承継・M&A補助金の種類
売り手が検討段階で押さえておきたい4つの枠をまとめます。売り手が比較的活用を検討しやすいのは、専門家活用枠と廃業・再チャレンジ枠です。親族内承継や従業員承継の場合は、事業承継促進枠も関係します。
PMI推進枠は原則として譲受側を対象とした枠ですが、成約後にどこまで投資や統合作業が進むのかを考えるうえで、知っておく意味があります。
事業承継促進枠
事業承継促進枠は、5年以内に親族内承継または従業員承継を予定する事業者を対象に、設備投資や店舗・事務所の改築費などを補助する枠です。補助率は原則2分の1です。小規模事業者に該当する場合は3分の2になります。補助上限は800万円で、一定の賃上げを行う場合は1,000万円まで引き上げられます。
第三者への株式譲渡を考えている売り手が、直接活用できる場面は多くありません。ただ、親族内承継や従業員承継を前提に動いていて、売却までに設備投資も進めたい会社には、検討余地のある枠です。単なる承継準備にとどまらず、引き継いだ後の事業運営まで見据える場合に、検討しやすい枠です。
専門家活用枠
専門家活用枠は、M&Aで経営資源を譲り受ける買い手にも、譲り渡す売り手にも活用できる枠です。売り手支援類型では、FAやM&A仲介、デューデリジェンス(DD)、セカンドオピニオン、表明保証保険料などが対象経費に含まれます。FAや仲介の費用については、M&A支援機関登録制度に登録されたFAまたはM&A仲介業者によるものに限られます。
売り手支援類型の補助率は原則2分の1です。赤字や営業利益率の低下など一定の要件に当てはまる場合は3分の2になります。補助上限は600万円で、DD費用を申請する場合は200万円が加算されるため、最大800万円です。
売り手にとって有力な選択肢になりやすいのは、この枠です。M&Aでは、相手探しに入る前に、誰にアドバイザーを依頼するかで結果が変わることがあります。費用が低く見えても、支援内容が不十分だと、結果として条件面で不利になるおそれがあります。
なお、FAとM&A仲介会社の違いや、売り手がどのようにアドバイザーを選ぶべきかは、以下の記事で詳しく解説しています。
〖保存版〗M&A売却で失敗しない!FAと仲介を徹底比較検証!
PMI推進枠
PMI推進枠は、M&Aに伴って経営資源を譲り受ける予定の中小企業などを対象とする枠です。PMI専門家活用類型は補助率2分の1で、上限150万円です。事業統合投資類型の補助率はは原則2分の1で、小規模事業者に該当する場合は3分の2になります。補助上限は800万円で、一定の賃上げを行う場合は1,000万円まで引き上げられます。
この枠は、売り手が直接使うのではなく、譲受側が成約後に活用することを想定した枠です。とはいえ、売り手も無関係ではありません。買い手がPMIまで見据えて投資計画を組んでいるなら、成約後の引継ぎや統合作業に真剣に向き合う姿勢のある相手かを見極める材料になります。価格だけでなく、その後の会社の扱われ方を重視する売り手にとって、知っておきたい枠です。
廃業・再チャレンジ枠
廃業・再チャレンジ枠は、事業承継やM&Aに伴って既存事業を廃業し、新しい取り組みに進む事業者を支援する枠です。廃業支援費や在庫廃棄費、解体費、土壌汚染調査費などが対象に含まれます。
補助上限は300万円で、他枠との併用申請も可能です。法人の場合、再チャレンジの主体は株主とされています。
事業承継・M&A補助金を検討すべきケース
補助金は、自社の承継方法やM&Aの進め方に合っているかという観点で考えるべきです。特に押さえておきたいのは、次の4つの場面です。
・5年以内に親族内承継または従業員承継を予定しており、設備投資を行うケース
・M&Aの専門家を活用するケース
・不採算事業などの廃業を行うケース
・M&A後にPMIの取り組むケース
以下、それぞれのケースを解説します。
5年以内に親族内承継・従業員承継を予定していて、設備投資を行うケース
この場面では、事業承継促進枠が有力な候補になります。対象が明確だからです。単に株式を引き継ぐだけでなく、承継後の会社の成長も見据えるなら、設備投資に補助金を活用できる意義は大きいといえます。
機械の更新を先送りしている会社や、古い店舗のまま承継することに不安がある会社ほど、早めに検討しておきたい枠です。
M&Aの専門家を活用するケース
第三者への売却を考えていて、FAなどのM&A支援会社を活用するなら、専門家活用枠をの活用を検討したいところです。売り手が専門家の活用を軽視すると、M&Aがうまく進まないおそれがあります。M&Aでは、相手探しに入る前の進め方や支援体制によって、成否が左右されることがあるためです。
進め方や相場観が十分でないまま進めると、着手金や報酬の差以上に、条件面で不利になることがあります。
不採算事業などの廃業を行うケース
会社全体を売却するのではなく、一部事業を閉じる必要がある会社もあります。あるいは、承継を機に古い設備や在庫を処分して身軽にしたい会社もあります。
そのような場面では、廃業・再チャレンジ枠が候補になります。M&Aは、売るか残すかの二択で考えられるものではありません。閉じる部分まで含めて出口戦略を考える会社のほうが、最終的な条件を整理しやすくなります。
M&A後にPMIの取り組みを行うケース
PMI推進枠は買い手向けの枠ですが、M&A後の動きを考えるうえで無視できない枠です。成約した時点で会社がすぐに一体化するわけではないためです。引き継ぎが不十分だと、従業員も取引先が不安を抱くおそれがあります。
買い手がPMIまで見据えているかどうかで、売り手が譲渡後に感じる安心感はおきく変わります。売り手がこの枠を直接使わない場合でも、相手の姿勢を見極める材料にはなります。
事業承継・M&A補助金を活用するメリット
事業承継・M&A補助金を活用する最大のメリットは、事業承継やM&Aに伴う設備投資や専門家費用の負担を軽減できる点にあります。親族内承継や従業員承継における設備投資負担を抑えられるほか、M&AにおけるFA業務やDD費用の負担軽減にもつながります。
また、費用面の制約だけで専門家を選んでしまい、結果として不利な条件で成約するリスクを抑えやすくなります十分な予算を確保することで、セカンドオピニオンの活用や表明保証の検討など、ディール全体の精度を高めやすくなる点もメリットです。
事業承継・M&A補助金を活用するデメリット
事業承継・M&A補助金は用途や要件が細かく分かれており、親族内承継や従業員承継といった承継形態や、売り手と買い手の立場の違いによって申請できる枠が定められています。制度名だけで判断せず、自社の事業スキームに合う枠を正確に見極める必要があります。
加えて、資金繰りと事務手続きの両面で負担が生じます。補助金は原則として後払いであるため、採択後も事業完了までの費用は自社で立て替える必要があり、金融機関からのつなぎ融資も含めた事前の資金繰り計画が不可欠です。
事業承継・M&A補助金を申請する流れ
本補助金の申請は、申請要件の確認からシステム入力まで、計画的に進める必要があります。なお、第14次公募では、Jグランツによる電子申請のみ受け付けています。
公募要領を確認する
申請の第一歩は、最新の公募要領に基づいて、自社が要件を満たすかを確認することです。第14次公募では「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」の4類型が設定されており、それぞれ補助率、上限額、対象経費区分が異なります。
まずは、自社の目的に合致する申請枠を正確に見極める必要があります。
アカウントを取得する
Jグランツで申請するには、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。GビズIDの公式サイトから、自社の状況に応じて手続きを進めてください。
オンライン申請に対応している場合は最短で即日発行されることもありますが、余裕を持って準備しておくのが無難です。
事業計画を作成する
審査において重視されるのは、単なる資金需要ではなく「事業承継・事業再編・事業統合を契機とした生産性向上の道筋」です。
設備更新による売上拡大の根拠や、専門家の活用による成約に至るまでのプロセス、廃業を通じた経営資源の最適化など、制度趣旨に合った具体性と客観性のある事業計画を策定することが求められます。
必要書類を準備する
各申請枠で指定された必要書類チェックリストに基づき、不備なく書類を揃えます。公募要領上、指定書類が用意できない場合は、原則として交付対象外となります。
書類の整備は、単なる数値の整合性だけでなく、補助金交付を受けるうえで重要な前提となります。
補助金の公募申請を行う
準備が整い次第、Jグランツを通じて電子申請を行います。なお、交付申請は手続きの入り口にすぎません。交付決定前に行った発注や支払いは原則として補助対象外となるほか、事業完了後の実績報告に必要な証憑に不備があると、補助金額が減額されるおそれがあります。
入金に至るまで、ルールを踏まえた適切な経費執行管理が必要です。
まとめ
事業承継・M&A補助金は、制度名だけを見てひとくくりに判断できるものではありません。申請枠ごとに対象者、対象経費、補助率、上限額が異なるため、自社がどの局面にあり、どの費用に活用したいのかを整理したうえで検討する必要があります。
特に売り手にとっては、以下のような前提整理が重要です。
・第三者承継なのか
・親族内承継または従業員承継なのか
・専門家費用を補助対象としたいのか
・廃業や再編まで含めて進めるのか
補助金は有効な支援策ですが、補助金ありきで進めると判断を誤るおそれがあります。先に固めるべきなのは、自社にとって適した承継方針と進め方です。そのうえで使える枠があるかを確認する順番のほうが、結果として合理的です。
特に第三者承継では、どの専門家に依頼するかによって、条件や進行の質が大きく変わります。費用負担を抑えつつ支援の精度も確保したい場合は、専門家活用枠を含めて早い段階から検討しておく価値があります。
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