M&A後に起こることとは?成功と失敗を分ける実務ポイント

2025.09.16

公開日:2025.09.16

2025.09.16

2025.09.16

更新日:2025.09.16

2025.09.16

M&A後に起こることとは?成功と失敗を分ける実務ポイント

M&Aを初めて経験するオーナー経営者の多くは、「契約締結・クロージング=ゴール」と考えがちです。

しかし実際には、M&A後こそが成否を分ける本番フェーズです。
統合準備や従業員対応を怠れば、せっかくのM&Aも企業価値を毀損しかねません。

本記事では、M&A後に起こる主な課題、よくある失敗と成功要因、そして実務での具体的対応策を解説します。

M&A後に発生する主な課題

まず最初に、M&A後に発生する主な課題として、下記の4つを解説します。

・PMI(買収後の経営統合)
・従業員対応
・顧客・取引先対応
・税務・会計処理

それぞれ詳しく解説します。

PMI(買収後の経営統合)

財務・業務プロセス・人事制度・ITシステムの統合を進めなければ、「二重コスト」「管理不全」「従業員不満」が発生します。

従業員対応

「待遇はどうなるのか」「文化は変わるのか」という不安を抱きやすく、説明不足は離職に直結します。早期の説明会・個別面談・リテンションボーナスが効果的です。

顧客・取引先対応

顧客や取引先も不安を感じやすく、競合に切り替わるリスクがあります。経営者自らが主要顧客を訪問し、信頼を維持することが欠かせません。

税務・会計処理

のれん計上・償却、繰延税金資産の処理などが必要です。誤ると後年度利益が圧迫され、計画が狂う恐れがあります。

M&A後によくある失敗例

・統合プロジェクトが曖昧:責任者や期限がなく、シナジーが出ない。
・従業員説明不足:優秀人材が流出し企業価値が下がる。
・文化衝突:意思決定スピードの違いを軽視し、現場摩擦が激化する。
・顧客説明不足:取引先が不安を抱え売上が減少する。

M&A後に成功する企業の特徴

・PMI計画を事前に策定:クロージング前から100日プラン・1年プランを用意。
・従業員定着策を重視:待遇維持やキャリアパスを提示し、1on1面談を実施。
・顧客対応を迅速に実施:経営者自ら主要顧客へ説明し、条件維持を保証。
・文化の橋渡し:両社文化の違いを理解し、段階的統合を進行。

M&A後に備えた実務ステップ

・PMIチーム設置:売り手・買い手双方の幹部を含め責任者を明確化。
・統合ロードマップ作成:100日・1年計画を具体的に設定。
・KPI設定:売上維持率、人材定着率、コスト削減額などを数値化。
・進捗フォローアップ:定期的にレビューし迅速に修正。

M&A後に取り組むべき具体施策

M&A後に取り組むべき具体的な施策として、下記が挙げられます。

・PMIの進行
・従業員対応
・顧客・取引先対応
・ガバナンス・リスク管理
・クロージング後支援

それぞれ詳しく解説します。

PMIの具体的な進め方

PMIを成功させるには「誰が・いつ・何を」行うかを明確にしたロードマップが必要です。

・1日目:従業員への全体説明会で雇用条件維持を明言。主要顧客に経営陣が直接訪問。
・1か月以内:財務会計ルールを統一し、内部管理の二重体制を解消。
・3か月以内:購買・販売・在庫管理など主要業務のシステム統合。
・100日目:コスト削減や業務効率化といった初期シナジーをレビュー。
・1年プラン:人事制度・評価制度を統合し、企業文化の橋渡しを段階的に進行。

従業員対応の実務施策

従業員は「待遇」「キャリア」「文化」で不安を抱きます。これを解消する施策には以下が挙げられます。

・リテンションボーナス
・キャリアパス提示
・1on1面談
・段階的情報開示

顧客・取引先対応のケーススタディ

ある中小メーカーでは、M&A後に顧客が「条件が悪化するのでは」と不安を抱き、競合に流出しました。これを防ぐには、下記が重要です。

・経営者自ら主要顧客訪問
・契約書で既存条件の維持を明文化
・買い手・売り手が共同で顧客へ説明

「言葉」だけでなく「行動」と「文書」で安心を与えることが重要です。

ガバナンス・リスク管理

統合後は内部統制が緩みやすく、リスクが増大します。具体的なガバナンス上の論点としては、下記が挙げられます。

・決裁権限表の統一
・情報管理ルールの再設定
・内部監査体制の強化
・CSR・ESG対応で信頼維持

FA(ファイナンシャルアドバイザリー)のクロージング後支援

売り手専属FAは、M&A後もPMI計画や従業員・顧客対応を支援し、税務・会計処理でも専門家ネットワークを紹介可能です。

スキームごとの留意点

・株式譲渡:契約や許認可は原則包括承継されるが、従業員不安対策は不可欠。
・事業譲渡:契約・雇用を個別承継するため、M&A後の対応が煩雑。
・社内承継:外部M&Aに比べ文化変化が小さく、不安を最小化できる。

まとめ:M&A後こそが成否を決める

M&Aはクロージングで終わりではなく、M&A後の統合と運営が本当のスタートです。

PMI準備、従業員・顧客対応、税務会計処理を適切に進めることで、事業価値を維持しシナジーを実現できます。

オーナー経営者は「M&A後に何が起こるか」を理解し、事前に備えることが成功の条件です。

オーナーズ株式会社では、売り手専属FAとしてクロージング後も統合準備を支援し、仲介手数料を排して最適な買い手探索からPMI実行まで伴走します。

まずは無料相談で、自社に合う承継・M&Aの形を検討してください。

この記事の著者

RISONAL 編集部(オーナーズ )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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