運送業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

2025.09.30

公開日:2025.09.30

2025.09.30

2025.09.30

更新日:2025.09.30

2025.09.30

運送業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

近年、運送業界では「物流の2024年問題」への対応が続いています。時間外労働の上限規制や置き配・時間指定など多様化する荷主ニーズにより、現場オペレーションの高度化は避けられません。

また、EC拡大やラストワンマイル需要の増加に伴い、運送会社に求められる役割は一層広がっています。
電子伝票(EDI)や配車計画の最適化、デジタコ・テレマティクス連携など、TMS/WMSを中心とした業務システム整備が急務です。
また、GX(Green Transformation)への対応として、EV・FCVや低燃費車の導入、モーダルシフト、カーボンフットプリント開示といった取り組みも欠かせません。

一方で、経営者の高齢化に伴う事業承継課題が目立ち、ドライバー・運行管理者・整備人材の採用難が続くなど、人材不足は深刻です。

加えて、大手3PLや宅配大手との競争激化、燃料価格の変動、運賃交渉力の格差なども収益を圧迫しています。こうした環境下で、ネットワーク拡大や共同配送、車両・倉庫の統合による効率化、人材確保力の強化を目的としたM&Aが増加しています。

では、実際に運送会社のM&Aはどのように進むのでしょうか。本記事では、最新動向をわかりやすく解説し、売却のメリットや進め方・相場感も紹介します。売却や承継を検討する経営者・運行管理者の方は、ぜひ参考にしてください。

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運送業界の現状

運送業界の現状

運送業界は「物流の2024年問題」に直面しており、長時間労働の是正や人材不足への対応が大きな課題となっています。

特にドライバーの労働時間制限が強化されたことで、従来の配送体制を維持するのが難しくなりつつあります。さらに、EC需要の拡大により小口配送が増加し、効率的な配車や共同配送の仕組みづくりが急務となっています。

大手企業ではAIによる配車システムや自動倉庫の導入を進めていますが、中小企業では投資余力が限られており、対応が遅れやすいのが実情です。

加えて、燃料費の高騰や環境規制への対応も収益を圧迫しています。電動トラックの導入やモーダルシフト(鉄道や船舶を活用した輸送)への転換も進められていますが、コスト負担の大きさから中小企業では実現が難しいケースも少なくありません。

このように、運送業界は需要増加と規制強化の板挟みにあるため、業務効率化や人材確保への取り組みが不可欠です。中長期的に競争力を維持するためには、デジタル技術の導入や環境対応の積極的に進めることが重要だといえるでしょう。

運送業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

運送業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

運送業界では、経営者の高齢化に伴い後継者が見つからず、廃業を避けるためにM&Aを選択するケースが増えています。ドライバー不足や労働環境の改善圧力が強まるなか、自力で事業を継続するのは容易ではありません。

特に規模の小さい運送会社では、人材確保や車両投資の負担が重く、競争の激しい市場で安定的に利益を上げるのは難しい状況です。

その点、体力のある企業へ事業を引き継ぐことで、従業員の雇用や取引先との関係を守りながら、経営者自身は売却益を得られる仕組みが実現できます。

さらに、燃料価格の変動や環境規制対応といった課題も、単独では解決が難しいため、統合による効率化が有効です。こうした背景から、M&Aは事業承継と企業成長を同時に実現する手段として注目されています。

運送業界での企業売却方法は?3種類を紹介

運送業界での企業売却方法は?3種類を紹介

運送業界のM&Aでは、主に「株式譲渡」「会社分割」「事業譲渡」の3つの方法があります。それぞれ特徴や注意点が異なるため、自社に合った手法を選ぶことが重要です。

株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴

株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては最も多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。

株式譲渡のメリット
株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、会社そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。

そのため、以下のようなメリットがあります。

・従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
・許認可や契約の再取得が原則不要で、実務上の負担が少ない
・法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる

とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。但し、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。

株式譲渡の注意点・デメリット
一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。

そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するデューデリジェンス(詳細調査)を丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。

会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点

会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。

会社分割の主な種類
会社分割には、以下のような分類があります。

・新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
・吸収分割:既存の他社に事業を承継させる

さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。

・分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
・分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る

会社分割のメリットと特徴
会社分割の最大の特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。

また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。

税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い
会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。

「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、M&A目的で行う場合は多くが「非適格分割」に該当します。

非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。

また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点

事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。
譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。

事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい
事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。

特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。

売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税
事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。

また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。

・課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとの課税・非課税を区分し課税対象資産部分の消費税を計算する必要があり、それぞれの対価を合理的に区分し、課税・非課税の計算を行う必要があります。

事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑
個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットといえます。

・すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
・許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある

運送業界の売却の流れは?3つのステップを紹介

運送業界の売却の流れは?3つのステップを紹介

運送業界でM&Aを進める際は、大きく3つのステップに分けて進行します。

1.M&Aの準備と助言会社の選定
2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領
3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておくことが重要です。

Step1.M&Aの準備と助言会社の選定

まず行うべきは、M&Aに向けた準備と助言会社の選定です。初めに秘密保持契約を結び、必要な資料を開示します。

秘密保持契約は、自社の機密情報が第三者に漏れないようにするための取り決めです。その後、助言会社と売却戦略を策定し、候補企業を優先順位ごとにまとめたロングリスト(※1)を作成します。

加えて、ストラクチャー(※2)や全体のスケジュールも検討し、この段階でエージェント契約を締結します。
仲介とFA(フィナンシャル・アドバイザー)の違いを理解することも重要です。仲介は双方の利害を調整する立場で、手数料も両者から受け取ります。

一方FAは片方のみを支援し、依頼者の利益最大化を目指します。弊社では売り手専属のFAサービスを提供し、利益重視の支援を行っています。

並行して、ティーザー(※3)やインフォメーション・パッケージ(※4)といった買い手向け資料も準備します。

※1 ロングリスト:一定の条件で絞り込んだ買い手候補先の企業をまとめたリスト。
※2 ストラクチャー:M&Aを実行するための手段や方法。
※3 ティーザー:匿名の企業概要書で、通常1枚から2枚で構成される資料。
※4 インフォメーション・パッケージ:買い手候補先企業がM&Aを検討する際の参考資料。対象会社(事業)の魅力を伝え、買い手候補先企業が企業価値評価を実施できることを目的に作成される。

Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領

次の段階では、M&A助言会社がロングリストを基に買い手候補へアプローチし、最初にティーザーと呼ばれる匿名の概要資料を提示します。

その後、関心を示した企業には秘密保持契約を結んだうえで、詳細な情報をまとめたインフォメーション・パッケージを提供する流れです。

さらに、買収を検討する企業は、譲渡価格の水準や取引条件、今後の運営方針を明記した意向表明書を提出することになります。

売り手は複数の候補から条件を比較し、基本合意に進むかを判断します。ここで注意すべきは、次のデューデリジェンス(DD)に進むと、機密情報が相手に渡る点です。

そのため、受け入れる前に十分納得できる条件であるかを確認する必要があります。

一方で買い手側も専門家を起用し、多大なコストをかけるため、この時点で独占交渉権を求めることが一般的です。

こうした流れを経て、双方が守秘義務や独占交渉条件を取り決め、次の詳細調査へと進むのが一般的だといえるでしょう。

Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

意向表明を受けて基本合意を交わした後は、デュー・デリジェンス(DD)と呼ばれる詳細調査に進みます。

DDでは、買い手が対象企業の財務状況や契約関係、人材体制などを徹底的に確認します。これは売り手と買い手の間に生じる情報の不均衡をできる限り解消するために実施されるものです。
調査の結果は譲渡価格や契約条件に反映されるため、売り手にとっても重要な局面といえるでしょう。

さらに、発見されたリスクは契約条項に盛り込まれ、将来のトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。
最終契約では、双方が合意した譲渡価格や条件を確定させ、クロージングと呼ばれる手続きで株式や事業の引き渡しを行います。

この流れを経て、代金の支払いと経営権の移転が完了し、M&A取引が正式に成立するのです。

運送業界の売却の相場は?価値算定方法を解説

運送業界の売却の相場は?価値算定方法を解説

運送業界のM&Aでは、売却価格を見極めるために企業価値や株式価値の算定が欠かせません。ここでは代表的な算定方法を紹介します。

1.企業価値を算定する

運送 業界のM&A実務において企業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。

・インカムアプローチ
・マーケットアプローチ

インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を試算します。

理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。

本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。

マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして企業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。

・類似会社比較法
・類似取引比較法

類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、企業価値を算出する方法です。

具体的には、以下のように算定します。

EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)

EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。

また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかで算定結果は大きく依存します。

2.株式価値を算定する

企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。

企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値

第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。

なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。

しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。

M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
[うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~]

また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
[株価シミュレーター]

運送業界で企業を売却する3つのメリット

運送業界で企業を売却する3つのメリット

運送業界のM&Aには、売り手にとって大きな利点が多くあります。ここでは代表的なメリットとして、下記の3つを紹介します。

・従業員の雇用を守れる
・経営者保証や負債から解放される
・売却益を得て次のステージに進める

それぞれ詳しく解説します。

従業員の雇用を守れる

運送会社が廃業を選んだ場合、ドライバーや事務スタッフは一斉に職を失い、再就職先を探さざるを得なくなります。取引先も代替業者を探す必要が生じ、地域の物流に混乱を招く恐れがあります。

一方、M&Aによって事業を承継すれば、従業員の雇用や取引関係をそのまま引き継ぐことが可能です。買い手企業にとっても人材不足が深刻な状況で優秀なドライバーを確保できるメリットがあり、雇用が維持する条件での取引が成立しやすくなります。

さらに、大手企業傘下に入ることで労働環境が改善される場合も多く、福利厚生や教育制度の充実によって従業員の働きやすさが向上します。

このように、M&Aは従業員の生活を守りつつ、企業としての社会的責任を果たせる有効な手段だといえるでしょう。

経営者保証や負債から解放される

中小規模の運送会社では、金融機関からの融資に経営者個人の保証が求められることが一般的です。厳しい事業環境のなか、借入返済に苦しむケースも多く、経営者は常に私財を担保にしたリスクを背負っています。

M&Aを実施すれば、買い手企業が債務を引き継ぐ形で金融機関と交渉が行われ、経営者保証を外す道が開かれることがあります。複数の車両ローンや倉庫契約を抱える場合でも、スキームを工夫することで経営者の個人リスクを軽減することが可能です。

保証解除が実現すれば、経営者は長年のプレッシャーから解放され、安心して次の人生に進む準備が整います。精神的な負担が減ることはもちろん、家族への責任を果たすうえでも大きな意義があるといえるでしょう。

売却益を得て次のステージに進める

運送会社を売却して得られるまとまった資金は、経営者にとって大きな転機となります。老後の生活資金として活用できるのはもちろん、相続や資産承継の準備、新たな事業への再挑戦にも役立てられます。

長年積み上げてきた会社の価値が現金化できるため、経営リスクから解放されながら資産形成を進めることが可能です。

また、取引条件によってはアーンアウト(業績連動型の後払い制度)や、一定期間経営に関与するリテンション契約を取り入れ、段階的に資金を得ながら円滑な承継を実現できるケースもあります。

資金と時間を確保することで、地域貢献活動や顧問業といった新しい形で業界に関わる道も開けるでしょう。売却益を得て次の人生設計を描ける点は、M&Aの大きな魅力です。

運送業界で企業を売却する際の4つのポイント

運送業界で企業を売却する際の4つのポイント

運送業界のM&Aを成功させるには、資産形成や事業継続といった目的に応じた準備が欠かせません。ここでは売却を検討する際に意識すべき4つの重要な視点として、下記を紹介します。

・資産形成の手段として活用できる
・事業の継続と成長が実現しやすい
・早期からの準備が成功のカギ
・信頼できる専門家を活用する

それぞれ詳しくみていきましょう。

資産形成の手段として活用できる

企業売却によって、これまで築いてきた事業の価値を現金化することができます。これにより、経営者は以下のような資金を確保できます。

・引退後の生活資金(リタイアメント資金)
・新たな事業への投資資金
・相続や資産承継の準備資金

特に後継者が不在の企業にとって、M&Aは事業を手放すだけでなく、経営者自身の将来を守る手段にもなります。

事業の継続と成長が実現しやすい

M&Aによって新たな経営資源やネットワークを得ることで、これまで単独では難しかった市場展開や販路拡大が可能になります。
また、以下のようなケースも多く見られます。

・買い手企業が従業員の雇用を維持
・既存の取引先との関係も継続
・経営理念やノウハウの承継によって「企業文化」も残る

自社の理念や価値を次世代へつなぐことができるのは、単なる「売却」ではない、M&Aならではの魅力です。

早期からの準備が成功のカギ

企業売却は短期間で決断できるものでがありません。成功に導くためには、少なくとも1〜2年前からの準備が理想的です。

準備すべき主な項目は以下の通りです。

・財務諸表・経営数値の整理
・契約書・知財などの法務チェック
・組織体制や人事面の見直し
・潜在的なリスクの洗い出し

これらを整えることで、買い手からの信頼獲得や、企業価値の最大化にもつながります。

信頼できる専門家を活用する

M&Aは複雑かつ専門的な取引であり、経験の浅い経営者が単独で進めるのは非常にリスクが高いです。
そのため、以下のようなサポートをしてくれる専門家の活用をおすすめします。

・M&A支援業者(FA、仲介会社)
・運送・公認会計士・弁護士
・専門知識を持つコンサルタント

支援業者次第では、初期費用を抑えながらM&Aを進めることも可能です。第三者の視点を取り入れることで、感情に左右されない冷静な判断ができるのも大きなメリットです。

運送業界での企業売却にかかる税金とは?

運送業界での企業売却にかかる税金とは?

企業を売却する際には、売却益に対して税金が発生します。 この税金の仕組みは、「個人オーナーが売却する場合」と「法人が株式を譲渡する場合」で異なるため、正しく理解しておくことが重要です。個人・法人別にわかりやすく解説します。

個人オーナーの場合

個人が自社株などの株式を譲渡し、譲渡益(売却益)が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。

◆ 課税の仕組み

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

この譲渡所得には、以下の税が課せられます。

・所得税(復興特別所得税含む)
・住民税

給与所得などとは分離して課税されるため、所得の合算は不要ですが、確定申告が必要です。
適切に節税するためには、事前に運送など専門家への相談が欠かせません。

法人の場合

法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。

◆ 法人の場合の税務処理

・譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
・譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
・所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能

◆ 評価差額にも注意

帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。

まとめ

まとめ

運送業界は市場拡大が続く一方で、経営者の高齢化や人材不足といった課題が深刻化しています。こうした状況において、M&Aは事業承継や経営基盤の強化を実現する有効な手段といえるでしょう。

売却によって経営者保証から解放されるだけでなく、従業員の雇用を守りながらまとまった売却益を得られる点も大きな魅力です。

ただし、理想的な条件で取引を成立させるためには、信頼できる助言会社の選定や、自社の収益力・財務状況を正しく把握した上で強みを明確に伝える準備が欠かせません。専門家のサポートを受けながら進めることで、希望に沿ったM&Aを実現できる可能性が高まります。

運送業界のM&A事情については下記記事でも解説しているため、ぜひ合わせて読んでみてください。
運送業界のM&A事情とは?業界動向やM&Aのメリットを解説!

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。

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まずは一度、弊社の無料相談サービスをご利用ください。

この記事の著者

RISONAL 編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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