M&Aにおけるクロージングとは?流れや手続き内容を紹介
公開日:2026.01.31
2026.01.31
更新日:2026.01.31
2026.01.31
M&Aにおけるクロージングとは、M&A取引が実行され、経営権の移転が完了することを指します。
特に売り手にとってクロージングは、長期間にわたる交渉・デューデリジェンス・条件調整の成果が現実のものとなる重要な節目です。この段階での準備不足やリスク管理の甘さは、クロージングの延期や条件変更、さらには取引中止を招く可能性があります。
本記事では、「クロージングとは何か」という基本から、契約締結日との違い、クロージングの前提条件、売り手視点での実務プロセス、株式譲渡・事業譲渡・会社分割・合併といった手法別の手続き、そしてクロージングに至らない場合の対応までを解説します。
M&Aにおけるクロージングとは?
M&Aにおけるクロージングとは、最終契約書に基づいてM&A取引が実行され、対象となる株式や事業の引き渡しと、譲渡対価の支払いが行われることで、経営権の移転が完了することを指します。
クロージングの意味と位置づけ
M&Aプロセスにおけるクロージングは、全体の最終局面に位置づけられます。
売り手にとってクロージングは、意向表明書(LOI)、基本合意(MOU)、デューデリジェンス(DD)、最終契約(DA)といった、長期にわたるM&Aプロセスの集大成です。この段階での不備は、クロージングの延期や取引中止につながる可能性があるため、事前準備とリスク管理が極めて重要となります。
売り手は、「最終契約の締結=M&A完了」ではないことを正しく理解し、クロージングまでを見据えた対応を計画的に進める必要があります。
契約締結日とクロージングの違い
M&Aでは、最終契約の締結日とクロージング日が異なることが一般的です。最終契約の締結日は、売り手と買い手がM&A条件に法的に合意した日であり、譲渡対価や前提条件、表明保証、補償条項などが確定するタイミングを指します。
一方、クロージング日は、最終契約に基づく義務が実際に履行される日です。株式譲渡であれば株主名簿の書換えと資金決済が完了する日、事業譲渡であれば資産・契約・従業員の移転が完了する日が該当します。
多くの案件では、契約締結からクロージングまで一定の期間が設けられ、その間に前提条件の充足や実務上の準備が進められます。
クロージングにおける前提条件とは
クロージングを実行するためには、最終契約に定められた前提条件がすべて充足されている必要があります。前提条件とは、取引を完了させるために満たされるべき要件であり、売り手・買い手の双方に課されることがあります。
代表的な前提条件としては、必要な許認可の取得・手続きの実施、表明保証の真実性、重大な経営環境の変化が生じていないこと(MAC条項)などが挙げられます。
売り手の立場では、これらの条件が実務上対応可能かどうかを慎重に検討し、無理のない内容に調整しておくことが重要です。
クロージングまでの流れ
最終契約を締結してからクロージングに至るまで、どのような流れで進むのでしょうか。以下で詳しく解説します。
最終契約の締結
M&Aにおける最終契約(株式譲渡契約、事業譲渡契約、合併契約など)は、クロージングの前提となる重要な文書です。ここでは、譲渡対象、譲渡対価、譲渡日、支払方法、前提条件、表明保証、補償条項、解除条件などが詳細に規定されます。
売り手は、表明保証条項や補償条項が過度に不利な内容となっていないか、また実務上履行可能かを、専門家とともに精査する必要があります。特に表明保証違反は、クロージング後の紛争の主要な原因となるため、慎重な対応が求められます。
クロージング条件の充足
最終契約締結後、クロージング日までの間に、前提条件を満たすための準備が進められます。具体的には、以下の対応が挙げられます。
・役員に対する貸付金・借入金・個人資産等の精算
・重要な取引先等への譲渡実行についての通知または承諾(CoC条項)
・非事業用資産の売却などの整理
・意思決定機関における必要な決議
・その他買い手と合意した手続き等
この段階で問題が発生すると、クロージングが延期される可能性があるため、スケジュール管理と関係者との連携が極めて重要となります。
クロージング手続きの実行
最後に、クロージング手続きとして、以下を実施します。
・クロージング条件の充足を証明する書類の確認
・譲渡対価の支払い
・株式又は株主名簿名義書換請求書の交付
・会社実印、印鑑登録カード、キャッシュカード、クレジットカードなどの引き渡し
売り手としては、必要書類の最終確認、資金決済の受領、関係者への連絡などを確実に行い、円滑にクロージングを完了させることが求められます。
手法別のクロージング手続きの内容
クロージング手続きの内容は、M&Aの手法によって異なります。ここでは、以下の3つの手法におけるクロージングの内容を解説します。
・株式譲渡
・事業譲渡
・会社分割・合併
それぞれ詳しく見ていきましょう。
株式譲渡
株式譲渡におけるクロージングは、株式の引渡しと譲渡対価の支払いによって完了するため、比較的シンプルな手続きとなります。
実務上は、これに加えて役員の交代、役員退職慰労金の支給などが必要になる場合もあります。売り手は、これらの付随手続きを事前に整理し、抜け漏れなく対応することが重要です。
事業譲渡
事業譲渡におけるクロージングでは、移転対象となる資産・負債、契約、許認可などの権利義務について、原則として個別に移転手続きを行う必要があります。契約や許認可によっては、相手方の承諾が必要となる場合があるため、事前の調整が不可欠です。
売り手は、譲渡範囲を明確に定義したうえで、実務手続きを計画的に進める必要があります。
会社分割・合併
会社分割や合併におけるクロージングでは、登記手続きが極めて重要となります。効力発生日に合わせて必要な登記を行うことで、資産・負債・契約が包括的に移転されます。
売り手は、分割計画書や合併契約書に基づく手続きが適切に進行しているかを確認し、関係者との連携を図る必要があります。
クロージングできない場合とその対応
M&Aにおいて、最終契約を締結したからといってすべての案件が必ずクロージングに至るとは限りません。ここでは、クロージングが実行できない場合の代表的なケースと、その対応について解説します。
前提条件が満たされていない場合
最終契約に定められた前提条件が充足されない場合、クロージングは延期されるか、最悪の場合には契約が解除されることがあります。
売り手は、条件充足に向けた追加対応を行うか、買い手と協議のうえで条件の緩和や期限の延長を検討する必要があります。
表明保証違反が発覚した場合
表明保証とは、対象となる会社や資産に関する特定の事実(財務、法務、事業状況など)は、契約時や譲渡時に真実かつ正確であることを表明し保証する条項です。クロージング前後に表明保証違反が発覚した場合、買い手から損害賠償請求や譲渡価格の減額を求められる可能性があります。
MAC条項が発動した場合
MAC条項とは、取引にあたりに重大な悪影響が生じた場合に、買い手が契約を解除できるとする条項です。重大な悪影響には、大規模な不祥事、急激な業績悪化、主要顧客の喪失、大規模な自然災害、戦争・テロ、法改正などが該当する可能性があります。
売り手としては、クロージングまでの期間に重大な経営リスクが顕在化しないよう管理を徹底するとともに、MAC条項の適用範囲を契約交渉段階で慎重に調整しておくことが重要です。
まとめ
クロージングとは、最終契約に基づき、株式・事業・対価の移転が実行され、M&A取引が完了する最終局面です。契約締結とクロージングの違いを正しく理解したうえで、前提条件の充足、各種手続きの実行、表明保証等への対応を計画的に進めることが成功の鍵となります。
とくに売り手は、クロージングまでを見据えた準備とリスク管理、専門家との連携を徹底することで、円滑なM&Aを実現することが可能になります。
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