会社を廃業すると借金はどうなる?対応方法をわかりやすく解説

2026.01.31

公開日:2026.01.31

2026.01.31

2026.02.01

更新日:2026.02.01

2026.02.01

会社を廃業すると借金はどうなる?対応方法をわかりやすく解説

会社を経営し、事業を進めるうえで、借金(金融機関からの借入)は資金繰りや事業拡大のために有効に活用されるものです。

借金そのものが悪ではなく、適切に管理されていれば経営戦略の一部として機能します。

しかし、業績悪化や将来の見通しが立たず、会社を廃業せざるを得ない状況になった場合、「会社の借金はどうなるのか」「経営者個人に返済義務が及ぶのか」と不安を感じる方も多いでしょう。

本記事では、会社を廃業した場合の借金の扱いと、状況別の対応方法について、実務の視点からわかりやすく解説します。

会社の廃業と借金

借金に対してネガティブなイメージを持つ方も少なくありませんが、ビジネスにおいて借入はキャッシュフローを安定させるための重要な手段です。

経営が順調な限り、会社の借金が直ちに問題になることはありません。

一方で、経営状況が悪化し、事業継続が困難となり廃業を選択する場合には、借金の処理を避けて通ることはできません。

廃業の方法や財務状況によっては、借金が残るケースもあれば、整理されるケースもあります。

廃業とは

廃業とは、経営者の意思によって会社の事業活動を終了させることを指します。

倒産や破産と混同されがちですが、廃業は必ずしも資金ショートによる強制的な手続きではありません。後継者不在、経営者の高齢化、市場環境の変化など、比較的余力のある段階で選択されるケースも多く存在します。

会社は法人であるため、原則として会社の資産と負債は会社に帰属します。ただし、廃業・清算時に資産よりも負債が多い「債務超過」の状態である場合、すべての借金を返済しきれず、未返済債務が残る可能性があります。

会社を廃業して借金が残る場合

会社を廃業しても借金が残る代表的なケースは、以下のとおりです。

1.債務超過の状態で清算を進めた場合
会社の資産をすべて換価しても、負債総額に満たない場合、返済しきれない借金が残ります。

2.代表者が連帯保証人となっている借入がある場合
金融機関借入の多くは、代表者個人の連帯保証が付されています。この場合、会社が返済できなかった借金について、債権者は代表者個人に返済を求めることができます。

3.法的整理を行わず任意清算のみで終了した場合
通常の清算手続きでは、借金そのものが消滅するわけではありません。残った債務については、債権者から請求を受け続ける可能性があります。

このように、「会社を畳めば借金がなくなる」という理解は誤りであり、適切な債務整理を伴わなければ、借金問題は解決しません。

会社を廃業して借金が残らない場合

一方で、以下のようなケースでは、借金を整理したうえで廃業できる可能性があります。

1.資産超過の状態で廃業した場合
売却可能な資産が負債を上回っている場合、資産を現金化して借金を完済し、問題なく廃業できます。

2.債権者との協議により債務免除や和解が成立した場合
金融機関などの債権者と交渉し、一部免除や返済条件の変更に合意できれば、借金負担を軽減または解消できることがあります。

3.法的整理手続きにより免責が認められた場合
破産手続きなどの法的整理を行い、裁判所から免責決定を受けた場合、原則として借金の返済義務はなくなります。
これは主に、代表者個人が連帯保証人となっているケースで検討される対応です。

会社の廃業時に残った借金の対処方法

廃業時に残った借金は、すべてが一律に処理されるわけではなく、債権の種類ごとに優先順位や扱いが異なります。

ここでは、代表的な区分について整理して説明します。

担保(担保権付き債権)

担保権が設定されている場合、債権者は担保物を処分することで、他の債権者に優先して弁済を受ける権利を持ちます。

破産手続きにおいても、担保権者は「別除権」を行使でき、破産財団とは別枠で担保物から回収することが可能です。そのため、一般債権よりも優先的に扱われます。

このように、担保付き債務がある場合には、まず担保物の処分によって返済が行われる点を理解しておく必要があります。

財団債権

財団債権とは、破産などの清算手続きにおいて、破産財団から最優先で支払われる債権を指します。
代表的なものとしては、以下が挙げられます。

・破産管財人の報酬
・破産手続開始後に発生した従業員給与
・破産手続に要する費用
・一定範囲の租税債権

これらは、一般債権に先立って弁済され、破産手続の円滑な遂行を支えるために特別に優先される債権です。

一般債権

一般債権は、担保権や財団債権に該当しない通常の債権であり、優先順位は最も低くなります。

破産手続きでは、担保権付き債権や財団債権の弁済後に、残った破産財団から按分配当が行われます。資産が不足している場合、全額が弁済されないのが一般的です。

法人については、破産手続きの終結により、残余の一般債務については事実上消滅します。

ただし、代表者が連帯保証人となっている場合には、会社の債務整理が完了しても、経営者個人に返済義務が残る可能性がある点には注意が必要です。

連帯保証で残る借金への対応法

会社の廃業・倒産において、経営者を最も悩ませる問題の一つが、会社ではなく経営者個人が負う借金です。

これは多くの場合、金融機関からの借入に際し、経営者が連帯保証人となっているケースで発生します。

会社の債務整理が完了しても、連帯保証債務は原則として消滅しないため、個人としての対応が不可欠となります。

ここでは、代表的な法的・準法的整理手続きについて解説します。

任意整理

任意整理とは、裁判所を介さず、債権者と直接交渉して返済条件を見直す方法です。
将来利息のカットや返済期間の延長などを求めることで、月々の返済負担を軽減することを目的とします。

メリット
・裁判所手続きではないため、比較的手続きが簡易
・自宅や主要資産を手放さずに解決できる可能性がある

デメリット
・元本自体の減額は原則として期待できない
・信用情報に登録され、新規借入や保証が制限される

連帯保証債務の金額が比較的小さく、将来的な返済見込みがある場合には、まず検討される手段です。

個人再生

個人再生は、裁判所を通じて借金の元本を大幅に圧縮し、原則3〜5年で分割返済する法的整理手続きです。

メリット
・借金の大幅な圧縮が可能
・住宅ローン特則を利用すれば、自宅を維持できる可能性がある

デメリット
・裁判所手続きのため、手続きが複雑
・継続的かつ安定した収入が必要

連帯保証債務が多額であっても、一定の収入が見込める場合には、自己破産を回避する現実的な選択肢となります。

自己破産

自己破産は、裁判所に申立てを行い、一定の財産を清算したうえで、残債務について免責を受ける手続きです。

免責が認められれば、原則として借金の支払義務は消滅します。

メリット
・連帯保証債務を含む借金が法的に免責される
・返済義務から解放され、生活再建を図れる

デメリット
・一定以上の価値を持つ財産は処分対象となる
・信用情報への影響が長期間続く

連帯保証債務が過大で、返済の見通しが立たない場合の最終的な法的救済手段として、自己破産が選択されるケースは少なくありません。

会社の廃業で借金が残った時の対応

借金が残る形で会社を廃業した場合でも、オーナーにはいくつかの対応策が存在します。

特に売り手オーナーにとって重要なのは、単に会社を清算して負債処理を行うだけでなく、事業や資産に残る価値をどのように回収するかという視点です。

状況によっては、廃業以外の選択肢を検討することで、経営者個人の負担を大きく軽減できる可能性もあります。

事業を立て直し再建を図る

すぐに廃業を決断する前に、事業再建の余地がないかを検討することも一つの選択肢です。

例えば、保有する資産や顧客基盤、技術・ノウハウを活用し、収益モデルを転換することで、負債返済の道筋を作れるケースがあります。

事業再建の手法としては、以下のようなものが考えられます。

・不採算部門の切り離し
・事業のスピンオフ
・新規投資家の受け入れ
・業務改善による収益性向上

もっとも、事業再建には現実的な収益見通しと資金繰り計画が不可欠です。
専門家と伴走しながら、財務・事業計画を客観的に再設計することが重要になります。

M&Aで会社を売却する

借金が残る会社であっても、M&Aによって事業を第三者に引き継ぐという選択肢があります。
特に株式譲渡の場合、買い手が会社全体を引き継ぐため、会社の負債も含めて承継されるのが原則です。

買い手が事業価値を評価すれば、負債を織り込んだ条件で売却が成立する可能性があります。
これにより、

・事業の継続
・従業員の雇用維持
・経営者個人の連帯保証リスク軽減

といった効果が期待できます。

もっとも、すべての負債が自動的に問題なく引き継がれるわけではなく、金融機関との調整や保証解除交渉が必要となるケースも多いのが実務の現実です。

そのため、売り手オーナーがM&Aを選択する際には、単なる売却ではなく、負債・保証・条件交渉を含めた戦略的な設計が不可欠となります。

まとめ

会社の廃業と借金問題は、単に「事業をやめる」という行為にとどまらず、多くの法的・財務的判断を伴う重要な経営決断です。

廃業したからといって、借金が自動的になくなるわけではありません。

特に債務超過や連帯保証がある場合、残債務が経営者個人に及ぶ可能性があります。

借金には、担保債権・財団債権・一般債権といった優先順位があり、その構造を理解することが重要です。

また、連帯保証債務への対応としては、任意整理・個人再生・自己破産といった整理手続きが存在します。

一方で、M&Aや事業再建は、借金整理と同時に経営者の負担軽減や事業価値の回収につながる有力な選択肢でもあります。

早期に専門家へ相談し、自社の状況に応じた最適な道筋を検討することが、後悔のない判断につながるでしょう。

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この記事の著者

RISONAL 編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

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