会計事務所業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

2025.10.31

公開日:2025.10.31

2025.10.31

2025.10.31

更新日:2025.10.31

2025.10.31

会計事務所業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

近年、会計事務所業界では「後継者不足」や「定型的なサービスの需要の減少」が大きな課題となっています。後継者不在によって廃業を選択する事務所も少なくなく、事業の継続が困難になるケースが増加しています。

また、クラウド会計ソフトやAIの普及により、従来の記帳代行や申告業務といった定型的なサービスの需要は減少傾向にあります。大手会計事務所や税理士法人による顧客獲得競争も激化しており、差別化や高付加価値サービスへの転換が求められています。

こうした状況下で、資本力を持つ企業への売却やM&Aを活用した統合が広がりつつあります。本記事では、会計事務所業界の現状やM&Aの相場感、売却のメリットや手続きの流れについて解説します。事業承継や売却を検討している経営者の方はぜひ参考にしてください。

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会計事務所業界の現状

会計事務所業界は、国内に数多くの事務所が存在し、中小企業や個人事業主の経営を支える重要な役割を担っています。特に中小企業にとっては、税務申告や会計処理のサポートを行う外部専門家として欠かせない存在といえるでしょう。

しかし一方で、業界全体にはいくつかの課題も見られます。まず、所長である税理士・公認会計士の高齢化が進み、事業承継問題が深刻化しています。後継者不在により廃業を選択する事務所も少なくなく、顧客基盤の引き継ぎが大きな課題となっています。

さらに、クラウド会計ソフトやAIの普及により、従来の記帳代行や申告業務といった定型的なサービスの需要は減少傾向にあります。今後は、経営コンサルティングや資産承継支援など、付加価値の高いサービスを提供できる事務所が競争優位を確立していくと考えられるでしょう。

また、大手会計事務所や税理士法人による顧客獲得競争も激化しています。規模の小さい事務所では、M&Aを活用して顧客基盤や人材を確保し、生き残りを図る動きが広がっています。

会計事務所業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

会計事務所業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

会計事務所におけるM&Aは、単なる事業売却ではなく、顧客や人材を円滑に承継するための有効な手段といえます。業界の特性として、顧問契約を中心としたビジネスモデルが主流であることから、顧客基盤をどのように守り、拡大していくかが重要なテーマとなっています。

売却を検討する背景には、いくつかの理由があります。まず、所長の高齢化や後継者不足が代表的な要因です。親族や従業員に事業を承継できない場合でも、M&Aを通じて顧客を引き継ぐことで、事務所の価値を維持することが可能です。

また、規模の小さい事務所では、人材不足や競争激化が大きな課題となっています。大手事務所や他の専門サービスとの競争に対応するためには、単独での運営に限界を感じるケースも少なくありません。そのため、M&Aによって経営資源を統合し、サービスの幅を広げる動きが活発化しています。

さらに、近年はクラウド会計ソフトの普及によって業務効率化が進む一方、収益性が低下する事務所も見られます。新たな収益モデルを模索する中で、M&Aによる再編が有力な選択肢となっているのが現状です。

会計事務所業界での企業売却方法は?3種類を紹介

会計事務所のM&Aにはいくつかの方法がありますが、主に以下の3種類です。

・株式譲渡
・事業譲渡
・合併

それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、売却目的や事業の状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。

ここでは、3種類の方法について詳しく解説します。

株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴

株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。

株式譲渡のメリット

株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、会社そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。
そのため、以下のようなメリットがあります。

・従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
・許認可や契約の再取得が原則不要で、実務上の負担が少ない
・法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる

とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。ただし、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。

株式譲渡の注意点・デメリット

一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。

そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するデューデリジェンス(詳細調査)を丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。

会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点

会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。

会社分割の主な種類

会社分割には、以下のような分類があります。

・新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
・吸収分割:既存の他社に事業を承継させる

さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。

・分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
・分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る

会社分割のメリットと特長

会社分割の大きな特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。

また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。

税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い

会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。

「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、M&A目的で行う場合は多くが「非適格分割」に該当します。

非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。

また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点

事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。

譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。

事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい

事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。

特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。

売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税

事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。

また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。

・課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとに合理的に区分して、課税・非課税を計算する必要があります。

事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑

個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットといえます。

・すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
・許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある

会計事務所業界の売却の流れは?3つのステップを紹介

会計事務所業界の売却の流れは?3つのステップを紹介

会計事務所業界でM&Aを進める際は、大きく3つのステップに分けて進行します。

1.M&Aの準備と助言会社の選定
2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領
3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておくことが重要です。

Step1.M&Aの準備と助言会社の選定

まず行うべきは、M&Aに向けた準備と助言会社の選定です。初めに秘密保持契約を結び、必要な資料を開示します。

秘密保持契約は、自社の機密情報が第三者に漏れないようにするための取り決めです。その後、助言会社と売却戦略を策定し、候補企業を優先順位ごとにまとめたロングリスト(※1)を作成します。

加えて、ストラクチャー(※2)や全体のスケジュールも検討し、この段階でエージェント契約を締結します。

仲介とFA(フィナンシャル・アドバイザー)の違いを理解することも重要です。仲介は双方の利害を調整する立場で、手数料も両者から受け取ります。

一方FAは片方のみを支援し、依頼者の利益最大化を目指します。弊社では売り手専属のFAサービスを提供し、利益重視の支援を行っています。

並行して、ティーザー(※3)やインフォメーション・パッケージ(※4)といった買い手向け資料も準備します。

※1 ロングリスト:一定の条件で絞り込んだ買い手候補先の企業をまとめたリスト。
※2 ストラクチャー:M&Aを実行するための手段や方法。
※3 ティーザー:匿名の企業概要書で、通常1枚から2枚で構成される資料。
※4 インフォメーション・パッケージ:買い手候補先企業がM&Aを検討する際の参考資料。対象会社(事業)の魅力を伝え、買い手候補先企業が企業価値評価を実施できることを目的に作成される。

Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領

次の段階では、M&A助言会社がロングリストを基に買い手候補へアプローチし、最初にティーザーと呼ばれる匿名の概要資料を提示します。

その後、関心を示した企業には秘密保持契約を結んだうえで、詳細な情報をまとめたインフォメーション・パッケージを提供する流れです。

さらに、買収を検討する企業は、譲渡価格の水準や取引条件、今後の運営方針を明記した意向表明書を提出することになります。

売り手は複数の候補から条件を比較し、基本合意に進むかを判断します。ここで注意すべきは、次のデューデリジェンス(DD)に進むと、機密情報が相手に渡る点です。

そのため、受け入れる前に十分納得できる条件であるかを確認する必要があります。

一方で買い手側も専門家を起用し、多大なコストをかけるため、この時点で独占交渉権を求めることが一般的です。

こうした流れを経て、双方が守秘義務や独占交渉条件を取り決め、次の詳細調査へと進むのが一般的だといえるでしょう。

Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

意向表明を受けて基本合意を交わした後は、デュー・デリジェンス(DD)と呼ばれる詳細調査に進みます。

DDでは、買い手が対象企業の財務状況や契約関係、人材体制などを徹底的に確認します。これは売り手と買い手の間に生じる情報の不均衡をできる限り解消するために実施されるものです。

調査の結果は譲渡価格や契約条件に反映されるため、売り手にとっても重要な局面といえます。

さらに、発見されたリスクは契約条項に盛り込まれ、将来のトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。

最終契約では、双方が合意した譲渡価格や条件を確定させ、クロージングと呼ばれる手続きで株式や事業の引き渡しを行います。

この流れを経て、代金の支払いと経営権の移転が完了し、M&A取引が正式に成立するのです。
[M&Aのプロセス]

会計事務所業界の売却の相場は?価値算定方法を解説

会計事務所業界のM&Aでは、売却価格を見極めるために企業価値や株式価値の算定が欠かせません。ここでは代表的な算定方法を紹介します。

1.企業価値を算定する

会計事務所業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。

・インカムアプローチ
・マーケットアプローチ

インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。

理論的に優れた方法ですが、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は難易度が高いです。そのため、専門家でないと試算が困難で、初めての方には理解しづらい点が欠点です。

本稿では「価値の概算を把握する」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。

マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。

・類似会社比較法
・類似取引比較法

類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。

具体的には、以下のように算定します。

EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)

EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。

また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかで算定結果は大きく依存します。

2.株式価値を算定する

企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。

企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値

第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。

なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。

しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。

M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
[うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~]

また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
[株価シミュレーター]

会計事務所業界で企業を売却する3つのメリット

会計事務所業界で企業を売却する3つのメリット

会計事務所業界のM&Aには、売り手にとって大きな利点が多くあります。ここでは代表的なメリットとして、下記の3つを紹介します。

1.顧客基盤を守りながら円滑な事業承継が可能
2.従業員の雇用を維持できる
3.経営者が引退資金を得られる

それぞれ詳しく解説します。

1. 顧客基盤を守りながら円滑な事業承継が可能

会計事務所の価値は、継続的な顧問契約と顧客との信頼関係に集約されるといえるでしょう。事業をM&Aによって承継すれば、顧客対応や申告スケジュールの連続性を確保しやすくなります。

特に、引継計画を事前に共有することで、担当者交代時の不安を最小限に抑える効果が期待されます。買い手側のIT基盤や業務マニュアルを活用できる点も利点であり、帳票様式や業務フローの統一が進むことで、サービス品質の安定につながるでしょう。

さらに、移行期間中に共同で顧客訪問を行うことで、顧客離脱の防止につながる可能性が高まります。顧客データの名寄せや契約更新を並行して進めることで、収益の目減りを抑えることができます。

このように、M&Aは顧客基盤を守りながら業務の継続性を確保する有効な手段といえます。

2. 従業員の雇用を維持できる

会計事務所のスタッフは、専門知識を持つ即戦力として欠かせない存在です。M&Aによって事務所が存続すれば、従業員の雇用は中長期的に安定する傾向があります。

さらに、評価制度や研修体系が整うことで、キャリアの道筋が明確になり、成長を実感しやすくなる点も魅力といえるでしょう。買い手企業によっては、社会保険や就業規則の整備・改善が進むケースもあります。

また、大規模事務所の監査部門やコンサルティング部門と連携できれば、従業員の職域が広がり、スキル向上につながる可能性が高まります。

繁忙期の業務支援が強化されることで残業の平準化が進み、働きやすい環境が整うと考えられます。雇用の安定は従業員の生活を守るだけでなく、顧客との信頼関係を維持し、サービス品質の向上にも寄与するでしょう。

3. 経営者が引退資金を得られる

会計事務所を売却することで、経営者は長年積み上げてきた無形資産を資金化することができます。廃業を選択した場合、顧客基盤や信用は失われてしまいますが、M&Aを通じて承継すれば、それらを経済的価値として回収できる点が大きな利点です。

得られた資金は、引退後の生活費や老後資金として活用できるだけでなく、新たな投資や事業展開の原資にもなります。また、売却条件に役員残留を組み込むことで、移行期間中に一定の収入を得られ、急激な収入減少を避けることが可能です。

さらに、アーンアウト(業績連動型の追加対価)を設定すれば、売却後の上振れ利益を取り込める可能性もあります。こうした観点からも、M&Aによる売却は経営者の将来設計を支える有効な選択肢といえるでしょう。

会計事務所業界で企業を売却する際の4つのポイント

会計事務所業界のM&Aを成功させるには、資産形成や事業継続といった目的に応じた準備が欠かせません。ここでは売却を検討する際に意識すべき4つの重要な視点として、下記を紹介します。

・資産形成の手段となる
・事業継続と成長につながる
・早期からの準備が成功のカギ
・信頼できる専門家を活用する

それぞれ詳しくみていきましょう。

資産形成の手段となる

企業売却によって、これまで築いてきた事業の価値を現金化することができます。これにより、経営者は以下のような資金を確保できます。

・引退後の生活資金(リタイアメント資金)
・新たな事業への投資資金
・相続や資産承継の準備資金

特に後継者が不在の企業にとって、M&Aは事業を手放すだけでなく、経営者自身の将来を守る手段にもなります。

事業継続と成長につながる

M&Aによって新たな経営資源やネットワークを得ることで、これまで単独では難しかった市場展開や販路拡大が可能になります。
また、以下のようなケースも多く見られます。

・買い手企業が従業員の雇用を維持
・既存の取引先との関係も継続
・経営理念やノウハウの承継によって「企業文化」も残る

自社の理念や価値を次世代へつなぐことができるのは、単なる「売却」ではない、M&Aならではの魅力です。

早期からの準備が成功のカギ

企業売却は短期間で決断できるものではありません。成功に導くためには、少なくとも1〜2年前からの準備が理想的です。
準備すべき主な項目は以下の通りです。

・財務諸表・経営数値の整理
・契約書・知財などの法務チェック
・組織体制や人事面の見直し
・潜在的なリスクの洗い出し

これらを整えることで、買い手からの信頼獲得や、企業価値の最大化にもつながります。

信頼できる専門家を活用する

M&Aは複雑かつ専門的な取引であり、経験の浅い経営者が単独で進めるのは大きなリスクを伴います。
そのため、以下のようなサポートをしてくれる専門家の活用をおすすめします。

・M&A支援業者(FA、仲介会社)
・税理士・公認会計士・弁護士
・専門知識を持つコンサルタント

支援業者次第では、初期費用を抑えながらM&Aを進めることも可能です。第三者の視点を取り入れることで、感情に左右されない冷静な判断ができるのも大きなメリットです。

会計事務所業界での企業売却にかかる税金とは?

会計事務所業界での企業売却にかかる税金とは?

企業を売却する際には、売却益に対して税金が発生します。 この税金の仕組みは、「個人オーナーが売却する場合」と「法人が株式を譲渡する場合」で異なるため、正しく理解しておくことが重要です。個人・法人別にわかりやすく解説します。

個人オーナーの場合

個人が自社株などの株式を譲渡し、譲渡益(売却益)が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。

◆ 課税の仕組み

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

この譲渡所得には、以下の税が課せられます。

・所得税(復興特別所得税含む)
・住民税

給与所得などとは分離して課税されるため、所得の合算は不要ですが、確定申告が必要です。
適切に節税するためには、事前に税理士など専門家への相談が欠かせません。

法人の場合

法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。

◆ 法人の場合の税務処理

・譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
・譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
・所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能

◆ 評価差額にも注意

帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。

まとめ

会計事務所業界におけるM&Aは、後継者不足や所長の高齢化といった課題を背景に、その重要性が一段と高まっています。従来は廃業を選択する事務所も少なくありませんでしたが、それでは顧客や従業員の将来に不安が残ります。

M&Aを活用すれば、顧客基盤を守りながら事業を円滑に承継でき、従業員の雇用を維持できる点が大きな特徴です。経営者にとっても、引退資金を確保し、長年積み重ねてきた事務所の価値を最大限に活かす手段となります。

また、クラウド会計ソフトやAIの普及により、会計事務所を取り巻く環境は大きく変化しています。従来型の単純業務では差別化が難しくなっており、M&Aを通じて新たなサービスを取り入れたり、組織力を強化したりする動きが加速しています。

こうした流れを踏まえると、会計事務所のM&Aは事業承継にとどまらず、今後の成長戦略を支える有力な選択肢になるといえるでしょう。

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを提供しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスを提供します。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した成約も可能です。

また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。

まずは一度、弊社の無料相談サービスをご利用ください。

この記事の著者

RISONAL 編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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