債務超過の株式譲渡は0円・1円になる?株式価値の考え方と売却時の注意点を解説
公開日:2026.03.31
2026.03.31
更新日:2026.03.31
2026.03.31
会社の売却を考えたとき、債務超過の状態にあると「株式はもう無価値なのか」「0円や1円でしか譲渡できないのか」と悩む経営者は少なくありません。
たしかに、債務超過企業の株式は実質0円と評価される場面があります。ただし、債務超過だからといって必ず0円になるわけではなく、事業の将来性や買い手とのシナジー、簿外資産の有無によっては価格が付くこともあります。
本記事では、債務超過の基本的な考え方を整理したうえで、株式価値が実質0円と見られやすい理由、反対に価格が付くケース、売却時の進め方や注意点をわかりやすく解説します。
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債務超過とは
債務超過とは、会社の負債が資産を上回っている状態をいいます。実務では、帳簿上の数値だけではなく、回収不能な売掛金や含み損のある資産も見直したうえで、実態として純資産がマイナスかどうかを確認することが重要です。
実務上、債務超過は簿価ベースではなく、資産と負債を時価で見直した実態貸借対照表で把握するのが一般的です。帳簿上は資産超過に見えても、回収不能な債権や含み損のある資産を反映すると、実態では債務超過となることがあります。
M&Aで問題になるのは、単に赤字かどうかではありません。売却時点で会社に残る価値がどれだけあるのか、買い手が引き継いだ後に再建や成長が見込めるのかが重要になります。そのため、債務超過であっても直ちに売却不能になるわけではありませんが、株式価値の見え方は厳しくなりやすいのが実情です。
債務超過企業の株式価値が実質0円と評価される4つの理由
債務超過の会社で株式価値が0円に近づきやすいのは、単に純資産がマイナスだからだけではありません。評価の考え方や清算時の見え方、税務上の整理も関わってきます。主な理由は以下の4つです。
・清算価値がマイナスだから
・将来の収益回復可能性が乏しいから
・清算時に実質的な価値が大きく減少するから
・形式的な売買価格ではなく、実態に基づく評価が求められるから
それぞれ順に見ていきましょう。
清算価値がマイナスだから
株式価値を考えるうえで基本になるのは、その会社を清算したときに株主へ何が残るかという視点です。資産を時価で処分しても負債を返しきれないのであれば、株主に分配できる残余財産はありません。
この状態では、株主に分配できる残余財産がないため、株式価値は実質0円に近いと見られやすくなります。
将来の収益回復可能性が乏しいから
債務超過でも、将来の利益で立て直せる見込みがあれば株式価値が直ちに0円になるとは限りません。逆に、赤字が続いており、主要取引先の離脱や事業縮小が進んでいるような会社では、純資産がマイナスであることに加えて将来の回復可能性も乏しいため、買い手から見た株式価値はほぼゼロと判断されやすくなります。
譲渡価格は純資産だけで決まるものではなく、将来性も含めて判断されます。逆にいえば、将来性が弱ければ評価はさらに厳しくなるということです。
清算時に実質的な価値が大きく減少するから
会社を残したまま事業を続ける場合と、清算を前提に資産を処分する場合とでは、見える価値が変わります。帳簿上は一定の資産があっても、換価すると大きく値崩れする在庫や設備は少なくありません。
さらに、清算コストや税負担、退職費用、違約金などが出ると、残る価値は一段と小さくなります。債務超過会社で株式価値が0円とされやすいのは、こうした清算ベースの目減りも織り込まれるからです。
形式的な売買価格ではなく、実態に基づく評価が求められるから
「0円」や「1円」という価格は、当事者が合意すれば当然に認められるものではありません。裁判例でも、非上場株式の時価は形式的な売買価格ではなく、実態に即して判断される姿勢が示されています。
たとえば東京高裁令和3年5月20日判決では、当事者間で1株75円とされた非上場株式について、裁判所は時価を1株2,505円と認定し、低額譲渡に当たると判断しました。つまり、債務超過会社の株式が0円に近いといえる場面があるとしても、そのためには実態に基づく合理的な説明が必要です。
債務超過でも株式譲渡で価格が付くケース
純資産がマイナスでも、将来性や従業員、取引先との関係性などが評価されれば価格が付く余地があります。価格が付く主なケースは以下のとおりです。
・帳簿に出ていない資産や事業価値があるケース
・買い手とのシナジーで評価が上がるケース
・再建余地がありスポンサー支援が見込めるケース
・許認可や顧客基盤、人材に引き継ぎ価値があるケース
それぞれのケースを解説します。
帳簿に出ていない資産や事業価値があるケース
帳簿には十分に表れない価値がある会社では、債務超過でも評価が見直されることがあります。たとえば、強いブランド、独自ノウハウ、継続的な顧客基盤、優秀な人材といった要素です。
会計上は資産計上されていなくても、買い手が収益源として評価すれば譲渡価格に反映される余地があります。純資産がマイナスであっても、将来性や取引先、従業員などは評価対象になります。
買い手とのシナジーで評価が上がるケース
単独では厳しい会社でも、買い手の販売網や調達力、経営資源と組み合わさることで価値が出るケースがあります。この場合、売り手単体の清算価値ではなく、統合後の収益改善まで見込んで価格が付くことがあります。
債務超過企業でも、再建や統合後の収益改善が見込めるなら、M&Aが成立する余地があります。
再建余地がありスポンサー支援が見込めるケース
足元では債務超過でも、不採算部門の整理や金融支援、スポンサー支援で再建の道筋が見える会社はあります。過剰債務下でも、再生支援を通じて再建が進むケースがあります。
M&Aでも、買い手が再建スポンサーとして入る前提なら、株式に一定の価格が付く可能性があります。
許認可や顧客基盤、人材に引き継ぎ価値があるケース
建設業や運送業、介護業のように許認可や人材確保が事業継続の前提になる業種では、債務超過でも引き継ぎ価値が残ることがあります。買い手にとっては、ゼロから許認可を取り、人材を集め、顧客を獲得するコストを省けるためです。
こうした価値は貸借対照表だけでは見えにくく、実務ではノンネームシートやIMの作り込みによって初めて正しく伝わることもあります。買い手は、従業員や取引先との関係性も含めて多面的に検討します。
債務超過会社を売却するときの進め方
債務超過会社の売却は、通常のM&Aより前提整理が重要です。価格の話から入ると失敗しやすく、まずは実態把握とスキーム比較が必要になります。進め方のポイントは以下の4つです。
・資産負債の実態を整理して現状を把握する
・株式譲渡が適切か事業譲渡など他の方法も比較する
・買い手候補に評価される論点を整理する
・M&Aの専門家と条件設計を進める
順に解説します。
資産負債の実態を整理して現状を把握する
最初にやるべきことは、帳簿ではなく実態で会社を見ることです。回収不能債権、含み損のある在庫や設備、簿外債務、役員借入金、個人保証の状況まで洗い出し、実態貸借対照表を作る必要があります。
債務超過は、時価評価を踏まえた実態ベースで判断する必要があります。この作業が甘いと、売却価格だけでなく、そもそも株式譲渡で進められるかどうかの判断まで誤ります。
なお、債務超過でも株式価値が必ず0円になるわけではなく、評価手法の前提によって見え方は変わります。株式価値の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
いくらで売却できる?オーナー経営者が「好条件」でM&Aするための“株式評価手法”
株式譲渡が適切か事業譲渡など他の方法も比較する
債務超過会社では、株式譲渡が常に最適とは限りません。簿外債務や偶発債務が重い場合は、買い手が株式譲渡を嫌い、事業譲渡や会社分割を求めることもあります。逆に、許認可や契約関係を維持したいなら、株式譲渡のほうが現実的なケースもあります。
スキームを誤ると、譲渡価格より大きな損失を招くおそれがあるため、最初から複数案を比較すべきです。中小M&Aでは、株式譲渡、事業譲渡、会社分割などの手法ごとに、引き継ぐ範囲や負担が異なります。
買い手候補に評価される論点を整理する
債務超過会社の売却では、弱みを隠すより、残っている価値を明確に見せるほうが重要です。主要顧客との継続性、粗利が取れている事業、現場人材の定着、許認可、再建余地など、買い手が引き継ぐ意味のある論点を整理する必要があります。
純資産がマイナスでも、将来性や従業員、取引先との関係性は評価対象になります。価格が付く会社は、この点が整理されています。
M&Aの専門家と条件設計を進める
債務超過会社の売却は、単純な価格交渉では終わりません。経営者保証の解除、役員借入金の処理、金融機関との調整、表明保証の範囲、スキーム選定まで一体で設計する必要があります。
債務超過企業のM&Aでは、債務整理手続などを伴う場合もあります。実務を個社判断だけで進めるのは困難なため、FAや弁護士、税理士を早めに入れたほうが、結果として条件が整いやすくなります。
債務超過に関するよくある質問
債務超過会社の株式譲渡では、0円や1円という数字が独り歩きしやすい一方で、実際には税務や法務の確認が欠かせません。ここでは、よくある質問に回答します。
債務超過の株価を1円で譲渡しても問題ないですか?
契約上は1円での譲渡もあり得ます。ただし、実態として時価があるのに著しく低い価額で譲渡すると、税務上の問題が生じる可能性があります。
また、個人が法人に対して譲渡所得の基因となる資産を時価の2分の1未満で譲渡した場合は、時価による譲渡とみなされる可能性があります。
債務超過企業の株式譲渡価格はいくらですか?
一律の相場はありません。実態純資産が大きくマイナスで、将来性も乏しい会社なら0円や1円での譲渡が検討されることがあります。
一方で、簿外資産、事業の収益力、買い手とのシナジー、許認可や顧客基盤が評価されれば、債務超過でも価格が付くことがあります。
まとめ
債務超過会社の株式が0円や1円に近い水準で評価される場面はあります。ただし、債務超過であるという一点だけで株式価値が自動的に決まるわけではありません。実態貸借対照表上の純資産、事業の将来性、買い手とのシナジー、許認可や顧客基盤などの引き継ぎ価値を踏まえて、最終的な譲渡価格は判断されます。
特に売り手にとっては、以下のような整理が重要です。
・実態貸借対照表で債務超過の程度を把握する
・株式価値と事業価値を切り分けて考える
・0円や1円譲渡の税務リスクを確認する
・株式譲渡以外の手法も含めて比較する
債務超過会社の売却では、価格だけを見て判断すると見誤りやすくなります。重要なのは、なぜその価格になるのかを実態ベースで説明できることと、買い手に引き継ぎ価値をどう見せるかを整理することです。帳簿上は厳しい状態でも、将来性や再建余地があれば価格が付く余地はあります。
そのため、債務超過を理由に早い段階で売却を諦めるのは適切ではありません。実態把握、スキーム選定、保証や債務処理まで含めて条件設計を進めることが合理的です。早い段階から専門家と連携し、自社にとって無理のない進め方を組み立てることが重要です。
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