保育園業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

2025.09.30

公開日:2025.09.30

2025.09.30

2025.09.30

更新日:2025.09.30

2025.09.30

保育園業界のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

近年、保育園業界では「人材不足」や「保護者ニーズの多様化」への対応が重要な課題となっています。延長保育や一時預かり、病児保育など、従来の保育に加えて求められる役割は年々拡大しており、現場オペレーションの効率化とサービスの高度化が不可欠です。

また、ICTシステムの導入が進み、登降園管理やキャッシュレス決済、保護者との連絡アプリなど、利便性を高める仕組みが急速に普及しています。保護者の満足度向上や園運営の効率化のため、デジタル化は欠かせない取り組みといえるでしょう。

一方で、園長や理事長の高齢化による事業承継問題は顕在化しており、深刻な課題となっています。加えて、保育士の採用難も続いており、人材不足はますます深刻化しています。

さらに、待機児童問題の改善に伴う競争激化や、公定価格制度による収益圧迫も経営環境を厳しくしています。こうした状況を背景に、保育園ネットワークの拡大や複数施設の統合、人材確保力の強化を目的としたM&Aが増加しているのが現状です。

では、実際に保育園会社のM&Aはどのように進むのでしょうか。本記事では、保育園業界の最新動向をわかりやすく解説し、売却のメリットや進め方・相場感についても紹介します。売却や承継を検討する経営者・保育園長の方は、ぜひ参考にしてください。

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを提供しています。専属エージェントが経営者様のご希望に沿ったストラクチャー設計・買い手選定・条件交渉までを一気通貫で支援いたします。

まずは一度、無料相談をご利用ください。

保育園業界の現状

保育園業界の現状

保育園業界は、保育士の人材不足や待機児童解消に向けた競争激化といった大きな課題に直面しています。地域の保護者に安心・安全な保育サービスを提供し続けるためにも、職員の労働環境改善や人材確保は喫緊の課題といえるでしょう。

特に少子化による園児数の減少や、保護者ニーズの多様化によって、従来の収益構造を維持するのは難しくなっています。

さらに、延長保育・一時預かり・病児保育、ICTシステムを用いた登降園管理や保護者連絡アプリなど、新しい需要やサービスが広がるなかで、現場の業務負担は一層増加しています。効率的なスタッフ配置や役割分担に加え、予約・登園管理システムや保護者データ分析といったデジタル活用も欠かせません。

例えば、大手法人が運営する保育園ではICT導入やキャッシュレス決済の導入が進んでいますが、中小規模の保育園では投資余力が乏しく、対応が遅れやすい状況です。

加えて、食材や保育資材の調達コスト上昇や、環境対応(省エネ設備の導入、エコ資材の使用など)も収益を圧迫する要因となっています。地域の保護者ニーズに応じた保育体制を整えることは重要ですが、その負担は小規模園にとって大きいといえるでしょう。

このように、保育園業界は保護者ニーズの多様化と収益圧力の板挟みにあるため、業務効率化や人材確保に向けた取り組みが不可欠です。中長期的に競争力を維持するには、デジタル技術の活用、地域密着の強化、そして環境配慮経営の推進が鍵になるでしょう。

保育園業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

保育園業界でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

保育園業界では、園長や理事長の高齢化によって後継者が見つからず、廃園を避けるためにM&Aを選択するケースが増えています。人材不足や働き方改革の影響で労働環境改善の必要性が高まる中、個人経営や中小規模の保育園が自力で事業を継続するのは容易ではありません。

例えば、小規模保育園では保育士の採用・育成、施設の改修や安全基準への対応、ICTシステム導入などにかかる負担が重くのしかかります。さらに、食材や光熱費の高騰、公定価格制度による収益制限も加わり、安定した経営を維持するのは難しい状況です。

そこで、資金力や運営ノウハウを持つ大手法人やグループへ事業を引き継ぐことで、従業員の雇用や保護者との信頼関係を守りながら、経営者自身は売却益を得られる仕組みが実現します。

また、デジタル化や保護者連絡アプリの導入、ブランディング強化などは単独の保育園では限界がある場合も少なくありません。そのため、M&Aによる統合やグループ化によって効率化を図ることが有効だといえるでしょう。

保育園業界での企業売却方法は?3種類を紹介

保育園 業界での企業売却方法は?3種類を紹介

保育園業界のM&Aでは、主に「株式譲渡」「会社分割」「事業譲渡」の3つの方法があります。それぞれ特徴や注意点が異なるため、自社に合った手法を選ぶことが重要です。

株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴

株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては最も多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。

株式譲渡のメリット
株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、会社そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。
そのため、以下のようなメリットがあります。

・従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
・許認可や契約の再取得が原則不要で、実務上の負担が少ない
・法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる

とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。但し、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。

株式譲渡の注意点・デメリット
一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。

そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するデューデリジェンス(詳細調査)を丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。

会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点

会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。

会社分割の主な種類
会社分割には、以下のような分類があります。

・新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
・吸収分割:既存の他社に事業を承継させる

さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。

・分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
・分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る

会社分割のメリットと特徴
会社分割の最大の特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。

また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。

税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い
会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。

「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、M&A目的で行う場合は多くが「非適格分割」に該当します。

非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。

また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点

事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。

譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。

事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい
事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。

特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。

売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税
事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。

また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。

・課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとの課税・非課税を区分し課税対象資産部分の消費税を計算する必要があり、それぞれの対価を合理的に区分し、課税・非課税の計算を行う必要があります。

事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑
個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットといえます。

・すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
・許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある

保育園業界の売却の流れは?3つのステップを紹介

保育園業界の売却の流れは?3つのステップを紹介

保育園業界でM&Aを進める際は、大きく3つのステップに分けて進行します。

1.M&Aの準備と助言会社の選定
2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領
3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておくことが重要です。

Step1.M&Aの準備と助言会社の選定

まず行うべきは、M&Aに向けた準備と助言会社の選定です。初めに秘密保持契約を結び、必要な資料を開示します。

秘密保持契約は、自社の機密情報が第三者に漏れないようにするための取り決めです。その後、助言会社と売却戦略を策定し、候補企業を優先順位ごとにまとめたロングリスト(※1)を作成します。

加えて、ストラクチャー(※2)や全体のスケジュールも検討し、この段階でエージェント契約を締結します。
仲介とFA(フィナンシャル・アドバイザー)の違いを理解することも重要です。仲介は双方の利害を調整する立場で、手数料も両者から受け取ります。

一方FAは片方のみを支援し、依頼者の利益最大化を目指します。弊社では売り手専属のFAサービスを提供し、利益重視の支援を行っています。

並行して、ティーザー(※3)やインフォメーション・パッケージ(※4)といった買い手向け資料も準備します。

※1 ロングリスト:一定の条件で絞り込んだ買い手候補先の企業をまとめたリスト。
※2 ストラクチャー:M&Aを実行するための手段や方法。
※3 ティーザー:匿名の企業概要書で、通常1枚から2枚で構成される資料。
※4 インフォメーション・パッケージ:買い手候補先企業がM&Aを検討する際の参考資料。対象会社(事業)の魅力を伝え、買い手候補先企業が企業価値評価を実施できることを目的に作成される。

Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領

次の段階では、M&A助言会社がロングリストを基に買い手候補へアプローチし、最初にティーザーと呼ばれる匿名の概要資料を提示します。

その後、関心を示した企業には秘密保持契約を結んだうえで、詳細な情報をまとめたインフォメーション・パッケージを提供する流れです。

さらに、買収を検討する企業は、譲渡価格の水準や取引条件、今後の運営方針を明記した意向表明書を提出することになります。

売り手は複数の候補から条件を比較し、基本合意に進むかを判断します。ここで注意すべきは、次のデューデリジェンス(DD)に進むと、機密情報が相手に渡る点です。

そのため、受け入れる前に十分納得できる条件であるかを確認する必要があります。

一方で買い手側も専門家を起用し、多大なコストをかけるため、この時点で独占交渉権を求めることが一般的です。

こうした流れを経て、双方が守秘義務や独占交渉条件を取り決め、次の詳細調査へと進むのが一般的だといえるでしょう。

Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

意向表明を受けて基本合意を交わした後は、デュー・デリジェンス(DD)と呼ばれる詳細調査に進みます。

DDでは、買い手が対象企業の財務状況や契約関係、人材体制などを徹底的に確認します。これは売り手と買い手の間に生じる情報の不均衡をできる限り解消するために実施されるものです。

調査の結果は譲渡価格や契約条件に反映されるため、売り手にとっても重要な局面といえるでしょう。

さらに、発見されたリスクは契約条項に盛り込まれ、将来のトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。

最終契約では、双方が合意した譲渡価格や条件を確定させ、クロージングと呼ばれる手続きで株式や事業の引き渡しを行います。

この流れを経て、代金の支払いと経営権の移転が完了し、M&A取引が正式に成立するのです。

保育園業界の売却の相場は?価値算定方法を解説

保育園 業界の売却の相場は?価値算定方法を解説

保育園業界のM&Aでは、売却価格を見極めるために企業価値や株式価値の算定が欠かせません。ここでは代表的な算定方法を紹介します。

1.企業価値を算定する

保育園 業界のM&A実務において企業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。

・インカムアプローチ
・マーケットアプローチ

インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を試算します。

理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。

本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。

マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして企業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。

・類似会社比較法
・類似取引比較法

類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、企業価値を算出する方法です。

具体的には、以下のように算定します。

EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)

EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。

また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかで算定結果は大きく依存します。

2.株式価値を算定する

企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。

企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値

第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。

なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。

しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。

M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
[うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~]

また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。
[株価シミュレーター]

保育園業界で企業を売却する3つのメリット

保育園業界で企業を売却する3つのメリット

保育園業界のM&Aには、売り手にとって大きな利点が多くあります。ここでは代表的なメリットとして、下記の3つを紹介します。

・従業員の雇用と子どもの保育環境を守れる
・経営者の負担軽減と売却益の獲得
・経営基盤の強化とサービスの向上

それぞれ詳しく解説します。

従業員の雇用と子どもの保育環境を守れる

保育園を廃園する場合、職員は一斉に職を失い、新しい勤務先を探さざるを得ません。園児や保護者にとっても転園を余儀なくされ、通園環境の変化や人間関係のリセットといった大きな負担を抱えることになります。

特に共働き世帯にとっては、急な転園先の確保は難しく、仕事や生活に直結する深刻な問題へ発展しかねません。一方で、M&Aによって他法人へ事業を譲渡する場合、園そのものは継続できるケースが多く、職員はこれまで通りの職場で働き続けることが可能です。

子どもたちも通い慣れた園で安心して生活を続けられるため、保護者の不安を最小限に抑えることができます。M&Aは従業員・園児・保護者の三者にとって「安心を守る選択肢」といえるでしょう。

経営者の負担軽減と売却益の獲得

保育園経営には、保育士の採用・定着や施設の安全基準への対応、行政との調整、保護者対応など、幅広い業務が伴い、経営者に大きな負担を強います。さらに、人材不足や物価高騰、公定価格制度による収益制約といった外部要因が加わり、小規模園では経営リスクが顕著です。

M&Aを活用すれば、経営者はこうした責任やリスクから解放されると同時に、譲渡対価として売却益を得られます。資金は老後の生活費や新事業の原資に充てられるため、人生設計に大きな自由度をもたらすでしょう。

経営基盤の強化とサービスの向上

保育園を大手法人やグループに譲渡すれば、ICTシステム導入や施設改修、保育士研修などの投資が可能になり、サービス品質の向上と経営基盤の安定化を同時に実現できます。

結果として、職員の労働環境改善や離職防止に寄与し、園児や保護者へのサービスレベルも向上します。

保育園業界で企業を売却する際の4つのポイント

保育園業界で企業を売却する際の4つのポイント

保育園業界のM&Aを成功させるには、資産形成や事業継続といった目的に応じた準備が欠かせません。ここでは売却を検討する際に意識すべき4つの重要な視点として、下記を紹介します。

・資産形成の手段として活用できる
・事業の継続と成長が実現しやすい
・早期からの準備が成功のカギ
・信頼できる専門家を活用する

それぞれ詳しくみていきましょう。

資産形成の手段として活用できる

企業売却によって、これまで築いてきた事業の価値を現金化することができます。これにより、経営者は以下のような資金を確保できます。

・引退後の生活資金(リタイアメント資金)
・新たな事業への投資資金
・相続や資産承継の準備資金

特に後継者が不在の企業にとって、M&Aは事業を手放すだけでなく、経営者自身の将来を守る手段にもなります。

事業の継続と成長が実現しやすい

M&Aによって新たな経営資源やネットワークを得ることで、これまで単独では難しかった市場展開や販路拡大が可能になります。
また、以下のようなケースも多く見られます。

・買い手企業が従業員の雇用を維持
・既存の取引先との関係も継続
・経営理念やノウハウの承継によって「企業文化」も残る

自社の理念や価値を次世代へつなぐことができるのは、単なる「売却」ではない、M&Aならではの魅力です。

早期からの準備が成功のカギ

企業売却は短期間で決断できるものでがありません。成功に導くためには、少なくとも1〜2年前からの準備が理想的です。
準備すべき主な項目は以下の通りです。

・財務諸表・経営数値の整理
・契約書・知財などの法務チェック
・組織体制や人事面の見直し
・潜在的なリスクの洗い出し

これらを整えることで、買い手からの信頼獲得や、企業価値の最大化にもつながります。

信頼できる専門家を活用する

M&Aは複雑かつ専門的な取引であり、経験の浅い経営者が単独で進めるのは非常にリスクが高いです。
そのため、以下のようなサポートをしてくれる専門家の活用をおすすめします。

・M&A支援業者(FA、仲介会社)
・保育園・公認会計士・弁護士
・専門知識を持つコンサルタント

支援業者次第では、初期費用を抑えながらM&Aを進めることも可能です。第三者の視点を取り入れることで、感情に左右されない冷静な判断ができるのも大きなメリットです。

保育園業界での企業売却にかかる税金とは?

保育園業界での企業売却にかかる税金とは?

企業を売却する際には、売却益に対して税金が発生します。 この税金の仕組みは、「個人オーナーが売却する場合」と「法人が株式を譲渡する場合」で異なるため、正しく理解しておくことが重要です。個人・法人別にわかりやすく解説します。

個人オーナーの場合

個人が自社株などの株式を譲渡し、譲渡益(売却益)が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。

◆ 課税の仕組み

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

この譲渡所得には、以下の税が課せられます。

・所得税(復興特別所得税含む)
・住民税

給与所得などとは分離して課税されるため、所得の合算は不要ですが、確定申告が必要です。
適切に節税するためには、事前に保育園など専門家への相談が欠かせません。

法人の場合

法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。

◆ 法人の場合の税務処理

・譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
・譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
・所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能

◆ 評価差額にも注意

帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。

まとめ

まとめ

保育園業界は、少子化や待機児童問題の変化を背景に市場規模が拡大している一方で、園長・理事長の高齢化や保育士不足が経営上の大きな課題となっています。こうした環境下で、M&Aは事業承継や経営基盤強化の有効な手段といえるでしょう。

売却を通じて経営者は個人保証や日々の経営リスクから解放されるだけでなく、従業員の雇用維持しながら、まとまった売却益を得られる点も大きなメリットです。さらに、大手法人やグループの資金力・ノウハウを活かすことで、ICT導入や人材育成への投資が可能となり、サービス品質の向上や経営の安定化にもつながります。

ただし、理想的な条件で取引を成立させるためには、信頼できる助言会社を選定し、自園の収益力や財務状況を正しく把握した上で、強みを明確に伝える準備が欠かせません。専門家のサポートを受けながら進めることで、希望に沿ったM&Aを実現できる可能性が高まります。

保育園業界のM&A事情については下記記事でも解説しているため、ぜひ合わせて読んでみてください。
保育業界のM&A|保育業界のM&A動向やポイントも解説!

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。

また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。

まずは一度、弊社の無料相談サービスをご利用ください。

この記事の著者

RISONAL 編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

まずは無料で
ご相談ください

お電話でのお問い合わせ

03-6831-9322

(平日9:00〜18:00