M&A仲介手数料に中立性を(日経新聞への掲載記事)
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- メディア掲載記事
公開日:2025.08.21
2025.08.21
更新日:2026.04.23
2026.04.23
M&A(合併・買収)仲介サービスは、中立の立場で売り手、買い手双方を顧客として支援するサービスだ。
双方の意向を汲み取りながら円滑なM&A取引の成約を目指せる利点があり、中小企業を中心に利用が広がっている。
他方で、利益相反のリスクが指摘されている。M&A仲介サービスが期待される機能を果たすためには、どちらかの顧客に支援が偏重することがないよう、中立性の維持を徹底しなければならない。ところが、M&A仲介会社の間では、売り手と買い手とで大きく異なる手数料体系を採用するケースが広まっている。
一般的なM&A仲介手数料は、「レーマン方式」という計算方式に基づき、M&A取引の金額などに一定の手数料率を乗じて計算される。
売り手が支払う手数料は、株式対価(株価)やオーナーが受け取る金額に対してレーマン方式の手数料率を乗じて計算される。
一方、買い手が支払う手数料は、株式対価に加え、取引によって移動する負債の総額を含んだ「移動総資産」の金額に同手数料率を乗じて計算されるケースが広まっている。
売り手が支払う手数料の2倍、3倍といった多額の手数料を買い手が支払うケースも多く、買い手が優遇されやすい状況だ。
中小企業のM&Aにおいては、悪質な買い手が売り手オーナーの経営者保証を解除せず、買収した会社の手元資金を吸い上げるトラブルが後を絶たない。
「M&A後に予定していた退職金を支払ってもらえない」「買い手から思いがけず損害賠償請求を受けてしまった」といったケースもある。
こうした案件の多くでM&A仲介会社が関与していたにもかかわらず、売り手が守られていない状況だ。
買い手偏重の手数料体系では買い手の利益が優先されやすく、売り手の利益がないがしろにされやすい。
多額の仲介手数料は買い手の投資予算を圧迫するため、取引価格を引き下げる要因にもなり、売り手の不利益につながりやすい。
売り手の利益を保護し、中小企業がM&Aを活用するためには、倫理観の向上やサービス品質の底上げなど、業界全体として取り組むべき課題は多い。
まずは売り手と買い手の手数料体系を同一にして、中立性を追求すべきだ。
本稿は、日本経済新聞 2025年8月20日「私見卓見」に掲載された当社代表 作田が寄稿した記事を転載したものです。
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