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社内承継を辞退する最大要因は“責任の重さ”。72.6%が、支援があれば継いでいた可能性を示唆 〜求められる支援TOP3は「資金調達支援」「承継プロセスの情報提供」「メンター制度」〜

2025.10.15

社内承継:親族関係のない社内の役員や幹部社員に事業承継することを指し、近年の後継者不足に対応する有力な承継手段として注目されています。

【調査結果 概要】

  • 社内承継を辞退する最大要因は「責任の重さ」
  • 資金面では「生活の安定」「家族への負担」に不安。家庭への影響が承継を妨げる要因に
  • 72.6%が、適切な支援があれば承継を引き受けていた可能性あり
  • 求められる支援、1位「資金調達支援」2位「承継プロセスの情報提供」3位「メンター制度」
  • 従業員・取引先・社内幹部など、業務上の関係者の反応が意思決定に影響

【調査結果 詳細】

〜回答者の状況〜

・社内承継の打診を受けたが、保留・検討中:48.1%

・社内承継の打診を受けたが、辞退した:48.1%

・一度受諾したが辞退した:3.8%
 
 ◼️社内承継を辞退する最大要因は「責任の重さ」
社内承継を辞退・保留した理由は、「責任が重いと感じた」が29.2%で最多となり、次いで「他に優先すべきことがあった」が26.4%、「経営スキル不足」が24.5%と続きました。重責への心理的負担と能力不足への不安が、承継の大きな障壁となっていることがうかがえます(n=106)。


 ◼️資金面では「生活の安定」「家族への負担」に不安。家庭への影響が承継の壁に

社内承継における資金面の課題を尋ねたところ、「収入や生活面での安定が不安」が22.6%、「家族への負担が心配」が21.7%、「詳細が分からず不安」が18.9%という結果になりました。一方で「特に気にならなかった」と回答した人も34.9%で、資金面の受け止め方には個人差があることもわかりました(n=106)。


 ◼️72.6%が、適切な支援があれば承継を引き受けていた可能性あり
適切な支援があれば社内承継に前向きになれたと思うか尋ねたところ、72.6%が「はい」と回答しました。制度や支援が後継者の意思決定を左右する可能性があることが示されています(n=106)。


 ◼️求められる支援、1位「資金調達支援」2位「承継プロセスの情報提供」3位「メンター制度」
承継を引き受ける可能性を高める支援を尋ねたところ、「資金調達支援」が36.4%で最多、「承継プロセス情報提供」が32.5%、「メンター制度」が29.9%と続きました。(n=77/適切な支援があれば、承継を受けていた可能性がある人)。


<具体的にあればよかったと思う支援内容/一部抜粋>

  • 経営スキルを身に付けるためのセミナーや外部講習について何を選べばよいか事前に知っていればよかった
  • 自社の経営事情に即した経営コンサルタント
  • 経営リスクの事前の説明と、その最善となる対処法のレクチャー
  • 承継を意識した権限の段階的移譲
  • バックグラウンドの明瞭化


 ◼️家族からの「心配」と社内幹部の「後押し」、二分する周囲の反応
承継打診を受けた際の周囲の反応を尋ねたところ、家族からは「心配された」が37.7%で最多、社内幹部からは「後押しされた」が48.1%で最多でした。外部の知人、取引先、従業員については「打ち明けなかった」が最多でした。

前回調査(※)の「会社を継いだ後継者」は、40.6%が家族からの後押しがあったと回答したのに対し、今回の「承継を保留・断念した方」は同回答がわずか8.5%でした。家族からポジティブな反応を得られなかったことが、後継者候補の判断に影響を与えた可能性を示唆しています(n=106)。


 ◼️従業員・取引先・社内幹部など、業務上の関係者の反応が意思決定に影響
承継を辞退・保留とした判断に周囲の反応が影響したかを尋ねたところ、「影響があった」と回答した割合は、従業員が54.2%で最も高く、金融機関・取引先が48.6%、社内幹部が47.0%と続きました。

前回調査(※)の「会社を継いだ後継者」と比較すると全体的に高い傾向が見られ、特に日頃から業務上で関わりのある社内外の関係者の反応が、判断に影響を与えやすいことが明らかになりました(n=106)。

<判断に影響を与えた周囲からの反応/一部抜粋>

・やはり家族からの理解が得られなかった

・家族の後押しが強ければ、また金融機関からの支援がもう少しあれば踏み切った可能性があった

・従業員から先々の見通し、環境による変化を理解しない旨を伝えられた

・専門家からの意見、リスクの可視化、リスクに見合った報酬等の処遇への保障がマスト

※参考)前回調査:「会社を継いだ後継者の8割超が、社内承継に「満足」。一方で9割以上が準備に不安を抱え、後継者育成・支援体制の不足が課題に。」

◼️オーナーズ株式会社 代表取締役社長 作田 隆吉 コメント

本調査で明らかになったのは、社内承継を辞退する最大の要因は「心理的負担」にあるという現実です。後継者候補は、経営失敗への責任や家族・従業員への影響を強く意識し、重責に踏み切れない状況にあります。同時に、承継に必要な知識・スキル・情報・制度などの支援環境が整えば、72.6%が承継を引き受けていた可能性があることも分かりました。

“継ぎたい人が継げる社会”をつくるには、資金調達支援や承継プロセスの可視化、専門家による伴走支援に加え、心理的サポートや後継者教育、家族への理解促進といった環境整備が求められます。

これからもオーナーズは「RISONAL 社内承継」を通じて、候補者や企業が安心して承継に向き合うために、心理的・実務的支援を行い、企業の持続的成長と事業承継の円滑化に取り組んでまいります。

【調査概要】

調査名称:社内承継における後継者の意識調査

調査機関:Fastask

調査対象:社内承継の打診を辞退、または保留にした方

調査方法:Webアンケート

調査期間:2025年9月29日〜10月3日

有効回答数:106件

※各回答項目の割合(%)は、端数処理の関係上、合計が100%にならない場合があります

◼️調査結果の引用時のお願い

本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記および当社サイトのリンクの掲載をお願いします。

当社サイト:https://risonal.com

例:「オーナーズの調査によると」「オーナーズ調べ」など

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