後継者育成とは?方法や進め方、かかる期間と3つの課題を解説

2026.08.05

公開日:2026.08.05

2026.08.05

2026.08.05

更新日:2026.08.05

2026.08.05

後継者育成とは?方法や進め方、かかる期間と3つの課題を解説

事業承継を考えるとき、後継者をどう育てるかに悩む経営者もいます。後継者育成は、次の経営者となる人材を計画的に育てる取り組みで、事業承継の準備の一部です。育成には時間がかかり、候補者が見つからないなどの課題もあります。

本記事では、後継者を育成しないと起こる問題、育成の課題と方法、進め方、使える支援制度に加え、社内での育成が難しい場合の選択肢まで解説します。後継者の育成を始めようとしている経営者の方に、進め方を考える材料になる内容です。

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後継者育成とは

後継者育成とは、経営者が、次の経営者となる後継者を計画的に育てる取り組みです。サクセッションプラン(後継者育成計画)と呼ばれることもあります

事業承継を円滑に進めるには、後継者が経営を担えるようになるための準備が必要になるためです。

後継者育成では、親族、社内の役員や従業員、社外から招く人材など、承継の方法に応じた候補を対象にします。経営の判断や、財務、従業員の管理など、経営者に求められる力を段階的に身につけてもらいます。後継者育成は、株式や経営権を実際に移す承継の実行に向けた準備という位置づけです。

※参考:中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)

後継者を育成しないと起こる問題

後継者を育成しないまま時間が過ぎると、事業や人材に影響が及ぶ場合があります

主な問題を確認します。

  • 廃業や解散につながる
  • 従業員の離職が増える
  • 企業価値が下がる

それぞれを順に解説します。

廃業や解散につながる

後継者を育成しないと、廃業や解散につながる場合があります。経営者が引退の時期を迎えても、事業を任せられる後継者が育っていないと、事業を続けられなくなることがあります。後継者不在は、廃業の理由の一つとされています。

現経営者として、引退の時期から逆算し、後継者の育成を早めに始める必要があります。

従業員の離職が増える

後継者が育っていないと、従業員の離職が増える場合もあります。会社の将来の見通しが立たず、従業員が不安を抱き、他社への転職を考えることがあるためです。また、経営を担う人材が見えない状態が続くと、人材の流出につながることがあります。

経営者として、後継者の育成の方針を、適切なタイミングで従業員へ伝えることが重要です。

企業価値が下がる

後継者が不在のままでは、企業価値が下がる場合があります。承継の見通しが立たないと、取引先や金融機関が、会社の継続性に不安を抱くことがあり、取引や融資の条件に影響することもあります。

経営者として、承継に向けた準備を進めることで、こうした影響を抑えやすくなります。

後継者育成の3つの課題

後継者育成には、進めるうえでの課題があります。よく見られる主な3つの課題を確認します。

  • 後継者候補が見つからない
  • 育成の体制が整っていない
  • 育成に長い時間がかかる

それぞれを順に解説します。

後継者候補が見つからない

後継者育成の課題の一つは、後継者候補が見つからないことです。親族に承継の意思がある人がいない場合や、社内に経営を任せられる人材がいない場合があります。候補がいても、承継の意思を確認できないこともあります。

経営者として、親族、社内、社外のどこから後継者を求めるかを、早めに検討する必要があります。

育成の体制が整っていない

育成の体制が整っていないことも、課題になりやすい点です。日々の業務に追われ、後継者を育てるための計画や、経験を積ませる仕組みを用意できないことがあります。育成が場当たり的になり、進まないことがあります。

現経営者として、育成の計画を立て、権限を段階的に任せる仕組みをつくることが望ましいです。

育成に長い時間がかかる

後継者の育成には、長い時間がかかることも課題です。経営者に必要な力は、短期間で身につくものではありません。経営の判断や、従業員との関係づくりには、実際の経験を重ねる時間が必要になります。

育成に時間がかかることを見込み、早い段階から着手することが重要です。

後継者を育成する方法

後継者を育成するには、いくつかの方法があります。社内と社外を組み合わせた育成の方法を確認します。

  • 社内で経験を積ませる
  • 社外で学ばせる
  • 補佐役を同時に育てる

それぞれを順に解説します。

社内で経験を積ませる

後継者を育成する方法の一つは、社内で経験を積ませることです。複数の部門や役職を経験させることで、会社全体の業務を理解してもらいます。経営の権限を段階的に任せたり、新しい取り組みを担当してもらったりする方法もあります。

現経営者として、後継者にどの経験を積ませるかを計画し、段階的に権限を委ねていくことが望ましいです。

社外で学ばせる

社外で学ばせることも、育成の方法の一つです。他社での勤務や、経営を学ぶ研修への参加により、自社にはない知識や視点を得てもらいます。社外の経営者との交流を通じて、視野を広げてもらう方法もあります。

社内での経験と組み合わせることで、経営に必要な力を身につけてもらいやすくなります。

補佐役を同時に育てる

後継者を支える補佐役を、同時に育てることも重要です。経営は、後継者一人で担うものではありません。財務、営業、製造などの各部門で、後継者を支える幹部や中核となる人材を育てておくことで、承継後の経営を進めやすくなります。

経営者として、後継者とあわせて、右腕となる人材の育成にも取り組むことが望ましいです。

後継者育成の進め方

後継者育成は、いくつかの段階を経て進めます。求める人物像を決めるところから、承継までの流れを確認します

Step1. 求める人物像と要件を決める

最初に、後継者に求める人物像と要件を決めます。自社の経営方針や、今後の事業の方向性をもとに、後継者に必要な能力や経験を明らかにします。経営の判断力、財務の理解、従業員をまとめる力など、求める要件を具体的にします

要件を明確にすることで、候補者を選ぶ基準がはっきりします。

Step2. 候補者を選ぶ

次に、後継者の候補者を選びます。親族、社内の役員や従業員、社外の人材のなかから、決めた要件に合う候補を選びます。候補者に承継の意思があるかを確認することも重要です。本人の意思を確認しないまま進めると、後の段階で承継が滞ることがあります。

複数の候補がいる場合は、経営への意欲や適性を確認しながら選びます。

Step3. 育成計画を立てて実行する

候補者を選んだら、育成計画を立てて実行します。求める要件と、候補者の現状を照らし、身につけるべき力を明らかにします。そのうえで、社内での経験や、社外での研修などを組み合わせた育成計画を作成します。計画に沿って、権限を段階的に任せながら育成を進めます。

計画は一度立てて終わりではなく、進み具合を見ながら見直すことが望ましいです。

Step4. 評価して引き継ぐ

育成の後は、後継者を評価し、経営を引き継ぎます。育成の進み具合や、経営を担える状態にあるかを評価します。経営を任せられると判断できた段階で、代表者の変更や、株式の移転などの承継の手続きを進めます。

承継の後も、現経営者が一定期間、後継者を支える体制を整えておくことで、承継後の運営を進めやすくなります。

後継者育成にかかる期間

後継者育成にかかる期間は、後継者の経験や、事業の状況によって異なります。経営者に必要な力は、実際の経験を重ねて身につくものであり、短期間で完了するものではありません

中小企業庁の事業承継ガイドラインでも、事業承継には早期の準備が重要とされています。経営者が引退を考える時期から逆算すると、育成に充てられる期間が限られる場合があります。

具体的な期間は、後継者が準備を始めた時期や、育成の進み具合によって幅があります。育成に時間がかかることを見込み、早い段階から着手することが重要です。

※参考:中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)

後継者育成に使える補助金や研修

後継者育成や事業承継には、公的な支援を活用できる場合があります

補助金、研修、相談先を確認します。

  • 補助金を活用する
  • 研修に参加する
  • 支援機関に相談する

それぞれを順に解説します。

補助金を活用する

後継者育成や事業承継の取り組みには、補助金を活用できる場合があります。国は、事業承継に取り組む中小企業を対象とした補助金を用意しています。補助の対象や要件、公募の時期は、年度によって変わることがあります。

利用を検討する場合は、中小企業庁の情報で、対象や要件を確認しておくことが必要です。

研修に参加する

経営を学ぶ研修に参加することも、後継者の育成に役立ちます。中小企業基盤整備機構が運営する中小企業大学校では、経営後継者を対象とした研修が実施されています。経営に必要な知識を、体系的に学べる機会になります。

社内での経験と組み合わせることで、経営に必要な力を身につけてもらいやすくなります。

支援機関に相談する

後継者の育成や事業承継について、公的な支援機関に相談する方法もあります。全国に設置された事業承継・引継ぎ支援センターでは、事業承継に関する相談を無料で受け付けています。国の委託を受けて運営されている機関です。

親族や社内への承継だけでなく、後継者が不在の場合の第三者への引継ぎについても相談できます。

後継者育成が難しい場合はM&Aも選択肢になる

後継者候補が見つからない場合や、育成が間に合わない場合もあります。その際は、第三者へのM&Aも選択肢になります

M&Aによる承継と、相談先を確認します。

  • 第三者へのM&Aで事業と雇用を引き継げる
  • 売り手の立場で交渉できるFAに相談できる

それぞれを順に解説します。

第三者へのM&Aで事業と雇用を引き継げる

後継者候補が見つからない場合や、育成が間に合わない場合は、第三者へのM&Aが選択肢になります。

M&Aでは、社外の買い手候補へ、株式譲渡や事業譲渡により事業を承継します。社内に後継者が育っていない場合でも、事業を続けられる相手に承継できる可能性があります。廃業を避けられる場合もあります。

後継者がいない場合の選択肢を広く確認したい場合は、以下の記事でも解説しています。

後継者がいない会社はどうなる?廃業を避けてM&Aで事業を存続させる方法を解説

売り手の立場で交渉できるFAに相談できる

第三者へのM&Aを検討する場合、売り手の立場で支援するFAに相談することで、進めやすくなる場合があります。

M&Aの支援には、売り手と買い手の双方から手数料を受け取る仲介と、依頼者側のみを支援するFAがあり、立場が異なります。売り手として、売却対価や従業員の処遇などについて、自身の意向を踏まえた交渉方針を整理しやすくなります。

FAサービスの内容を確認したい場合は、以下の記事でも解説しています。

「FAサービス」の売却アプローチとは?事業承継M&Aを有利に進めるための知識

後継者育成に関するよくある質問

後継者育成について、よく寄せられる質問を確認します。

「後継者育成」の言い換えは?

「後継者育成」は、サクセッションプランや、次世代経営者の育成などと言い換えられることがあります。いずれも、次の経営を担う人材を育てる取り組みを指します。会社によって、使う言葉が異なる場合があります。

後継者を育成する期間はどれくらいですか?

後継者の育成にかかる期間は、後継者の経験や事業の状況によって幅があります。経営者に必要な力は、実際の経験を重ねて身につくものであり、短期間で完了するものではありません。育成に時間がかかることを見込み、早い段階から着手することが望ましいです。

跡継ぎと後継者の違いは何ですか?

跡継ぎは、親族が事業や家業を継ぐ場合に使われることが多い言葉です。後継者は、親族に限らず、社内の人材や社外の人材も含めて、事業を継ぐ人を指します。後継者のほうが、広い範囲を指す言葉として使われます。

まとめ

後継者育成は、経営者が、次の経営者となる後継者を計画的に育てる取り組みです。育成が進まないと、廃業や従業員の離職、企業価値への影響につながる場合があります。

育成には、社内での経験や、社外での研修を組み合わせる方法があります。求める人物像を決め、候補者を選び、計画を立てて進めます。育成には長い時間がかかるため、早い段階からの着手が重要です。事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的な支援も活用できます。

後継者候補が見つからない場合や、育成が間に合わない場合には、第三者へのM&Aも選択肢になります。自社の状況に合う進め方を、専門家や支援機関とともに検討することが、納得度の高い選択につながりやすくなります。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

RISONAL編集部

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