休眠会社は売却できる?売却のメリットや流れ、相場も解説

2026.03.30

公開日:2026.03.30

2026.03.30

2026.07.19

更新日:2026.07.19

2026.07.19

休眠会社は売却できる?売却のメリットや流れ、相場も解説

会社を動かしていない状態が長く続くと、「このまま持ち続ける意味はあるのか」「廃業するしかないのか」と悩む経営者は少なくありません。休眠会社であっても、一定の条件を満たせば売却は可能です。休眠会社の売却も、大まかな流れは通常のM&Aと共通しますが、休眠期間中の登記や税務、許認可の有効性など、特有の確認事項があります。

売却を検討する価値があるのは、廃業コストを避けられるからだけではありません。社歴のある会社や許認可を持つ会社は、買い手にとって新設会社より使いやすいことがあります。そのため、会社の状態によっては売却代金を得られる余地もあります。

本記事では、休眠会社の基本的な意味に加え、ペーパーカンパニーとの違い、売却するメリット、相場の目安まで解説します。

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休眠会社とは

一般に休眠会社と呼ばれる会社の中には、会社法第472条の休眠会社だけでなく、実務上は長期間稼働していない特例有限会社なども含めて語られることがあります。放置期間が長い会社は、毎年行われる整理作業の対象になります。

・最後の登記から12年を経過した株式会社を指す
・特例有限会社は会社法第472条の休眠会社には含まれない
・公告後2か月以内に必要な登記や届出をしないと、みなし解散の登記がされる

つまり、休眠会社は「動いていない会社」という日常語ではなく、登記の放置期間を前提にした法的な扱いを伴う言葉です。

休眠会社とペーパーカンパニーの違い

休眠会社とペーパーカンパニーは、似た言葉として扱われがちです。ただ、同じ意味ではありません。休眠会社には会社法上の基準がありますが、ペーパーカンパニーはもっと広く使われる言葉です。

・休眠会社は会社法上の概念である
・ペーパーカンパニーには明確な法律上の定義がない
・ペーパーカンパニーは、実体のない会社を広く指す場面で使われる

休眠会社は、過去に事業をしていて今は止まっている会社も含みます。一方でペーパーカンパニーは、実体のない会社をまとめて指すことが多く、文脈によっては税務や規制回避の話まで含みます。売却の検討では、法的な意味が明確な休眠会社という前提で考えるべきです。

休眠会社が買い手に評価される理由

休眠会社が売却できるのは、買い手にとって、会社を新しく設立するよりも、時間や手続きの面で有利になる場面があるためです。事業を行っていない会社であっても、許認可、社歴、過去に積み上げた取引実績、残存資産などが、買い手にとっての価値になる場合があります。

売り手としては、自社のどこに価値があるのかを把握することが、売却に向けた第一歩になります。買い手の視点を理解しておくことで、交渉の場面でも自社の強みを適切に伝えやすくなります。主な理由は以下の通りです。

  • 許認可や免許を活用できる場合がある
  • 社歴や信用を活用でき、設立手続きを省ける
  • 残存資産や繰越欠損金を活用できる場合がある

それぞれを順に解説します。

許認可や免許を活用できる場合がある

建設業許可や宅地建物取引業免許、一般貨物自動車運送事業の許可、人材派遣業の許可など、取得に時間がかかり、一定の要件を満たす必要がある許認可を持つ会社は、買い手にとって価値がある場合があります。これらの許認可は、新規に取得しようとすると、財産的基礎や専任者・管理者の配置、一定の実務経験などの要件を満たす必要があり、取得までに一定の時間がかかることもあるためです。

株式譲渡によって会社ごと取得すれば、許認可を引き継げる場合があります。そのため、有用な許認可を保有している休眠会社は、許認可を持たない会社より評価されやすい場合があります。ただし、許認可ごとに変更届、更新、要件維持の確認が必要です。。自社が取得済みの許認可は、要件を維持できていれば、売却時の訴求材料になります。

社歴や信用を活用でき、設立手続きを省ける

社歴の長さは、取引先や金融機関からの信用判断に影響する場合があります。新設したばかりの法人では、取引口座の開設や与信枠の設定に時間がかかる場面もあり、一定の社歴がある会社のほうが、事業開始時の手続きや取引開始を進めやすいことがあります。古くからの屋号や過去の取引実績が、買い手にとっての価値になるケースもあります。

加えて、会社を新設するには、定款の作成・認証、設立登記、各種の届出といった手続きと費用が必要です。休眠会社を取得すれば、新設法人の設立手続きを省けるため、時間とコストの両面で買い手のメリットになります。手続きを急ぎたい買い手ほど、休眠会社の取得を選びやすくなります。

残存資産や繰越欠損金を活用できる場合がある

現預金や換価可能な資産が残っている休眠会社は、買い手が事業を再開する際の資金として活用できる場合があります。過去の決算書や申告書類が整っているほど、買い手は会社の状態を把握しやすく、安心して引き継ぎを検討しやすくなります。過去の決算履歴や申告状況も、新設会社にはない確認材料です。

また、休眠会社が過去の赤字による繰越欠損金を抱えている場合、買い手は、税務上の要件を満たす場合に限り、その欠損金を将来の所得と相殺できる可能性があります。ただし、繰越欠損金の使用には税務上の制限があるため、必ずしも活用できるとは限りません。それでも、欠損金の存在は、税務上利用できる可能性がある場合に限り、買い手の関心を引く要素になることがあります。

休眠会社を売却するメリット

休眠会社をそのまま持ち続けると、管理の手間だけが残ります。売却できれば、その負担を減らしながら一定の金銭的メリットを得られる場合があります。具体的なメリットは以下の通りです。

・廃業コストをおさえられる
・創業者利益を確保できる
・節税につながる可能性がある

もっとも、どの会社でも同じ条件で売れるわけではありません。資産や未処理の事務手続きなどの有無によって、買い手の見方はかなり変わります。

廃業コストをおさえられる

会社をたたむには、解散と清算の手続きが必要です。登記費用や官報公告の実費もかかるだけでなく、専門家へ依頼するなら、その報酬も見込まなければなりません。

休眠会社を売却できれば、こうした清算コストを避けられる可能性があります

創業者利益を確保できる

休眠会社を持っているだけでは、通常は現金が生まれません。売却が成立すれば、株式譲渡代金として一定の対価を受け取れる可能性があります。

特に社歴が長い会社や、許認可を持つ会社では、新設より価値があると見られることがあります

節税につながる可能性がある

税務面では、清算と株式譲渡で課税関係が異なります。そのため、株主の属性や譲渡損益の状況によっては、売却のほうが税負担を抑えやすい場面があります。

ただし、ここは一律に節税効果があるとは言えません。実際にどちらが有利かは、株主が個人か法人かによっても変わるため、税理士の確認が必要になります

休眠会社を売却する相場

休眠会社の売却価格には、公的な基準がありません。実務では、会社の年数や資本金、許認可の有無、資産や負債の内容によって大きく変わります。そのうえで、相場感として紹介される価格帯には一定の傾向があります。

公的な価格基準はありませんが、民間の休眠会社売買の紹介例では、株式会社で10万円から30万円前後、特例有限会社で20万円から50万円前後といった価格帯が示されることがあります

この価格帯は、あくまで何もない休眠会社に近いケースの目安です。建設業許可や運送業許可のように取得に時間がかかる許認可を持つ会社は、もっと高く評価されることがあります。

反対に、簿外債務や未処理の税務がある会社は、価格より先にリスクが問題になります。数字だけで判断せず、何が残っている会社なのかを見極めることが重要です。

休眠会社を売却する際の価格目安

休眠会社の売却価格は、会社の種類、許認可・資産の有無、申告・登記状況によって大きく変わります。公的な相場統計は確認しにくく、以下はM&A支援会社などが公表する情報をもとにした参考目安です。

  • 株式会社(資産・許認可なし):数万円〜30万円程度が目安とされる場合があります
  • 特例有限会社:株式会社より高めに評価される場合があります
  • 建設業許可を保有:許可の有効性や要件維持の状況によって評価される場合があります
  • 宅地建物取引業免許を保有:許可の有効性や要件維持の状況によって評価される場合があります
  • 価値のある不動産・資産を保有:資産価値に応じて価格が大きく変動する場合があります

特例有限会社が比較的高めの目安となるのは、現在は新たに設立できず、社歴の長い会社が多いためです。希少性が価格に反映される場合があり、資産・許認可がない場合でも、一般の株式会社より高く評価される場合があります。

実際の価格は、許認可の種類、簿外債務の有無、資産内容、税務申告の状況などによって変動します。有効な許認可や資産がある会社ほど、買い手にとっての価値が高まり、価格が上がる場合があります。自社の具体的な価値を知りたい場合は、株価シミュレーターもご活用ください。

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休眠会社を売却する流れ

休眠会社の売却手順は、通常のM&Aと大きく変わりません。最初に方針を決め、相手を探し、基本合意とDDを経て、契約締結とクロージングへ進みます。休眠会社特有の確認事項としては、休眠期間中の登記懈怠、税務申告の状況、許認可の有効性が加わります。

・M&Aの専門家と売却戦略を策定する
・買い手候補とマッチングする
・トップ面談と基本合意を行う
・デューデリジェンスを実施する
・契約を締結する
・クロージングを行う
・PMIを実施する

休眠会社であっても、名義だけ移せば終わるわけではありません。譲渡後に会社を再稼働させるなら、役員変更や税務届出、口座や契約の引継ぎまで見据えて進める必要があります。

M&Aの専門家と売却戦略を策定する

最初に決めるべきなのは、何を価値として売るのかです。社歴なのか、許認可なのか、資産なのかによって、打診先も説明の順番も変わります。

休眠会社は稼働中の会社より情報が少ないため、見せ方を誤ると相手の検討が止まりやすくなります。経験のある専門家を入れて、売却理由と訴求点を固めることが重要です。

買い手候補とマッチングする

次に、自社を引き継ぐ意味がある買い手を探します。新規設立ではなく既存法人を取得したい会社、許認可を活用したい会社、社歴を重視する会社などが候補になりやすくなります。

単に会社を欲しがる相手ではなく、どこに価値を感じるかが明確な相手に打診することが重要です。

トップ面談と基本合意を行う

買い手候補が見つかったら、経営者同士で面談します。休眠会社の場合は、通常の事業承継案件より、何が残っているかが中心論点になります。

資産価値を説明したうえで、双方が大枠に納得すれば、価格帯や今後の流れを基本合意で固めます。ここで期待だけを先行させると、最終契約に近づくほど認識に齟齬が生まれやすくなります。

デューデリジェンスを実施する

休眠会社でもDDは省けません。むしろ、長く動いていない会社ほど確認事項は増えます。具体的には、以下のような項目が見られます。

・未処理の税務申告
・役員変更の未登記
・休眠前の債務
・名義だけ残っている契約

許認可を価値として売る場合は、そのまま使えるのかも重要です。ここで問題が出れば、価格調整や条件変更につながります。

契約を締結する

DDを踏まえて条件が固まったら、最終契約を結びます。休眠会社では、表明保証の範囲が重要です。稼働していないから安全というわけではなく、過去の申告や負債の有無をどこまで保証するかで売り手の負担は変わります。

契約書はひな形のまま進めず、実態に合わせて詰めるべきです。

クロージングを行う

契約締結後は、株式の引渡しや代金決済を行います。あわせて、代表者変更や本店変更など、必要な登記も進めます。

休眠会社は最後の登記から長期間が経過していることが多いため、過去の登記懈怠が残っていないかも確認が必要です。形式面を甘く見ると、譲渡後の再稼働がスムーズにできない可能性があります。

PMIを実施する

休眠会社のPMIは、稼働中の会社ほど大掛かりではない場合があります。ただ、譲渡後に事業を再開するなら、役員体制や社内ルールなどの見直しが必要です。

名義変更だけで終わる内容ではないため、買い手側がどこまで準備しているかで、その後の立ち上がり速度は変わります。

なお、休眠会社の売却であっても、基本的な進行は通常のM&Aと大きく変わりません。全体の流れを先に把握したい方は、以下の記事もご覧ください。

M&Aのプロセス

休眠会社を売却する際の注意点

休眠会社の売却には、休眠期間中に生じやすいリスクや税務上の論点があります。事業を止めている間に積み上がった問題が、売却の段階で表面化することもあります。

事前に把握しておくことで、売却後のトラブルや、譲渡価額の減額リスクを抑えやすくなります。買い手はこれらの点をデューデリジェンスで確認するため、売り手側で先に整理しておくことが、交渉を円滑に進める前提になります。主な注意点は以下の通りです。

  • みなし解散や登記放置に注意する
  • 繰越欠損金の使用が制限される場合がある
  • 簿外債務の有無を確認する
  • 税務申告・登記の状況を整理する

それぞれを順に解説します。

みなし解散や登記放置に注意する

株式会社は、最後の登記から12年を経過している場合、会社法上の休眠会社として整理対象になります。法務大臣による官報公告の後、2か月以内に「まだ事業を廃止していない旨の届出」または必要な登記をしないと、みなし解散の登記がされます。M&Aで売買される休眠会社は、事業活動を停止したまま維持している会社を広く指しますが、登記を長く放置している場合は、このみなし解散のリスクを抱えていることになります。

みなし解散後でも、一定期間内であれば株主総会の特別決議により会社を継続できる場合があります。ただし、放置すると清算手続きが必要になり、売却そのものが難しくなることもあるため、売却を検討するなら早めに登記状況を確認しておくことが重要です。なお、特例有限会社は通常の株式会社と異なり役員任期に伴う定期的な役員変更登記がないため、登記状況は個別に確認する必要があります。

繰越欠損金の利用が制限される場合がある

休眠会社が抱える繰越欠損金は、税務上の要件を満たせば買い手にとって節税につながる可能性がありますが、無条件に使えるわけではありません。支配関係が変わったうえで、休眠していた会社が新たな事業を始めるケースなどでは、税務上、繰越欠損金の利用が制限されることがあります

この制限に該当すると、買い手が期待していた税務メリットが得られず、結果として買い手の評価や譲渡価額に影響することがあります。欠損金を自社の魅力として打ち出す場合は、実際に使用できる見込みがあるかを、事前に税理士へ確認しておくことが重要です。

簿外債務の有無を確認する

休眠期間中に認識されていなかった債務や、未払いの税金・社会保険料が、後から判明することがあります。株式譲渡では、会社が負っている簿外債務も対象会社に残るため、買い手はこの点を慎重に確認する項目です。

売り手としては、事前に債務を洗い出し、未払いの税金、社会保険料、未処理の契約債務などがないかを点検しておくことで、交渉をスムーズに進めやすくなります。簿外債務が後から発覚すると、譲渡価額の減額、補償請求、契約後のトラブルにつながるおそれがあるため、早い段階での確認が欠かせません。

税務申告・登記の状況を整理する

休眠中であっても、原則として法人税・地方税などの申告が必要になる場合があります。申告や帳簿保存を長期間怠っていた場合、青色申告の承認が取り消されていることがあり、繰越欠損金の利用に影響するなど、買い手の評価を下げる要因になります。

また、登記事項に変更があったにもかかわらず必要な登記をしていない場合、過料の対象となることがあります。売却前に、申告の状況や登記の履歴を整理し、必要な手続きを済ませておくことで、買い手が引き継ぎを検討しやすい状態を整えられます。

以下の記事では、M&Aにおけるデューデリジェンスについて詳しく解説しています。

M&Aにおけるデューデリジェンス(DD)とは?目的や流れ、売り手側のポイントを解説

休眠会社の売却にかかる税金

休眠会社を売却する際は、誰が株式を売るのか、どのような方法で売るのかによって、課税の取り扱いが変わります。税金を考慮せずに進めると、手元に残る金額が想定より少なくなることもあります。

特に、株主が個人か法人かによって、課される税金の種類や税率が異なります。売却の方針を決める段階で、税負担の見込みを把握しておくことが大切です。主な論点は以下の通りです。

  • 個人株主が売却する場合の税金
  • 法人株主が売却する場合の税金

それぞれを順に解説します。

個人株主が売却する場合の税金

個人の株主が保有する非上場株式を譲渡した場合、その譲渡益は、原則として一般株式等に係る譲渡所得等として申告分離課税の対象となります。上場していない株式の譲渡益には、所得税・復興特別所得税・住民税をあわせて20.315%の税率が課されます。給与など他の所得とは区分して計算される点が特徴です。

休眠会社の場合、取得価額がはっきりしないケースもあり、その場合は取得費の確認や概算取得費の適用可否など、課税の計算が複雑になることがあります。手元に残る金額を正確に見込むためにも、売却前に税理士へ相談し、譲渡益と税負担を試算しておくことが望ましいです。

法人株主が売却する場合の税金

法人株主が株式を譲渡する場合、その譲渡益は法人の所得計算に反映され、法人税の対象となります。個人の場合の分離課税とは異なり、会社全体の損益と通算されるため、欠損がある法人では、税務上の要件を満たす範囲で税負担が抑えられる場合があります

また、発行会社が自己株式を取得する形で株式を手放す場合などは、交付金額の一部が「みなし配当」として扱われる場合があります。どの方法を選ぶかで税負担が変わるため、譲渡の方法を含めて専門家と検討することが重要です。M&Aにかかる税金の全体像は、以下の記事もご覧ください。

M&Aにかかる税金はいくら?手法別の金額や節税方法も紹介

休眠会社売却の際に相談すべき専門家

休眠会社の売却は、法務や税務が絡むため、専門家を使わずに進めると売却価格より後処理のほうで損をすることがあります。特に、許認可や休眠期間中の未処理事項がある会社では、早い段階から役割を分けて相談するべきです。

・弁護士
・税理士
・M&A仲介会社
・FA

誰に相談するかで、交渉の進め方も残るリスクも変わります。それぞれの相手について解説します。

弁護士

弁護士は、株式譲渡契約書の作成や法務デューデリジェンスを通じた法的リスクの整理おいて欠かせません。休眠会社は稼働していないため安全と見られがちですが、休眠前に生じていた未処理債務や労働問題、契約上のリスクが後から表面化するおそれがあります

表明保証の範囲や補償条項を適切に設計しないと、売却後の責任分担が不明確になり、買い手との紛争につながる可能性があります。そのため、法務DDと契約条件の整理は重要です。

税理士

税理士は、休眠期間中の税務リスクを整理するうえで重要です。休眠状態であっても、休眠期間中の地方税の届出や申告が未整理になっているケースがあり、自治体によっては法人住民税の均等割の扱いが問題になることがあります

また、会社の清算に伴う残余財産の分配と、M&Aによる株式譲渡では、売り手に適用される税目や税率が大きく異なります。最終的な手取り額を正確に試算し、単なる清算とM&A売却のどちらが有利かを比較するには、税務の専門的な確認が必要です。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、対象会社の価値を整理し、マッチングとディール全体の進行管理を担います。休眠会社の買収ニーズは、社歴や許認可、法人格の活用などを目的とするケースがあります

そのため、通常の事業承継案件とは異なるアプローチでの買い手探索が求められます。休眠会社やスモールM&Aの取り扱い実績がある仲介会社、あるいは事業承継プラットフォームを適切に活用することで、自社の表れにくい価値を評価する適切な買い手を見つけやすくなります。

FA

FAは売り手専属の立場で助言を行う専門家です。仲介会社が双方の調整に立って成約を優先するのに対し、FAは売り手のリスク遮断と条件を最優先して交渉方針を作ります

休眠会社の売却では、売却後の責任分担や税務設計で大きな差が出るため、売り手利益を守る役割は小さくありません。休眠会社や小規模案件に対応した成功報酬型のFAサービスを活用することで、コストを抑えながら条件面を整理しやすくなります。

休眠会社の売却評価を高めるためのポイント

休眠会社は、管理状況によって評価が下がりやすい一方で、準備の仕方によっては評価を高められる場合があります。買い手にとって引き継ぎやすい状態を整えておくことが、価格にも影響します。

特に、許認可や社歴といった価値のある要素を持つ会社は、売り方によって手取りが変わる場合があります。安易に手放すのではなく、価値を適切に評価してくれる買い手候補と交渉することが重要です。主なポイントは以下の通りです。

  • 税務申告・帳簿管理を整理しておく
  • 許認可の有効性を維持しておく
  • 資産・負債と株主構成を整理しておく
  • 売り手側の立場で助言できる専門家に相談する

それぞれを順に解説していきます。

税務申告・帳簿管理を整理しておく

休眠中でも税務申告や帳簿管理が適切に行われている会社は、青色申告や繰越欠損金の利用可能性を確認しやすく、買い手にとって引き継ぎを検討しやすい状態になります。申告が継続されていることは、会社の管理状況を判断する材料となり、買い手の安心材料になります。

逆に、長期間申告を怠っている会社は、青色申告の承認取消し、延滞税、未申告期間の整理などのリスクがあり、買い手の評価が下がる要因になります。売却を見据えるなら、休眠中も申告・帳簿管理を適切に続けておくことが、結果として高い評価につながります。

許認可の有効性を維持しておく

休眠会社の価値は、保有している許認可に左右される場合があります。許認可には更新期限や、一定の要件の維持が求められるものがあり、休眠中に失効していると、売却時の訴求力が大きく下がります。

売却を検討するなら、保有する許認可が有効な状態にあるかを確認し、更新や変更届が必要なものは、手続きを済ませておくことが重要です。有効な許認可を維持できていれば、その許認可を必要とする買い手から高い評価を得やすくなる場合があります。

資産・負債と株主構成を整理しておく

休眠会社が不要な資産や負債を抱えていると、買い手はその評価や引き継ぎを慎重に確認します。売却前に不要な資産を整理し、簿外債務がないかを点検しておくことで、買い手が判断しやすい状態を整えやすくなります。

また、株式が複数の株主に分散している場合、売却の意思決定や手続きが複雑になりやすくなります。必要に応じて株式を集約し、誰がどれだけ株式を保有しているかを明確にしておくことで、交渉や契約をスムーズに進めやすくなります。

売り手側の立場で助言できる専門家に相談する

休眠会社の売却には、買取業者へ売却する方法や、FAなどの専門家を通じて買い手候補を探す方法があります。買取業者への売却は手続きが早く、比較的手軽な一方、業者は再販売や活用を前提に取得することが多いため、提示価格が低めになる場合があります

これに対して、許認可や資産、社歴など買い手にとって価値のある要素がある休眠会社では、FAを通じて、その価値を必要とする買い手候補と条件交渉を行うことで、最終的な手取りが高くなる場合があります。許認可や資産などの価値がある会社ほど、安易に買取業者だけで判断するのではなく、売り手側の立場で助言できる専門家に相談することが、手取りの最大化につながる場合があります。

以下の記事では、売り手の立場に立ったセルサイドFAについて詳しく解説しています。

M&AにおけるセルサイドFAとは?業務内容や仲介との違いも解説

休眠会社の売却に関するよくある質問

休眠会社の売却を検討する経営者から、よく挙がる質問を整理します。

休眠会社でも本当に売却できますか?

許認可、社歴、資産などが買い手にとって価値がある場合、休眠会社でも売却できる場合があります。価値のある要素が乏しい場合でも、引き受け手が見つかれば、廃業費用を抑える選択肢として売却を検討できる場合があります。

何年も申告していない休眠会社でも売却できますか?

売却できる場合もありますが、申告を長期間怠っていると、青色申告の承認取消し、延滞税、未申告期間の整理などのリスクがあり、買い手の評価が下がる要因になります。売却を検討する場合は、申告・登記の状況を整理し、必要な手続きを進めてから臨むことが望ましいです。

みなし解散された会社でも売却できますか?

みなし解散後でも、一定期間内であれば会社を継続できる場合があります。継続が可能かどうかは登記の状況によって変わるため、早めに専門家へ確認することが大切です。

休眠会社の売却にはどれくらいの期間がかかりますか?

会社の状態や買い手候補探しの状況によって変わりますが、買い手候補との交渉、デューデリジェンス、契約手続きを経るため、数か月程度かかる場合があります。許認可や資産の有無によって、買い手候補の見つかりやすさも変わります。

買取業者に売るのは、FAに相談する場合と何が違いますか?

買取業者は転売を前提に仕入れるため、価格は低めになる場合がある一方、手続きは比較的簡素に進めやすい傾向があります。FAを通じた相対売却は、許認可や資産の価値を必要とする買い手と条件交渉できるため、価値のある会社ほど手取りが高くなる可能性があります。

まとめ

休眠会社であっても、一定の条件を満たしていれば売却は可能です。特に、社歴や資産といった要素に価値があれば、買い手にとって新設法人を用意するより合理的だと判断されることがあります。そのため、動いていない会社だからといって、廃業しかないと決めつけるべきではありません。

特に休眠会社の売却では、以下のような論点を先に整理しておくことが重要です。

・何が価値として残っているのか
・未処理の税務や登記懈怠がないか
・許認可や契約が実際に使える状態か
・売却と清算のどちらが合理的か

休眠会社の売却価格に一律の相場はありません。数万円から数十万円程度で語られることもありますが、それは何もない会社に近い場合の目安にすぎません。許認可や資産があれば評価は上がりますし、未処理債務や税務リスクがあれば、価格より先に条件面が厳しくなります。

重要なのは、休眠しているという事実だけで価値を判断しないことです。何が残っていて、誰にとって使い道があるのかを専門家とともに整理したうえで、売却、継続保有、清算のどれが最も合理的かを比較する必要があります

オーナーズ株式会社では、売り手に特化したFAサービスを展開しています。専属のエージェントがお客様の理想の取引実現に向けて、お客様のご希望に即したサービスをとことん提供いたします。よりよい評価額での売却に向けたアドバイスを受けられるだけでなく、余計な仲介手数料を削減した案件成約も実現可能です。

また、具体的な買いニーズを持っている企業のほか、業界・買い手企業分析に基づき事業親和性の高い企業を買い手候補としてご提案します。大手金融機関や大手M&A仲介、M&Aマッチングサービスとも連携しているため、買い手探索のルートが豊富です。

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この記事の著者

RISONAL編集部(オーナーズ株式会社 )

RISONAL編集部

売り手の理想のM&Aの実現に特化した専属M&Aエージェントサービスおよび事業オーナー向けの資産運用サービスを提供するオーナーズ株式会社

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