ハウスメーカーのM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!
公開日:2026.05.27
2026.05.27
更新日:2026.05.27
2026.05.27
ハウスメーカー業界は、戸建住宅、分譲住宅、注文住宅などの企画、設計、施工を担う産業です。2024年の新設住宅着工戸数は約81.6万戸で、3年連続の減少となっています。住宅市場全体は人口減少と世帯数の伸び鈍化を背景に、長期的な縮小傾向にあります(※)。
建設業の許認可や建築士事務所登録など、複数の資格・許認可を要する業態であるうえ、職人不足、資材価格の上昇、ZEH対応への投資負担といった経営課題が重なっています。さらに、地域工務店や中小ハウスメーカーでは、経営者の高齢化や後継者不在も顕在化しています。
こうした環境下で、施工体制、販売網、ブランドを引き継ぐ手段としてのM&Aが選択肢の一つとなっています。
本記事では、ハウスメーカーでM&Aを行う際の相場の考え方をはじめ、業界の現状や代表的な売却手法について解説します。
RISONALでは、売り手に特化したFA(ファイナンシャル・アドバイザー)サービスを提供しています。専属のエージェントが、お客様の希望に沿った取引を実現するため、最適なサポートを行います。より高い評価額での売却を目指したアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を抑えた成約も可能です。
無料相談が可能です。実際にどの程度の価格で売却できるのか、どのようにすればより高く売却できるのかを、ぜひご確認ください。
※参考:国土交通省「建築着工統計調査」
ハウスメーカー業界の現状
ハウスメーカー業界は、注文住宅を主力とする大手ハウスメーカー、分譲・建売住宅を手掛ける中堅企業、地域密着型の工務店という三層構造で構成されています。売上上位企業としては、大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業、ミサワホームなどが挙げられ、複数のグループ会社や地域子会社を抱えています。
新設住宅着工戸数は、2017年の約96.5万戸をピークに減少傾向に入り、2024年は約81.6万戸まで縮小しています(※)。背景には、人口減少と世帯数の伸び鈍化、住宅取得層となる子育て世代の人口減少があります。一方で、リフォーム・リノベーション市場は比較的安定的に推移しており、住宅性能向上工事に対する補助制度も後押ししています。
業界構造の変化として、ZEH対応や太陽光発電一体型住宅、IoT住宅といった付加価値競争が激化しており、これらに対応するための研究開発や商品開発への投資は、中堅以下の事業者にとって負担が大きく、大手との差が広がっています。同時に、地域工務店では大工や職人の高齢化が進んでおり、施工体制の維持が経営課題となっています。
M&A動向としては、大手ハウスメーカーによる中堅企業や地域工務店の取り込みに加え、住宅周辺領域(リフォーム、不動産、ホームセンターなど)からの参入もみられ、施工力、販売網、地域ブランドを軸とした再編が進んでいます。
※参考:国土交通省「建築着工統計調査」
ハウスメーカー業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介
ハウスメーカーや工務店でM&Aが選ばれる理由は、大きく「事業承継」「ZEH・省エネ対応投資負担の分散」「販売網・ブランドの相互活用」の三つに整理できます。
まず、事業承継の観点では、地域工務店や中小ハウスメーカーは、経営者個人の営業力や職人ネットワーク、地元金融機関との関係性に事業が依存しているケースも多く、後継者不在がそのまま廃業リスクに直結しやすい構造があります。特に、施工管理技士や建築士などの有資格者の確保が経営者の人脈に依存している場合、承継がうまく進まないと事業継続が難しくなります。
次に、ZEH・省エネ対応の観点では、省エネ基準への適合や将来的な住宅性能水準の引き上げを見据え、断熱・省エネ・太陽光発電に対応する設計・調達・施工体制への投資が必要となっています。中小ハウスメーカーが単独でこれらの投資を負担するのは難しく、大手グループに入ることで効率的に対応しようとする狙いがあります。
また、販売網やブランドの観点では、地域内シェアや展示場運営、住宅完成保証制度などの基盤を引き継ぐことで、買い手企業にとっても新規エリア展開のメリットがあり、相乗効果を生みやすい業態です。
ハウスメーカーのM&Aでは、特定建設業許可、建築士事務所登録、住宅瑕疵担保責任保険の取り扱いといった制度面の論点が複雑になりやすく、これらを含めた事業価値を適切に評価できる買い手を見つけることが、成否を左右するポイントとなっています。
ハウスメーカー業界での企業売却方法は?3種類を紹介
ハウスメーカーのM&Aでは、売却対象や許認可、契約、人材の引き継ぎ方針によって、選ぶべき方法が変わります。代表的な手法は以下の3つです。
- 株式譲渡
- 会社分割
- 事業譲渡
それぞれの手法について解説します。
株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴
株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては最も多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。
株式譲渡のメリット
株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、会社そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。
そのため、以下のようなメリットがあります。
- 従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
- 許認可や契約の再取得が原則不要で、実務上の負担が少ない
- 法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる
とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。ただし、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。
株式譲渡の注意点・デメリット
一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。
そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するデューデリジェンス(詳細調査)を丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。
会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点
会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。
会社分割の主な種類
会社分割には、以下のような分類があります。
- 新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
- 吸収分割:既存の他社に事業を承継させる
さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。
- 分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
- 分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る
会社分割のメリットと特徴
会社分割の最大の特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。
また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。
税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い
会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、採用するスキームによっては「非適格分割」に該当します。
非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。
また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。
事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点
事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。
譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。
事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい
事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。
特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。
売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税
事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。
また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。
課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとの課税・非課税を区分し課税対象資産部分の消費税を計算する必要があり、それぞれの対価を合理的に区分し、課税・非課税の計算を行う必要があります。
事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑
個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットと言えます。
- すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
- 許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある
ハウスメーカー業界の売却の流れは?3つのステップを紹介
ハウスメーカー業界のM&Aを進める場合は、大きく3つのステップに分けて進められます。
- M&Aの準備と助言会社の選定
- 買い手候補先企業との接触、意向表明受領
- 詳細調査(DD)、最終契約とクロージング
それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておきましょう。
Step1.M&Aの準備と助言会社の選定
はじめに、売却目的と希望条件を整理したうえで、M&A助言会社を選定します。この段階で重要なのは、いくらで売れるかだけでなく、どのような買い手に、どのような形で事業と人材を引き継ぎたいのかを明確にしておくことです。
ハウスメーカーの場合、評価や条件に影響しやすい論点として、保有する許認可や登録の更新状況、過去5年の着工棟数推移と利益率、ZEH対応比率と省エネ仕様の標準化状況、職人ネットワークと外注施工体制、保有土地の評価、住宅瑕疵担保責任保険の加入状況、アフターメンテナンス契約の継続率などが挙げられます。これらを事前に棚卸しし、資料として説明できる状態に整えておくことで、後工程での条件修正を抑えやすくなります。
Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領
次に、助言会社を通じて買い手候補へ打診を行います。初期段階では概要資料を提示し、関心を示した企業と秘密保持契約を締結したうえで、財務・事業運営に関する詳細情報を開示します。
買い手候補は、譲渡価格のレンジ、取引方法、引き継ぎ条件、売却後の運営方針などをまとめた意向表明書を提出します。売り手は、提示金額だけでなく、従業員の処遇、ブランドの継続方針、取引先関係の維持なども含めて比較したうえで、基本合意に進むかを判断するのが一般的です。
Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング
基本合意後は、買い手による詳細調査が行われます。ハウスメーカーでは、財務、税務、契約関係に加えて、許認可や事業固有の論点が重視されやすい点が特徴です。
調査結果を踏まえて最終条件を調整し、最終契約を締結します。その後、対価の決済と引き渡しを行うクロージングをもって、取引が完了します。
M&Aの流れについてより詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
M&Aの流れとは?準備からクロージング・PMIまで全ステップを売り手目線で解説
ハウスメーカー業界の売却の相場は?価値算定方法を解説
ハウスメーカーのM&Aにおける売却価格は、「〇〇円が相場」と一律に決まるものではありません。実務では、収益力、資産、ブランド力、人材、許認可といった要素を総合的に評価したうえで、最終的に売り手と買い手の交渉によって価格が決まります。
ハウスメーカーは、年間着工棟数、エリア内のシェアや知名度、施工力、保有土地の含み損益、ZEH対応比率、ブランド力が評価の中心になりやすく、同規模の売上であっても、注文住宅比率や付加価値仕様の比率によって評価額が大きく変わりやすい業態です。
こうした理由から、ハウスメーカーのM&Aでは、まず企業価値を算定し、そのうえで負債や現金などを考慮しながら、評価の全体像を整理するのが一般的です。
以下では、その基本的な考え方について解説します。
1.企業価値を算定する
ハウスメーカー業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。
理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。
本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。
マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。
- 類似会社比較法
- 類似取引比較法
類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。
具体的には、以下のように算定します。
EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)
EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。
また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかによって、算定結果は大きく左右されます。
2.株式価値を算定する
企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。
企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値
第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。
なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。
しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。
M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~
また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
ハウスメーカーで企業を売却する3つのメリット
ハウスメーカーや工務店がM&Aを活用するメリットは、経営者個人の利益にとどまりません。適切な承継は、職人や設計者の雇用、施主との関係維持など、関係者の利益を守る手段にもなります。
- 職人と施工体制を守れる
- ブランドと販売網を承継できる
- 経営者は売却益を得られる
ここでは、売り手にとって特に重要な3つのメリットを解説します。
職人と施工体制を守れる
ハウスメーカーや工務店は、大工、施工管理技士、建築士といった有資格人材と、外注先を含めた施工体制によって事業が成り立っています。廃業を選択した場合、これらの人材は職場を失うだけでなく、長年にわたって蓄積された施工ノウハウや協力業者とのネットワークも失われやすくなります。
M&Aにより事業が承継されれば、職人の雇用と施工体制を維持しながら事業を引き継がれる場合があり、売り手にとっては人材と技術を守りながら承継を進められる点が大きなメリットです。
ブランドと販売網を承継できる
地域に根差したハウスメーカーは、長年にわたる施工実績と顧客紹介を通じて、地域内でのブランドを築いています。M&Aによって承継されることで、ブランド名、展示場、商圏を維持しながら次の経営体制へ引き継ぎやすくなり、売り手、買い手、地域顧客にとってメリットが生じる場合があります。
また、買い手が大手ハウスメーカーである場合、自社の商品ラインナップ、住宅仕様、価格帯と組み合わせて販売網を拡張できるため、事業継続にとどまらない相乗効果も期待できます。
経営者は売却益を得られる
M&Aによる売却は、これまで築いてきた施工力、販売網、ブランド、保有土地を含む事業価値を資金化する手段です。得られた売却益は、引退後の生活資金や資産承継、次の事業への投資などに活用できます。
後継者不在のまま廃業した場合、アフターメンテナンス契約の処理や保有土地の処分など、複雑な後始末が発生し、回収できる金額が大きく下がることがあります。M&Aであれば、事業の継続性を前提に価値が評価されるため、経営者はより計画的に出口を設計しやすくなります。
ハウスメーカー売却を成功させる3つのポイント
ハウスメーカーや工務店でM&Aを成功させるためには、単に売上があるだけでは不十分です。買い手は、許認可や施工体制、保有土地、瑕疵対応の取り扱いなどを慎重に確認します。
- 許認可と建築士事務所登録の承継準備
- ZEH対応・省エネ仕様の整理
- 信頼できる専門家を活用する
ここでは、ハウスメーカーの売却を検討する際に、特に重要な3つのポイントを解説します。
許認可と建築士事務所登録の承継準備
ハウスメーカーは、特定建設業許可、建築士事務所登録、宅地建物取引業免許など複数の制度対応が必要で、それぞれに人的要件が関わります。M&A後にこれらの要件が満たせなくなると、事業継続に支障が生じるおそれがあります。
売却前に以下の点を棚卸しし、説明できる状態にしておくことが重要です。
- 保有する許認可・登録の一覧と更新時期
- 専任技術者・管理建築士の在籍状況と継続意向
- 経営事項審査(経審)の評点と直近の受審状況
- 住宅瑕疵担保責任保険の加入状況と取り扱い
- アフターメンテナンス契約の対象棟数と契約内容
この整理が不十分だと、DDを経て価格が下がったり、取引自体が成立しなくなったりする要因になります。
ZEH対応・省エネ仕様の整理
ハウスメーカーの評価において、近年特に重視されているのが、ZEHや省エネ対応への投資状況です。省エネ基準への適合や将来的な住宅性能水準の引き上げを見据えた対応が求められています。買い手は、こうした規制対応がどこまで進んでいるかを重視します。
評価を高めるためには、以下のような取り組みが重要です。
- 標準仕様としてのZEH対応比率
- 断熱等級・耐震等級の保有状況
- 太陽光発電・蓄電池・HEMSの提案体制
- 省エネ計算・申請に対応できる人材の確保状況
省エネ・脱炭素対応が遅れている場合は、買い手側で追加投資が必要になると見なされ、評価額に影響する可能性があるため、可能な範囲で売却前に体制を整えておくことが重要です。
信頼できる専門家を活用する
ハウスメーカーのM&Aは、一般的な事業売却に比べて建設業許可や建築士事務所登録の取り扱い、住宅瑕疵対応、保有土地の評価といった論点が複雑になりやすい領域です。準備や設計が不十分なまま進めると、売却後にトラブルが生じるリスクもあります。
そのため、以下のような専門家の支援を受けることが重要です。
- FAをはじめとした売り手側に立つM&A助言会社
- 建設業の制度対応に明るい行政書士・税理士・弁護士
売り手専属のFAを活用すれば、価格交渉や条件調整においても、売り手の利益を優先した交渉を進めやすくなります。感情に左右された場当たり的な判断を避けるという観点でも、第三者による専門的な視点は不可欠といえるでしょう。
ハウスメーカー業界での企業売却にかかる税金とは?
企業を売却する際には、売却益に対して税金が発生します。この税金の仕組みは、「個人オーナーが売却する場合」と「法人が株式を譲渡する場合」で異なるため、正しく理解しておくことが重要です。個人・法人別にわかりやすく解説します。
個人オーナーの場合
個人が自社株などの株式を譲渡し、譲渡益(売却益)が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。
課税の仕組み
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
この譲渡所得には、以下の税が課せられます。
- 所得税(復興特別所得税含む)
- 住民税
給与所得などとは分離して課税されるため、所得の合算は不要ですが、確定申告が必要です。
ただし、ミニマムタックスに該当する場合は給与所得等の他の所得との合算して算出する必要があるため、適切に節税するためには、事前に税理士など専門家への相談が欠かせません。
法人の場合
法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。
法人の場合の税務処理
- 譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
- 譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
- 所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能
評価差額にも注意
帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。
まとめ
ハウスメーカー業界は、新設住宅着工戸数の長期縮小、職人不足、ZEH、省エネ対応への投資負担、後継者不在といった経営課題が同時に顕在化している産業です。大手ハウスメーカーは商品ラインナップの拡充やZEH対応投資によって付加価値を高めている一方で、地域工務店や中小ハウスメーカーは投資負担に苦慮しています。M&Aは、職人と施工体制を守りながら事業を承継するための現実的な選択肢の一つです。
売却を成功させるためには、特定建設業許可や建築士事務所登録への対応準備、ZEH対応の整理を含め、専門家の支援を受けながら早期から適切な準備を進めることが欠かせません。
RISONALでは、売り手に特化したFAサービスを提供しています。専属のエージェントがお客様の希望に沿った取引を実現するため、最適なサポートを行います。より高い評価額での売却を目指したアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を抑えた成約も可能です。
ハウスメーカー業界のM&Aでは、買い手目線で条件調整が進みやすい仲介型の支援の場合、価格や引き継ぎ条件が売り手に不利になるケースも少なくありません。そのため、誰の利益を最優先に交渉するのかを明確にした支援体制が重要です。
無料相談が可能です。実際にどの程度の価格で売却できるのか、また、どのようにすればより高く売却できるのかを、ぜひご確認ください。
関連記事
-
カフェ業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!
2026.05.28
2026.05.28
#M&Aの業界別情報
-
民泊のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!
2026.05.28
2026.05.28
#M&Aの業界別情報
-
コインランドリーのM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!
2026.05.28
2026.05.28
#M&Aの業界別情報
-
教育業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!
2026.05.28
2026.05.28
#M&Aの業界別情報
-
広告業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!
2026.05.28
2026.05.28
#M&Aの業界別情報