中古用品店業界のM&A事情を詳しく解説!業界動向や事例もあわせて紹介

2025.02.17

公開日:2025.02.17

2025.02.17

2025.11.30

更新日:2025.11.30

2025.11.30

中古用品店業界のM&A事情を詳しく解説!業界動向や事例もあわせて紹介

昨今、中古用品店業界は需要が高まっており、M&A取引が活発に行われるようになっています。

中古用品店業界では、店舗拡大や事業規模拡大、ノウハウの取得を目的としてM&Aが注目されています。

では、具体的に中古用品店業界のM&A事情はどうなっているのでしょうか。本記事では、最新の中古用品店業界のM&A事情を解説します。さらに、中古用品店業界におけるM&Aのメリットや事例も紹介しているため、M&Aを考えている方はぜひ参考にしてください。

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中古用品店業界の定義

中古用品店業界の動向

中古用品店業界は、節約志向の高まりや環境意識の向上を背景に、多くの年代から注目を集めています。衣料品、ブランド品、家電など取り扱う品目は幅広く、市場規模は拡大傾向にあります。

本記事では、業界が担う役割や現在みられる特徴を整理し、全体像をわかりやすく説明します。

中古用品店業界の動向

中古用品店業界では、消費者の価値観が変化したことで需要構造が大きく変わりつつあります。節約志向に加え、リユースが生活の中で自然な選択肢として受け入れられ、市場は堅調に拡大しているといえます。

さらに、オンライン化の進展により、買取から販売までをデジタルで完結できる仕組みが広がりました。これにより、利用者の手間が軽減され、利便性が一段と向上しています。

加えて、フリマアプリの普及によって競争環境は厳しくなり、実店舗には査定の精度やアフターサービスなど、より明確な強みが求められています。こうした動きが重なり、業界全体ではサービス品質と運営効率の両方を高める取り組みが進んでいる状況です。

中古用品店業界の市場規模

環境省の「リユース市場規模調査」によると、2023年の国内における消費財のリユース市場規模は3兆1,227億円となっています。市場は毎年右肩上がりで推移しており、今後も拡大が見込まれます。

カテゴリー別では衣料・服の販売額が最も大きく、全体の18.9%(5,913億円)を占めています。前年と比較して最も伸び率が高かったのは「携帯・スマホ」で、前年比25.2%増となりました。

中古用品店は景気の影響を受けにくく、不景気でも比較的安定した需要が見込める業界です。不況時には「不要なものを売って現金化したい」「安く購入したい」といった需要が高まりやすく、中古市場の利用が増える傾向があります。

また、オンラインフリーマーケットやネットオークション、宅配買取サービスなど、利便性を追求したサービスが増加しています。2023年には、リユース事業者の国内小売に占めるネット販売比率が34.5%に達しており、オンライン化の進展が顕著です。

これらの動きを踏まえると、リユース市場は今後も成長を続けると予測できます。

サービス・運営形態の多様化

中古用品店業界では、利用者の要望に合わせたサービスが広がり、運営形態が多様化しています。以前は店頭での買取と販売が中心でしたが、近年は宅配買取や出張買取が普及し、自宅から利用できる方法が一般的になりつつあります。

さらに、オンライン販売を軸とした運営が増え、実店舗を持たずECのみで展開する企業も見られるようになりました。ブランド品やホビーなど、特定の品目に専門特化した店舗も増えており、商品知識や査定精度を強みにした差別化が進んでいます。

こうした動きにより顧客の利便性は向上した一方で、事業者にはデジタル対応力や専門知識の強化が求められるようになりました。サービスが多様化するほど競争も激しくなるため、自社の強みを明確にした運営戦略が必要といえます。

高齢化社会の進展

中古用品店業界では、高齢化の進行が需要を押し上げる要因となっています。高齢者の間では、生活空間を整える生前整理や家族による遺品整理の機会が増え、不要品を手放す動きが広がっています。

また、地方では高齢者の移動手段が限られるケースが多く、出張買取を選ぶ人が増える傾向にあります。こうした背景から、地域に密着したサービス体制を整備する企業が増えています。

さらに、高齢者との取引では丁寧な説明や適切な査定が求められ、コンプライアンスへの配慮がより重要になっています。高齢化が進む中、中古用品店は負担を抑えた整理手段として期待されており、今後も安定した需要が見込まれます。

コロナ禍の影響

中古用品店業界は、コロナ禍による消費行動の変化から大きな影響を受けました。外出を控える動きが強まったことで、オンライン買取やオンライン販売を利用する人が増え、デジタル対応の重要性が一段と高まりました。

また、自宅で過ごす時間が増えた影響で不要品を整理する家庭が増え、店舗への持ち込み量や買取依頼が増加しました。消費者の購買行動が慎重になり、価格を重視した中古商品の需要が伸びた点も特徴です。

一方で、実店舗では感染対策による運営負担が増え、効率的な店舗管理が課題として浮上しました。これらの変化を踏まえると、オンラインと実店舗を組み合わせた運営モデルの重要性が高まったといえます。

中古用品店業界のM&A動向とは?

中古用品店業界のM&A動向

中古用品店業界は、実店舗を持つお店からインターネット上のプラットフォームまで、さまざまな事業者で構成されています。近年、インターネットの普及やフリマアプリの台頭などにより、本業界は急速に拡大しています。

そのため、店舗拡大のためのM&A、事業規模拡大のためのM&A、ノウハウ取得のためのM&Aなど、特に同業種間でのM&Aが活発です。

事業規模拡大を目的としたM&Aでは、仕入れコストの削減や物流の効率化、新カテゴリーの取り込みによる顧客層の拡大や収益源の多様化の実現を目指した取引が多くみられます。

また、EC事業の強化やAIを活用した在庫管理、デジタルマーケティングの導入など、デジタル技術を活用した業務改革が求められています。

さらに、独占禁止法と個人情報保護法への対応も欠かせません。特に、個人情報を多く取り扱う中古用品店では、M&Aに際して個人情報の適切な管理体制の構築や移転先での保護措置の徹底が必要です。

そして、中古用品店業界が中長期的に成長すると予測されていることから、動脈産業の製造業や物流系などの異業種企業がM&Aによって新規進出を図るケースも増加しています。

同業種間でのM&A

中古用品店業界では、同業種間のM&Aが活発に進んでいます。背景には、拡大する需要に合わせて店舗網を効率よく拡大したいという企業側の狙いがあります。

新規出店には時間とコストがかかりますが、既存店舗を承継すれば短期間で商圏を広げられる点が大きな利点です。また、同業同士が統合すると査定や在庫管理に関するノウハウを共有でき、運営効率の向上にもつながります。

さらに、フリマアプリなど競合が増えるなか、規模拡大は価格面での優位性を確保する手段にもなります。こうした背景から、複数店舗を展開するチェーン同士の連携や、中小規模店が大手グループに加わる動きが増えています。

異業種間でのM&A

中古用品店業界では、異業種企業によるM&Aも拡大しています。成長が続くリユース市場に魅力を感じ、新規参入を目指す企業が増えているためです。

特に、EC運営企業やデジタル技術に強みを持つ企業は、自社のノウハウを活かして中古品ビジネスへ参入する例が多い状況です。また、物流や回収サービスを手がける企業が中古用品店を取り込み、効率的な買取網を整えるケースも見られます。

こうした協業により、店舗側は在庫回転率の向上や販路拡大といった効果を期待できます。加えて、異業種の知見が加わることで新たなサービスが生まれ、顧客体験の強化につながる可能性もあります。

これらを踏まえると、異業種間のM&Aは今後も増加し、リユース市場の発展を支える要素になると考えられます。

中古用品店業界のM&Aの流れ

中古用品店業界のM&Aの流れ

中古用品店業界におけるM&Aの流れは、大きく分けて下記の3つのステップから構成されます。

1.M&Aの事前準備、助言会社の選定
2.買い手候補先企業との接触、意向表明書受領
3.詳細調査(DD)、最終契約締結・クロージング

それぞれ詳しくみていきましょう。

Step1.M&Aの事前準備、助言会社の選定

まず、M&Aの事前準備とM&A助言会社を選定します。

事前準備として、M&A助言会社と秘密保持契約を締結し、初期的な資料を開示します。秘密保持契約とは、自社の秘密情報を他社に開示する場合に、その情報を秘密に保持することを締結する契約です。

その上で、売却戦略をM&A助言会社と策定し、買い手候補先企業を優先順位ごとに並べたロングリスト(※1)を作成します。

譲渡の目的を満たすストラクチャー(※2)の検討や、譲渡完了に至るまでの全体のスケジュールについても事前準備の段階で検討します。

また、この段階でM&A助言会社とエージェント契約を締結します。

M&A助言会社を選定する際に注意しておきたいのが、仲介とFA(フィナンシャル・アドバイザー)の違いです。

仲介とは、いわゆるマッチングサービスのことで、売り手と買い手の双方とそれぞれ仲介契約を締結します。M&Aの当事者双方から依頼を受けているため、いずれか一方の利益のみを優先的に取り扱うことはできず、双方の意向を一元的に把握し、双方の共通の目的であるM&Aの成立を目指し、助言や調整を行います。また、手数料は売り手と買い手の双方から受領します。

それに対してFAとは、M&Aを実行するためのアドバイスを提供するサービスのことで、M&Aの当事者一方のみから依頼を受けます。M&Aの相手方(買い手候補先企業を含む。)に対して、依頼者に対して提供するのと同様の業務を提供することはありません。M&Aの当事者一方のみから依頼を受けているため、依頼者の意向を踏まえて、依頼者にとって有利な条件でのM&Aの成立を目指し、助言や調整を行います。

弊社では、売り手のみと契約を締結してM&Aを支援する専属エージェントサービス(売り手特化型FAサービス)を提供しており、手数料は依頼者である売り手のみから受領し、売り手の利益を最大化することを目指します。

また、譲渡戦略の策定と並行して、買い手候補先企業へ開示する資料準備も進めます。M&Aプロセスの初期に買い手候補先企業に対して開示する資料には、匿名の企業概要書(ティーザー(※3))、インフォメーション・パッケージ(※4)があります。

※1 ロングリスト:一定の条件で絞り込んだ買い手候補先の企業をまとめたリストのこと。
※2 ストラクチャー:M&Aを実行するための手段や方法のこと。
※3 ティーザー:匿名の企業概要書で、通常1枚から2枚で構成される資料のこと。
※4 インフォメーション・パッケージ:買い手候補先企業がM&Aを検討する際の参考資料。対象会社(事業)の魅力を伝え、買い手候補先企業が企業価値評価を実施できることを目的に作成される。

Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領

次に、買い手候補先企業と接触します。

ロングリストに基づき、M&A助言会社が買い手候補先企業と接触し、ティーザーを開示します。その上で関心を示す相手に対して、秘密保持契約を締結した上でインフォメーション・パッケージを開示します。

対象会社(事業)の譲受を希望する買い手候補先企業は、売り手に対して意向表明書を提出します。意向表明書には、譲渡価格の水準や取引の前提条件、取引後の対象会社の運用方針などが記載されます。売り手はこれを検討・比較し、受け入れ(基本合意)可能かを判断します。

売り手においては、後述する詳細調査(デュー・デリジェンス:DD)のプロセスにおいて、対象会社の秘密情報が買い手候補先企業に開示されることになるため、DDを受け入れる前に納得感の得られる取引条件であることを確認することが非常に重要です。買い手候補先企業においても、DDにおける専門家起用の費用負担や多大な労力が生じるため、この段階で独占交渉権を求めることが一般的です。

そのため、基本合意を締結し、守秘義務や独占交渉権などを取り決めた上で、次のステップに進むことになります。

Step3.詳細調査(DD)、最終契約締結・クロージング

意向表明書を受理して基本合意書の締結をしたら、デュー・デリジェンス(DD)と呼ばれる詳細調査と最終契約締結・クロージングです。

M&Aにおいては、売り手と買い手との間に、情報の非対称性が必然的に生じます。この非対称性をできるだけ解消するために、買い手が実施する対象企業への調査がDDです。

買い手にとってDDには、以下のような目的があります。

・自社のM&A戦略に合致した事業かどうか詳細まで検討する
・定量化可能なDDの発見事項を、譲渡価格へ反映する
・定量化できないDDの発見事項を、最終契約書の条件へ反映し、リスクを遮断する
・M&Aの目的を達成するためのストラクチャーを検討する
・M&A実行後に必要な対応を明確化し、統合計画に反映させる

その後、最終契約締結に移ります。譲渡価格や契約条件を交渉し、双方が納得のいく形で契約を締結します。そしてM&A取引が実行され、対象の株式・事業の引き渡しをし、譲渡代金を支払って経営権の移転が完了します。

譲渡企業オーナーの譲渡を想定したより詳細なM&Aのプロセスは、以下の記事で解説していますので、ぜひご活用ください。
[M&Aのプロセス]

中古用品店業界のM&Aのメリットとは?5つを紹介

中古用品店業界のM&Aのメリット

中古用品店業界でM&Aを実施するメリットとして、以下の5つが挙げられます。

・事業を継続でき、従業員の雇用を守れる
・事業リスクを回避できる
・個人保証を解除できる

・ブランド力、販売力を強化できる
・経営リスクを軽減し、事業承継をスムーズに進められる

それぞれ詳しくみていきましょう。

中古用品店業界のM&Aのメリット①:事業を継続でき、従業員の雇用を守れる

第三者への事業承継を選択せずに廃業を選択した場合は、従業員は職を失うことになり、新しい職を探す必要があります。また、経営者としては、従業員のために新しい職を見つけてあげるなどの対応をするケースも考えられます。

一方で、M&Aの実施により、従業員の雇用を継続でき、経営者は従業員に対する責任を果たせるでしょう。

中古用品店業界のM&Aのメリット②:事業リスクを回避できる

中古用品店業界は、市場の変化が激しく競争も激化しており、中小企業にとってはさまざまな事業リスクがあります。特に事業の将来性に不安を抱えていたり、後継者問題を抱えていたりする場合はリスクが大きいでしょう。

しかし、M&Aによって大手企業の傘下となれば、上記のような事業リスクを回避できます。さらに、市場の変化に対応する投資負担や経営資源の確保に悩んでいる場合もM&Aは適切な選択肢です。

中古用品店業界のM&Aのメリット③:個人保証を解除できる

中小企業においては、金融機関から借入れをする際に経営者個人が個人保証を行うケースが一般的です。経営者保証のガイドラインが策定されたものの、いまだに解消されていないのが現状です。

M&Aを行うと、売り手の借入れ返済義務を買い手が引き継ぐ形となるため、金融機関に対して買い手と協力して、売り手である経営者の個人保証を解除する手続きを行います。

中古用品店業界のM&Aのメリット④:ブランド力、販売力を強化できる

中古用品店がM&Aを活用する大きな利点の一つが、ブランド力と販売力の強化です。大手グループに加わることで、確立された知名度や信用力を活かし、来店数やECでの閲覧数を増やしやすくなります。

さらに、買い手企業が保有するオンライン販売網やマーケティング手法を取り入れることで販路が拡大し、商品の回転率向上につながります。査定基準や商品管理などのオペレーションも共有でき、サービス品質の標準化と向上が図りやすくなる点も実務上のメリットです。

加えて、単独では難しい広告施策や販促企画をグループ単位で展開できるため、費用対効果を高めやすい体制が整います。

このように、M&Aはブランドの影響力を活かしながら販売体制を強化できる有効な手段であり、競争が激しい市場で優位性を維持するための現実的な選択肢といえます。

中古用品店業界のM&Aのメリット⑤:経営リスクを軽減し、事業承継をスムーズに進められる

中古用品店にとって、M&Aは経営リスクを抑えながら事業承継を進められる点で重要性が高い選択肢です。個人経営では後継者不在が強く影響し、経営者の高齢化とともに事業継続が困難になるケースが多く見られます。

買い手企業に引き継ぐことで、運営体制や資金基盤が強化され、経営者の負担を大幅に軽減できます。さらに、買い手側のブランドや管理体制を活用することで、従業員の働く環境や既存の取引関係を維持しやすくなります。

また、専門チームの支援を受けながら承継手続きを進められるため、閉店を避けつつ事業を存続させる可能性が高まります。M&Aは、築いてきた店舗価値を次の運営者につなぎながら、経営者の将来設計にも寄与する実務的な選択肢といえるでしょう。

中古用品店業界のM&Aの相場

中古用品店業界のM&Aの相場

中古用品店業界の相場は、一概にいくらと明言できません。その企業の売り上げやブランド力、立地などさまざまな要素から判断されます。

これまでM&A仲介会社では年買法といわれる簡便的な株式評価手法を用いて評価を実施することが一般的でした。これは純資産に営業利益の数年分を加算する簡単な計算方法であり、理解が容易な一方、実績ベースの評価で、加算される営業利益の年数も業界ごとに固定的なものとなります。

その結果、成長性のある事業ほど低く株式価値が算定されてしまうリスクがあります。正しく買い手の株式価値評価手法を理解することは、売り手オーナーが自身の利益を守るために重要です。

中古用品店業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。

・インカムアプローチ
・マーケットアプローチ

インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。

理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。

本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。

マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。

・類似会社比較法
・類似取引比較法

類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。

具体的には、以下のように算定します。

EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)

EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。

また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかで算定結果は大きく依存します。

企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。

企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値

第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。

なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。

しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。

M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
[うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~]

また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
[株価シミュレーター]

中古用品店業界のM&Aのポイントとは?押さえておきたい3つを紹介

中古用品店業界のM&Aのポイント

中古用品店業界でM&Aを実施する際に押さえておきたいポイントとして、下記の3つが挙げられます。

・適切なM&A助言会社を選定する
・自社の正当な収益力・財務状況を把握する
・業界と自社の相場価格を把握しておく

それぞれ詳しく解説します。

中古用品店業界のM&Aのポイント①:適切なM&A助言会社を選定する

M&A助言会社に求められる能力は、法務・会計・税務・ファイナンスに精通していること、誠実であること、顧客の立場に寄り添って助言を提供できる立ち位置であること、M&Aの売り手・買い手の双方の行動原理を理解しそれを交渉に活かせること、と多岐に渡ります。

真に顧客に寄り添える立場であるか、また、上記を見極めるためにも売り手・買い手の双方から報酬を受領する仲介会社ではなく、売り手と同じ船に乗り事業オーナーに対し助言する会社(FA)であるかを選定することが重要です。また、その会社に在籍するアドバイザーの知識や経験、ノウハウなどを含むFAサービスの品質が重要です。

中古用品店業界のM&Aのポイント②:自社の正当な収益力・財務状況を把握する

売り手にとって、自社をよい条件で売却するために必要なのは、自社の正当な収益力・財務状況の把握です。

税務対策やオーナーの個人的な経費を費用計上している中小企業は数多くあるため、具体的な買い手候補にアプローチする前に、自社の実質的な収益力や、貸借対照表においても現金化可能資産や非事業用資産を確認し、実質的な自社の財務状況の把握が必要です。

中古用品店業界のM&Aのポイント③:業界と自社の相場価格を把握しておく

M&Aの価格交渉において、業界や自社の相場価格を把握しておくことはとても重要です。相場価格を把握していなければ、本来の価値よりも低く提示されたり不利な条件を提示されたりした場合も気づかずに契約してしまう可能性があります。

類似企業のM&A事例や業界の財務指標などを分析し、適正な価格水準を把握しておきましょう。

また、事業の成長性やシナジー効果なども考慮しながら、価格の妥当性を検証する必要もあります。価格交渉を有利に進め、事業の成長を実現させるためにも相場を把握しておくべきです。

中古用品店業界のM&A売却事例6選

中古用品店業界のM&A売却事例

ここでは、中古用品店業界で実施されたM&Aの売却事例を紹介します。本記事では、下記の6つの事例を紹介します。

・コメ兵ホールディングス×Rs-JAPAN
・BuySell Technologies×レクストホールディングス
・ウォッチニアングループ×クォーク

・トレジャー・ファクトリー×ピックアップジャパン
・オリックス株式会社 × 株式会社ネットジャパン
・ハードオフコーポレーション×エコプラス

実際の取引を参考にして、自社の売却のために役立ててください。

中古用品店業界のM&A売却事例①:コメ兵ホールディングス×Rs-JAPAN

コメ兵ホールディングスは、傘下のコメ兵を通じて、2024年11月1日付でRs-JAPANを1億9,000万円で買収し、全株式を取得しました。

コメ兵ホールディングスは、中古品・新品の宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、着物、カメラ、楽器などの仕入・販売を行っています。

Rs-JAPANは、カラオケ機器レンタルの家事・コーポレーションの全額出資子会社で、1960年設立、売上高は110億9,100万円です。ブランドリユース事業を展開しており、法人オークション「Rs-Auction」を運営しています。

本件M&Aによって、コメ兵ホールディングスは仕入れの柔軟性向上、在庫の効率化、法人オークションの拡大など、仕入れから販売までのバリューチェーンを強化し、収益性向上を図っています。また、グループ各社とのさまざまなシナジー効果を見込めると判断し、ブランド・ファッション事業の事業展開を加速度的に進めることを目指しています。

中古用品店業界のM&A売却事例②:BuySell Technologies×レクストホールディングス

BuySell Technologiesは、レクストホールディングスを買収し、完全子会社化しました。まず、2024年10月1日付で十河良寿代表取締役ら2人、両人が出資するレクストドリームファンド有限責任事業組合から82億4000万円で88.5%の株式を取得しました。その後、10月8日付で株式交換を実施し、簡易株式交換となります。交換比率は1:297です。金額は11億6,100万円ほど。自己株式を充て、金額総額は94億100万円ほどとなりました。

BuySell Technologiesは、「人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる。」をミッションとし、買取・販売の循環を実現する総合リユースサービスを提供している企業です。運営する国内最大級の出張訪問買取サービス「バイセル」のほか、買取店舗の「バイセル」の出店を強化しています。

レクストホールディングスは売上高137億6,900万円で、「買取 福ちゃん」のサービスブランドで出張訪問買取事業、店舗買取事業を運営しています。

本件M&Aによって、BuySell Technologiesは国内の「かくれ資産」へのアプローチを強化します。そして、出張訪問買取事業の競争優位性を強固なものへとすることを目指しています。

中古用品店業界のM&A売却事例③:ウォッチニアングループ×クォーク

ウォッチニアングループを含む企業グループにクォークが参加したことが、2024年12月1日に発表されました。

ウォッチニアングループはアドバンテッジパートナーズがサービスを提供しているファンドが出資する企業であり、高級腕時計を中心としたブランドリユース品の買取・販売を行っている企業です。

クォークは18店舗を展開する高い認知度を誇るロレックス専門店であり、高級腕時計の販売、買取、卸売および事業者向けオークション運営を行っています。

本件M&Aによって、海外/卸チャネルに強みのあるウォッチニアングループと、国内/小売チャネルに強みのあるクォークが相互に補完することで、バランスの取れたポートフォリオを持つ業界リーダー地位の確立を図っています。

中古用品店業界のM&A売却事例④:トレジャー・ファクトリー×ピックアップジャパン

トレジャー・ファクトリーは、2020年10月19日付でピックアップジャパンの発行済株式の100%を取得し、子会社化しました。

トレジャー・ファクトリーは、リユースを中核とした事業を展開し、循環型社会の構築を掲げている企業です。

ピックアップジャパンは1961年4月設立、静岡県磐田市に本拠を置き、総合リユースショップ・質の運営、ブランド・貴金属専門リユースショップ、時計・ジュエリーの修理などを手がけています。決算期2020年3月期には売上高約19億円となっています。

このM&Aにより、トレジャー・ファクトリーは静岡県エリアでの店舗ネットワークを強化が期待されています。ピックアップジャパンのブランド力・大型店舗運営ノウハウを取り込むことで、事業展開を加速できるでしょう。

中古用品店業界のM&A売却事例⑤:オリックス株式会社 × 株式会社ネットジャパン

オリックス株式会社は、2014年4月22日付で株式会社ネットジャパンおよびその関連会社の株式を取得し、同社を完全子会社化しました。

オリックス株式会社は、金融サービス、リース事業、環境・エネルギー関連、物流・リサイクル領域など多岐にわたる事業を展開しています。

株式会社ネットジャパンは、1995年7月設立(本社:東京都台東区)で、貴金属・地金(金・銀・プラチナなど)の売買および貴金属スクラップの買取・精錬業務を主に手がけています。資本金60億円、全国に2万店以上の買取業者とのネットワークを有しています。

このM&Aにより、オリックスはネットジャパンの高度な貴金属リサイクル技術および広範な買取ネットワークを取り込み、国内外での販売チャネル拡大と事業基盤強化を目指していると考えられます。

中古用品店業界のM&A売却事例⑥:ハードオフコーポレーション×エコプラス

ハードオフコーポレーションは、2020年10月1日付でエコプラスを株式交換により完全子会社化しました。

ハードオフコーポレーションは、リユース品(家電・楽器・ホビーなど)の買い取り・販売を全国で行う企業で、直営店およびフランチャイズ店舗を展開しています。

エコプラスは、宮城県名取市に本社を構え、東北6県および北海道で「ハードオフ」24店舗、「オフハウス」25店舗、「ガレージオフ」2店舗、「ホビーオフ」9店舗、計60店舗を運営していたフランチャイズ加盟法人で、売上高32億8,000万円、営業利益1,500万円、純資産6億5,100万円という規模です。

このM&Aにより、ハードオフコーポレーションは東北・北海道エリアにおける店舗基盤を強化でき、地域特化の運営ノウハウを取り込むことで、リユース事業の拡大が期待されるといえるでしょう。

中古用品店業界のM&Aに関するよくある質問

中古用品店業界のM&Aに関するよくある質問

中古用品店業界でのM&Aにおいてよくある質問を紹介します。

理想の取引を実現するためにも、ぜひ参考にしてください。

中古用品店業界のM&Aに関するよくある質問①:地方企業でもM&Aは可能ですか?

もちろん全国問わず、M&Aは可能です。

全国対応するM&A助言会社はありますし、買い手もまだ事業展開していない地域への進出を目的として、M&Aを戦略の一つとして活用することは一般的です。

中古用品店業界のM&Aに関するよくある質問②:どうすればよい条件で会社を売却できますか?

いくつかの留意点を押さえれば、よい条件で売却できる可能性は高まります。

業界によって、株式価値評価の相場が異なるため、M&A助言会社に相談し、企業評価を取得することから始めるのが、よい選択であると考えられます。

中古用品店業界のM&Aに関するよくある質問③:従業員や取引先にはどのような説明をすればよいですか?

M&Aの際には、従業員や取引先に対して、動向や意図を正しく伝える必要があります。突然の実施は関係者に不安を抱かせてしまうため、透明性のあるコミュニケーションが欠かせません。

従業員には、新たな方針や役割、この先のビジョンを説明し、安心感を持たせましょう。取引先に対しては、ビジネスの継続性や意義を伝え、信頼関係の維持が必要となります。

まとめ

まとめ

中古用品店業界では、店舗拡大や事業規模の拡大、ノウハウの取得を目的としたM&Aが活発に行われています。

M&Aを通じて、従業員の雇用を継続しながら、事業リスクの回避や個人保証の解除が可能です。

自社の収益力や財務状況をしっかり把握し、業界と自社の相場価格を把握したうえでM&Aを進めましょう。

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RISONAL 編集部(オーナーズ )

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