ミニマムタックス強化、スタートアップ経営者の約8割が株式譲渡への影響を懸念。出口戦略は、「M&AとIPOの並行検討」が最多で、選択肢を広げる傾向へ
公開日:2026.08.19
2026.08.19
更新日:2026.08.20
2026.08.20
【調査結果概要】
- 9割近くが2027年施行のミニマムタックス強化を認知も、制度内容まで把握しているのは約4割にとどまる
- ミニマムタックス強化による株式譲渡への影響を、8割近くが懸念
- ミニマムタックス強化、約7割が事業成長への意欲に「影響あり」と回答
- 出口戦略の方向性、「M&AとIPOの並行検討」が最多
- 海外での拠点化・売却・上場など、半数以上が検討の可能性あり。すでに2割近くは具体的に検討開始
- 求める税制対応、「ストックオプション課税優遇」がトップ
【調査結果の引用時のお願い】
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記および当社サイトのリンクの掲載をお願いします。
当社サイト:https://risonal.com
例:「オーナーズの調査によると」「オーナーズ調べ」など
【調査の背景】
2026年度税制改正大綱では、「ミニマムタックス(特定の基準所得金額の課税の特例)」について、対象となる基準所得金額を3億3,000万円超から1億6,500万円超へ引き下げ、税率も22.5%から30%へ引き上げる方針が示されました。適用は2027年分以後の所得税からとなる見込みです。
スタートアップ経営者・創業株主は、M&Aによる株式譲渡や、IPO後の保有株式の売却などによって多額の譲渡所得を得る場合があります。個別の所得額や税額によっては本措置の影響を受ける可能性があり、今回の見直しは経営者自身の税負担や資産形成の見通しに直接影響しうるものです。
当社は、こうした制度変更を受け、スタートアップ経営者がミニマムタックス強化をどの程度認識し、株式譲渡やEXITの検討にどのような影響を感じているのかを把握するため、本調査を実施しました。
【調査結果詳細】
<Q21> 9割近くがミニマムタックス強化を認知も、制度内容まで把握しているのは約4割にとどまる
2027年から強化される「ミニマムタックス」(高額所得者への追加課税措置)について知っているかを尋ねたところ、「名前は聞いたことがある」が48.4%、「制度内容まで知っている」が38.7%となり、合わせて9割近くが存在を知っていることがわかりました。一方、制度内容まで把握している層は4割未満にとどまっており、認知は広がりつつも、内容理解には差があることがうかがえます(n=217)。

<Q22> ミニマムタックス強化による株式譲渡への影響を、8割近くが懸念
ミニマムタックス強化が将来の株式譲渡に与える影響について尋ねたところ、「確実に影響を受ける」が24.9%、「影響を受ける可能性が高い」が33.6%、「ある程度影響を受ける可能性がある」が19.8%となり、合わせて8割近くが何らかの影響を懸念していることがわかりました(n=217)。

<Q23> ミニマムタックス強化、約7割が事業成長への意欲に「影響あり」と回答
ミニマムタックス強化がスタートアップ経営者の事業成長への意欲に影響を与えると思うかを尋ねたところ、「とても影響を与えると思う」が25.3%、「やや影響を与えると思う」が47.0%となり、合わせて72.3%が、事業の成長意欲への影響を懸念していることがわかりました(n=217)。

<Q24> ミニマムタックス強化が事業意欲に与える影響の詳細(一部抜粋)
- 早期に売却してミニマムタックスを回避したい
- 税負担が増えたら、IPOと売却の両方とも視野に入る
- 自身で事業を大きくする意欲がなくなった
- 事業拡大よりも、別会社の設立に興味を持つようになった
<Q25> 出口戦略の方向性、「M&AとIPOの並行検討」が最多
ミニマムタックス強化を踏まえ、今後の出口戦略の方向性について尋ねたところ、「M&AとIPOを並行して検討する」が33.6%で最も多く、「IPOをより検討・優先するようになる」が25.8%と続き、税制変更を機にEXIT手段を単線的に絞り込まず、選択肢を広げようとする傾向が見られました。一方で、「方針は変わらない」と回答した層も6.5%存在しました(n=217)。

<Q26> 出口戦略の方向性への影響理由(一部抜粋)
M&AとIPOを並行して検討
- 今後の税法改正次第で影響が出る前に行動しておきたいため
- 不確定要素が高いため、並行で検討して可能性を模索する
- 長期戦略が今までよりも大切になるため
IPOをより検討・優先
- 税制の影響が無視できないため
- 早く利益につながるため
M&AによるEXITをより検討・優先
- 税制の影響を考えた
- IPOに比べると簡便であるため
<Q27> 海外での拠点化・売却・上場など、半数以上が検討の可能性あり。すでに2割近くは具体的に検討開始
ミニマムタックス強化を踏まえた海外関連の検討状況を尋ねたところ、「すでに具体的に検討している」、「今後検討する可能性がある」の合計が最も多かったのは「会社の海外拠点化」で54.3%となりました。次いで、「海外企業への売却」が53.0%、「海外市場での上場」が52.1%と、いずれも半数を超えました(n=217)。

<Q28> 求める税制対応、「ストックオプション課税優遇」がトップ
スタートアップ経営者の起業・成長意欲を維持するために必要な税制・制度面の対応を尋ねたところ、「ストックオプションへの課税優遇の拡充」が52.5%で最も多く、「創業株主の株式譲渡益に対する課税負担の軽減・猶予」が47.0%、「EXIT後の再投資・再起業を後押しする制度」が40.6%と続きました。創業者の資産形成と起業・成長意欲の維持の両面で、税制・制度面の対応が求められていることがうかがえます(n=217)。

オーナーズ株式会社 代表取締役社長 作田隆吉 コメント
今回の調査から、ミニマムタックス強化がスタートアップ経営者にとって事業成長意欲に及びうる問題として受け止められていることがうかがえました。少数派である富裕層を対象にした増税強化は政治的にも、世論的にも進めやすいと言われるところですが、他方で国が強力に推進するスタートアップ支援の文脈では、何かしらの手立てが求められることを示唆しています。
【調査概要】
- 調査名称:スタートアップ経営者のM&A意識・準備実態に関する調査
- 調査機関:Fastask
- 調査対象:全国のスタートアップ・ベンチャー企業の代表取締役・共同創業者
- 調査方法:Webアンケート
- 調査期間:2026年7月1日〜7月3日
- 有効回答数:217件
※各回答項目の割合(%)は、端数処理の関係上、合計が100%にならない場合があります
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