スクイーズアウトとは?検討するケースや手法、注意点を解説

2026.03.31

公開日:2026.03.31

2026.03.31

2026.03.31

更新日:2026.03.31

2026.03.31

スクイーズアウトとは?検討するケースや手法、注意点を解説

M&Aや事業承継を進める中で、少数株主が残っているために話が前に進まず、「このままでは全株式をまとめられない」「買い手の条件を満たせない」と悩む経営者は少なくありません。

スクイーズアウトは、少数株主が保有する株式を取得し、株主構成を集約するための手続きです。完全子会社化や親族内承継などの場面で検討されることが多く、実務ではM&Aの前提条件になることもあります。会社法上は、特別支配株主による株式等売渡請求、株式併合、全部取得条項付種類株式などの方法があります。

本記事では、スクイーズアウトの基本的な意味に加え、どのような場面で検討されるのか、主な手法、売り手が注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

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スクイーズアウトとは

スクイーズアウトとは、会社に残っている少数株主の株式を整理し、特定の株主や買い手が全株式を取得できる状態に近づけるための手続きです。日本の会社法には、特別支配株主による株式等売渡請求、株式併合、全部取得条項付種類株式の活用といった方法があり、状況に応じて使い分けられています。特別支配株主の株式等売渡請求は、株式会社の総株主の議決権の10分の9以上を有する株主が使える制度です。

M&Aの文脈でスクイーズアウトが問題になるのは、買い手が全株取得を希望しているにもかかわらず、親族や元役員などの少数株主が残っているケースです。任意の買取交渉だけでまとまればよいものの、価格や感情面で折り合えず、法的な手法を検討することがあります。

なお、スクイーズアウトは、少数株主を一方的に切り捨てるための乱暴な手続きではありません。価格の公正さや手続きの適法性が強く問われる領域であり、少数株主には価格決定の申立てなどの保護手段も設けられています。進め方が甘いと、差止めや価格争いに発展する可能性があります。

売り手がスクイーズアウトを検討する主なケース

スクイーズアウトは、どの会社でも必要になるわけではありません。ただし、株主構成が複雑になっている会社では、M&Aや事業承継の最終局面で大きな論点になることがあります。特に多いのは、以下のような場面です。

・事業承継で親族に株式が分散している
・元役員や従業員、取引先が株主として残っている
・買い手から全株取得を求められている
・任意の買取交渉がまとまらない

株式が少人数にまとまっていない会社ほど、早めに株主構成を確認しておく必要があります。

事業承継で親族に株式が分散している

オーナー経営者が長年の間に親族へ株式を分けていた場合、承継の段階で株主構成が複雑になっていることがあります。相続を経てさらに分散が進むと、後継者が会社を安定的に運営したくても、意思決定に支障が出やすくなります。

このような場面では、経営権を後継者に集約するために少数株主の整理が必要になることがあります。特に親族間では、法務の論点以上に感情面の摩擦が表に出やすいため、任意交渉で難航したときにスクイーズアウトが検討されます。

元役員や従業員、取引先が株主として残っている

中小企業では、過去の関係性の中、元役員や古参従業員、取引先が少数株主になっていることがあります。もともとは関係が良好でも、時間の経過とともに連絡がつきにくくなったり、売却方針への理解が得られなかったりすることがあります。

こうした株主が少人数でも残っていると、全株取得を前提とする買い手との交渉で障害になります。実務では、議決権割合そのものより、最後まで同意が取れない株主がいることが問題になるケースが少なくありません。

買い手から全株取得を求められている

M&Aでは、買い手が対象会社を完全子会社化したいと考えることがよくあります。少数株主が残ると、将来の意思決定や再編に影響しやすく、買い手にとって管理上の負担になるためです。

そのため、基本合意や最終契約の交渉の中で、売り手側に対して全株取得を条件として求めることがあります。この場合、売り手としては単に価格交渉をするだけでなく、株主構成の整理まで含めて案件を設計する必要があります。

任意の買取交渉がまとまらない

少数株主対応は、まず任意交渉で進めるのが基本です。ただし、価格に対する認識が合わない場合や、そもそも売却に感情的な抵抗がある場合は、交渉だけでまとまらないことがあります。

特に非上場株式は市場価格がないため、相手が提示価格を低いと感じれば、簡単には応じません。任意交渉が長引くとM&A全体のスケジュールにも影響するため、法的手法を使うべき段階かどうかを見極める必要があります。

スクイーズアウトの主な方法

スクイーズアウトには複数の方法がありますが、どれを使ってもよいわけではありません。持株比率や会社の機関設計、時間的余裕によって選べる手法は変わります。主な方法は以下の3つです。

・特別支配株主の株式等売渡請求
・株式併合
・全部取得条項付種類株式

平成26年の会社法改正後は、実務上、特別支配株主による株式等売渡請求と株式併合が主な選択肢とされる場面が多くなっています。

特別支配株主の株式等売渡請求

特別支配株主による株式等売渡請求は、株式会社の総株主の議決権の10分の9以上を有する株主が、他の株主全員に対してその株式を売り渡すよう請求できる制度です。会社法179条以下に定められており、対象会社の承認を受けたうえで進めます。取締役会設置会社では、この承認は取締役会決議によります。

この方法の強みは、株主総会決議を要しないことです。全部取得条項付種類株式や株式併合に比べると手続きが短くなりやすく、90%超まで株式が集まっている案件では有力な選択肢になります。

一方で、使えるのは90%以上の議決権を持つ特別支配株主がいる場合に限られます。また、少数株主には売買価格の決定を裁判所へ申し立てる権利があり、価格設定が甘いと争いになり得ます。

株式併合

株式併合は、複数株をまとめて少数の株にする手続きです。スクイーズアウトでは、少数株主の保有株式が1株未満の端数になるよう併合比率を設計し、その端数処理を通じて株主を整理します。会社法180条に基づき、株式併合は株主総会の特別決議によって行うことができます。。
この方法は、90%要件を満たさない場合でも、必要な決議要件を満たせるなら検討しやすい点が特徴です。平成26年改正後は、反対株主の保護手段が整備されたことで、実務でも主要な手法の一つとなっています。

ただし、反対株主には株式買取請求権が認められており、価格について協議がまとまらなければ裁判所に決定を求めることができます。また、法令または定款違反があり、株主に不利益を及ぼすおそれがある場合には、効力発生前に株式併合をやめること(差止め)を会社に請求することができるため、解決に時間がかかることもあります。

全部取得条項付種類株式

全部取得条項付種類株式は、株主総会の決議によって会社がその全部を取得できる内容を持つ種類の株式です。会社法171条は、全部取得条項付種類株式を発行した種類株式発行会社が、株主総会の決議によってその全部を取得できると定めています。

実務では、普通株式しかない会社が直ちに使えるわけではありません。定款変更などを経て種類株式発行会社にし、対象株式に全部取得条項を付す段取りが必要になるため、手続きはどうしても重くなります。そのため、現在は他の手法を優先的に検討する場面が多いものの、制度上はなお選択肢の一つです。

この方法でも、反対株主などには裁判所への価格決定申立ての余地があります。したがって、制度として使えるから進めるのではなく、価格の公正性と手続きの整備を前提に選ぶ必要があります。

売り手が注意すべきポイント

スクイーズアウトは、使える手法を形式的に選べば終わる話ではありません。実際には、価格、説明、手続き、スケジュールの4点でつまずくことが多く、ここを軽く見るとM&A全体が止まります。特に注意したいのは、以下のポイントです。

・株価の決め方が甘いと争いになりやすい
・手続きを急ぐと差止めや価格争いの火種になる
・親族間や社内の感情対立が表面化しやすい
・M&Aのスケジュールに影響することがある

法的に進められることと、実務として円滑に着地することは別問題です。

株価の決め方が甘いと争いになりやすい

スクイーズアウトで最も争いになりやすいのは価格です。非上場株式には市場価格がないため、少数株主から見れば、提示価格が本当に公正なのかが大きな関心事になります。価格の根拠が曖昧なまま進めると、手続きそのものより先に、価格への不信感が広がります。

会社法上も、特別支配株主による株式等売渡請求や全部取得条項付種類株式では裁判所への価格決定申立てが予定されており、株式併合でも反対株主の買取請求と価格決定の問題が生じます。第三者算定や評価ロジックの整理を先に済ませておくべき理由は、ここにあります。

手続きを急ぐと差止めや価格争いの火種になる

買い手のスケジュールに合わせたいあまり、通知や議事録整備を急ぎ過ぎると、後から手続きの適法性を問われやすくなります。特に株式併合では、株式併合をやめることの請求が問題になる余地があるため、形式面の瑕疵は避ける必要があります。

また、法的には足りていても、説明の順序や社内共有が雑だと、少数株主の不信感を強めます。スクイーズアウトは強制力のある制度だからこそ、手続きの正確さと説明の丁寧さが不可欠です。

親族間や社内の感情対立が表面化しやすい

親族や元従業員が相手の場合、問題は価格だけではありません。過去の人間関係や評価への不満が混ざると、交渉は法務論点だけでは整理できなくなります。相続で取得した株式をめぐる親族間対立では、「会社のため」という説明だけでは納得されないこともあります。

この局面で強硬に進めると、M&A成立後までしこりが残ることがあります。だからこそ、法的手段に入る前に、誰が説明し、どこまで合意形成を試みるのかを設計しておく必要があります。

M&Aのスケジュールに影響することがある

スクイーズアウトは、買い手との契約条件に直結する一方で、それ自体にも相応の準備が必要な手続きです。価格算定、資料整備、社内決議、株主対応まで含めると、想定より時間がかかることは珍しくありません。

そのため、売り手としては、最終契約の直前で初めて着手するのでは遅い場面があります。特に買い手が全株取得を前提にしている場合は、基本合意の段階からスクイーズアウトの可否と所要期間を織り込んでおくべきです。

スクイーズアウトを含めて、M&A全体をどの順番で進めるべきかを整理したい方は、以下の記事もご覧ください。

2025年版 M&Aの進め方マニュアル──失敗しない6ステップ

スクイーズアウトを進める前にやるべきこと

スクイーズアウトは、手法を決めてから準備するのでは遅いことがあります。前提整理が甘いまま動くと、途中で使えない手法だと判明したり、価格や議事録の整備が間に合わなかったりします。先に進めるべきことは、以下の4つです。

・まずは任意交渉で解決できるかを確認する
・使える手法の要件を整理する
・株価算定と議事録整備を先に進める
・弁護士とFA、税理士を早めに入れる

準備の順番を誤らないことが、実務では重要です。

まずは任意交渉で解決できるかを確認する

法的手段があるからといって、最初からスクイーズアウト前提で進めるのは得策ではありません。価格や条件を丁寧に説明すれば、任意の買取でまとまるケースもあります。任意交渉で解決できれば、コストも摩擦も抑えやすくなります。

特に親族株主や古くからの関係者が相手の場合は、形式的な正しさより先に、説明の納得感が重要になります。まずは交渉余地を確認し、そのうえで法的手法に切り替えるべきかを判断するのが現実的です。

使える手法の要件を整理する

スクイーズアウトは、どの方法でも自由に選べるわけではありません。90%以上の議決権があるかどうかで、特別支配株主の株式等売渡請求が使えるかが決まり、株式併合や全部取得条項付種類株式については、株主総会決議や定款内容の確認が必要になります。

ここを曖昧にしたまま進めると、途中で手法の変更を迫られるおそれがあります。最初に議決権割合、機関設計、定款内容を確認し、現実に使える選択肢を絞ることが重要です。

株価算定と議事録整備を先に進める

スクイーズアウトでは、価格の説明根拠と意思決定過程の記録が重要です。後から争いになったとき、なぜその価格なのか、なぜその手法なのかを説明できなければ不利になります。

そのため、株価算定はもちろん、取締役会や株主総会で何を確認し、どのように判断したのかを、議事録として丁寧に残しておくべきです。買い手対応だけを優先し、社内文書の整備を後回しにすると、後から問題が発覚しやすい論点になります。

弁護士とFA、税理士を早めに入れる

スクイーズアウトは、法務だけのテーマではありません。価格設計には株価算定の視点が必要ですし、実行の順番にはM&A全体の進行管理が関わります。さらに、株主側や会社側に生じる税務の論点も無視できません。

そのため、弁護士だけに任せるのでも、FAだけで進めるのでも不十分です。早い段階から弁護士、FA、税理士を入れ、誰がどこを担当するのかを決めて進めるほうが、結果として速く、かつ安全です。

まとめ

スクイーズアウトは、少数株主が残る会社で株主構成を整理し、完全子会社化や事業承継、M&Aを進めるために用いられる重要な手続きです。特にM&Aでは、買い手が全株取得を前提条件とすることも多く、少数株主対応が案件全体の成否に直結する場面があります。

特に売り手にとっては、以下のような論点を早い段階で整理しておくことが重要です。

・任意交渉で解決できる余地があるか
・使える手法の要件を満たしているか
・株価算定の根拠が整理されているか
・手続きと説明の順序が設計できているか

スクイーズアウトは、法的に進められるからそのまま通るというものではありません。価格の公正性と手続きの適法性が甘いと、価格決定の申立てや株式併合をやめることの請求などに発展し、M&A全体のスケジュールを崩す要因になります。特に親族や元役員、古参従業員が株主として残っている場合は、法務だけでなく感情面の対立にも目を向ける必要があります。

重要なのは、少数株主の存在を最終局面まで放置しないことです。任意交渉、手法選定、価格設計、社内文書の整備を前倒しで進め、弁護士、FA、税理士と連携しながら設計することが、無理のない成約につながります。

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。

また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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