海運業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

2026.05.27

公開日:2026.05.27

2026.05.27

2026.05.27

更新日:2026.05.27

2026.05.27

海運業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

海運業界は、海上で貨物や旅客を輸送する産業であり、国内輸送を担う内航海運と、国際輸送を担う外航海運に大別されます。日本の物流を支える重要な基盤であり、特に内航海運は産業基礎物資の輸送に欠かせない役割を果たしています。

一方で、内航海運業者数は1991年の3,985社をピークに長期的な減少傾向にあり、現在は約3,200社にまで減少しています(※)。船員の高齢化も進んでおり、内航船員のうち50歳以上が約半数を占めています。若手船員の確保は、業界全体の優先課題です。

こうした環境下で、後継者問題の解消にとどまらず、経営基盤の強化や船舶投資負担の分散を目的として、M&Aを選択肢に入れる事業者が増えています。

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※参考:国土交通省「内航海運の現状について

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海運業界の現状

海運業界は、海上で貨物や旅客を輸送する産業です。輸送区分により、日本国内の港湾間で輸送を行う内航海運と、海外との輸出入を担う外航海運に大別されます。内航海運は、鉄鋼・石油・セメント・自動車などの産業基礎物資を中心に、国内貨物輸送量の約4割を担っており、日本の物流に欠かせない役割を果たしています(※)。

国土交通省の統計によると、内航海運業者数は1991年の3,985社をピークに減少を続けており、現在は約3,200社まで減少しています。事業者の多くは中小規模で、船舶を1〜2隻のみ保有する家族経営に近い事業者も少なくありません。

一方で、海運業界は構造的な課題を抱えています。内航船員数は約2万1千人で推移していますが、50歳以上の船員が全体の約半数を占めており、若手船員の確保が業界全体の重要課題です。さらに、国際海事機関(IMO)による2050年カーボンニュートラル目標を背景に、LNG燃料船・メタノール燃料船・水素燃料船などへの転換投資が求められており、中小事業者にとっては船舶更新コストが経営の重荷となっています。

こうした構造的課題を背景に、大手海運会社や物流グループによる中小事業者の買収、グループ傘下での経営統合が進み、海運業界全体でM&Aへの関心が高まっています。

※参考:国土交通省「内航海運の現状について

海運業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

海運業界でM&Aが選ばれる理由は、大きく「事業承継」と「経営基盤の強化・投資負担の分散」の二つに整理できます。

まず、事業承継の観点では、海運事業者は経営者本人や限られた船員に運航ノウハウが集中しているケースが多く、後継者不在やキーパーソンの引退が事業継続上のリスクに直結しやすい構造があります。特に内航海運では、船舶の運航管理から荷主との営業、船員の労務管理までをオーナー1人または少人数で担う事業者も多く、後継者がいない場合には廃業が現実的な選択肢になりやすい構造があります。

次に、経営基盤の強化や投資負担の分散という観点では、船舶の老朽化更新や環境規制対応、燃料費高騰といった事業環境の変化に、中小事業者が単独で対応するのは難しい場面が増えています。大手海運会社や物流グループの傘下に入ることで、船舶更新の投資余力を確保し、燃料調達や荷主開拓の効率化を図る狙いがあります。

また、海運業界では、事業登録や運航管理体制の維持が求められるため、規制対応負担を軽減する観点からもM&Aを選択肢として検討する事業者もあります。

海運業界での企業売却方法は?3種類を紹介

海運業界のM&Aでは、売却対象や、船舶・船員・荷主との関係の引き継ぎ方針によって、選ぶべき手法が変わります。代表的な手法は以下の3つです。

  • 株式譲渡
  • 会社分割
  • 事業譲渡

海運事業者は、事業登録、船舶の登記、船員の雇用契約など、引き継ぎが論点となる要素が多いため、手法選択にあたっては慎重な検討が必要です。それぞれの手法について解説します。

株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴

株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては最も多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。

株式譲渡のメリット

株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、会社そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。

そのため、以下のようなメリットがあります。

  • 従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
  • 許認可や契約の再取得が原則不要で、実務上の負担が少ない
  • 法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる

とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。ただし、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。

株式譲渡の注意点・デメリット

一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。

そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するデューデリジェンス(詳細調査)を丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。

会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点

会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。

会社分割の主な種類

会社分割には、以下のような分類があります。

  • 新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
  • 吸収分割:既存の他社に事業を承継させる

さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。

  • 分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
  • 分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る

会社分割のメリットと特徴

会社分割の最大の特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。

また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。

税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い

会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、採用するスキームによっては「非適格分割」に該当します。

非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。

また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点

事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。

譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。

事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい

事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。

特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。

売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税

事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。

また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。

課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとの課税・非課税を区分し課税対象資産部分の消費税を計算する必要があり、それぞれの対価を合理的に区分し、課税・非課税の計算を行う必要があります。

事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑

個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットと言えます。

  • すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
  • 許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある

海運業界の売却の流れは?3つのステップを紹介

海運業界のM&Aを進める場合は、大きく3つのステップに分けて進められます。

  • M&Aの準備と助言会社の選定
  • 買い手候補先企業との接触、意向表明受領
  • 詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておきましょう。

Step1.M&Aの準備と助言会社の選定

はじめに、売却目的と希望条件を整理したうえで、M&A助言会社を選定します。この段階で重要なのは、いくらで売れるかだけでなく、どのような買い手に、どのような形で船舶・船員・荷主との関係を引き継ぎたいのかを明確にしておくことです。

海運事業者の場合、評価や条件に影響しやすい論点として、保有船舶の船齢と整備履歴、内航海運業法に基づく登録区分、主要荷主との運送契約条件、船員の雇用契約や海技免状の保有状況、運航実績や稼働率の推移などが挙げられます。これらを事前に棚卸しし、資料として説明できる状態に整えておくことで、後工程での条件修正を抑えやすくなります。

Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領

次に、助言会社を通じて買い手候補へ打診を行います。初期段階では概要資料を提示し、関心を示した企業と秘密保持契約を締結したうえで、財務・運航に関する詳細情報を開示します。

買い手候補は、譲渡価格のレンジ、取引方法、引き継ぎ条件、売却後の運営方針などをまとめた意向表明書を提出します。売り手は、提示金額だけでなく、船員の処遇、荷主との取引継続、船舶の継続運航方針なども含めて比較したうえで、基本合意に進むかを判断するのが一般的です。

Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

基本合意後は、買い手による詳細調査が行われます。海運事業者では、財務・税務・契約関係に加えて、船舶・船員・荷主に関する確認が重視されやすい点が特徴です。

特に確認されやすいのは、船舶の登記・整備記録・船級証書の状況、内航海運業法に基づく登録条件の充足状況、主要荷主との契約条件や継続性、船員の雇用契約、海技免状、健康診断書の整備状況、運航記録や事故・苦情対応の履歴などです。調査結果を踏まえて最終条件を調整し、最終契約を締結します。その後、対価の決済と引き渡しを行うクロージングをもって、取引が完了します。

M&Aの流れについてより詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

M&Aの流れとは?準備からクロージング・PMIまで全ステップを売り手目線で解説

海運業界の売却の相場は?価値算定方法を解説

海運業界のM&Aにおける売却価格は、「〇〇円が相場」と一律に決まるものではありません。実務では、保有船舶の価値、運航実績の安定性、荷主基盤、収益力を総合的に評価したうえで、最終的に売り手と買い手の交渉によって価格が決まります。

海運事業者は、保有船舶の船齢や船種、船員体制、荷主との取引継続性が評価の中心になりやすく、同規模の売上であっても、船舶の競争力や荷主基盤の安定性によって評価額が大きく変わりやすい業態です。

特に、環境対応船舶を保有する事業者や、長期運送契約を持つ事業者、運航実績が安定している事業者は、財務数値だけでは測れない評価が加味されるケースもあります。

こうした理由から、海運事業者のM&Aでは、まず企業価値を算定し、そのうえで負債や現金などを考慮して価値評価の全体像を整理するのが一般的です。

以下では、その基本的な考え方について解説します。

1.企業価値を算定する

海運業界のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。

  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ

インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。

理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。

本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。

マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。

  • 類似会社比較法
  • 類似取引比較法

類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。

具体的には、以下のように算定します。

EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)

EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。

また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかによって、算定結果は大きく左右されます。

2.株式価値を算定する

企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。

企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値

第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。

なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。

しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。

M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~

また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。

[株価算定シミュレーター]

海運業界で企業を売却する3つのメリット

海運事業者がM&Aを活用するメリットは、経営者個人の利益にとどまりません。適切な承継は、船員の雇用や荷主に対する安定輸送体制を守る手段にもなります。

  • 船員の雇用と運航ノウハウを守れる
  • 経営者は売却益を得られる
  • 荷主との安定輸送体制を維持できる

ここでは、売り手にとって特に重要な3つのメリットを解説します。

船員の雇用と運航ノウハウを守れる

海運事業者は、海技免状を保有する船員(船長・機関長・航海士・機関士など)と運航管理を担う人材によって運営が成り立っています。廃業を選択した場合、船員が職場を失うだけでなく、長年にわたって蓄積された運航ノウハウや安全管理の知見も失われやすくなります。

M&Aにより事業が承継されれば、船員の雇用を維持しながら運航を継続しやすくなり、売り手にとっては、人材と運航ノウハウを守りながら事業を引き継げる点が大きなメリットです。特に内航海運では、特定の航路や荷主に対する運航経験が事業価値の中核を成しており、船員の継続雇用は事業価値の維持にもつながります。

経営者は売却益を得られる

M&Aによる売却は、これまで築いてきた船舶、荷主基盤・運航ノウハウを含む事業価値を資金化する手段です。得られた売却益は、引退後の生活資金や資産承継、次の事業への投資などに活用できます。

後継者不在のまま廃業した場合、船舶の解体コストや船員への退職金の支払いが先行し、事業価値を十分に回収できないケースもあります。M&Aであれば、事業の継続性を前提に船舶や荷主基盤の価値が評価されるため、経営者はより合理的に出口戦略を描きやすくなります。

荷主との安定輸送体制を維持できる

海運事業者は、特定の荷主との長期運送契約や、季節性のある産業物資の輸送において、サプライチェーンの一翼を担っていることが少なくありません。突然の廃業は、荷主にとって代替輸送先の確保や輸送ルート再設計といった大きな負担につながります。

M&Aによって承継されることで、運航体制を維持しながら事業を継続しやすくなるため、荷主に対する輸送責任を果たしながら事業を引き継げる点も、売り手にとって大きなメリットといえます。

海運業界で企業を売却する際の3つのポイント

海運事業者でM&Aを成功させるには、単に売上があるだけでは不十分です。買い手は、船舶の競争力、船員体制の継続性、荷主との取引の安定性を慎重に確認します。

  • 船舶と運航体制を棚卸しする
  • 事業の属人性を下げる
  • 信頼できる専門家を活用する

ここでは、海運事業者の売却を検討する際に、特に重要な3つのポイントを解説します。

船舶と運航体制を棚卸しする

海運事業者の価値は、財務数値だけでなく、保有船舶、船員体制・荷主基盤に大きく左右されます。買い手は、これらが引き継ぎ後も維持・活用できるかを慎重に確認します。

そのため、売却前に以下の点を棚卸しし、説明できる状態にしておくことが重要です。

  • 保有船舶の船齢・船種・整備履歴・船級証書
  • 内航海運業法に基づく登録区分や更新時期
  • 主要荷主との運送契約条件や継続性
  • 船員の雇用契約・海技免状・健康診断書の整備状況
  • 運航実績や稼働率の推移、事故・苦情対応の履歴

この整理が不十分だと、DDを経て価格が下がったり、取引自体が止まったりする要因になります。

事業の属人性を下げる

海運事業者の評価を下げやすい要因の一つが、経営者本人や特定船員への過度な依存です。運航判断や荷主との営業がキーパーソンに集中している場合、買い手からは引き継ぎにくい事業と判断されやすくなります。

属人性の観点で評価を高めるためには、以下のような取り組みが重要です。

  • 運航マニュアルや安全管理手順の標準化と文書化
  • 船員間でのナレッジ共有と教育体制の整備
  • 荷主との関係の組織的な管理(担当の複数化など)
  • キーパーソン不在時のバックアップ体制の構築

属人性を下げることで、人が変わっても事業を維持しやすい事業者として評価されやすくなり、買い手候補の幅も広がります。

信頼できる専門家を活用する

海運事業者のM&Aは、一般的な事業売却に比べて、内航海運業法に基づく登録の取り扱い、船舶の登記、船員雇用契約の取り扱い、海技免状の継続性確認といった論点が複雑になりやすい領域です。準備や設計が不十分なまま進めると、売却後にトラブルが生じるリスクもあります。

そのため、以下のような専門家の支援を受けることが重要です。

  • FAをはじめとした売り手側に立つM&A助言会社
  • 税理士・弁護士などの専門家

売り手専属のFAを活用すれば、価格交渉や条件調整においても、売り手の利益を優先した交渉を進めやすくなります。

感情に左右された場当たり的な判断を避けるという観点でも、第三者による専門的な視点は不可欠といえるでしょう。

海運業界での企業売却にかかる税金とは?

企業を売却する際には、売却益に対して税金が発生します。この税金の仕組みは、「個人オーナーが売却する場合」と「法人が株式を譲渡する場合」で異なるため、正しく理解しておくことが重要です。個人・法人別にわかりやすく解説します。

個人オーナーの場合

個人が自社株などの株式を譲渡し、譲渡益(売却益)が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。

課税の仕組み

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

この譲渡所得には、以下の税が課せられます。

  • 所得税(復興特別所得税含む)
  • 住民税

給与所得などとは分離して課税されるため、所得の合算は不要ですが、確定申告が必要です。

ただし、ミニマムタックスに該当する場合は給与所得等の他の所得との合算して算出する必要があるため、適切に節税するためには、事前に税理士など専門家への相談が欠かせません。

法人の場合

法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。

法人の場合の税務処理

  • 譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
  • 譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
  • 所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能

評価差額にも注意

帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。

まとめ

海運業界は、内航海運を中心に物流の重要な基盤を支える一方で、船員の高齢化、環境規制への対応、船舶更新に伴う投資負担、後継者不在といった構造的な課題を抱えています。中小事業者にとっては、単独でこれらに対応し続けることが難しくなっており、M&Aは事業の継続と関係者の利益を守るための現実的な選択肢となっています。

売却を成功させるためには、保有船舶や船員体制の棚卸しに加えて、属人性の低減や荷主との関係維持を含めた準備を、専門家の支援を受けながら早期から進めることが欠かせません。

RISONALでは、売り手に特化したFAサービスを提供しています。専属のエージェントがお客様の希望に沿った取引を実現するため、最適なサポートを行います。より高い評価額での売却を目指したアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を抑えた成約も可能です。

海運業界のM&Aでは、買い手目線で条件調整が進みやすい仲介型の支援の場合、価格や引き継ぎ条件が売り手に不利になるケースも少なくありません。そのため、誰の利益を最優先に交渉するのかを明確にした支援体制が重要です。

無料相談が可能です。実際にどの程度の価格で売却できるのか、また、どのようにすればより高く売却できるのかを、ぜひご確認ください。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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