農業のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

2026.05.27

公開日:2026.05.27

2026.05.27

2026.05.27

更新日:2026.05.27

2026.05.27

農業のM&A相場はいくら?売却の手法やコツも解説!

農業は、米、野菜、果樹、畜産、酪農などの食料生産を担う基幹産業です。農林水産省「農業構造動態調査」によると、2024年の基幹的農業従事者数は約111万人で、5年前と比べて約25%減少しました。65歳以上の比率は約7割を占めており、農業就業者の高齢化と担い手不足が深刻化しています。

一方で、農地の集約化と農業の法人化も進んでおり、農地所有適格法人数は約2万1千法人まで増加しました。スマート農業や輸出向け農業など、新たなビジネスモデルへの展開も進んでいます。食料自給率は38%と先進国の中で最低水準にあり、食料安全保障の観点からも、農業の事業継続性は政策課題となっています(※)。

こうした環境下で、農地、許認可、販路を引き継ぐ手段として、M&Aが選択肢の一つとなっています。

本記事では、農業でM&Aを行う際の相場の考え方をはじめ、業界の現状や代表的な売却手法について解説します。

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※参考:農林水産省「農業構造動態調査

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農業の現状

日本の農業は、家族経営型の個人農家と、農地所有適格法人をはじめとする法人経営が併存する産業構造です。法人経営体は、経営規模、経営効率、人材確保の各面で優位性を持ちやすく、近年は新規参入や事業拡大の主体となっています。経営耕地面積でみると、20ha以上の経営体への集約が進んでおり、規模の二極化が進行しています(※)。

農地法の規制により、農地の権利移転には法令上の要件確認や許可手続が必要となるため、M&Aでも慎重な検討が求められます。この点が、M&Aにおいて他業種と異なる特徴となっています。買い手が農地所有適格法人でない場合は、株式譲渡や事業譲渡の設計に注意が必要であり、農地以外の事業資産(農業機械・設備・販路)を切り出すスキームも検討対象となります。

スマート農業への投資も進んでおり、農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」では、化学農薬・化学肥料の使用低減や有機農業面積の拡大が目標とされています。これらに対応する技術投資は、中小の経営体にとって負担が大きく、大手との差が広がりやすい傾向にあります。

M&Aの動きとしては、商社、食品メーカー、外食チェーンなどの異業種からの参入もみられ、生産から販売までのバリューチェーン統合が進んでいます。また、地域内の事業承継を目的とした農業法人同士のM&Aもみられます。

※参考:農林水産省「農業構造動態調査

農業でM&Aを行うのはなぜ?売却の理由を紹介

農業でM&Aが選ばれる理由は、大きく「事業承継・後継者問題の解決」「農地・許認可の継承」「販路拡大とバリューチェーン統合」の三つに整理されます。

まず、事業承継の観点では、農業経営者の高齢化が顕著であり、65歳以上の基幹的農業従事者が約7割を占める一方で、後継者となる若年層の流入は限定的です。家族経営の農家では、このまま引退すると農地が耕作放棄地となり、長年にわたって蓄積された土壌品質や栽培ノウハウも失われかねません。法人化された農業経営体であっても、オーナーへの依存度が高いケースが多く、承継の難しさは共通しています。

次に、農地・許認可の承継という観点では、農地は農地法の規制対象であり、相続や個人間売買だけでは効率的な経営継続が難しい場面があります。M&Aによって農地所有適格法人ごと承継するスキームを用いれば、農地と栽培体制をまとめて引き継ぎやすくなります。また、有機JAS認証、GAP認証(GLOBALG.A.P. / JGAP / ASIAGAP)、輸出向けの認証など、取得済みの制度対応は無形資産として評価されることがあります。

また、販路拡大の観点では、商社、食品メーカー、外食チェーンによる農業参入が進んでおり、こうした買い手にとって、安定した生産基盤と契約農家ネットワークは大きな魅力です。バリューチェーン統合によって、栽培から加工、販売までの収益機会を取り込む狙いがあります。

農業のM&Aでは、農地法、農地所有適格法人の要件、農地に関する権利の引き継ぎ方針が複雑になりやすく、これらを含めた事業価値を適切に評価できる買い手を見つけることが、成否を左右するポイントとなっています。

農業での企業売却方法は?3種類を紹介

農業のM&Aでは、売却対象や許認可・契約・人材の引き継ぎ方針によって、選ぶべき方法が変わります。代表的な手法は以下の3つです。

  • 株式譲渡
  • 会社分割
  • 事業譲渡

それぞれの手法について解説します。

株式譲渡とは?中小企業M&Aで最も選ばれる手法の仕組みと特徴

株式譲渡とは、企業の株主が保有する株式を他者に譲渡することで、経営権を移転するM&Aの手法のひとつです。中小企業のM&Aにおいては最も多く活用されており、後継者不在や事業承継を目的としたケースでよく採用されています。

株式譲渡のメリット

株式譲渡において、売却対象となるのはあくまで「株式」であり、会社そのものの法人格や契約関係、資産・負債はそのまま引き継がれます。

そのため、以下のようなメリットがあります。

  • 従業員や取引先との契約を維持したまま、スムーズな引き継ぎが可能
  • 許認可や契約の再取得が原則不要で、実務上の負担が少ない
  • 法人格が継続するため、営業活動を中断せずに承継できる

とくに、現経営者が引退を検討している場合でも、事業を止めることなくバトンタッチできるため、後継者問題の有効な解決策となります。ただし、契約上のチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項による相手方同意や、業種許認可の変更届・再許可が必要となる場合があるため、事前確認は不可欠です。

株式譲渡の注意点・デメリット

一方で、株式とともに過去の負債や簿外債務(帳簿に載っていないリスク)も引き継がれるという側面もあるため、買い手企業にとっては慎重な対応が必要です。

そのため、M&Aを進める際には、財務・法務・税務などに関するデューデリジェンス(詳細調査)を丁寧に実施し、リスクを洗い出すことが不可欠です。

会社分割とは?M&Aで活用される組織再編の手法と注意点

会社分割とは、企業が事業の一部を他の会社に移転することで、権利義務を承継させる法的な組織再編手続きです。M&Aにおいては、売却対象の事業を切り出してスムーズに移転させる手段として活用されています。

会社分割の主な種類

会社分割には、以下のような分類があります。

  • 新設分割:新たに設立した会社に事業を承継させる
  • 吸収分割:既存の他社に事業を承継させる

さらに、分割により得る対価の受け取り先によっても分類されます。

  • 分割型分割:対価を分割元会社の株主が受け取る
  • 分社型分割:対価を分割元会社自身が受け取る

会社分割のメリットと特徴

会社分割の最大の特徴は、契約・資産・負債などの権利義務を包括的に移転できる点です。これにより、個別契約ごとの承継手続きを省略でき、事業の引き継ぎが円滑に進められます。

また、分割によって整理された事業をその後に売却することで、M&Aの手続きも効率化されます。

税務上の注意点:適格分割と非適格分割の違い

会社分割には税務上の取り扱いに注意が必要です。「適格分割」であれば譲渡益の課税は繰り延べされますが、採用するスキームによっては「非適格分割」に該当します。

非適格分割では、資産が時価で評価され、譲渡益課税やみなし配当課税の対象となるため、税負担が発生します。

また、会社分割と株式譲渡をセットで行う場合、タイミングによって課税リスクが高まるため、スキーム設計は専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

事業譲渡とは?M&Aで活用される承継手法と税務上の注意点

事業譲渡は、企業が事業の一部または全部を、契約に基づいて他社へ売却するM&A手法のひとつです。

譲渡の対象となる資産・負債・契約関係を個別に指定して承継する点が特徴であり、柔軟性が高い一方で、手続きは煩雑になりやすいという側面もあります。

事業譲渡のメリット:簿外債務を回避しやすい

事業譲渡では、契約書に記載されたものだけが承継対象となるため、買い手企業にとっては、不要な債務やリスクを回避しやすくなります。

特に、簿外債務の存在が懸念されるケースでは、株式譲渡ではなく事業譲渡を希望する買い手企業が多い傾向にあります。

売り手側の税務上の扱い:事業譲渡益に課税

事業譲渡によって得た対価のうち、譲渡対象資産・負債の簿価純額との差額は「事業譲渡益」として、売り手側に法人税が課税されます。

また、事業譲渡には以下のような消費税に関する注意点もあります。

課税資産と非課税資産の両方をまとめて譲渡するため、資産ごとの課税・非課税を区分し課税対象資産部分の消費税を計算する必要があり、それぞれの対価を合理的に区分し、課税・非課税の計算を行う必要があります。

事業譲渡のデメリット:承継手続きが煩雑

個別承継であるため、以下のような実務負担が大きい点はデメリットと言えます。

  • すべての契約(従業員との雇用契約含めて)を再締結する必要がある
  • 許認可や届出が一から取得し直しとなる場合がある

農業の売却の流れは?3つのステップを紹介

農業のM&Aを進める場合は、大きく3つのステップに分けて進められます。

  • M&Aの準備と助言会社の選定
  • 買い手候補先企業との接触、意向表明受領
  • 詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

それぞれの段階で必要となる準備や手続きが異なるため、流れを把握しておきましょう。

Step1.M&Aの準備と助言会社の選定

はじめに、売却目的と希望条件を整理したうえで、M&A助言会社を選定します。この段階で重要なのは、いくらで売れるかだけでなく、どのような買い手に、どのような形で事業と人材を引き継ぎたいのかを明確にしておくことです。

農業の場合、評価や条件に影響しやすい論点として、農地の所有・賃借状況と面積、農地所有適格法人の要件充足状況、有機JASやGAP等の認証取得状況、栽培作物別の収量・出荷量・売上、契約販路(直販・JA・外食・スーパー・輸出)、農業機械・設備の保有状況と更新計画、補助金受給履歴と返還条件、雇用就業者と地域農家ネットワークなどが挙げられます。これらを事前に棚卸しし、資料として説明できる状態に整えておくことで、後工程での条件修正を抑えやすくなります。

Step2.買い手候補先企業との接触、意向表明受領

次に、助言会社を通じて買い手候補へ打診を行います。初期段階では概要資料を提示し、関心を示した企業と秘密保持契約を締結したうえで、財務・事業運営に関する詳細情報を開示します。

買い手候補は、譲渡価格のレンジ、取引方法、引き継ぎ条件、売却後の運営方針などをまとめた意向表明書を提出します。売り手は、提示金額だけでなく、従業員の処遇、ブランドの継続方針、取引先関係の維持なども含めて比較したうえで、基本合意に進むかを判断するのが一般的です。

Step3.詳細調査(DD)、最終契約とクロージング

基本合意後は、買い手による詳細調査が行われます。農業では、財務・税務・契約関係に加えて、農地や制度対応などの論点が重視されやすい点が特徴です。

調査結果を踏まえて最終条件を調整し、最終契約を締結します。その後、対価の決済と引き渡しを行うクロージングをもって、取引が完了します。

M&Aの流れについてより詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

M&Aの流れとは?準備からクロージング・PMIまで全ステップを売り手目線で解説

農業の売却の相場は?価値算定方法を解説

農業のM&Aにおける売却価格は、「〇〇円が相場」と一律に決まるものではありません。実務では、収益力、資産、ブランド力、人材、制度対応の状況などを総合的に評価したうえで、最終的に売り手と買い手の交渉によって価格が決まります。

農業のM&Aでは、農地の規模や土壌品質、農地所有適格法人の要件充足状況、販路(契約先)の安定性、栽培ノウハウ、ブランド作物の有無、認証(有機JAS・GAP)取得状況などが評価に大きく影響します。ブランド力・有機認証・輸出実績・大手契約販路がある場合はより高く評価されることもあります。

こうした理由から、農業のM&Aでは、まず企業価値を算定し、そのうえで負債や現金などを考慮しながら、評価の全体像を整理するのが一般的です。

以下では、その基本的な考え方について解説します。

1.企業価値を算定する

農業のM&A実務において事業価値の算定には、大きく分けて2つの方法があります。

  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ

インカムアプローチは、営業資産が生み出す将来キャッシュフローを評価の基礎とする方法です。代表的なディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を試算します。

理論的に優れた方法ではあるものの、将来キャッシュフローの見積もりや割引率の計算は非常に難易度が高く、経験を積んだ専門家でないと試算が困難で、初見では理解しづらいのが大きな欠点でしょう。

本稿では「価値の概算を簡単に知る」ことを目的にしていますので、インカムアプローチの詳細な説明は割愛します。

マーケットアプローチは、市場における取引価格を参考にして事業価値を算定する方法です。具体的には、以下のような方法が存在します。

  • 類似会社比較法
  • 類似取引比較法

類似会社比較法は、評価する対象の企業の類似会社にあたる上場会社の企業価値と、営業利益や収益力(EBITDA)といった財務指標から算出された倍率(マルチプル)を評価対象会社に適用することで、事業価値を算出する方法です。

具体的には、以下のように算定します。

EBITDA×業界相場の倍率(EBITDAマルチプル)=企業価値
(EBITDAマルチプル=上場類似会社の企業価値/上場類似会社のEBITDA)

EBITDAは、営業利益に減価償却費を足して算出されるものです。

また、類似会社は、業界が同じ上場企業を選定するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや収益構造、顧客の層などの類似性から選定するパターンもあります。類似会社をどのように選ぶかによって、算定結果は大きく左右されます。

2.株式価値を算定する

企業価値を算出したら、株式価値を算出しましょう。株式価値は、以下のように算出します。

企業価値-有利子負債+現金同等物=株式価値

第三者に譲渡する場合に、どの程度の価値がつくかを把握しておくことは重要なため、理解しておきましょう。

なお、マーケットアプローチには、類似会社比較法のほか、類似するM&Aによる取引事例を用いた類似取引比較法という方法が存在します。

しかし、参照する過去の取引における対象会社が非上場である場合、入手可能な財務数値が限定的であるため、同方法が中小企業のM&Aで利用されることは少ないのが現状です。

M&Aにおける価値の算定については、下記で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

うちの会社、結局いくらで売れるの?~事業オーナーの疑問に答えるコラム①~

また、自社の具体的な株式価値を知りたい場合には、株価シミュレーターを用意していますので、以下で試算可能です。ぜひご活用ください。

[株価算定シミュレーター]

農業で企業を売却する3つのメリット

農業でM&Aを活用するメリットは、経営者個人の利益にとどまりません。適切な承継は、農地や栽培ノウハウ、地域経済への貢献を守る手段にもなります。

  • 農地と栽培ノウハウを守れる
  • 経営者は売却益を得られる
  • 雇用と地域経済への貢献を維持できる

ここでは、売り手にとって特に重要な3つのメリットを解説します。

農地と栽培ノウハウを守れる

農業は、長年の経験によって蓄積された土壌品質、栽培技術、品種選定のノウハウによって生産性が支えられています。廃業によって農地が耕作放棄地となれば、これらの無形資産は数年で失われ、土地の再活用にも大きなコストがかかる可能性があります。

M&Aによって事業が承継されれば、農地と栽培ノウハウを次の担い手に引き継ぎやすくなり、生産活動を中断させない形で事業を継続できます。これは、食料安全保障の観点からも社会的意義のある対応といえます。

経営者は売却益を得られる

M&Aによる売却は、これまで築いてきた農地、農業機械・設備、販路、認証などの事業資産を資金化する手段です。得られた売却益は、引退後の生活資金や資産承継、次の事業への投資などに活用できます。

後継者不在のまま廃業した場合、農地の評価や活用可能性が下がることがあります。さらに、補助金返還や農業機械の処分など複雑な後処理が発生する場合もあります。M&Aであれば、事業の継続性を前提に価値が評価されるため、経営者はより計画的に出口を設計しやすくなります。

雇用と地域経済への貢献を維持できる

農業経営体は、地域内で雇用を生むだけでなく、JA、地域の加工業者、物流業者、地元飲食店などと連携することで地域経済を下支えしています。廃業は、これらのネットワークにも影響を与える可能性があります。

M&Aによって承継されることで、雇用や地域内の取引関係を維持しながら事業を引き継げる可能性があり、地域経済への貢献を継続しやすい点は、売り手にとっても重要です。

農業の売却を成功させる3つのポイント

農業でM&Aを成功させるためには、単に売上があるだけでは不十分です。買い手は、農地法対応、農業生産法人要件、販路、認証の引き継ぎ可否を厳しく確認します。

  • 農地法・農地所有適格法人要件の確認
  • 販路と契約農家ネットワークの整理
  • 信頼できる専門家を活用する

ここでは、農業の売却を検討する際に、特に重要な3つのポイントを解説します。

農地法・農業生産法人要件の確認

農業のM&Aで最も注意すべきは、農地法の規制と農地所有適格法人の要件です。買い手の属性によっては農地の権利移転が認められず、計画していたスキームが実行できないケースもあります。

売却前に以下の点を棚卸しし、説明できる状態にしておくことが重要です。

  • 農地の所有・賃借状況、面積、地目、農業振興地域指定の有無
  • 農地所有適格法人の要件充足状況(議決権要件・役員要件・事業要件)
  • 有機JAS、GAP、輸出向け認証などの取得状況と更新時期
  • 農業委員会への届出状況
  • 受給中の補助金・交付金の内容と返還リスク

この整理が不十分だと、DDを経て価格が下がったり、取引自体が成立しなくなったりする要因になります。

販路と契約農家ネットワークの整理

農業の評価において、生産能力と同じくらい販路の安定性が重視されます。直販比率の高さ、契約販路の継続性、出荷先の多様性は、価格の安定性や収益性に影響します。買い手は、これらの販路がオーナー個人の人脈に依存していないかを重視します。

評価を高めるためには、以下のような取り組みが重要です。

  • 契約販路ごとの売上・取引条件・契約期間の整理
  • 直販ECサイト・産直市場での販売実績
  • 契約農家・生産パートナーとの関係の組織的な管理
  • ブランド作物・GI関連の差別化要素の文書化

属人性を下げて販路を組織化することで、買い手に対する説明力が高まります。

信頼できる専門家を活用する

農業のM&Aは、農地法、農地所有適格法人要件、補助金返還、認証の取り扱いなど、一般的な事業売却にはない特殊な論点が多い領域です。準備や設計が不十分なまま進めると、売却後にトラブルが生じるリスクもあります。

そのため、以下のような専門家の支援を受けることが重要です。

  • FAをはじめとした売り手側に立つM&A助言会社
  • 農地法に詳しい司法書士・行政書士・税理士

売り手専属のFAを活用すれば、価格交渉や条件調整においても、売り手の利益を優先した交渉を進めやすくなります。感情に左右された場当たり的な判断を避けるという観点でも、第三者による専門的な視点は不可欠といえるでしょう。

農業での企業売却にかかる税金とは?

企業を売却する際には、売却益に対して税金が発生します。この税金の仕組みは、「個人オーナーが売却する場合」と「法人が株式を譲渡する場合」で異なるため、正しく理解しておくことが重要です。個人・法人別にわかりやすく解説します。

個人オーナーの場合

個人が自社株などの株式を譲渡し、譲渡益(売却益)が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。

課税の仕組み

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

この譲渡所得には、以下の税が課せられます。

  • 所得税(復興特別所得税含む)
  • 住民税

給与所得などとは分離して課税されるため、所得の合算は不要ですが、確定申告が必要です。

ただし、ミニマムタックスに該当する場合は給与所得等の他の所得との合算して算出する必要があるため、適切に節税するためには、事前に税理士など専門家への相談が欠かせません。

法人の場合

法人が保有する株式を譲渡した場合、その売却益は法人の「益金(収益)」として扱われ、他の事業収益と合算されて法人税等が課税されます。

法人の場合の税務処理

  • 譲渡益は法人所得として計上され、通常の法人税率で課税
  • 譲渡損失が出た場合、他の所得と損益通算が可能
  • 所得と損失の調整により、柔軟な節税が可能

評価差額にも注意

帳簿価額と時価の差(含み益)がある場合、譲渡時に課税対象となる可能性があります。

まとめ

農業は、就業者の高齢化、後継者不在、スマート農業対応といった構造的課題を抱える一方で、農地集約化、法人化、輸出向け農業、異業種参入といった新たな成長機会も生まれている産業です。M&Aは、農地と栽培ノウハウを守りながら事業を次世代へ承継するための現実的な選択肢の一つです。

売却を成功させるためには、農地法や農業生産適格法人要件の整理、販路の組織化も含め、専門家の支援を受けながら早期から適切な準備を進めることが欠かせません。

RISONALでは、売り手に特化したFAサービスを提供しています。専属のエージェントがお客様の希望に沿った取引を実現するため、最適なサポートを行います。より高い評価額での売却を目指したアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を抑えた成約も可能です。

農業のM&Aでは、買い手目線で条件調整が進みやすい仲介型の支援の場合、価格や引き継ぎ条件が売り手に不利になるケースも少なくありません。そのため、誰の利益を最優先に交渉するのかを明確にした支援体制が重要です。

無料相談が可能です。実際にどの程度の価格で売却できるのか、また、どのようにすればより高く売却できるのかを、ぜひご確認ください。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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